艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
カタパルトから飛び立ち月面上空を飛ぶ、見た目は以前のガンダムディオーシャとほぼ同じな深海のガンダムディオーシャ・改と、グレー、白、赤のトリコロールカラーで塗装され、両腕はデスティニーガンダム、下半身はジャスティスガンダムのように鋭利なデザインで纏められ、胸部中央には軽巡矢矧の艦首を思わせるディテールが施され、背中には一対のウイングバインダーを備え、右手にはフリーダムガンダムのルプスビームライフル、左腕にはアメイジングレヴAを装備した矢矧のウィンドフリーダムガンダム。すると深海は矢矧に通信で呼びかけた。
「矢矧、一つ頼みがある。あの男は俺に任せてくれないか?」
「え?私は構わないけど…大丈夫なの?あの男、相当貴方の事を目の敵にしてるように見えたわ」
「問題ない。寧ろ俺を狙ってくれた方が、お前もやりやすいだろ?変な話をされながら戦闘させれるかもしれないからな」
「……そうね。なら、もう1人の方は私が叩くわ」
「任せた。あと、通信は開いたままにしておけよ」
「わかったわ―――ってちょっと!」
そう言い残すと、深海はディオーシャ・改を全速力でエリア中央へと向かわせた。そのあまりにも速い速度に、矢矧は一瞬呆気取られてしまったがすぐにバトルエリア外周を回り込む様に出撃位置と反対方向へ向かった。
エリア中央へ向かった深海のディオーシャ・改。深海は周囲のカメラ映像を頻繁に確認し、相手を探した。すると―――
ピーピーピーピー!
「っ!」
ロックオンアラートが鳴り響くと、周囲から無数の緑の閃光がディオーシャ・改に向かって飛来した。深海は身を捻ったり、逸らしたりして緑の閃光を避けていく。そして全ての閃光を避け切ったタイミングで真正面から1機のガンプラが迫ってきた。右手に握った中型のビーム対艦刀を振りかざし、それをディオーシャ・改へ振り下ろしてきた。深海は咄嗟にディオーシャ・改の左手を腰裏に回しナイフを抜いてその対艦刀を受け止めた。深海は正面の黒いガンプラ「ブラックストライクフリーダム」を睨んだ。
「わざわざやられに来るとは、愚かだな!」
通信越しに折原の声を耳にした深海。深海は、予想通りだな。と内心で呟くと調子を合わせるように叫んだ。
「なんだと!」
深海が操縦桿を前へと伸ばし、ブラックストライクフリーダムを押し返す。押し返されたことで深海はブラックストライクフリーダムの全身を目の当たりにした。見た目は完全に黒とグレー、白に塗り替えられたストライクフリーダムガンダムだが両腰には折り畳み式のレールガンの代わりに、右手に握っている中型のビーム対艦刀のマウントラッチが設けられ、そしてメインカメラはツインアイではなくモノアイとなっていたのだった。
「ガンプラバトルを始めたばかりの貴様では、この私は倒せないという事だ!」
「…?」
折原の言葉に不思議そうな表情を見せた深海だったが、そう言えば自分は今まで海軍関連施設の監査ばかりでまともなガンプラバトルをしていなかったことを思い出した。ガンダムディオーシャを完成させた日にナンパ3人組と戦って以降、本当にガンプラバトルをしていないのだ。
(たぶん相手の戦績を見れる機能があるんだろうな。俺にはどうでもいい話だが…とりあえず、なんか返事をしておくか)
「ガンプラバトルの暦で勝敗が決まる訳ではない筈だ!」
そう言い放った時、再び無数の緑の閃光がディオーシャ・改に襲い掛かってきた。それを深海は目とディオーシャ・改を右往左往させながら回避していく。
「そうかもしれんな!だがそんな継ぎ接ぎのガンプラでは、私のブラックストライクフリーダムは墜とせない!故に貴様が私に勝つことは無いのだぁ!」
その言葉と共に折原は腹部に備えられた「カリドゥス複相ビーム砲」を放ってきた。深海は左前腕のビームシールドを展開しこれを防いだ。
「グゥッ!(取りあえず対応できそうだな。あとは矢矧が、もう1人の奴から話を聞き出せれば…)」
深海は口からこぼす言葉とは裏腹に、余裕を持ってブラックストライクフリーダムの攻撃を避けていた。
ところ変わって矢矧のウィンドフリーダムガンダムはバトルエリアの外周近くを飛んでいた。すると、遠目に戦闘の光と思える閃光を矢矧の目が捉えた。
(深海提督、会敵したようね…私も急がなきゃ!)
内心で呟きながら、矢矧はさらに先を急いだ。すると、矢矧のいる操縦スペースに接近警報が鳴り響いた。
「来た!」
矢矧の言葉に反応するように、ウィンドフリーダムガンダムのカメラが接近する1機のガンプラを捉えた。カメラをズームさせ、その姿を確認する矢矧。
「黒いフリーダム!?いや、違う!」
カメラに映し出されたのは人型の部分を黒とグレーに塗り替えられながらも、背中にあるウイングバインダーは純白の白一色で塗られ、ツインアイはモノアイとなった両手にストライクガンダムの「57㎜高エネルギービームライフル」を持ち、左腕にはフリーダムガンダムのラミネートアンチビームシールドを装備したフリーダムガンダム「フリーダムガンダムジグブラック」だった。直後、フリーダムガンダムジグブラックは矢矧のウィンドフリーダムガンダムに向かってウイングバインダーに内蔵された「バラエーナプラズマ収束ビーム砲」を撃ってきた。矢矧はその射線を正確に判断し、あっと言う間に回避した。
「受けてみなさい!」
矢矧が叫ぶと、ウィンドフリーダムガンダムが左腕を引き絞り勢いよく前へと腕を突き出した。すると、左腕にマウントされていたアメイジングレヴAがシールド後端にあるブースターから炎を噴きながら一直線にフリーダムガンダムジグブラックへと向かって飛んでいきと、合わせるようにルプスビームライフルを放つ。
「っ!?」
放たれたルプスビームライフルの攻撃と飛翔し向かってくるアメイジングレヴAに驚いたいろはだったが、ルプスビームライフルの銃撃をラミネートアンチビームシールドで防ぎ、突っ込んでくるアメイジングレヴAに衝突に備えた。やがて突っ込んできたアメイジングレヴAがラミネートアンチビームシールドに衝突し、大きな衝撃がフリーダムガンダムジグブラックを襲った。
「くぅぅっ!」
フリーダムガンダムジグブラックが衝突の衝撃で突き飛ばされることは無かったが、僅かな隙を作ってしまった。その隙にとウィンドフリーダムガンダムは空いた左手で右腰のラケルタ・ビームサーベルを抜き放ち距離を詰めてきた。
「逃がさないわ!」
「…さ、させません!」
シールドを構えたままフリーダムガンダムジグブラックは右手の57㎜高エネルギービームライフルをウィンドフリーダムガンダムに向かって撃ち返す。だが、照準がずれていたのかウィンドフリーダムガンダムは回避することなく、真っ直ぐにフリーダムガンダムジグブラックに接近した。
「遅い!」
「きゃあ!」
左上段から繰り出された縦斬りは右手に握られた57㎜高エネルギービームライフルの銃身を焼き切った。矢矧は攻撃の手を緩めずフリーダムガンダムジグブラックのラミネートアンチビームシールドに向かって縦斬りの勢いを生かして縦に一回転し、かかと落としを放った。
「わぁっ!」
かかと落としをくらい、月面に向かって弾き飛ばされるフリーダムガンダムジグブラック。だが、すぐに体勢を立て直すとウィンドフリーダムガンダムに向かってバラエーナプラズマ収束ビーム砲と57㎜高エネルギービームライフルを撃ってきた。だがやはり、狙いがずれているのかウィンドフリーダムガンダムに砲撃が命中することは無かった。
「遊びのつもりなの!?私を舐めないで!」
矢矧も武装スロットから「バラエーナプラズマ収束ビーム砲」を追加で選択した。ウイングバインダーから肩越しに正面へ展開された2門の巨砲がルプスビームライフルと共に火を噴き、ウィンドフリーダムガンダムの後方からアメイジングレヴAが猛スピードでフリーダムガンダムジグブラックに向かって飛んでいく。ウィンドフリーダムガンダムのバラエーナプラズマ収束ビーム砲から放たれた赤い閃光がフリーダムガンダムジグブラックのバラエーナプラズマ収束ビーム砲を捉え、ルプスビームライフルの緑の閃光はフリーダムガンダムジグブラックのウイングバインダーを破壊する。爆発したバラエーナプラズマ収束ビーム砲の衝撃で防御態勢を崩されたフリーダムガンダムジグブラックに、アメイジングレヴAが正面から腹部に激突した。
「キャアアアー!!」
回避にも防御にも失敗したいろはのフリーダムガンダムジグブラックは後方へと大きく吹き飛ばされ宙を漂っていた。
「これで止めよ―――」
矢矧が宙を漂うフリーダムガンダムジグブラックにルプスビームライフルの照準を合わせた時だった。
「うっ…ううぅ……」
「えっ」
通信越しにいろはのすすり泣く声が聞こえてきたのだ。その泣き声を聞いた矢矧は、またしても一瞬呆気取られてしまいフリーダムガンダムジグブラックからロックオンを外してしまった。
「…やっぱり、こんな弱い私なんかじゃ…か、彼に愛される資格なんてっ……うっ、うううっ……」
「………」
突然いろはが発した謎の言葉に戸惑いを見せ、ルプスビームライフルを下ろしてしまった矢矧。矢矧が見た通信モニタの先にいる蒼い髪の女性は操縦桿である黄色の球体からも手を放し両手で身体を抑えながら俯いて小さく震えていた。その姿を見た矢矧は、困惑しつつも何処か哀れんだ表情で、恐る恐るいろはに話しかけた。
「…ねえ、もしかして貴女……」
「っ!?」
話しかけてきた矢矧に驚くいろは。ハッとした表情に一瞬なるも顔は上げられずにいた。
「
「………」
だがいろはが答えることは無かった。矢矧といろは。敵対する2人の間に不思議な空間が出来ていた。しばらく無言のいろはだったが、やがて矢矧に語り出した。
「…私と彼は、昔からずっと一緒だった。幼い頃から、学生の時も、社会人になっても……私はずっと彼の傍にいた。傍にいたかったから、私はずっと頑張って努力した。でも、彼は振り向いてくれなかった。そして彼は貴女に惚れて、後を尾けるようになった。その事を知ってても、私は彼の傍にいたくてずっと彼に協力していた……」
(私を尾けてたのはこの2人だったのね……それにしても、この2人って「幼馴染み」とでも言うの?)
「だからここで彼が貴女に負ければ、彼は私に振り向いてくれるかもしれない!そう思って―――」
ピーピーピーピー!!
突然いろはの操縦スペースに接近警報のアラートが鳴り響いた。
「「え?」」
突然なりだした接近警報に驚くいろはと、接近する物の正体に気づき驚く矢矧。そしてそれは一瞬の間に現れると、いろはのフリーダムガンダムジグブラックの後ろに回り込み両方のウイングバインダー基部を切り落とし、そのままフリーダムガンダムジグブラックを羽交い絞めにした。
「な、なに!?」
困惑するいろは。そして現れた物の正体に声を上げる矢矧。
深海提督!?
「悪いが、大人しくしてもらうぞ」
フリーダムガンダムジグブラックを羽交い絞めにした物の正体。それは深海の操るガンダムディオーシャ・改だった。
「いろは!」
そこへ遅れるようにして折原が駆るブラックストライクフリーダムが姿を現した。
「…貴様、女性を人質にするとは。卑怯だぞ!」
「徹!」
いろはが駆るフリーダムガンダムジグブラックを人質に取った深海に、折原は至極真っ当な言葉を言い放った。だが、深海から返ってきた言葉は常識とはかけ離れた内容だった。
やっと2人が向き合ったな
「なに?」「えっ…」
折原といろはの2人は困惑した声を上げるのだった。
続く