艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP34 呉鎮守府の監査(ガンプラバトル前編)

矢矧の誘いに乗った深海は一度ガンプラを取りに駐車場へ戻り、そこで時雨と別れることにした。

「提督、気を付けて行ってらっしゃい」

「ああ。また明日な」

そして駐車場から出ると、そこで待っていた矢矧、磯風、浜風、浦風と合流した。

「待たせたな」

「こっちから誘ったのだもの、これくらい気にしないわよ。さ、行きましょうか!」

「ああ……ところで、何処に行くんだ?」

「商店街にあるガンプラバトル専門のゲームセンターよ。この街()で一応最大級の大きさなの」

「そんな物まで出来ていたのか、凄いものだな」

深海たちは一路、商店街へと向かっていった。

 

 

十数分呉の街中を歩き、深海たちは矢矧の言うくだんのゲームセンターへ到着した。店頭にはビームマグナムを構えるユニコーンガンダムと「呉頑駄無(くれがんだむ)」と書かれた大きな看板がお出迎えをしていた。

「ここよ」

矢矧はそう言うとさっさと店内へ入って行った。

「お、おい矢矧!」

足早に矢矧を引き留めようとした深海だったが、矢矧を止めることは出来ず慌てて後を追いかけた。そんな深海に続くように、ガンダムを初めて見たような表情の磯風たちも入店する。店内に入るとすぐに横に受付カウンターがあり、矢矧がそこで受付をしていた。それを見た深海は、何だ受付か。と内心でため息を吐いた。すると深海に磯風が尋ねてきた。

「司令、がんだむ。とはなんだ?」

「…え、知らないのか磯風?」

磯風の意外過ぎる質問に一瞬硬直する深海。磯風は更に続ける。

「ああ。浜風や浦風の奴らも知らない筈だが?」

「そ、そうなのか?どうなんだ2人共…」

深海は浜風と浦風の方に顔を向ける。

「私は…少しだけですが、知っています。確か人型の巨大ロボットが戦い合う作品ですよね?」

「ウチもちぃとなら知っとーよ、戦争を題材にしたロボットアニメじゃろ?」

「まあ、超大雑把に言えばそうだな」

「なに!?完全に知らないのは私だけだと!何故教えてくれなかった2人共!」

浜風と浦風がガンダムに付いて少しだけ知っていたことに驚きを隠せない磯風。

「だって磯風は、いつも小難しい歴史小説や推理小説ばかり読んでいるじゃないですか」

「しかも、読み始めたらウチらの話耳に入らんくらいぶち集中しよるし……話しかけられるタイミングあらへんもん」

「なっ!……す、すまない。これから気を付けるよう努力する」

図星を衝かれた磯風は、ぐぅの音も出せずに項垂れた。それを見て深海は小さく笑った。

「笑わないでくれ司令!」

「ハハハ、いやすまない。昔とちっとも変わってないと思ってな」

「見ていろ、すぐに知識を付けてみせる!」

「ああ、期待してるぞ磯風!」

「ウフフ、磯風のそう言う所ぶち可愛ええね!ねぇ、浜風」

「フフッ、そうですね。きっと私たちなんか、あっと言う間に追い抜かれてしまうでしょうね」

笑い合う4人。するとそこへ矢矧がやって来て、不思議そうな表情を作った。

「何か面白い事でもあったの?」

「ま、そんな所だ。で、何処でやるんだ矢矧」

「2番ステージよ。もう少ししたらステージが開くらしいから、そのあと―――」

 

 

これはこれは、矢矧さんではありませんか!

 

 

突如、矢矧の言葉を遮るように声が聞こえてきた。向かい合って話していた矢矧と深海は、その声に気づき声のした方を振り向いた。そこには身長170㎝くらいの長い金髪に黒いスーツ姿の青い瞳の男と、同じく身長170㎝くらいの青い長髪に、黒のスーツ姿の赤い瞳の女が立っていた。

「よもやこんな所でお目にかかれようとは、これも私と貴女が運命の糸でつながれている証拠」

金髪の男は矢矧を見るなりいきなり口説きながら矢矧に向かって歩いてきた。そんな怪しさMAXの金髪男に矢矧はすぐに身構えた。

「貴方、一体何者なのよ!」

「これは失礼。私は「株式会社愛光渡(あいこうど)化粧品」の代表取締役社長。折原 徹(おりはら とおる)と申します。こちらにいるのは私の秘書―――」

藤堂(とうどう)いろはと申します」

金髪の男は「折原徹」と名乗り、隣に立っていた青い髪の女は「藤堂いろは」と名乗った。

「化粧品会社の社長が私たちに何の用だ!」

身構えた矢矧の様子を見た磯風が、深海と矢矧の前に立ち塞がるように躍り出た。磯風の表情もまた、矢矧同様険しいものだった。だが―――

「貴女に用はない。邪魔をしないでもらえますか?」

「ッ!」

折原は、磯風をまるで虫けらを見るかのような冷たい視線で見下し右手を振り上げ、そのまま振り下ろしてきた。振り下ろされた手を見て磯風は驚きの表情を見せたが、動けずにいた。

(磯風ッ!!)

その振り下ろされた右手に反応した深海だったが、磯風の体に阻まれ手を伸ばすことが出来なかった。だが、深海の代わりに振り下ろされた手を止めた人物がいた。磯風の左後ろから伸びてきた手が、折原の腕を掴んだ。

「……何をするのですか矢矧さん?」

折原の手を止めたのは矢矧だった。折原は不思議そうな表情で矢矧を見つめたが、当の矢矧は怒りに満ちた表情で折原を睨み返し―――

「私に対する行為なら多少は許してあげるわ。でも、大切な部下であるこの子たちに手を出すなら―――」

 

 

誰であろうと許さない

 

 

と、怒りの声を上げた。折原は、フッ。と小さな笑みを浮かべながら矢矧に握られた手を下ろした。

「これは失礼しました。では、私と来ていただきますか矢矧さん?」

「それも困るな」

そう言いながら、磯風の背後から深海が姿を現し磯風と矢矧の前へ出た。深海は怒りに満ちた青い左目で折原を睨みつける。

「…君の様な子供が出る幕ではない。さっさと帰りなさい」

「悪いがそれも出来ないな。矢矧はこれから俺と約束がある…ナンパなら他所でやって来い」

「子供が随分と生意気な口を利きますね。ですが、いくら叫ぼうがお前は矢矧さんに相応しくない。私の目が黒い内に、消えることを推奨しますよ?」

「それは出来ないと言っているだろう。矢矧が欲しいなら、俺から奪ってみろ。勿論、矢矧と俺を納得させられる内容でな」

自分の言葉に全く身悶えも臆する事もしない深海を見た折原は、怒りを抑え込んでいるような笑みを浮かべた。

「良いでしょう。丁度ガンプラバトルが出来る場所ですから、バトルの勝敗で決めようじゃありませんか。私が勝ったら、矢矧さんは私と来てもらいますよ」

「…そういう宣言は勝ってからにしたらどうだ?」

「(目障りなクソガキだ!)……行くぞ、いろは!」

「………はい」

そう言って折原は店舗の奥へと歩いていった。それを追うように、藤堂いろはも歩いていったが深海はいろはとすれ違いざまに彼女の顔をチラッと見た。そしてその表情を見た深海はほんの一瞬だけ目を見開き、驚いた表情を見せたのだった。だが、すぐに矢矧が声をかけてきた。

「ごめんなさい深海提督。それとさっきの言葉、感謝するわ」

「俺からも感謝する。ありがとうな、磯風を護ってくれて」

「貴方から預かった大切な部下だもの。あれくらいして当然よ…さて―――」

 

 

あいつを後悔させに行きましょうか

 

 

矢矧が本気モードになった表情で深海に声をかけ――

 

 

背中は任せたぞ、矢矧

 

 

深海はブチギレモード3秒前の表情で返したのだった。そしてそれを見た十七駆の3人は憐みの目で先を行く折原といろはを見ていた。

 

 

 

「Gun-pla Battle combat mode stand up!Model damage level set to A.Please set year GP base.」

ガンプラバトルのシステムが立ち上り、4人がそれぞれのGPベースを台座にセットし、深海が腕輪を右腕に通した。

「Beginning Plavsky particle dispersal.Field 01 space.」

幾億万のプラフスキー粒子が散り、広大な宇宙空間と眼下に広がる白い大地「月」を形成する。

「Please set year Gun-pla.」

4人がそれぞれのガンプラを台にセットする。システムが機体を読み込み、メインカメラが発光する。それぞれが出現した操縦桿を握りしめる。

「Battle Start!」

台座がカタパルトで囲われ、4機のガンプラが発進体制に入る。

折原徹。ブラックストライクフリーダム、出るぞ!

藤堂いろは。フリーダムガンダムジグブラック、行きますっ

先に出撃したのは折原のブラックストライクフリーダムと、いろはのフリーダムガンダムジグブラックだった。そして―――

 

 

矢矧。ウィンドフリーダムガンダム、行くわ!

 

 

黒野深海。ガンダムディオーシャ・改、出るッ!

 

 

矢矧のウィンドフリーダムガンダムと、深海のガンダムディオーシャ・改が月面へ向けて飛び立った。

 

続く

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