艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
深海と青葉を乗せた軽自動車は呉鎮守府の正門から敷地内へと入った。鎮守府本庁舎の前で車から降りた深海は、その足で執務室へと向かった。そして階段を上がってしばらく歩き、執務室の扉を開けてまたあの台詞を発する。
「これより、海軍本部による呉鎮守府の抜き打ち監査を開始する!」
執務室には、金色のメッシュが入った長髪を後ろに束ね、第一種軍装を着た身長180㎝くらいの金色の瞳の男「
「…海軍本部の監査?そんなの俺は聞いて―――ん?」
金田提督が執務室に入ってきた深海を一弁しながら呟く。そして―――
なんだよ、深海じゃないか!
速攻で深海の正体を見破った。
「……はぁ(佐世保の時はこの服捨てていこうかな)」
ため息を吐く深海。
「こんな所で何してるんだ深海。今日はお前さんが来る日だったか?」
「…んな訳ないじゃないですか金田提督。さっき言った通りですよ」
この金田重三郎と言う男。彼もまた深海の父である黒野海の友人なのだ。故に深海の事もよく知っている為、あっさりと変装を見抜いたのだ。
「海軍本部の抜き打ち監査だったか?お前さんがそんな面倒な仕事を引き受けるとは、よほどの事でもあったのか?ああ能代、深海の奴にお茶を出してやってくれ」
「あ、わかりました提督」
「旧体制の連中が。と言えばわかります?」
「ああなるほどな。大体は把握した」
そして金田提督は深海が起こしたクーデターの協力者でもあった。その時も呉鎮守府の提督をしていた金田提督は、深海の「旧体制の連中が」の一言で現在の事情を察したのである。するとそこへ遅れて青葉がやってきた。
「すみません遅れまし―――あ、もうバレちゃったんですか?」
「ああ。速攻だった」
深海は眼鏡を外し、スーツを着崩しながら青葉に答えると金田提督は面白そうに喋りながら笑った。
「こいつに変装なんて向いてないからな!はっはっはっはっ!」
「まあ、そう言う事だ。さっさと仕事に取り掛かるぞ、青葉」
「了解です!」
こうして深海と青葉の呉鎮守府の監査が始まった。
監査を始めて1時間ほどが過ぎた頃だった。執務室の扉をノックする音がした。すると扉の奥、廊下の方から声がした。
「矢矧よ」
「ああ、入って良いぞ」
そして扉を開け、白ワイシャツの上からセーラー襟の紺上着を羽織りオレンジ色の棒タイを締め左腕には「第二水雷戦隊」と書かれた腕章を填め、上着と同じ色に白いラインが裾に入ったスカートと左足にニーソックスを履いた、膝くらいまである長い黒髪を白い髪留めでポニーテールにした赤い瞳の少女が入ってきた。その少女は執務室へ入って来ると扉を閉めて、金田提督に向かって敬礼をした。
「演習参加艦艇、全艦泊地に帰投したわ」
「お疲れ矢矧!」
「お疲れさまだったな、結果はどうだった?」
矢矧と呼ばれた少女は演習結果を金田提督に報告した。交流の為に呉に回航していた戦艦ワシントンとサウスダコタが率いる軽巡ホノルル、駆逐艦フレッチャー、ジョンストン、ヘイウッドの6隻の艦隊を相手に、矢矧率いる第17駆逐隊の磯風、浜風、浦風、第21駆逐隊の初霜、霞、朝霜の7隻は果敢に挑み、辛勝判定*1を勝ち取ったという。
「凄いじゃないか矢矧!おめでとう!」
「ありがとう提督。この次は必ず勝てるように、もっと頑張るわ!」
「矢矧、余り無茶だけはしないでよ?」
「うん、ありがとう能代姉」
矢矧が少し嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。すると、矢矧の報告を部屋の隅にある椅子の上で黙って聞いていた深海が唐突に口を開いた。
「流石、俺の部下を預けても良いと思った相手だな。矢矧」
「!?」
唐突に聞こえてきた深海の声に驚きを隠せない表情の矢矧は、声のした方を向いた。そして深海と矢矧の視線が重なる。
「しばらくぶりだな、矢矧」
「深海提督!?何で貴方が
「ちょっとした事情があってな。少しの間、厄介になるぞ」
「そ、そう……」
矢矧が発した言葉とは裏腹に、彼女の表情は何処か嬉しそうだった。
続く