艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
工廠へやってきた深海と秋雨、梅雨葉、雨葉、そして白の5人。深海が工廠の扉をノックすると中から、ハーイ!という明石の声が聞こえてきた。それから数秒の後、明石が工廠の扉を開けて顔を出した。
「あ、提督!それに秋雨ちゃんたちも。ここに来たという事はMKIフレームの件ですね」
「そうだ。MKIフレームについてもっと教えてもらおうと思ってな」
「お任せください!今夕張ちゃんもいますから、手取り足取り説明しますよ!ささっ、こちらへどうぞ」
明石は深海たちを工廠へと招き入れた。工廠内へ入ると、ゴォー!という大型の換気扇の音が5人を出迎えた。現在明石の工廠は、戦時中と違いかなり静かな空間となっている。戦時中は至る所の機械が駆動する音で相当喧しい場所ではあったが、現在はこの大型換気扇の駆動音だけが内部を騒がせている。
「夕張ちゃーん!提督が来たよー」
明石が工廠奥にある小部屋に向かって叫んだ。すると奥から、今行くー!という夕張の声が返ってきた。やがて奥の部屋から夕張が出てくると、明石は深海たちを工廠の隅の方にある大きな作業台へと案内した。深海はその作業台の上にMKIフレームと、秋雨たちのプレゼントであるストライクフリーダムガンダムとアストレイブルーフレームセカンドLの箱を置き、続けて秋雨たちが自室から持ってきた工具箱を置いた。
「さあ提督!MKIフレームについて、何が知りたいんですか?」
と、夕張が作業台を挟んだ反対側から作業台に両手を付きながら深海に尋ねた。
「ああ、まずは
「そう言えば詳しい動かし方、教えていませんでしたね……すみません提督」
深海が、気にするな明石。とフォローを入れる。すると夕張が笑顔を見せながら言った。
「動かし方については、話を聞くより自分で体験してみた方がいいと思います!さあ提督、私たちがお渡しした腕輪を填めてみてください」
「わかった………こうか?」
深海は夕張に促され自身の利き腕である右腕に腕輪を通した。すると、数秒遅れて深海の身体を何処か懐かしい感覚が包み込んだ。
「っ!?何だ、この感覚はまるで…」
「どうですか提督?まるで艤装を装着した時のような感覚になりませんか?」
「っ!?」
自身を包み込んだその感覚の正体を、見事言い当てた夕張の言葉に深海は思わず驚いてしまった。だが深海はすぐにこのMKIフレームが自分の使っている艤装の余剰パーツで作成されたことを思い出した。
「なるほど。
「そういう事です!あとは、自分の頭で考えればMKIフレームはその通りに動いてくれますよ!」
「ほぉ…どれ、やってみるか」
深海はそう言うと、頭の中で自分が走っているイメージを思い浮かべた。すると、作業台の上に置かれていたMKIフレームが、作業台の上を腕を振って走り始めたのだ。最初こそゆっくりとだったが、次第に動くスピードは速くなっていった。
「わわ!フレームが独りでに走り出したよ!」
「プラフスキー粒子がないのに、動いてる」
「凄い凄い凄い!いったいどうなってるの!?」
「………!!」
そんなMKIフレームの動きを見た秋雨たちは揃って驚きの声を上げた。そしてそうこうしている内に、MKIフレームのダッシュスピードはトップスピードまで上昇した。MKIフレームは両手を後方へ向け、態勢を低くした姿勢で作業台の上を駆けまわって言った。すると、MKIフレームの進行方向に秋雨たちの工具箱が立つ塞がった。
「あ!お父さん危ない!」
「なんのっ!」
思わず声を上げた秋雨。だが、深海はすぐさまMKIフレームがその工具箱の上に飛び乗るイメージを頭の中に思い浮かべた。すると、MKIフレームは工具箱から少し離れた場所で跳躍すると、空中で一回転し工具箱の上に降り立ってみせた。
「「す、凄い…」」
「凄い凄い凄い!おとーさん、すっごくカッコいいー!」「………!」
見事なまでの着地を見た秋雨と梅雨葉は思わず言葉を失い、雨葉と白ははしゃぎ立てるのであった。そして深海とMKIフレームの動きを見た夕張は、嬉しそうな表情で深海を絶賛した。
「流石です提督!これだけ動かせるなら、もう問題ないですよ!」
「ああ、動かし方分かった。次の質問をしてもいいか?」
「はい、何なりと!」
深海は、ありがとう。と礼を述べると次に気になることを夕張に尋ねた。
「
「確かにそうだよね…今のお父さんの機体は内部フレームしかないもんね」
「あ、それについては私の方から説明します提督」
すると今度は明石が口を開いた。
「通常、ガンプラバトルはプラスチックに反応するプラフスキー粒子が無ければ出来ません。そして、ガンプラバトルに必要なGPベースに全て金属で出来ているMKIフレームを登録することは出来ません」
「…つまり、今のままではガンプラバトルが出来ないという事か」
「そうです。でも、この明石と夕張ちゃん特性のGPベースなら大丈夫です!」
そう言った明石はポケットから秋雨たちが持っている「への字型」をした「通常のGPベース」と全く同じ形状をしたGPベースを取り出し、それを深海に渡した。深海がそれを受け取ると、クルクルと回しながらその「特別性GPベース」を確認してみた。すると、GPベースの裏面に「黄色の歯車に「夕明」と斜めに書かれたロゴシール」が貼られていた。
「ほう。これが「特別製の証」か」
「そうです!私と夕張ちゃんをイメージしてデザインしてみました!そのGPベースは通常の物と違って、金属製のMKIフレームもプラスチック製としてシステムに認識させるようにしてあります。ですから、ガンプラバトル協会の登録者ログにも問題なく登録することが出来ますし、見た目も普通のGPベースにロゴシールが貼ってあるだけですからね。MKIフレームの武装に関してはガンプラを直接組み上げた武器を使うだけですから、問題ないと思いますよ?」
「それって、全部明石さんがやったの?」
と、不意に梅雨葉が明石に質問した。すると明石は少し照れながら答えた。
「夕張ちゃんにも手伝ってもらったけど、殆んどは自分でやったかな」
「あんな動きが出来るお父さんも凄いけど、こんなことをやってのける明石さんと夕張さんも凄いよ!」
「ありがとう、秋雨ちゃん。素直に嬉しいよ!」
「なるほどな。あとは俺の組み上げたガンプラの出来次第、という事か…何から何までありがとうな、明石、夕張」
一通り話を聞いた深海は腕を組みながら明石と夕張に礼を述べた。2人は嬉しそうな笑みを浮かべながら、どういたしまして!と言ったのだった。深海は小さく口元に笑みを浮かべると、作業台に置かれたストライクフリーダムガンダムの箱を開けたのだった。
「さて、それじゃあ作るか。秋雨、梅雨葉、雨葉、白、手伝ってくれ」
「はーい!頑張って作るぞー!」
「秋雨お姉ちゃん、ガンプラ、作れるの?」
(うグッ!)「よーし!雨葉、頑張るぞー!」
「………!」
「明石、私たちも提督のガンプラ製作手伝おっか!」
「そうね!ちょうど暇だったし、私たちも協力します!」
「みんな…すまないな」
こうして深海のガンプラ製作が始まった。
それから時間は流れ、工廠の窓からは夕日が差し込んできていた。作業台の上には、頭部だけ外されている、ストライクフリーダムガンダムの胴体部と左前腕、秋雨たちの持っていたジャンクパーツから見つけたビルドストライクガンダムの左肩アーマーとストライクフリーダムガンダムのビームライフルを握った右腕、アストレイブルーフレームセカンドLの下半身、そしてバックパックには右側に稼働アームによって懸架されたストライクフリーダムガンダムの持つ片方のビームライフル、左側には4基のスーパードラグーンを備えたストライクフリーダムガンダムのウイングバインダーを装備した。白と黒、赤のトリコロールカラーで塗られたガンプラが立っていた。だが深海は、ストライクフリーダムガンダムとアストレイブルーフレームセカンドLの頭部を両手に持ちながらあることを考えていた。
「お父さん、どうしたの?」
「いや、どうもこいつに似合う頭部がこの2つじゃないと思ってな」
「ふーん。じゃあ、秋雨たちのジャンクパーツの中から探してみる?」
そう言った秋雨は深海に頭部パーツばかりが入った箱を見せてくれた。秋雨たちは、組み上げたガンプラをある程度眺めた後、こうして各部位に分割して箱にしまっているのだ。深海はその箱の内部を覗き込み、無数に転がったガンプラの頭部と睨めっこを始めた。
「…そう言えばお父さん。このガンプラ、何からアイデアを浮かんだの?」
と、不意に秋雨がそんなことを訪ねてきた。深海は睨めっこを続けたまま返答した。
「俺が使っている艤装をイメージした。俺が最も戦いやすい姿に仕上げたのさ」
「へぇー、お父さんの使ってる艤装ってこんな形なんだ」
「まあな………ん?」
そんな時だった。深海はある1つのガンダムタイプの頭部に目が留まった。それは、全体的に黒く二対のV字アンテナを備えたガンダム「ストライクノワールガンダム」の頭部だった。深海はその「ストライクノワールガンダム」の頭部を拾い上げると、秋雨に尋ねた。
「秋雨、こいつを貰ってもいいか?」
「それってストライクノワールだよね。それに決めたの?」
「ああ。これに決めたよ」
そう言った深海はストライクノワールの黒い部分を取り外すと、そこを白い塗料を入れたエアブラシで塗り始めた。そしてそれらを塗り終えるとパーツを明石たちが作った本来は食器乾燥機として使う急速食器乾燥機に入れ、乾燥させた。そして、15分ほど経ちパーツを取り出し、それを組み直してMKIフレームの頭部接合部に取り付けた。
「これで完成……だな」
「やったねお父さん!ねぇねぇ、このガンダム。何て名前にするのっ?」
「名前か……そうだな――――」
作業台の上、そこには深海のガンプラ――――
ガンダムディオーシャ
が立っていた。