ゴッドバレーと呼ばれる島には、何かは分からないが天竜人が一家揃って旅行に来るほどには見栄えの有る『何か』があるらしい。
天を衝くような切り立った岩山が数多く聳え立ち、反対に地面に入った亀裂は深淵に届くと思えるほどに深い。
「ハハハ……やっぱりそう簡単にはいかねェよなァ!! 海軍ッ!!」
そんな場所で、アリの一匹も通さないと言わんばかりにゴッドバレーの地を踏みしめているのは、海軍。
ガープ、センゴク、ゼファーは勿論、現在の三大将や元帥、その他の将校や将兵、雑兵まで、マリンフォードがすっからかんになっているのではないかと思えるほどに海軍の戦力が此処に集まっていた。
「少し前から様子がおかしいと思えば……まァ、大体察しはつく。
――――ここで、決まるんだろう?」
「あァ。今までおれたちが勝ち続けてこようが、ここで負ければおれたちの野望が果たされることはなくなる。
だが、同時に目標はもうすぐ目の前にある。……気合いが入るぜ」
ニューゲートとロックスが会話をしている最中にも、島の周りを囲んだ何十隻にも及ぶ海軍の軍艦が私達の海賊船を取り囲んでいく。
空に浮かんでいるため、普通の大砲なら当たることはないが、なにせ海軍にはガープやゼファーと言った素手で大砲よりも速く弾を投げられる化け物がいる。油断はしてはならない。
「……この数、正面から相手するのは厳しいな。
おれは先に目的を果たしに行く。テメェらは周りの海兵共を蹴散らしておけ」
「了解」
「……了解」
「「……」」
私を含め、船首に集まっていたロックス海賊団の最高幹部の内、ロックスの命令に答えたのは私とニューゲート。
その通りに動くだろうけれど、ロックスに従うのは気に食わないと返事を返さなかったのがリンリンと“銀斧”。
「……それじゃあ、まずは『選別』と行こうか」
この先、地獄が広がることが確定したゴッドバレーで、まずは私達と同じ土俵に立てるかどうか。
それを見極める為に、私達は島と、周りの海域全てに向けて覇王色の覇気を放った。
それだけで、戦う力を持たない海兵たちは次々に倒れていく――――だが、
「へェ……意外と耐えるみたいだねェ」
「ゼファーが私達を襲ってきてから二年間、いやに海軍の精鋭が出てくる機会が少ないと思ったら……。
おそらく、この二年で海兵たちのレベルを全力で底上げしていたんだろう」
私達五人の覇王色で倒れたのは、全体の三割ほど。それも、そのうち二割ほどが軍艦の上に居た人たちであることから、戦う力を持つ人物とそうでない人物をうまく振り分けたらしい。
「ハハハ。お
「修行相手が増えた……そうだろう? カイドウ」
「あァ! 派手に暴れてやろうじゃねェか!!」
だが、少なくとも私とカイドウには関係のないことだ。
海軍の精鋭たちが私たちの為にわざわざマリンフォードを空にしてまで来てくれたのだ。それはつまり、私が初めて海賊になった時のような、命を落とす一歩手前のような戦闘ができるかもしれないということ。
「お前ら揃って戦闘狂だねェ……まァいいさ。おれもアイツらから
「グラララ!!! 久々に、全力で暴れてみるのも悪くはなさそうだ!!」
「
「
ロックス海賊団の最後の戦いの火蓋は、切って落とされた。
「“金獅子”のシキを捕らえろォッ!!」
「雑兵にやられるほど、私は手加減してやれる自信はないな。
〝獅子威し“地巻き”〟ィッ!!」
飛ばしていた船を沿岸部分に下ろせば、船から降りる海賊とそれを防ぐ海軍とがすぐに激突した。
私は能力で空を飛びながら島の中心部分に降り立ち、そして私にとびかかってきた海兵たちを今まで民間人にしていたような、非殺傷の技は使わず、一人残らず生き埋めにしていく。
ロックス海賊団に所属したこの二年間で、私の能力の幅はかなり広がった。
今まではこの〝獅子威し〟のように触れて浮かせたモノの粒子レベルに細かい操作は、自分を中心にして半径100メートルくらいの範囲でしかできなかったが、今は違う。
「うわっ!? 何だ、足元がっ!?」
「見ろッ!! 山が――――……崩れていくッ!!」
「ジハハハハッ!! これだけ人数がいるんだ。そう簡単に全員いなくなってくれるなよッ!!
〝獅子威し・
ゴッドバレーの切り立った山々の粒子を全て浮かばせて、数百、数千に及ぶ獅子の顔を作り上げる。
先ほど〝獅子威し“地巻き”〟を手始めに打ったのは、多くの海兵をあの獅子の顔面が呑み込んで生き埋めにしたところを見せるため。
意味もなく逃げ惑うのなら、簡単に動きは予測できる。
しかし動かなければいいという訳でもない。わざわざ腰を抜かして動けないヤツを狙わない程、こちらも優しくはないのだ。
数多の獅子の顔面が海兵たちを襲っていく。
海兵を飲み込んだ獅子はそのまま地面へと帰っていき、〝獅子威し“地巻き”〟の廉価版のような小さな柱を作り出す。
もはや、それは蹂躙以外の何物でもない。怖さに駆られて逃げ出す、あるいは動けなくなった海兵はたちどころに飲み込まれ、戦う事を選んだ海兵も一つの獅子の頭を斬ったと思えば、その背後からすぐさま襲ってきた獅子に飲み込まれ、大きな土のアートとなっていく。
――――だからこそ、こんなに海兵を葬っているロックス海賊団の最高幹部の私に、海軍の最高戦力をぶつけないはずがないのだ。
「――――!! やっと来たかッ!!」
「〝スマッシュ・ブラスター〟ァァッッ!!」
バリバリ、と黒い雷が大気中に轟き、発生したとんでもない衝撃波が空に浮かぶ数多の獅子を全てただの土塊へと戻していく。
無論、その渦中にいる私がその攻撃を受ければひとたまりもないことは明らかだ。
「〝獅子舞い・
私の周りに集めた獅子の頭にはせずに残しておいた岩盤に武装色を纏わせて、私を討ちにやってきた海軍中将“黒腕”のゼファーの攻撃を防ぐ。
覇気を纏った岩盤と、ゼファーが放った衝撃波がぶつかり合って暴風が巻き起こる。
私の肌を撫でるゼファーの覇気の強さに、思わず笑みが零れる。
自身の『自由』を守るために強さを欲していた私だったが、いつしか強さを身に着けるための死闘というものに悦楽を感じるようになったのだ。
自分と相手、ほぼほぼ実力が拮抗しているようなヤツと戦い、どちらが強いのかを決する。
ニューゲートやリンリンなんかとは決着がつかずに、酒盛りやお茶会になることも多いが、それはそれでいい。
実に久々の、『強敵』との戦い。
二年前、“王直”と殺し合いをしてからめっきりなくなってしまった、私のひそかな楽しみ。
「……ジハハ、流石は未来の海軍大将と言ったところか。
私とゼファーの激突の余波で、下でアートを作っていた土の柱は皆一様に崩れ、中に生き埋めにされていた海兵たちが地面へ放り出されている。
私への牽制もあったのだろうが、ゼファーは私が防御をしてくることを読んできっとあの衝撃波を放ってきたのだと思うと、体のゾクゾクが止まらない。
「“金獅子”のシキ!! 二年前のあの時、お前は捕まえておくべきだった」
「……生憎、私は海軍に捕らわれる程弱くはない。それに、私のモットーは『自由』なんだ。インペルダウンに入って『不自由』な生活だけはしたくないのさ」
私は能力で浮かびながら、ゼファーは“月歩”を使いながら空中でにらみ合う。
「フン、お前のその『自由』とやらで、一体何人の民間人が犠牲になってきた!? お前のその『自由』とやらは、今日、このゼファーが終わらせてくれるッ!!」
「私は民間人を殺した覚えはないんだけどね……そう言ったって信じてもらえないんだろう? ただ、向かってくるなら容赦なく叩き潰すッ!!」
「
「
ゼファーの拳と、私の武装色を纏った巨大な獅子の牙が激突して、またしても衝撃波が発生する。
遠くから、ニューゲートが全力で大気を叩いた音が響き、リンリンがゼウスとプロメテウスとナポレオンの能力を全開放して暴れまわってる姿が見える。
戦いは、始まったばかりだ。
ちなみに対戦カードは
シキ VS ゼファー
白ひげ VS センゴク
ビッグ・マム VS 中将軍団
カイドウ VS 手頃な将校
となってます。“銀斧”は描写がめんどくさいのでナシ!!