艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
舞鶴鎮守府の監査を終えた深海と青葉は、青葉の軽自動車で舞鶴市を後にした。県境のトンネルを抜け、白露たちが住む町に戻ってきた時だった。
「そう言えば、青葉山の写真を撮りに行くんだったな」
「え!ああ、そうでしたね!でももう日が暮れ始めてますよ?」
青葉は少しだけ赤くなり始めた周囲の風景を気にしながら言った。だが、当の深海は―――
「夕日が沈んでいく青葉山も、風情があって良いんじゃないのか?」
と、別の考えを述べた。
「ああ、なるほど!確かにそれはアリかもですね!」
その深海の考えに青葉は賛同したのだった。そして国道を走っている内に、青葉は一軒のコンビニを見つけた。その駐車場に軽自動車を停めると、青葉は車を降りた。それに続いて深海も降りる。
「どうしたんだ、コンビニなんかに止まって?」
「ふっふっふ…実は昨日、舞鶴に行く途中で綺麗に撮影が出来そうな所を見つけていたんですよ」
「ちゃっかりしてるな青葉。この近くなのか?」
「はい!付いてきてください深海司令官!」
コンビニを後にした深海と青葉はその後しばらく国道沿いの歩道を舞鶴方面へと歩くと、海沿いへの小道へと逸れた。そしてしばらく進むと周囲が一気に開けた場所になった。周囲には住宅もなく、あるのはとても広い田畑だけだった。
「おお、これはまた凄いな」
「えへへ~ここからなら、青葉山を遮る物は何もありません!まさに絶好の撮影スポットという事です!」
広がる田畑に驚く深海をよそに、青葉はとても嬉しそうな表情で撮影を始めた。青葉山の陰にもう少しで太陽が沈んでいく光景を青葉は何度もカメラに収めていった。そして――
「深海司令官、ちょっとシャッターを押してくれませんか?青葉山とツーショットを撮りたいんです!」
青葉は青葉山とツーショットが撮りたいと言ってきて、深海にカメラを渡した。
「ここを押せばシャッターが切れます。キレイに撮ってくださいね!」
「努力はするよ」
カメラを受け取った深海は、そのままカメラを構えると青葉山と青葉が綺麗にレンズに収まるようにピントを合わせた。青葉はニコッと笑ってピースサインをしている。
「じゃあ撮るぞー」
深海の掛け声と共に、カメラがカシャッ!と言う音を立てた。それを聞いた青葉は、深海の元に駆け寄ってきた。
「どうでした、ちゃんと撮れましたか?」
「たぶんな」
「じゃあ次は深海司令官ですね!」
青葉の言葉に深海は思わず、は?と言ってしまった。だが青葉は続けた。
「なに言ってるんですか!旅の記念写真の1つくらい、撮っておかないと損ですよ?ほら、そこに立ってください深海司令官!」
「はぁ…わかったよ」
青葉に促され、深海は渋々青葉の指定した場所に立った。そして無表情な顔で青葉の方を向いた。
「ちょっと深海司令官。何で無表情なんですか!?」
「写真は苦手なんだよ。良いからさっさと撮れ」
「はいはい、せめてピースサインくらいしてくださいよね」
そう言って深海は左手でピースサインを作ると、少しだけそっぽを向いた。そしてそのタイミングで青葉はシャッターを切ってしまった。あ!と青葉の大声がその周囲を包んだが、それも一瞬の出来事であった。
「何でそっぽ向くんですかー!」
「写真は苦手だ。ってさっき言っただろ」
「そーじゃなくて、折角の記念写真がそんなので良いんですか!」
そう言いながら青葉はまた深海の元へと駆け寄ってきた。だが、既に周辺は暗くなり始めていた。それが理由だったのか―――
「まったく深海司令官は―――うわぁ!」
青葉は地面に埋まっていた石に気づかず、転倒してしまった。
「っ!青葉ッ!!」
そしてそれに気づいた深海は、咄嗟に地面を強く蹴って青葉との間合いを一気に詰め、そのままこけそうになっていた青葉を抱きかかえた。深海の身体に青葉の全体重が圧し掛かったが、深海は平然とした様子で、ふぅ。と一息ついた。
「ううう…」
「青葉、大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です、ありがとうございます深海司令官……って、あれ?」
「それならいい。怪我をされたら困るからな」
そんな中、青葉はあることに気づいた。
(わ、わわ、私、深海司令官に抱きかかえられてる!?ってうわ!深海司令官の顔近ッ!!)
青葉と深海の顔の距離がとても近かったこともありそんなことを考えていたこともあって、青葉の顔は真っ赤になってしまっていた。幸いなことに、周囲が暗くなっていたことで深海に赤面していることはバレてはいなかった。
「さて、そろそろ戻ろうか。立てるか青葉?」
「は、はい!だ、大丈夫です!」
そう言って何とか立ち上った青葉に、深海は右手を差し出してきた。それを見て青葉は、え?と思わずこぼした。
「また躓かれると困るからな、手を繋いでいくぞ」
「ええ!!そ、そんな…青葉、まだ心の準備が……」
「無駄口叩いてないで帰るぞ。ほらっ」
そう言って深海は、混乱する青葉の左手を掴んできた。無論、青葉に「異性と手を繋ぐ」心の準備が出来ているわけもなく―――
「はわわっ!」
と裏声で小さく叫んでいた。そんな青葉の裏声叫びが聞こえていたのか聞こえていなかったのかは不明だが、深海は、ん?と呟きながら小道を国道の方へと戻っていったのだった。
続く