艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP11  深海、出撃

一方その頃、時雨は先日秋雨たちからプレゼントされた「ベアッガイF」を両手で持って本庁舎の廊下を歩いていた。

(いざ作ろうと思ったら作り方知らないってこと忘れてた…秋雨たちに教えてもらわなくちゃ)

行先は秋雨たちの私室である。ガンプラを始めて作る時雨は、制作道具すら持ち合わせていなかったのだ。それから歩くこと1分、時雨は秋雨たちの部屋の前に到着した。

「秋雨―――ん?」

部屋の扉をノックしようとした時、時雨はあることに気づいた。

「お父さんと一緒に明石さんの工廠へ行っています?え、提督と?」

部屋の扉に小さなホワイトボードが掛けられていたのだ。時雨はそれを読むと少しの間考えて、行ってみよう。と呟きそのまま明石の工廠へと向かった。

 

ガンダムディオーシャを完成させた深海はその場でリングを填め、ガンダムディオーシャの試運転を始めた。

「ここじゃスラスターを使った行動は出来ないよお父さん!気を付けてね」

「俺は昔から瞬発力を生かして戦ってきた。問題ないさ」

秋雨の心配に深海はニッと笑って答えた。そしてガンダムディオーシャへと意識を集中させた。ガンダムディオーシャが足を肩幅より少し広く開きながら腰を落とすと、その直後に足元のテーブルを蹴って全力疾走を始めた。その初動は非常に素早く、アッと言う間にディオーシャは先程のフレーム装着前に動かしたときと同じ速度に達した。すると深海は右手に握ったビームライフルをバックパック右側に稼働アームを介して設置されたビームライフルの銃口に合体させ、空いた両手を大きく下へ向かって払うとそのまま両脹脛にマウントされたナイフを逆手持ちで抜き、その場で再び右足をテーブルに勢いよく踏み込み、抜いた勢いを生かしてその場でサマーソルトキックを繰り出した。そのまま着地したディオーシャは再び足元を踏み込んで飛び出し右手に持ったナイフを左へ振り切り、振り切ったタイミングで左手のナイフを右へと振り、勢いに乗って一回転。正面を向く直前に右脚を大きく伸ばし「払い蹴り」払い蹴りの直後に左脚をサッカーボールを蹴るように一気に上げて「蹴り上げ」を放ち、その上げ切った脚をそのまま振り下ろして「かかと落とし」を披露するとその場から少しだけバックステップをして態勢を整えた。そしてナイフをそのまま鞘へと戻して直立の状態へ戻すと、深海は腕輪を外した。

「ふぅ、こんな所か…」

「す、凄い……」「―――っ」

深海の動きを見た秋雨は驚愕し梅雨葉は絶句してしまったのだった。

「おとーさん、凄い凄い凄い!雨葉、こんな動き見たことないよ!」

「―――!!」

そして雨葉と白は、深海の動きを見て互いに驚いていた。そんな中、秋雨は心の中で改めて自身の父親が凄い人物なのだと感じていた。

(これが、私たちのお父さんの力…)

そんな時だった。工廠の入り口扉をノックする音が工廠内に響き、やがて扉が開いた。

「おーい提督。秋雨たちがこっちに―――」

工廠に入ってきたのは勿論時雨だ。それを知った秋雨は不思議そうな表情で、時雨に尋ねた。

「あれ?お母さん、何でここに?」

「あ、いたいた。秋雨たちの部屋に行ったら、ここにいるって書いてあったから」

時雨は深海たちに向かって歩きながらそう答えた。

「え!おかーさん、雨葉たちに何かご用なの!宿題は、ちゃんとちゃんとちゃんと終わらせてあるよ!」

「そっか、偉いね雨葉!」

「えへへー!」

右手で頭を掻きながら笑う雨葉。すると時雨は、そうだった。と呟くと手に持っていたベアッガイFを秋雨たちに見せた。

「ちょっとベアッガイF(これ)の作り方を教えてもらおうと思って……」

「何だ時雨。お前もガンプラを作りに来たのか?」

それを見た深海は時雨にそう言った。時雨は深海の言葉に苦笑いを浮かべながら答えた。

「う、うん。僕としたことが、作り方知らないってこと忘れてたんだよ」

「あ!ごめんなさいお母さん、秋雨たちも忘れた!」

そして時雨の返答を聞いた秋雨もまた、時雨が作り方を知らないことを忘れていたことに気づいた。

「アハハハ!忘れんぼさんだね秋雨ちゃん!」

「プッ、アハハ!それは時雨ちゃんもよ。親子揃って忘れんぼさんだわ!」

2人のやり取りを聞いていた明石と夕張は思わず笑ってしまった。

「あはは…確かに親子揃ってだね」

「ううう…恥ずかしいよぉ」

それを聞いた時雨は苦笑したまま頭を掻き、秋雨は顔を赤くしながら苦笑いするしかなかった。そんな中、梅雨葉だけは冷静にツッコんだ。

「秋雨お姉ちゃん、ガンプラ作れないよね」

ハウァ!

秋雨は再び「ガンプラ作れない」と書かれた矢印に胸を貫かれたのだった。

 

 

それから1時間ほどが過ぎ、梅雨葉たちの力を借りた時雨はベアッガイFを完成させた。

「あとはこのパーツを組み合わせて……よし、これで完成かな?」

「うんうんうん!おかーさん、とってもとってもとっても上手だよ!」

「ありがとう雨葉。秋雨と梅雨葉もありがとね」

「えへへ!」「うん」

ベアッガイFを組み立てる手伝いをしてくれた娘たちに向かって時雨は優しく微笑んだ。そしてそんな時雨の笑顔を見た深海は、知らない間に微笑んでいた。そんな中、時計を見た深海はハッとした。

「おっと、そろそろ晩御飯の時間だな。お前たち、そろそろ本庁舎に戻るぞ」

こうして深海と時雨のガンプラ製作は幕を閉じ、明石の工廠にいたメンバーは慌てて工具類を片付け本庁舎へと戻っていった。

 

それから夕食を終えた深海は早々に席を立った。それを見た時雨が不思議そうに声をかけた。

「どうしたの提督?今日はいつもより食べ終わるの早いね」

「ああ。ちょっと伊多ん屋に行って、ディオーシャ(こいつ)の操縦テストをしておこうと思ってな」

「あ!おとーさんズルいズルいズルい!雨葉も行く!」

深海がこれから伊多ん屋へ行くと言い出すと、雨葉も付いていくと駄々をこねた。しかし深海は落ち着いて雨葉を諭した。

「お前たち駄目だ。明日からまた学校なんだから、今日は早く寝ないと駄目だろ?」

「むぅ~!」

「雨葉、お父さんの言う通りだよ。明日学校に寝坊しそうになっても、起こしてあげないよ?」

続く秋雨の言葉を聞いた雨葉は渋々、はぁ~い。と答えたのだった。そんな雨葉を見た深海は、偉いぞ雨葉。と言って雨葉の頭を撫でてやったのだった。だが、予想外のことが起こった。

「じゃあ僕が一緒に行くよ」

「え?」

時雨が、深海に付いていくと言い出したのだ。その時雨の言葉は流石の深海も予想できなかったのか、思わず目をパチクリさせていた。

「僕もガンダムに付いて色々知りたいことがあるんだよ提督。大丈夫だよ、提督がテストしてる間は、店長さんと話してるだけだからさ」

「うーん。まあ、時雨は朝強いから問題ないか……」

「ありがとう提督!長門、後片付けお願いしても大丈夫かな?」

時雨のお願いを聞いた長門は、ああ任せておけ。と答えた。そして時雨は手元にあった夕食を食べ切ると、席を立った。

「じゃあ行こうか、提督」

「ああ」

そう言って深海と時雨は旧執務室を出ていった。

 

 

商店街近くの駐車場に車を停め、商店街を歩いて伊多ん屋へと向かう深海と時雨。そして、伊多ん屋へと到着すると、早速2人は店内へと入って行った。日曜日の夜だからだろうか、店内は何かとガンプラバトルを楽しみに来た者たちで賑わっていた。深海と時雨はカウンターへと向かい、受付を済ませる。

「いらっしゃい!て、黒野夫妻じゃないか!こんな時間にこんな所に来てどうしたんだ?」

「ああ。ガンプラバトルを最近始めてな、作ったガンプラのテストに来たんだよ」

「僕はガンダムについて、店長さんに色々教えてもらおうと思ってね」

「ほーん。お前さんがガンプラバトルねぇ…さてはこの前秋雨ちゃんたちが買っていったガンプラ(やつ)だな?」

「まあそんな所だ。空いているステージは―――」

と、深海と店長が話している時の事だった。

「そこの彼女ぉ、もし良かったら俺たちとガンプラバトルしないー?」

深海が振り返ると、そこには背の高い金髪の男が時雨に声をかけている光景が広がっていた。

「え?ぼ、僕ですか?」

「そうそう!君以外いないじゃないかぁ!」

と、その後ろから少し痩せた黒髪の部分部分を金色に染めた男が出てきた。

「い、いえ。僕はその…ガンプラ持ってないんだ」

「だいじょぶだいじょぶ!お店のを借りればいいって!店長さーん、この娘にガンプラ貸してやってくれー」

そしてその更に後ろから、金髪の男よりも少し背の高い赤髪の男がそう言ってきた。勝手に話が進み、時雨は困惑していた。

「そんな勝手に決められたら困るよ!」

「良いじゃん良いじゃん!減るもんじゃねぇんだからさ!」

と赤髪の男は時雨の話を聞いていないのか、話をどんどん進めていき遂には時雨の右腕を掴んだ。

「わっ!」

「お前ら、ステージの予約してから来い。俺はこの娘と先に行ってるからな!」

「あ、ちょっと!」

そして時雨の手を引いて赤髪の男が店の奥へ行こうとした時だった。

 

 

待て

 

 

「ん?」

深海が赤髪の男を止めた。深海は、金髪の男と少し痩せた男を避けながら赤髪の男の前に歩いていった。

「何だチビすけ、俺に何か用か?」

「人の女に手を出しておいて、いい度胸してるな。クソ野郎」

「んだとテメェ!」

赤髪の男は時雨の右腕からバッと手を離すと、深海を指さした。

「テメェ、ガキの癖に舐めた口聞いてくれるじゃねか?こいつがお前の女?ハンッ!寝言は寝て言いやがれ!」

深海の言葉に怒った赤髪の男は声を荒げるが、深海は表情一つ変えず答えた。

「寝言を言ったつもりはないんだがな。まあそんなことはどうでもいい…人の女に手を出すってことは、それ相応の覚悟はあるんだろうな?」

「フンッ!そんな事お前にはどうでもいいことだろ。さっさと失せねぇと、殴り飛ばすぞ!」

「暴力で脅すとは…ここはガンプラバトルをする店だ。ならそっちで脅して来いよ?」

「良い度胸だなガキ…ならかかって来いよ!まあ、俺たち3人相手に勝てる訳ねぇけどな!おい店主!さっさとバトルの準備しろ!」

「(まったく、困った客だなぁ)わかりましたよー」

そう言って店長はカウンターの操作パネルを操作し、バトルの予約を取った。

 

そして数分後、1台のガンプラバトル台を挟んで深海と時雨、3人組が対峙していた。

「俺らが勝ったらその娘を貰うからな!」

と、早々に勝利宣言をする赤髪の男。だが深海は鼻でフッと笑い、答えた。

 

寝言は寝て言え

 

「テメェ!行くぞお前ら!」

「おう!」「後悔させてやるぜ!」

「Gun-pla Battle combat mode stand up!Model damage level set to B.Please set year GP base.」

3人組の言葉と共にバトルシステムが立ち上り、4人はGPベースを台座にセットする。

「提督…」

「安心しろ。俺は負けない」

「そうだね…」

そう言って深海は腕輪を右腕に填めた。

「Beginning Plavsky particle dispersal.Field 03 Forest.」

大量に溢れ出したプラフスキー粒子が広大な森のフィールドを形成する。

「Please set your Gun-pla」

そして4人がそれぞれのガンプラを台の上にセットした。システムがガンプラを読み込み、それぞれのメインカメラが発光し、4人が出現した操縦桿を握る。

「Battle Start!」

ガンプラが設置された台座がカタパルトに変貌し、それぞれのガンプラが発進体制に入った。そして深海の発進より先に3人組のガンプラがフィールドへと飛び立っていった。

 

 

 

黒野深海。ガンダムディオーシャ、出る

 

 

 

カタパルトが高速で前進を始めた。そしてガンダムディオーシャは飛び立つと共に機体を大きく横一回転させ、森林の奥へと向かって行った。

 

続く

 

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