艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP3 それぞれの1日(後編)

その日1番最初に目的地に到着したのは、深海たちだった。深海の鎮守府は本庁舎の後ろに山を切り開いて作られた農場がある。農場は深海が自給自足するために創ったものであり、それを深海と時雨を中心に分担で毎日手入れを行っているのだ。

「よし、ではまずは雑草の駆除から始めるとしようか」

「ああっ。ビックセブンの草取り、侮るなよ?」

「あはは!長門、本気になり過ぎだよ!でも僕も、ここは譲れないね!」

「おいおい時雨まで……まあ、折角だから俺も本気で草取りしようかな?」

「フッ、冗談だ提督。本気で草取りするほど生えては無いだろう」

「そうだな。では、始めるか」

「うん!」

そうして3人は農場での仕事を開始した。農場の草取りから始まった作業は、アッと言う間に進み気が付けば、時刻は正午になっていた。

「ん?もうお昼か?」

「影の長さだけで昼と見抜くとは、流石だな提督」

「まあな。時雨、そろそろお昼にしよう」

「わかった!じゃあ、手を洗ってからお昼ご飯にしよっか!」

そして、昼食である握り飯を食べながら不意に長門が深海に「行方不明の英雄」について話を始めた。

「それにしても「行方不明の英雄」とは、大層なあだ名がつけられたものだな提督」

「まあな。俺は人間と関わるのは苦手だから、白河提督に「黒野深海は家族と共に突如失踪した」って偽情報を流してもらったんだ」

「そうだったんだね提督。でも実際は、僕たちとここで暮らしてる。やっぱり、昔軍に追われてたからなの?」

「そんなところだ。ま、海原市の人たちには隠し切れないから市に協力してもらってるがな」

「それも白河提督にか?」

「ああ。それに、海原市の人たちも快く引き受けてくれたし」

「そうなんだね。まあ僕は、提督とみんな揃って幸せに暮らせるならそれで良いんだけどね」

「そうだな…」

そして深海たちは昼食を続けた。

 

ところ変わって海原デパートにやってきた白、ビスマルク、プリンツの3人は店内を揃って買い物をしていた。

「ビスマルク姉さま!あのお店、あのお店に行ってみましょうよ!」

「はいはい分かったわよ。そんなにはしゃいじゃって、子供じゃないんだから」

「………!!」

「ちょっと白!手を引っ張るのは止めなさいよ!」

とは言っても、ビスマルクは完全にプリンツ城に振り回されていた。そして結局、プリンツと白にしばらく振り回されたビスマルクはやがて、とある店が目に留まった。それはちょっと豪華なお菓子やデザートを販売している店舗だった。

「ちょっと貴女たち、待ちなさい!」

「?どうしたんですかビスマルク姉さま」

「ちょっとあの店に行くわよ。あのアホミラルへのプレゼントを買うわよ」

ビスマルクはそのお店を指差して2人に教えてた。

「………!」

「わぁ…白さん。めちゃくちゃ、私に任せなさい!って顔してる…」

「ええ、今回は貴女にセンスを頼らせてもらうわ白」

そして3人は店内へと入って行った。

 

その同時刻、大鳳と空母棲姫、護衛のイ級とロ級の南西諸島方面に辿り着いていた。そして2人と2匹の前方から、不規則にひび割れた殻のような装甲で覆われた艤装部は肉食魚じみた鋭い歯が無造作に並んだ大きく開いた口の上下顎からそれぞれ連装砲と三連装砲を突きだすという異様な構造を見せていて、背面にも三連装砲が突きたてられている艤装を纏った、頭に2つの山羊のような巻き角を持つ、黒いドレスをまとった白髪の女性。と、襟部分には鋭く上に伸びる装飾的な棘が目立ち、王冠の角を思わせるレオタードとストッキングの組み合わせらしき服装の上からマントを羽織り、左手にはヲ級の杖を連想させる鉤のような大ぶりな弓を握った黒いフードを目深に被った背の高い女性が向かってきていた。

「おお!待っとったで、空母棲姫!」

「………」

「ああ、待たせたな。地中海弩級水姫欧州装甲空母棲姫

頭に2つの山羊のような巻き角を持つ、黒いドレスをまとった白髪の女性である「地中海弩級水姫」は、合流すると早々に大鳳に視線を向けた。

「あんたは装甲空母の大鳳やっけな?ワシが地中海弩級水姫や、よろしくな!」

「あ、はい。よろしくお願いします……その、地中海弩級水姫さんは関西弁を何処で?」

「ああ。こいつに日本語を教えたのが、あろうことか龍驤でな。それのせいだろう」

「おお!龍驤はんが、ワシに日本語を教えてくれたんや!ハハハッ!」

と、地中海弩級水姫は両手を腰に当てて笑った。

(絶っ対、教えてもらう相手間違えてると思う)

(ああ。私も同じ思いだ大鳳)

そして大鳳と空母棲姫の2人は、そんな事を考えながら引きつった笑みで互いを見つめていた。

「……あの、空母棲姫様。そろそろ、哨戒を始めないと…」

「ああ、そうだな。大鳳、こいつがさっき言った欧州装甲空母棲姫だ」

「初めまして欧州装甲空母棲姫さん!同じ装甲空母として、仲良くしていただけると嬉し―――」

そう言って大鳳は左手を差し出したが―――

「ほ、放っておいて!」

だが、欧州装甲空母棲姫は大鳳の手を弾いてしまった。これには流石の大鳳も困惑してしまった。

「ああ、すまない。欧州装甲空母棲姫はこういう性格なんだ。許してやってくれ」

「そ、そう…」

「オクゥ、何照れてるんや?ほら、フード脱いでみーや!」

と、欧州装甲空母棲姫の背後にやってきた地中海弩級水姫が、欧州装甲空母棲姫の被っていたフードをバッ!と脱がせた。すると、フードの下から右目を隠している左目の方へクルリと曲がった前髪が特徴の白髪の美女の素顔があった。欧州装甲空母棲姫は慌ててフードに手を掛けようと左手をアタフタさせながら、焦った表情をしていた。

「ああ!ぬ、脱がさないでよ地中海弩級水姫!」

「ええやんええやん!せっかく綺麗な顔してるんやから、隠しとったら損やでオクゥ!」

「う、うるさい!もうっ、本当に止めてよね!」

と、フードを被り直した欧州装甲空母棲姫。すると大鳳は、先程から地中海弩級水姫が言っていたある言葉が気になった。

「そう言えば、さっき地中海弩級水姫さんが言ってた「オクゥ」って?」

「ああ、ワシが欧州装甲空母棲姫(こいつ)に着けたったあだ名や!欧州棲姫と名前が似てっし長い名前やからな、「欧州装甲空母」を略して「オクゥ」や!」

「………」

地中海弩級水姫の説明を聞いていた欧州装甲空母棲姫は、フードで隠れてしまっていて表情は読み取りにくいが俯いたまま口を「ヘの字」にしていた。

「ま、見ての通り。本人も気に入ってるみたいやし、気軽に読んでやってや大鳳!」

「そ、そうですか…」

「コホンッ。そろそろ哨戒任務を始めるぞ?」

と、空母棲姫が咳払いをしてその場はお開きとなった。そして、大鳳、空母棲姫、欧州装甲空母棲姫の3人はそれぞれ艦載機の発艦準備を始めた。大鳳は左腰の「装甲空母大鳳」の船体を模した艤装から艦載機を格納したマガジンを取り出してクロスボウ状の射出機の装填口に差し込み、空母棲姫は艤装のメイン滑走路に艦載機を展開させ、欧州装甲空母棲姫は右腰から下げた矢筒から艦載機となる矢を、右手に握った大弓につがえた。そして、地中海弩級水姫は連装砲と三連装砲の砲身を上下させて稼働状態を確認していた。その4人の周りをイ級とロ級が、水面を跳ねながら次の行動を待っていた。そして空母棲姫が高らかに宣言した。

「よし…艦隊増速っ、輪形陣を展開し北東へ進路を取る!第一次偵察隊、発艦始め!」

「さあ、やるわ!第六〇一(ロクマルイチ)航空隊、発艦始めッ!!」

「欧州装甲空母棲姫 Squadron(スクワドロン)、発艦始め!さあ、始めます!」

大鳳がクロスボウの引き金を引き、空母棲姫のメイン滑走路から丸い形の艦載機「深海猫艦戦」が飛び立ち、欧州装甲空母棲姫が弓につがえた矢を放つ。クロスボウから放たれた光はやがて偵察機である「彩雲」へと姿を変え、矢もまたしばらく飛翔したところで黒い丸に一対の翼と青白い光を放つ艦載機「夜猫深海艦戦」へと姿を変え三方へと飛び去っていった。

「んじゃ、ワシらは空母棲姫たちを護るで!イ級、ロ級、しっかり付いてきーや!」

こうして、4人と2匹の哨戒任務は始まった。

 

そして、お昼を過ぎてしばらくたった1400(ヒトヨンマルマル)時。工廠では、明石と夕張が何か忙しそうに作業をしていた。

「……よしっ!後はこのパーツを取り付ければ……夕張ちゃん、お願いできる?」

「任せて!慌てず、急いで、正確に…っと。やった!明石、これで完成よ!」

「ふぅー、ようやく完成したねー!今日に間に合って本当に良かったー!」

「それじゃあ、最後の仕上げ。始めましょう!」

「了解!」

明石と夕張が向かう机には人間の掌サイズ程の「人型」の何かが立っていた。そして明石と夕張の2人はタブレットを取り出すと、それを操作し「最後の仕上げ」を始めたのだった。

 

それから更に時間は流れ、学校の終わった秋雨、梅雨葉、雨葉たちは商店街のガンプラバトルハウス「伊多ん屋(いたんや)」にて秋雨のクラスメイトである「陽菜(よな)」と梅雨葉、雨葉のクラスメイト「明日香(あすか)」を相手にガンプラバトルをしていた。

「梅雨葉乗って!」

「うん。地上戦じゃ、ちょっと不利」

草原フィールドで行われていたバトルは梅雨葉のガンプラ。「HGUCナラティブガンダムA装備」の素組のナラティブガンダム本体の左腕に「ナラティブガンダムB装備」の小型シールド2つを合体させたシールドを装備し、右手には「ナラティブガンダムC装備」の大型マズルブレーキを備えたビームライフル持ち、腰部リアアーマーに2本のビームサーベルをマウントできるホルダーを装備した機体「ナラティブガンダム実戦配備仕様」と、秋雨のガンプラ。白と青色で塗られたライトニングパックウェポンシステムとリ・ガズィのバックパックを上下に合わせ後部を延長して大型のスラスターを備える機体「エアベースパック」がナラティブガンダム実戦配備仕様を上に乗せて飛行していた。

「逃がさないよ!」

その背後から明日香のガンプラである青、赤、白のトリコロールカラーに塗装された素組のデスティニーインパルス「フォースデスティニーインパルスガンダム」が迫ってきていた。梅雨葉はエアベースパックの上でナラティブガンダム実戦配備仕様を後ろへ向けビームライフルを撃とうとしたが、梅雨葉はこの動きに不快感を感じていた。

(ナラティブガンダムの反応、遅い!)

どうやら梅雨葉の操縦速度に、ナラティブガンダム実戦配備仕様が追いつけていないようだ。梅雨葉は、秋雨たち三姉妹の中でも特に父、深海と似た容姿をしている。深海棲艦と人間のハーフである深海と艦娘である母、時雨の血、特に深海棲艦の血を強く継承している為、10歳でありながら反射スピードが同年代の友人よりも高く備わっているのだ。結果、素組でほぼ無改造のナラティブガンダム実戦配備仕様では、梅雨葉の反応速度に追いつけないのだった。そして結局、梅雨葉がナラティブガンダム実戦配備仕様を振り返させてビームライフルの引き金を引く動作は、ナラティブガンダム実戦配備仕様が梅雨葉の操縦より3秒遅れで行動完了したため、その間に一気に距離を詰めたデスティニーインパルスのビームライフルの射撃によって右腕を撃ち抜かれてしまった。

「遅いよ梅雨葉ちゃん!」

「しまった。右腕が……」

「梅雨葉!」

そして地上からは陽菜のガンプラ。右腕に「アームドアーマーBS」を装備し、左手には「ビームマグナム」そして、左前腕部にユニコーンガンダムのシールドを装備した一本角の純白の機体「ヘビーユニコーンガンダム」が、アームドアーマーBSとビームマグナムを上空のエアベースパックに向けて発射した。

「ガラ空きだよ秋雨ちゃん!」

「ハッ!しま―――」

被弾した梅雨葉に気を取られていた秋雨は、ヘビーユニコーンガンダムの攻撃を回避できず2発のビームが直撃、エアベースパックは上に乗せていたナラティブガンダム実戦配備仕様諸共、爆発してしまった。

「Battle Ended!」

そこでバトルは終了となり、秋雨と梅雨葉の2人は負けてしまった。その後、秋雨たちは陽菜と明日香と少しの間会話をしてその日はお開きとなった。そして帰り道の前に、秋雨たちは深海と時雨にプレゼントを買う為、伊多ん屋のガンプラ販売スペースへと足を踏み入れていた。

「ねえねえねえ、秋雨おねーちゃん。おとーさんはどのガンプラが似合うかな!」

「うーん。お父さんが艤装を使って戦う姿、見たことないからなぁ…」

「………」

ガンプラが陳列する棚を見ながら、悩む秋雨と雨葉。すると、梅雨葉が2つのガンプラを取り出した。

「お姉ちゃん、これ」

「え?これって、ストライクフリーダムガンダムにアストレイブルーフレームセカンドL?」

「梅雨葉、梅雨葉、梅雨葉。なんでこの2つって思ったの?」

「…何となく」

梅雨葉が持ってきたのは「HGCEストライクフリーダムガンダム」と「HGCEアストレイブルーフレームセカンドL」だった。ストライクフリーダムガンダムは射撃特化、アストレイブルーフレームセカンドLは格闘特化。普通なら両立させるのが難しい機体特性を持ったガンプラだ。だが梅雨葉はそこから何かを感じてか、この2つを手に取ったのだ。

「じゃあ、これにする2人共?」

「うん。梅雨葉、異論ない」

「雨葉も雨葉も雨葉も!」

結果、父である深海にはこの2つを。そして母である時雨にはベアッガイ F(ファミリー)をプレゼントすることになった。3人は支払いを済ませ、ビスマルクが待つ車へと足早に向かった。

 

こうして、深海一家のそれぞれの1日は終わった。

 

続く

 

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