艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
「せっかくの機会だ、そのガンプラレースとやら見学させてもらおう」
「うん!もしかしたら、何かひらめくかもきっかけになるかもしれないしね!」
と、文塚店長の誘いを受けた深海。それに続いて秋雨も乗り気な様子を示した。
「そういう事だ青葉。お前はどうする?」
「いえ、青葉も観戦させてもらいますよ!普段見れない物ですから、取材者魂が沸き立ちます!」
青葉は別の意味でガンプラレースを楽しみにしていて、何故か目をキラキラさせていた。深海は、そ、そうか。と少し引き気味だった。
「じゃあこちらに来てください。今からガンプラレースのセッティングをしますので」
「わかった」
そう言った文塚店長と美帆たちに続いて、黒野一家と青葉は店の奥へと連れられて行った。文房具が入っているのであろう無数に積み上げられたダンボールが連なる通路をほんの数十秒歩くと、少し開けた場所にガンプラバトルシステム台が1台、ドンッ!と真ん中に置かれた小部屋に到着した。
「ここが私たちの練習部屋です」
「一般家庭でガンプラバトルシステムの台を所有しているなんて、凄いですね!これ1台でも、かなりの値段なんですから!」
「はい…おかげさまで、今私の私的財布はスッカラカンも同然ですよ。あははは…」
後頭部をポリポリと掻きながら苦笑いを浮かべる文塚店長は、ガンプラバトルシステム台のバトル内容をセッティングする端末を操作し始めた。
「でも、そのおかげで私たちはガンプラレースの練習が出来ています。お父さんには、感謝してもしきれません」
「そうですね。普通のガンプラバトルハウスでは、ガンプラレースをさせてくれないお店もありますもの。美帆さんのお父さんには、本当に感謝しかありません」
「あ、雨も…美帆さんのお父さんが居なかったら、ここまで楽しい学生生活送れてない…だから、本当にありがとう!って何度でも伝えれるの!」
「よ、止してくれよ…恥ずかしいじゃないか」
と、美帆、舞華、雨の3人から立て続けに感謝を述べられた文塚店長は物凄い照れようだった。それを見ていた黒野一家の4人もまた笑みを浮かべていたのだった。そして文塚店長が、これでよし!と言った。
「セッティングは坂路が多い山岳タイプにしておいたよ。またセッティングを変えてほしかったら、呼んでくれ」
「ありがとうございます、お父さん」
そう言って文塚店長は練習部屋を出ていった。
「私は黒野さんたちに説明をしますので、舞華さんと雨さんの2人で始めてください」
舞華と雨の2人は頷いて、カバンからそれぞれのGPベースとガンプラを取り出すとバトルシステムが起動した。
「Gun-pla Battle combat mode stand up!Model damage level set to B.Please set year GP base.」
雨と舞華の2人がGPベースを台座にセットする。その様子とシステムの音声を聞いた深海は、小さく驚いていた。
「ほお、レースとは言え通常のガンプラバトルと同じシステムなんだな」
「まあ、大会ではガンプラレース専用のシステムを使われますが…」
「ふむ…だが、妨害をしてくる参加者もいるんじゃないか?」
「はい。過度な妨害はルール違反ですが、多少の攻撃は認められています。私たちは妨害する武器を積んでいることは無いので逃げることしか出来ませんが…」
「Beginning Plavsky particle dispersal.Field 03 Forest.」
大量に溢れ出したプラフスキー粒子が広大な森と山のフィールドを形成する。そしてその山を一直線に上り、斜面をグネグネに縫うように降りていく白いコンクリートで舗装されているのであろう道が続いていた。その道は山中と山の麓をグルッと一周するようになっていて、麓の直線にはサーキット場のスタートラインがあった。
「なるほど。山を登って降りるコースという訳か」
「じゃあじゃあじゃあ、可変機で山を越えちゃえば1番は確実だね!」
「残念ですが、ガンプラレースのルール上10秒以上のコースアウトは失格となります。なので、空を飛べる可変機でもルート短縮はかなり難しいです。それに、コース内容は大会当日までわかりません。当日にコースを見極めて短縮ルートを見つけるのは至難の業でしょう」
「ガンプラバトルより、難しそう」
「ですが、直線での加速性なら可変機は非可変機より圧倒的に優れています。急カーブなどでは非可変機の方が優れています。単純な競争ではありますが、非常に奥が深いのがガンプラレースなのです」
「あ、そろそろ始まるみたいだよ!」
「Please set your Gun-pla」
システムの音声に従って雨と舞華の2人がそれぞれのガンプラを台座にセットする。システムがガンプラを読み込み、ガンダムタイプのメインカメラが発光すると2人は出現した操縦桿を握る。
「Battle Start!」
ガンプラが設置された台座がカタパルトに変貌し、2機のガンプラが発進体制に入った。
「目黒舞華。ガンダムスターマックイーン、出撃します!」
「米原雨。ヒーローガンダム、行きます!」
ガンダムマックスターをベースに重量減を図る為、両肩のアーマーを肩関節が隠れる程度にまで小型化し、胴体回りの装甲も腹筋を思わせるボクサーモードの装甲を取り払いその上から「RX-78-2ガンダム」を思わせる形状の装甲へと変更され、足回りはガンダムバルバトスルプスの様なヒール状に変更された黒味がかった濃い茶色の上半身と腰回り、袖縁を金色に塗り、白色で統一されている脚部を持つ舞華のガンプラ「ガンダムスターマックイーン」と、ノーベルガンダムをベースに後頭部の髪の毛パーツを外してガンダムの後頭部を付け加え、胸元のリボンを取り外し代わりに「デスティニーガンダム」の胸部インテーク回りの様な装甲を追加し、リアスカートを少しだけ伸ばした両手足を白、胴体と腰回りを濃いメタリック調の紫で彩った雨のガンプラ「ヒーローガンダム」がカタパルトから射出され、フィールドへと飛び出した。そしてフィールドに降り立った2機を深海が腕を組みながら見つめた。
「…ガンダムマックスターとノーベルガンダムのカスタム機か」
「2人のベース機をこうも簡単に見分けるとは…深さんは良い観察眼を持ってるのですね」
「……まあな」
深海は少し複雑そうな顔をして、目を逸らした。この観察眼は人を殺して手に入れた力という事実が後ろめたかったのである。
(今を平和に生きるこの3人に、こんなこと言える訳ないからな)
「あ!舞華さんと雨さんのガンプラがスタート位置に着いたよ!」
と、秋雨の声で我に返った深海がフィールドを見るとスタートラインにガンダムスターマックイーンとヒーローガンダムが立っていた。どうやら間もなくスタートのようだ。
「今日は負けませんよ雨さん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします舞華さん!」
2人が互いにエールを送り合い、スタートラインでお互いの機体の腰を落とすとスタートライン上空に「3」の文字が浮かび上がった。やがてその数字は「2」「1」となり「0」になった瞬間「Start!」という文字に変わった。それと同時にガンダムスターマックイーンとヒーローガンダムは同時にスタートラインを駆けだした。
続く