艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 深海の言葉『上巻』 作:黒瀬夜明 リベイク
翌朝、深海たちは鈴村提督に朝10時頃まで睡眠を取らせてほしいと頼んでいたこともあり、黒野一家全員が全員寝坊と言える時間まで現れることはなかった。そして深海たちが旧艦娘寮から出てくるのを待っている人物がいた。
「深海司令官!おはようございます!」
「深海、今日は遅かったな」
1人は青葉で、もう1人はネ級改だ。青葉からネ級改へと視線が移った時、深海は思わず舌打ちをしそうになって止めた。
「すまないな。久しぶりの何も予定のない1日だったんでな」
「うん。青葉にも何も伝えなくてごめんね」
深海と時雨がさり気ない言い訳をする。
「そうだったんですねぇ、確かにこの半年間はろくな休日がありませんでしたからね」
2人の言い訳に納得を示す青葉。すると、深海の後ろから現れた雨葉がいつもよりも元気良さそうに話しかけてきた。
「だからね、だからね、だからね!今日はおとーさんとおかーさんとみんなで、佐世保に遊びに行くんだぁー」
「うん。久しぶりの、家族旅行」
続けて口を開いた梅雨葉に、ほぉ?と少し驚きを見せるネ級改。すると―――
「ならその佐世保観光、私も一緒に―――」
「ネ級」
付いていこう。と言おうとしたネ級改の言葉を深海が遮った。ほんの一瞬だけネ級がビクッとしたのを深海は見逃さなかった。深海は満面の笑みを浮かべて―――
付いてきたらどうなるか、わかるよなぁ?
と、ネ級改に告げた。
ハ、ハイィー!!
ネ級改は、戦艦ミネルバ副長の「アーサー・トライン」と同様の返事を背筋をピンッ!と伸ばした気を付けの姿勢でするのであった。
(深海司令官の目、笑ってないどころか…闇に堕ちてるよぉ!)
その姿を見ていた青葉は、深海の闇堕ちした目に恐怖した。だが、それもほんの一瞬だった。深海はいつもの顔にコンマ数秒で戻ると青葉にいつもの口調で声をかけた。
「青葉、お前も一緒に来てくれないか?今日は何かと写真撮影が多くなるかもしれないからな」
「ふえぇ!?そ、そんな!青葉は一緒になんか行けませんよぉ!折角の家族旅行なんですよ!?」
突然の深海のお誘いに両手をブンブン振って戸惑う青葉。だが深海は、更にお願いしてきた。
「お願いだ青葉。秋雨たちも一緒に行きたいと言ってるんだ。頼む」
「青葉さんも一緒に佐世保に遊びに行きましょうよ!」
そこへ秋雨のお願いが入ったことが止めとなった。
「そ、そこまで言われちゃったら断れないですよぉ!よーし、司令官たちの家族写真はこの青葉にお任せです!」
「ありがとう青葉!感謝する」
「いえいえ!お役に立てるよう、青葉頑張っちゃいますよ!」
と、青葉はカメラを片手にガッツポーズをしてみせた。そして―――
「み、深海…私も―――」
「ただしネ級―――」
お前は駄目だ
ネ級改はショックのあまりその場に頭から倒れ込み気絶してしまった。そんなネ級改を存在していない物のように深海たちはその場を後にした。
そして時間はあっという間に流れ、太陽が西の空に沈み始めていた。佐世保鎮守府の工廠では明石と夕張の2人が深海の艤装の最終確認を行っていた。
「……うん!これで完了ね!」
「お疲れさま明石!ふぅ…何とかなったわね」
「そうだね、でもまぁおおよその時間通りだし、良しとしましょう!」
明石と夕張の2人は揃って顔を見合わせ笑みをこぼしていた。
更に時間は流れ、日がすっかり沈んだ夜8時。深海は明石、夕張と共に工廠に来ていた。工廠内は未だに明かりがついていて作業服姿の者たちが、以前作業を続けている。そして深海たちは昨日明石たちと話をした場所にやって来ていた。昨日まで何もなかったその場所には、1つの艤装が天井から鎖のよって吊るされていた。
「ほぉ!これは凄いな!」
その艤装を目の当たりにした深海は、思わず感嘆の声を上げた。以前まで煙突とスナップリングだけだった部分はより重厚感のある艤装となり、試作型38.1㎝単装砲があった場所には長門の装備する物と同様の「試製41㎝3連装砲」が上下に2基、そして左側には左上腕にバンドを介して装着する飛行甲板とその裏側には発艦用のクロスボウがマウントされている。そして今まで装備されていた魚雷発射管は完全に取り外されていた。
「やはり魚雷は外したようだな」
「ええ。艦上戦闘機を扱うなら、やはり外しておくべきと思いまして…その分、搭載機数は少し増えているんですよ!それに……」
「…まだ何かあるのか?」
深海の質問を背にしながら、明石は深海の艤装が吊るされた場所のすぐ隣にある机の上に置かれたプレゼント箱を手に取ると、深海の元へと戻ってきた。そしてそれを深海に渡すと、開けてみてください。という意味を込めて頷いた。深海はプレゼント箱の紐を解き、箱を開けた。そしてそこにあったのは―――
「なっ!?こ、これは!?」
現海軍では準主力となっている零式艦上戦闘機52型。通称「零戦52型」よりもマッシブな胴体、ほんの少しだけ折れ曲がった逆ガル主翼とその真ん中胴体寄りの位置に1門ずつの大型機銃を備えた。そしてダークグレーの機体左主翼の機銃搭載付近を中心点とするよう主翼全体に描かれた白の十字ライン。
「流石の提督も驚いちゃいましたか?」
「これ、烈風改二じゃないか!何処で手に入れた!?」
箱の中に入っていたのは烈風の局地戦闘機改修型である「烈風改」を艦上戦闘機仕様に戻した「烈風改二」だったのだ。翼内の20㎜機銃は30㎜機銃へと変更されている為、普段深海が使っている「試製烈風 後期型」よりも強力な艦上戦闘機だ。
「白河提督の計らいで家の鎮守府に回されて来たんですよ。普段は軍縮していても、終戦を知らない姫級の深海棲艦たちは強敵です。以前のように距離を詰めての魚雷攻撃が出来なくなった以上、強力な艦上戦闘機で制空権を確保して正確な弾着観測射撃を行うのが今後の提督の基本戦術なんですから」
「……そ、そうだったのか。ところで、このダークグレーと白の十字ラインは―――」
「あ、それは私が提督の私服をイメージして塗っておいたの!その色なら、大鳳ちゃんの烈風ともすぐに見分け着くと思ったから!」
「ふむ、パーソナルカラーという訳か…なかなかいいデザインじゃないか夕張!」
と、ご満悦の深海を見て夕張はかなり嬉しそうにニカッと笑みを浮かべていた。
続く