艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP26 舞鶴鎮守府の監査(後編)

翌朝、横須賀鎮守府の監査の時と同じように深海よりも先に目が覚めてしまった青葉。まだ眠気が抜けていない状態ではあったが、ベットから体を起こすと何を思ったか二段ベットの下段で寝ている深海を見下ろした。深海は依然といて寝息を立てながら眠っていた。相も変わらずポッカリと開いた口から涎を垂らしている姿は、見た目通り少年の寝顔なのである。

「(またあんな顔して寝ていますね。普段は固い表情のままな事が多いのに、こんな時だけ見た目通りの子供みたいな寝顔だなんてちょっと笑っちゃいますね…)…フフッ」

そんなことを考えていた青葉は思わず小さく笑い声を出してしまった。それに気づいて、ハッ!と一瞬にして我に返った青葉は少し顔を赤くしていた。

「なっ、青葉は何を……」

その一瞬で眠気が吹き飛んだ青葉は首を左右にブンブンと振ると、シャキッとしなければ!と内心で呟きながら梯子を下りようとした。その時だった―――

「あれ――キャァッ!」

青葉は梯子の足場部分を踏み外し、床に落ちてしまった。ドシンッ!と大きな音が室内に響き渡ると、その音に驚いた深海がガバッ!いう音を立てながら体を起こした。

「な、なんだ!?」

「イッタぁ…」

直後に青葉の声がしたので深海は声のした方を向いた。するとそこには、尻もちをついた青葉が腰を擦っている姿があった。

「お、おい青葉。一体何があった?」

「え、あ。お、おはようございます深海司令官」

深海の存在に気づいた青葉は苦笑いを浮かべながら、深海に朝の挨拶をした。深海は返事を返すことなく青葉の様子を見ていて、そして気づいた。

「……お前、まさか上から落ちたのか?」

「あっははは…バレちゃいましたか」

青葉は自分のどんくさい事に照れながら右手でポリポリと後頭部を掻いていた。すると深海はベットから降りてくると青葉に元にやって来て片膝立ちになった。

「大丈夫なのか?動け無さそうなら、今日は休んでても良いんだぞ?」

「こ、こんなの大したことありませんから!大丈夫、今日も頑張れます!」

「そうか。なら準備しよう。立てるか?」

そう言って深海は右手を出してきた。青葉はその右手を見て、思わずハッとした。少年の様な見た目でも、深海の手をとても大きな手だった。

(深海司令官の手、大きいなぁ…)

そんな事を思いながら青葉はその手を掴んで深海と共に立ち上がった。

 

その後深海たちは、横須賀鎮守府の時と同じように舞鶴鎮守府内を練り歩き施設各所の監査を行った。そして昼を過ぎ、午後4時頃になってようやく全ての監査が終了し2人は執務室に戻ってきた。

「お疲れさまでしたね監査官殿!僕の鎮守府は如何でした?」

「問題はない。監査はこれで終了だ」

「りょーかい!それじゃあ僕から一つ贈り物だ」

すると浦田提督は深海の目の前まで来ると、手に持っていたUSBメモリを手渡した。深海はそれを受け取りながら、これは?と尋ねた。

「今までに僕が集めた情報を纏めた物さ。今のアンタには役に立つんじゃないかなって思ってね」

「浦田。まさかお前、昨日徹夜でこれを纏めていたのか?」

深海は浦田の目元を見ながら尋ねた。そう、浦田の目元はうっすらとだが黒くなっていたのを深海は今朝の時点から気づいていたのだ。

「……まあ、ね。僕としても旧体制の連中に舞鶴鎮守府(ここ)を奪われるのは腹が立つんだよ」

そう言った浦田提督の表情は先程までの少しふざけている様な物から一変して、真剣な表情になっていた。

僕にとって舞鶴鎮守府(ここ)は大切な場所なんだ。あの戦争を生き延びて、僕は由良(大切な人)と出会えた。それを、戦争を食い物にしてる奴らに奪われるのは、ごめんなんだよッ」

「提督さん……」

チラッと深海が奥にいた由良の方を見た。果たしてその左手薬指には、キラリと光る指輪が填められていたのだった。そして浦田提督は由良の元に歩み寄り、左手で彼女を肩越しに抱き寄せた。

「戦争を終わらせたあんたならわかる筈だろ?大切なものを奪われる恐怖が」

「……ああ。よくわかってるさ」

深海は浦田提督と由良を見ながらそう呟いた。

「だから、深海提督―――」

「………」

 

 

平和になったこの国を守ってくれ!

 

 

浦田提督は、いつになく真剣な表情で深海に言った。そして―――

 

 

 

ああ、任せておけ

 

 

 

深海は確固たる意志を持って返答した。

 

続く

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