艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
日はすっかり沈み外灯が街中を照らす中、深海たちは飲食店街に立つ一軒の小さな居酒屋「珠の交差点」に入店した。
「いらっしゃいませ!て、磯風ちゃんたちやったか!」
「久しぶりだな玉森店長。今日は6人で来たのだが、空いているか?」
カウンター席を挟んだ厨房から白いロングヘアーに赤と青の鉢巻きを撒き、板前服を着た身長160㎝くらいの女性「玉森ひばり」が明るい声で話しかけてきた。
「今日は随分と大勢で来たなぁ…ま、奥の座敷使ったらええで!」
「ありがとう、感謝する」
そう言って磯風を先頭に深海たちは店の奥にある座敷席に歩いていった。靴を脱ぎ、座敷に上がった深海たちは深海を挟んで時雨と矢矧、テーブルの反対側に磯風、浦風、浜風が座り、浜風が早々にメニュー表を6人の前に出した。
「とりあえず、適当に注文をしましょう。話はそれから聞かせてください」
「そうだな。ありがとう、浜風」
メニューから注文を決めた深海たち。それからしばらくして飲み物が入ったグラスが料理よりも先にテーブルに運ばれてきた。
「矢矧ちゃんまで来るとは、今日は二水戦の無礼講?」
グラスを運んできたひばりが笑みを浮かべながら尋ねてきた。
「ありがとうございます。ええ、まあそんな所です」
「へー、それはおめでとさんや!ならちょっと、サービスさせてもらうわ!」
矢矧が、いつもありがとうございます。と頭を下げる。すると、ひばりが初めて来店した深海と時雨の2人に気づいた。
「あれ?見慣れない子がおるなぁ…あんたら2人も二水戦のメンバーか?」
「いえ、僕たちは磯風たちの友達です」
「駅で偶然再会して、今に至るという訳だ」
と、深海は身バレを防ぐためそれっぽい嘘を吐く。時雨が先に「友達」と言ってくれたので深海はそれに合わせたのだ。磯風たちもそれを察してか、変に話題を広げなかった。
「そっかそっか!無礼講に友人との再会、良いもんやな!」
「そうですね。あはは…」
「と、そろそろ料理を作らんとな!」
そう言ってひばりは厨房へと戻っていった。すると、矢矧が右手に握ったグラスを掲げた。
「えっと、そういう気は無かったのだけど…二水戦の勝利を祝って、乾杯!」
カンパーイ!
そして矢矧がおもむろに乾杯の音頭を取り始めた。5人は驚きはしたものの、合わせるようにそれぞれがグラスを掲げて、チンッ!とグラスを鳴らした。
それからしばらくして料理が運ばれて来ると、磯風が早速話を切り出した。
「さて、さっきの話を聞かせてもらおうか」
「ああ、その話か。実はな―――」
そして深海は先程の尾行されていた話を磯風たちに話した。
「矢矧を尾行するとは…何者だ?」
「まあ矢矧さんはスタイルも顔もええけんね」
「ファン?と言うのでしょうか……その程度で済めばいいですけど」
「でも初めてじゃないってことは、ただのファンではなさそうだけど……」
話を聞いた磯風たちはそれぞれの感想を述べた。深海はそれぞれの感想を聞いて、こいつららしいな。と思わずにはいられなかった。
「…何はともあれ、助かったことに変わりはないわ。ありがとう、深海提督」
「ああ。あと、公共の場で「
「ご、ごめんなさい」
「気を付けてくれよ……さて、つまらない話は終わりだ。冷めない内に頂こう!」
深海は尾行の話を切り上げ、並べられた料理を食べ始めた。それに続くように磯風たちも並べられた料理を小皿に取り始めた。それから何時間もの間、6人はお喋りをしながら楽しい夕食の時間を過ごしたのだった。
数時間後、食事会はお開きとなり会計を済ませた6人は店の外でヒンヤリした夜風に当たっていた。
「うっ、ちょっと冷えるな」
「もう秋も真ん中辺りまで来たけぇね。提督さん、風邪ひかんように気ぃ付けんといけんよ?」
「ありがとう浦風……これからお前たちはどうするんだ?」
夜風に当たりながら深海は磯風たちに尋ねた。
「そうだな…もう後は宿で体を休めるだけだが――」
「あ、ちょっといいかしら深提督」
すると、矢矧が深海に声をかけてきた。なんだ?と聞き返した深海は、矢矧の口からは飛び出してこないだろうと思っていた言葉を耳にした。
貴方、ガンプラバトルってやっていたりしないの?
「………」
矢矧の言葉に深海は思わず固まってしまった。そんな深海を見た矢矧は―――
「そ、そんなに驚くこと!?」
と、思わず声を荒げた。そしてようやく深海が口を開いた。
「…正直、度肝を抜かれた気分だ。お前の口から、ガンプラバトルって言葉が出てくるとは思ってもいなかったからな」
「そ、そう………そ、それで、ガンプラバトルはしているの!?」
深海の答えに矢矧も驚いていた。そしてもう一度質問を投げかけてきた矢矧に深海は今度ははっきりと答えた。
「一応はしているが…俺とバトルがしたいのか?」
「…そうね。つまりはそういう事…どう、試してみる?」
矢矧の少し挑発的ともいえる言葉に深海は口元に小さな笑みを浮かべた。
「…良いだろう。受けて立とうじゃないか」
そんな深海の宣戦布告に、矢矧は胸の奥が熱くなった。そして矢矧も小さく笑みを浮かべ―――
「フフッ、後悔しないで!」
と、自信満々に返したのだった。
続く