艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
艤装の事を明石と夕張に任せた深海は工廠を後にし、キャンピングカーに戻った。するとキャンピングカーから荷物を下ろしている秋雨が視界に入ってきた。すると秋雨が、歩いてキャンピングカーに向かってくる深海を見つけると笑顔で手を振ってきた。
「おとぉーさん!」
(いつもはしっかりしてるが、やはり秋雨もまだ子供なんだな)
笑顔で手を振ってくる秋雨を見て深海も手を振り返す。普段のしっかりした秋雨とは違って、年相応にはしゃいでいるように見えた。深海はそんな秋雨の姿を見て思わず足が速まった。自分の知らない間にいつの間にかキャンピングカーの元へと着いてしまっていた。
「お父さんおかえりなさい!」
「ああ、ただいま。荷物運びか?」
「うん!梅雨葉と雨葉は白さんと先に行ったから、あとは秋雨とお母さんだけだよ!」
すると、キャンピングカーからキャリーパックを持った時雨が降りてきた。
「あ、提督。明石と夕張は元気だった?」
「ああ、2人共元気そうだったぞ。それと、艤装の事で出撃まで時間が作れた。明日1日は何もやることが無いから、佐世保市内に遊びに行けるかもしれないな」
「本当お父さん!?」「本当かい!?」
深海の言葉を聞いた秋雨と時雨が驚きの声を上げる。秋雨は予想出来ていたが、時雨までもが声を上げるとは思っていなかった深海までも驚いてしまった。しかし時雨にとって佐世保は、生まれ故郷に次いで第二の故郷とも言える様な場所なのかもしれないと思うと、深海の顔から驚きの表情は消え、小さな笑みへと変わった。
「ああ。明日は仕事も勉強も忘れて、佐世保を楽しもう」
「うん!ありがとうお父さん!」
そう言った秋雨が深海に抱き着いてきた。普段なら雨葉の行動を抑えている秋雨だが、今はその雨葉はいない。更に言えば、梅雨葉も白もいない。今だけは自分だけのお父さんだ。と独占欲を解放しているのだと、深海はすぐにわかった。ギョッと抱き着いてくる秋雨の頭を左手で撫でながら、右手で秋雨の身体を引き寄せる。
「いつも我慢させて悪かったな秋雨。お前は偉い子だな」
「えへへ!ありがとうお父さん!」
「良かったね秋雨。最後まで残って、勉強道具準備してた甲斐があったんじゃない?」
「うん!ねえ、お母さんも一緒にギュってしよ!」
秋雨の唐突の誘いに時雨は、え!?と驚くがその驚きの顔はすぐに消え去り、秋雨と深海を両手で抱えるように抱き締めた。時雨の顔は穏やかな微笑みだった。
「秋雨ね!お父さんとお母さんの事、大好きだよ!」
「うん。僕も秋雨と提督の事が、大好きだよ」
「ああ、俺もだ。大好きだぞ秋雨。そして、愛してるぞ時雨」
「もうっ、提督ってば!フフッ」
「えへへへ!」
微笑む時雨と笑顔の秋雨をそれぞれに見やった深海は、半年間忘れていた穏やかな時間を思い出していた。
はぁ…この仕事早く終わらないかな。マジクソめんどくせぇ
深海の浮かべる笑みの裏で、盛大な愚痴が口内を光速で飛び回っていたのは深海のみが知っているお話。
続く