艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
雨の言葉に、やはりな。と呟く深海。するといつの間にか美帆の後ろに隠れていた雨が、少し怯えた表情で深海に尋ねた。
「あ、あの…何で雨の事がわ、わかるんですか?」
「簡単な話だ。俺も人間と深海棲艦のハーフだからな」
そう言った深海の右の額から黒い角が現れ青い炎を灯すと、隠れていた赤い右目が現れた。それを見た雨は、あ!と驚きの声を上げた。そしてそれを見た美帆も少し驚いた表情をしていた。
「まあ、ご覧通りだ。君と少し話がしたいんだが、構わないか?」
「は、はい!あ、雨は大丈夫です!」
「大丈夫ですか雨さん?心配なら私がご一緒しますが…」
「大丈夫だよ美帆さん!」
雨の言葉に、そうですか。と少しだけ残念そうな表情を浮かべた美帆だったが、素直に引き下がることとなった。
「秋雨、梅雨葉たちと先に車に戻っていてくれ。少し用事が出来た」
「え?う、うん…わかったよお父さん」
「青葉、秋雨たちを頼むぞ」
「了解です!」
その後、秋雨たちは青葉に連れられて美帆野文房具店を後にした。
一方の深海と雨は美帆に教えてもらった文房具店近くの喫茶店へ向かった。喫茶店の扉を開け店内へ入った。店員に案内された席へと向かい、お互いが席に着く。
「なんでも注文してくれて構わないぞ」
「ええ!?さ、流石に悪いですよ!」
「話を持ち掛けたのは俺の方だからな。気にしなくていいぞ?」
「す、すみません…ご馳走になります」
それからメニューを決めた2人は話を始めた。
「まずは……いや、俺の自己紹介がまだだったな」
「え?自己紹介って、黒野さんの名前は知ってるよ?」
「いや、あの時名乗ったのは偽名なんだ。騒がれると色々厄介だからな」
「そ、そうなんだ…」
「だから大きな声を出さないでくれよ?改めて……俺の名前は黒野深海…1度くらいは名前を聞いた事はあるだろ?」
「っ―――!!」
こんな場所でもなければ、ええっ!!と全力で叫んでいるであろう雨の表情を見た深海。まあ、そんな反応になるよな。と呟く。すると雨は驚きが収まらないままではあったが、深海に対して小さな声で尋ねた。
「あ、あの…凄く失礼かもしれないですけど……本物…なんですか?」
「当たり前だろ。ここで嘘をついて、何になる?」
と、深海も小さな声で返答した。そ、そうですね。と雨は返す。
「…それじゃあ聞かせてくれるか?君の母親の事」
「あ、はい!えっと、雨のお母さんの事ですよね…雨のお母さんは―――」
南太平洋空母棲姫です
「南太平洋空母棲姫か……こう言っては何だが、余り母親似ではないんだな」
「はい。雨はどちらかと言うと、お父さん似です」
「南太平洋空母棲姫とは、深海棲艦の本拠地で一度見かけたことがあったが……どういうことなんだ?」
「うん…お父さんからは、雨を産んでしばらくしたら海に帰っていった。て聞いたの……」
「そうか…(おそらくは中枢棲姫からの帰還命令だろうな)今、南太平洋空母棲姫はどうしてるんだ?」
「今は一緒に暮らしてるよ!戦争が終わってしばらくしたら、帰って来てくれたんだ!雨も最初は驚いたけど、とっても優しいお母さんなの!」
「それは良かったじゃないか!」
雨の幸せそうな笑顔を見て深海はこの雨と言う少女は、幸せな日常を送れているのだな。と胸が熱くなった。
「(もしかしたら、深海海月姫の事が聞けるかもしれないな)……雨、無理を承知をお願いする。南太平洋空母棲姫に会わせてくれないか?」
「え?」
「俺は今、ある深海棲艦を探しているんだ。だが、情報が殆んど無くてな…戦後に日本で暮らすようになった南太平洋空母棲姫なら、何か知っているかもしれない。と思ってな」
雨が深海の話に、そうなんだ。と呟いた時だった。カランカラン!と喫茶店の入り口扉の鈴が鳴り、誰かが店内へ入ってきたのだ。深海が入り口の方をチラ見するとそこには、胸元を開けたYシャツにスリット入りのスカートを合わせ、その上からフライトジャケットのようなものを羽織り黒いロングブーツを履いている、波打つような白い長髪の背の高い女性が店内を見回しながら立っていた。その姿をした人物が誰なのか、深海にはすぐにわかった。
「南太平洋空母棲姫!?」
「え?」
いきなり自分の名前を知らない声が呼んだことに驚きの声を上げながら、その女性「南太平洋空母棲姫」は声の主、深海と目が合ったのだった。
続く