艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
森林地帯の上空を飛行するガンダムディオーシャ。深海は空中での姿勢制御を試しながら武装スロットを確認した。
(武装は…手持ちのビームライフル、ナイフ2本、カリドゥス複相ビーム砲、トーデスシュレッケン12.5㎜近接防御火器、バックパックのビームライフル、足裏と踵のアーマーシュナイダー…ん?)
深海はディオーシャの武装スロットの端に表示された「スーパードラグーン機動兵装ウイング」に目が留まった。そこには「地上ステージ射出不能」と表記されていたのだ。
(そう言えば秋雨と梅雨葉が晩飯の時に「ドラグーンは地上じゃ使えないよ」って言ってたな。これがそういう事か)
深海は早々に納得し、ディオーシャの空中機動を試していく。機体を横一回転させ、その直後に空中バク転、スラスターを全開に噴かしてからの咄嗟の急降下で地上へ降り立った。そして深海は操縦桿である光球を握りながら、フッと笑みをこぼした。
「空中よりは地上の方が俺には向いているらしいな―――っ!」
直後、深海の耳に接近警報が届いた。深海は、来たか。と呟きディオーシャの空いていた左手にナイフを握らせて腰を落とし周囲を警戒した。レーダーには少し離れた場所ではあるが正面から進んでくる3つの光点が確認できた。だが、深海はレーダーに目を向けてはいなかった。
「そこだな」
そう言った深海は右足で地面を強く踏み締め、飛び出した。直後、一瞬だけスラスターを全開で噴かしてディオーシャを加速させた深海は木々の間を一直線に跳躍した。深海の視界の端を無数の木々が流れていった数秒後、視界の正面に全身を青色に染められた直線的な装甲が特徴で両肩側面と正面と背面にバーニアノズル、太腿部にも大きなバーニアノズルを取りつけられ、その左右にはスラスターユニット、右手には120㎜ライフル、左腕部にはクローアーム、バックパックには2つのスラスターバーニアを備えた機体「シュヴァルベ・グレイズ」を捉えた。
「なに―――」
「のろいな」
金髪の男が突如現れたディオーシャに驚きの声を上げた直後、深海はシュヴァルベ・グレイズの正面で左足を踏み込んで小さくジャンプすると、シュヴァルベ・グレイズの飛び出した胸元を右足で踏みつけて二段ジャンプをした。そして二段ジャンプ中に機体を空中で縦半回転させて方向転換し、シュヴァルベ・グレイズの背後上空からビームライフルを撃ちこんだ。発射された緑の光弾は寸分違わずシュヴァルベ・グレイズの背中を撃ち抜き、金髪の男に断末魔を叫ぶ暇も与えず機体を爆散させた。
「な、何が起こったんだ!」
「加藤がやられた!」
一瞬の出来事に慌てふためく黒髪の部分部分を金色に染めた男と赤髪の男。
(あいつは加藤と言うのか…まあ、覚える気はないが)
だが深海は撃破した相手のことなど眼中に無く、その状態からバックパック左側のウイングバインダーを小さく広げた。深海は手元の操縦桿を素早く操作しスーパードラグーンの射撃機能だけをオンにした。
「飛ばせないなら、薙ぎ払うっ」
スーパードラグーンをウイングにマウントしたまま深海はスーパードラグーンの引き金を引いた。計4門の砲口から緑の閃光が照射されたのと同時にディオーシャはその場で左回転、地上をスーパードラグーンのビームで薙ぎ払った。
「後ろか!」「しまった!」
その攻撃に気づいた赤髪の男のガンプラ、濃いオレンジと薄いオレンジ、そして黒で塗られた直線的な装甲が目立つ両肩に3本の衝角を備えたシールドをマウントし、曲線的な頭部には1本の角、右手にはドラムマガジンを上部に取り付けたビーム突撃銃を持ったバックパックに大型のバインダーを2基持つブレイズウィザードを装備した「ハイネ専用ブレイズザクファントム」は咄嗟にその場から飛び退き、ディオーシャの砲撃を回避した。しかし、取り残された黒髪の部分部分を金色に染めた男のガンプラ、丸みを帯びた直線的な装甲と両肩の240㎜低反動キャノンが目を引く深紅の機体「ガンキャノン」は回避が間に合わず、薙ぎ払われたスーパードラグーンの照射ビームによって全身を焼き切られ、機体をバラバラにして地面に倒れた。だが、ガンキャノンの左肩の240㎜低反動キャノンとコックピット部分は直撃をま逃れていた。
(半殺しは殺しておくに限る)
だが深海はその直後に右手のビームライフル後部をバックパックのビームライフルの銃口部分と連結させ、グリップを逆手持ちに変えて銃口をガンキャノンへ向け更に腹部のカリドゥス複相ビーム砲も同時に発砲した。緑と赤の2つの閃光はやがてガンキャノンのコックピット周辺を焼き尽くし、ガンキャノンを消滅させた。
「石田ぁー!」
ガンキャノンの爆発に赤髪の男が叫んだ。
(石田か…まあ、どうでもいいか)
だがやはり深海は興味を示さず、最後に残ったハイネ専用ブレイズザクファントムの逃げた方向を向いた。
「この野郎、墜ちやがれぇ!」
ブレイズザクファントムは少し離れた場所に降り立つとディオーシャに向かってビーム突撃銃を撃ってきた。
(何だこの弾幕は……下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。とでも言う気か?)
だが、ブレイズザクファントムが撃ってくるビームの照準は余りにも正確性を掻いていた。味方2機を秒殺されたことに動揺しているのか、深海は空中でディオーシャをほぼ動かすことなく攻撃を避けていた。
「畜生!何で当たらねぇんだよ!」
(そう言えば、軍に追われてた時にもこういう兵士を何人も殺してたな)
と、深海はこんな状況化にもかかわらず感傷に浸っていた。だが、その感傷浸りもすぐに冷めてしまった深海は、ブレイズザクファントムの足元に向けてカリドゥス複相ビーム砲を放った。ロックオンは外してある為、赤髪の男にロックオンアラートが聞こえることは無くブレイズザクファントムは状況反射で左肩のシールドを構えた。しかし防御することは叶わず、足元の地面に直撃したカリドゥス複相ビーム砲は地面を大きく抉り、ブレイズザクファントムを転倒させた。
「うわぁぁ!」
そしてその瞬間にディオーシャは一気にブレイズザクファントムに接近、右手に持ち直したビームライフルをブレイズザクファントムの両前腕と両膝に向けて放ち、身動きが取れないようにした。
「嘘だろおい!」
赤髪の男が驚きの声を上げた。直後にディオーシャはブレイズザクファントムの近くにゆっくりと着地し、コックピットの近くまで歩いていった。すると深海は通信を開き、赤髪の男に話しかけた。その内容は至極単純な物だった。
命乞いでもするか?
「んだとテメェ!ガキの癖に舐めてんじゃ――」
「じゃあ終わりだな」
深海の言葉に怒った赤髪の男だったが、深海はその言葉を最後まで聞く気など毛頭ない返事をすると、ディオーシャの左脚を上げた。赤髪の男の正面モニターにディオーシャの上がった左脚が影を落とす。その影を見た赤髪の男は恐怖の表情を作って叫んだ。
「ま、待ってくれ!悪かった!謝るからやめt―――」
グシャッ
ディオーシャの左脚はブレイズザクファントムのコックピットを踏み潰した。
「Battle Ended!」
そしてシステムのアナウンスが戦闘終了を告げ、深海とガンダムディオーシャの初陣は終わった。
続く