艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP39 深海、改装

「という訳で艦娘寮の部屋をいくつか借りれることになった」

「そっか!鈴村提督に感謝だね、提督」

ああ。と時雨の言葉を肯定する深海。この監査の旅が始まって既に半年、深海たちは白露宅に宿泊した時以外ずっとこのキャンピングカーで寝起きしてきた。足が伸ばせるほどのベットが備え付けられているとはいえ、やはり車内で寝るのとちゃんとしたベットで寝るのでは睡眠の質も異なる。今が成長期を迎えている秋雨たちには出来るだけしっかりとした寝起きの環境を用意したい、と思うのは親である深海と時雨にとってはごく当然の事だ。

(出撃と監査の事も含めて、佐世保には長期滞在になる。かなり無理をさせてしまった秋雨たちには、出来るだけゆっくりしてもらうか)

深海はキャンピングカーの共有スペースでトランプをして遊んでいる秋雨たちを見やった。何のトランプゲームをしているのかは分からないがとても楽しそうに見えた。

「俺はこのまま工廠に行ってくる。何故かは知らないが、明石と夕張が来てるらしくてな」

「え、あの2人が?…わかった。じゃあ、僕はここで待ってるね」

「ああ、いつもすまないな。時雨」

「ううん、僕は平気だよ。艤装を付けられない(こんな)身体の僕じゃ、出来ることは提督の帰りを待つことくらいだから」

「………」

時雨の言葉に胸が痛くなる深海。時雨が戦時中に受けた轟沈寸前レベルの損傷により、時雨本人には使えなくなった艤装を深海は譲り受け、今日まで戦ってきた。愛する妻の艤装を装着することで深海は戦闘中でも時雨の存在を身近に感じることが出来た。だが時雨は違う。彼女は鎮守府で深海の帰りを待つことしか出来ない。そんな彼女の気持ちを思うと深海は度々胸が痛くなる。そんなことはない。と言える訳もなく、そしてそんな現実主義者の深海を知っている時雨はこういう話をすると―――

あ、ご、ごめんよ提督!辛くなるようなこと言ってしまって!

 

決まって深海に誤ってくる

 

「大丈夫だ。時雨の気持ちはわかってる」

「提督……」

そして深海は時雨の少し悲しそうな顔を真っ直ぐ見つめた。

(そう、だから俺は何があっても帰ってくる。彼女の元へ、必ず)

「提督―――んっ!?」

そんな時雨の唇に深海は自身の唇を合わせた。あまりに唐突なことに時雨は驚くが、やがて深海の突然の接吻の意味を悟ったのか2人は互いに深いキスを交わした。やがて2人の唇が離れると、お互いの目には顔を赤くしたお互いの顔が映っていた。

「もうっ、提督は仕方ないなぁ」

「す、すまない」

だが時雨の表情は小さな優しい微笑みへと変わった。

提督、行ってらっしゃい

「ああ、行ってきます」

そう言って深海は佐世保鎮守府の工廠へと向かった。

 

 

佐世保鎮守府の工廠へ到着した深海を2人の少女が出迎えた。

「提督ぅー!こっちですよー!」

工廠の奥で手を振るのは明石。その隣にはオレンジ色のつなぎ服姿の夕張がいる。深海はそんな2人の元へと足を運ぶ。半年ぶりの再会で深海自身も少し心が昂っているのか足取りは軽やかだ。

「久しぶりだな明石、夕張。元気そうでなによりだ」

「ええ!提督もお変わりなく!」

「元気じゃなかったらどうしようか、って思ってたところだったけど杞憂だったみたいで良かったわ!」

元気そうな明石と夕張の姿に安心した深海。だが、深海は早速本題を切り出した。

「それで、お前たちがここに来たのは一体どういう訳だ?」

「提督の艤装のチェック兼改装の為です!」

「…ん?今、改装と言ったか?」

「はい!」

深海の質問に明石がニッコリと笑って返答する。するとその後を夕張が引き継いだ。

「提督の艤装ってかなり独創的……と言うか、艦としてかなり歪な形状してるから、その歪さを解消して使い易さと信頼性を確保しちゃおうって話!」

「あまりこういう話をしたかった訳じゃないんですけど…提督の艤装のメンテナンスって滅茶苦茶面倒くさいんですよ」

「う………」

明石の鋭い指摘に思わず胸にナイフが刺さったような感覚に陥る深海。深海の艤装は、腰より少し上にスナップリングを介して装着する煙突。右肩には「試作型38.1㎝単装砲」、左肩にはアームを介して操作する艦載機着艦用の航空甲板と発艦用のクロスボウ。左肘には「14㎝単装砲」、左太腿には「61㎝5連装魚雷発射管」となっている。傍から見れば、どうしてこうなった?というような内容の武装となっている。これは深海の戦闘スタイルに合わせた設計だったのだが、それがかえってメンテナンス性の悪化に繋がっていたのだ。

「……わ、わかった。艤装については2人に任せる……ちなみにどういった改装案になっているんだ?」

「あ、はい!夕張と話し合って、こういう最終案になりました!」

明石はそう言って深海に青写真を渡した。深海はそれを広げ、内容を確認する。そして一通り目を通し終わった深海は明石と夕張に向き直って言った。

 

 

これは凄いな、一体何処から着眼点を得た?

 

 

「実装運用には至らなかったんですけど、伊勢さんと日向さんの第二改装の案からです。白河提督に提督の艤装の件を話したら、その図面を渡してくれたんです」

(まったく、アンタって人は)

深海は図面を見ながら白河提督の顔を思い出した。今全国の海軍施設を監査することになったのは元はと言えば白河提督の頼みであるが、深海からしてみればたまったものではない。しかし、戦時中の頃に手を貸してくれたのは白河提督だけだった。そう考えると、やはり憎めないな。と思ってしまうのだ。

「それで、この改装にはどれくらいの時間がかかる?」

「明日の夕方には完了します!なので提督は、今日明日と体力を回復させてください!」

「艤装の事は、私と明石で責任もって完成させるから!安心して待っててね!」

「ああ。そうさせてもらおう…頼むぞ2人共」

「はい!」「任せて!」

明石と夕張はニッと笑って見せたのだった。

 

続く

 

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