「『“金獅子”と“王直”による仲間割れを確認』……か」
「あァ。ロックス海賊団が
『対ロックス海賊団特別部隊』のトップであるセンゴクの部屋に集っていたのは、同じ特別部隊に配属されたセンゴクの同僚であるガープとゼファー。
ガープが報告書に書かれた文字を読み上げ、ゼファーがそれに対する見解を述べる。
大将こそ所属していないが、三人とも将来は大将になることは間違いなしと太鼓判を押されている人物。
そんな人物たちが全員この特別部隊に所属していることからも、ロックス海賊団の脅威は大きなものであると言えよう。
「おれァとっととロジャーのヤツをとっ捕まえに行きたいんだが……」
「気持ちは分かるが、今はロックスの方が優先だガープ。
奴らは同じ海賊。捕らえるべき悪ではあるが、堅気には手を出さないロジャーと、罪のない一般人を容赦なく殺すロックスとでは優先度が違う」
「ぐぬぅ……」
無鉄砲で猪突猛進なところもあるガープだが、ただの馬鹿ではない。
海の平和を守る正義の軍隊として、早急に対処するべきこととそうでない事の区別位はできるのだ。
ガープは歯を食いしばりながらも「……分かった」と渋々頷き、手に持っていたロックス海賊団に纏わる資料や報告書に再び目を落とした。
「奴らの狙いは、恐らく世界政府の転覆。執拗に政府関連の施設がある島を狙っていることからもそれは明らかだろう」
「ロックスが世界政府を打倒して王となれば、その配下である自分たちにも恩恵がある……アイツらはそういう纏まりって訳か」
「……なら、やることは一つだろう。奴らが
ガープはそう提案するが、海軍の敵は何もロックス海賊団だけではない。
世界各地に海賊が散らばっている以上、海軍の多くの戦力をそちらに割いてしまえば他の海賊の対処が出来なくなってしまう。海軍の全戦力をぶつければ十中八九ロックス海賊団には勝てるだろうが、そんなことなど
「ガープ、残念だがそれはできん。我々海軍の敵はロックス海賊団だけではないんだ。おれら三人で出る事だって――――」
「おれが行こう」
「……ゼファー?」
センゴクの言葉を遮って、ゼファーが声を上げる。
三人同時に出れなくとも、この中から誰か一人出るだけでもそれは強大な戦力になり得る。
「センゴク、軍艦を手配してくれ。おれ一人じゃ全員捕まえきれんとは思うが、奴らの戦力を大きく削るくらいはしてこよう」
鍛え上げた武装色の覇気をその極太の腕に纏わせて戦う姿から、“黒腕”の異名をとる海軍の有望株であるゼファー。
『正義』の文字が背中に刻まれたコートを羽織り、センゴクの部屋から退出していく。
「……私だ。センゴクだ。……軍艦を5隻手配してくれ。指揮はゼファーが執る。頼んだ」
部屋に残ったセンゴクとガープは、ゼファーが一人で行ったことに対して何ら疑問を挟まない。
なぜなら、共に訓練兵時代を乗り切ってここまで来た同期の事を、今更心配などしないからだ。
書類を机の上に置いたガープは、懐から煎餅の入った袋を取り出すと、その場でバリバリと食べ始めた。
「…………ナチュラルに私の部屋を汚すなッ!!!」
「ぶわっはっはっはっはっ!!!」
――――
他の海とは違って気温の低い
見張り番として来ていたリンリンと手合わせをしていたカイドウは、ふと気になってリンリンへ尋ねた。
「なァ、おれたちはいつになったらこの寒ィ所を抜けるんだ?」
ロックス海賊団は、もう暫く
それなのに、他の海域に抜け出そうとしないロックス海賊団の船に疑問を持ったのだ。
「はぁ……お前には、戦闘の前にこの世界の常識について教えなきゃならないようだね」
呆れて溜息を吐いたリンリンは、「やってられない」とばかりに剣に変形していたナポレオンを二角帽に直すと、カイドウへ説明を始めた。
「まず大前提として、この海にゃ五つの海域が存在する。
この世界にある海の説明に始まり、それを隔てる大陸と何もない海域の話をし、それらを越えるためにはどうすればいいのかという話。
途中から飽きてあまり話を聞いていなかったカイドウだったが、
「あー、つまりあれだ。この船の進路はウチの船長に頼りっきりだったって訳か」
「そういうことさ。シキがダウンしてる今、この船は
この現状が長引けば、今はなんとかごまかせている海賊たちもいずれロックスに対して不信感を抱き、次々に離反していくだろう。
そうならない為にも、早くシキが目覚めるか、どこかで船を修理してリヴァース・マウンテンを越えなければならない。
「じゃあ、この船は実質的に船長のモンって訳だな」
「……カイドウお前、そんなヤツだったか?」
笑みを浮かべて得意げなカイドウに、リンリンがジト目を向ける。初めて相対した時はもっと狂暴なヤツだと思ってたんだが……とリンリンが考えていると、遠くの方から強い気配を感じてそちらに顔を向ける。
幾らか遅れてカイドウもそれに気付き、海の方へ視線を向ければ、遠目に見えるのは――――海軍の軍艦。
「あれは……本部の奴らだね。骨のあるやつの気配がする。
やっぱり、ここに長く居すぎて目を付けられたみたいだね」
「……お前やニューゲート、船長並みのヤツの気配がするな」
遠くに見えた軍艦に乗っている人物の戦力を計っていると、船内がにわかに慌ただしくなる。
海軍の接近に気が付いた船員たちが、それに対処しようと大砲の準備などを始めたのだ。しかしそれらの声に焦りはなかった。
何せ、海軍の軍艦などこれまでに何十隻と沈めて来たのだ。今更何を恐れるのだろうか、という傲りである。
「馬鹿な連中だ。相手との力量も計れねェのか」
「……カイドウ、ここは任せたよ。おれは迎撃に当たる――――……って、ありゃなんだ……?」
シキの部屋の番をカイドウに任せて、他の幹部たちと合流しようとしたリンリンは、海軍の船から飛び上がった人影を見た。
――――溢れかえる強大な覇気の流動を感じ、リンリンの額に冷や汗が流れる。
黒い雷が海の上で轟き、それの発信源であろう覇気を纏った拳は、大きく振りぬかれていた。
「まずいッ!! 来るよッ!!」
「あァッ!!?」
「――――ッ!! ゼウスッ!! プロメテウスッ!!」
「「は~い、ママ」」
咄嗟に不味いと判断したリンリンが、眷属である雷雲と太陽を呼び寄せ、船を守るように展開させようとしたが、
「――――リンリンッ!! おれがやる……!!」
「“白ひげ”……?」
そこへ、“白ひげ”が拳にグラグラの能力を纏わせながら飛んでくる。能力であの攻撃を受け止めるつもりなのだろう。
「ありゃァ、海軍本部中将“黒腕”のゼファーに違いねェ。
『悪魔の実』の能力なしであの強さ。大将共の立つ瀬がねェな」
「まったくだね……ゼウス! プロメテウス!
リンリンの言葉に「ひょぇ~っ!!」と怯えながら、二体のホーミーズは素早くリンリンの後ろへと引っ込んでいく。
そして――――。
「グララララ……来るぞ……ッ!!」
「これで沈んでくれるなよ海賊共ォ……ッ!!!
〝スマッシュ・ブラスター〟ァァァッッ!! 」
空を切った右拳から、あまりにも凄まじい黒雷を纏った衝撃波が拡散していく。
それは後に、『四皇をも沈める威力』と言わしめるプロデンス王国の“戦う王”、エリザベローⅡ世が放つ〝キングパンチ〟と同等か、それ以上の威力のものであった。
劇場版キャラは設定を幾つも盛れるからいいわぁ……
ゼット先生ほんと好き。
だから滅茶苦茶盛っても問題ないよね?
見習いのカイドウくん
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独立して五番目の海の皇帝
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四皇の最高戦力として活躍