私も一度できたものをプレビューで読んでいるのですが、やはり自分が書いたものだからか展開を知っているために誤字っててもあまり気付かないんですよね……。
学校のテストで「見直しをしろ」と言われても、自分の答えが合っているという固定観念があるから間違ってても気付かない現象と同じです。
……すみません、言い訳です。できる限り気を付けたいと思います。はい。
「〝雷鳴〟ィッ!!」
数多の海兵を吹き飛ばした金棒が振り上げられる。
ロックス海賊団『見習い』なはずのカイドウは、この戦場において無類の強さを誇っていた。
幼少の頃から戦場で戦わされ、拾ってくれたシキの船で六年間彼女に扱かれ、そしてロックス海賊団で二年間“白ひげ”や“ビッグ・マム”と言ったビッグネームと戦い続けたカイドウの実力は、海賊団に乗っている下手な海賊よりも洗練されたものだった。
「〝八卦〟ェェッ!!」
「くっ!!? 〝
バゴォーンッ!! と、凡そ人体から鳴ってはいけないような音が、辺り一帯を支配した。
カイドウが金棒でぶん殴ったのは、海軍本部の『少将』。
四式使いで、将来も有望な少将であったが、カイドウの一撃を受けて暫く歯を食いしばった後、白目を剥いて倒れた。
「モーブ少将!!」
「ウォロロロ……良い硬さだったが、まだまだ足りねェ。何もしてねェリンリンの皮膚の方がまだ硬いな」
比べる対象が明らかに別次元だが、色々と価値観がぶっ飛んでいるカイドウはそれに気付かない。
この強さで『見習い』だなんて、他の構成員や幹部たちは一体どんな強さをしているんだ、と海兵たちが震え上がるも、目の前の悪を捕らるべく海兵たちは決死の特攻を仕掛けていく。
「かかれェッ!!」
「力で駄目なら数で押し倒せェ!!」
「海軍の力を見せる時だ!!」
「『平和』を守るため……テメェたちがかかってくる理由はおれと船長が掲げる理念と同じだが……」
四方八方から迫ってくる海兵たちを見て、カイドウは笑う。
海兵が『平和』を奪われないために自分たちにかかってくることに対して、カイドウは少しは分かり合える点があるかもと嬉しくなるが、
「『強さ』がなくちゃ、守るモンも守れねェだろう!!??
〝百鬼夜行〟ッ!!!」
覇気を纏った『八斎戒』を的確に叩きつけながら、カイドウは襲いかかる海兵の群衆に向かって突っ込んでいく。
水面を叩いたときに飛び散る水しぶきの如く、カイドウが金棒を叩きつけるたびに海兵たちが空へ舞う。そして重力へ引かれて再び地面に叩きつけられ、気を失っていく。
その様子は、さながら人間の雨。
カイドウの進撃は止まることを知らず、次々に海兵を蹴散らして突き進んでいく。
こうしていれば、自分が危険因子だと判断されて―――、
「〝
「ッ!! ぬおぉぉぉぉおぉおおおッ!!?」
強いヤツが倒しに来る……!!
カイドウの狙いは的中し、背中に『正義』の文字が書かれたコートを羽織った海軍の将校がカイドウを殴り飛ばす。
その威力をカイドウは地面に体重をかけて相殺し、自分を殴り飛ばした相手を見据える。
「ジナル中将!!」
「ロックス海賊団『見習い』……そうとは思えん強さじゃな。生かしておいては将来とんでもない大物になるじゃろう……
貴様は今日、儂がここで倒す……!! 海の平和のために、危険因子は排除させてもらおう!!」
ジナルと呼ばれた彼は齢79にして未だに最前線で活躍する海軍本部の中将であり、『ギチギチの実』を食べた加圧人間。
白髪に染まった長髪を後頭部でひとつ結びにしており、その顔には長年の戦闘の中でついたと思われる一筋の剣の傷が残っていた。
「ウォロロロ!!! テメェからは強い気配がしやがる!!
退屈にさせてくれるなよッ!!??
〝金剛鏑〟ァッ!!」
「ッ!! 覇気をッ!? っ、〝
カイドウの『飛ぶ打撃』と、ジナルの『圧縮された空気』がぶつかり、鈍い音が辺りに響く。
その遠くで、二つの衝撃波がぶつかり合い、周囲の地面を抉り取ばし、海兵と海賊問わず人間が宙を舞っていた。
「
「
二つ名の通り、『悪魔の実』の能力で仏と化したセンゴクの衝撃波と“白ひげ”の震動がぶつかり合う。
地面がめくれ上がり、二つの衝撃波のぶつかり合いの中心から発生した暴風が、人を質量など持っていないと言わんばかりに吹き飛ばしていく。
辛うじて耐えることのできた海軍の将兵たちも、その戦いを遠巻きに眺めることしかできない。
向かえばセンゴクの邪魔になることは分かっているが、それよりももっと単純に、ぶつかり合う強大な覇王色によって近づけないのだ。
あそこへ向かえば、問答無用で意識を失う―――そういう理性的ではない、本能的な部分でそれを感じていたために、彼らはセンゴクを信じて眺めることしかできなかった。
「グララララッ!! 久しぶりだなァ、センゴク!! この島のこの警備……お前の差し金だろう?」
「貴様と話す事など何もないッ!! “白ひげ”、貴様はここで捕らえる!!」
「連れねェ事言うじゃねェか!!
〝
「〝八衝道・
“白ひげ”は笑みを浮かべながら、センゴクは険しい顔をしながら互いに攻撃をぶつけ合う。
敵とはいえ、両者はかれこれ十年以上の付き合いになる者同士。それに、どちらも頭のきれる者として互いを認知しているのだ。
それ故に互いの動きの癖なんてものは熟知しており、そのため実力は拮抗し中々決着はつかない。
「ぬんッ!!」
「うおぉッ!!」
二人の攻撃がぶつかり合うたびに、周囲一帯の地形が大きく変わる。
そうして攻防を続けていた二人だったが、突如ものすごい勢いで迫ってきた何者かの気配に気が付き、そしてそれが攻撃の構えをとっていることを察知して即座に距離を取った。
「―――〝
つい先ほどまでセンゴクと“白ひげ”が立っていた場所を、一筋の巨大な斬撃が突き抜ける。
そして二人とも、この攻撃を放つことのできる人物を一人だけ知っていた。
麦わら帽子をかぶり、その右手に握られているのは『最上大業物』の一つである最高級のカトラスである『エース』。
現在ロックスと交戦中であるガープの宿敵であり、“金獅子”、“白ひげ”、“ビッグ・マム”などと並んで“鬼”の異名をとる大物海賊。
「ロジャー……なんでここにテメェがいやがる……?」
「ゴール・D・ロジャー……!!」
「わはははは!! 世界最恐とも言われる『ロックス海賊団』と海軍の殆どがこんな島で祭りをやってると来ちゃ、いかねェ道理はねェだろう?
……まァ、本当はここに来たのはロックスに仲間をやられたからだがな」
よく見てみれば、島の沖にはロジャー海賊団の船が停泊しており、ロジャー海賊団の面々が辺りの海兵と戦っているのも見て取れた。
ロジャーは『エース』をカチャリと鞘に収めると、「さて」と覇気を滲ませながら二人に問いかける。
「―――ロックスは今、どこだ?」
怒りに満ち溢れ、今にも暴れ出してしまいそうな猛獣のような雰囲気を漂わせているロジャーに、センゴクも“白ひげ”も思わず冷や汗が流れ出る。
ロジャーが新世界入りしたころからの長い付き合いである“白ひげ”でさえ、こんなにも怒り狂っているロジャーは見たことがなかった。
「……島の中央部よりさらに奥、巨大な渓谷の下にある巨大遺跡で、大将三人及びガープと交戦中だ」
「おう、そうか! ありがとよセンゴク!」
「……」
海賊は全員捕らえるべき悪だと断じているセンゴクであるが、状況が状況。
ロジャー程の海賊がロックスを倒したいと言っているのならば、むしろ手を貸してもらった方が好都合だと合理的に判断を下し、ロックスのいる場所を示した。
「センゴク、お
「あくまでも海賊の同士討ちを促しただけだ。事が終われば、貴様もロジャーも、全員インペルダウンへぶち込んでやる」
センゴクの嘘偽りのない言葉を聞いて、“白ひげ”は笑って『むら雲切』を構える。
「……グララララ!! 安心したぜ。―――水差されちまったが、続きと行こうかァ?」
「言われなくとも、貴様をここで討ち取らなくてはならないからな。行くぞッ!!」
静謐に包まれていた戦場が、再び揺れる。
『島の中央部より奥』―――そうセンゴクに伝えられたロジャーは、愚直にそこを目指して一直線で進んでいく。
「待ってろよロックス……!! お前は絶対におれがぶっ飛ばしてやる……!!!」
ロジャーが走っていくその先では、岩盤でできた巨大な獅子が吼え、黒い衝撃が迸る。
「……お? ありゃあ、何だ!? ライオン……!!?」
「〝獅子威し・
「〝スマッシュ・ボンバー〟ァッ!!」
黒い鎧をまとった岩盤の獅子の奔流と、黒い鎧をまとった拳の波動がぶつかり合う戦場で。
「―――ッ! お前は……!!」
「なぜここにお前がいるッ!! ゴール・D・ロジャーッ!!」
「よォ、ゼファー!! 久々だな!! そしてお前は……うわさに聞く“金獅子”だな?」
“金獅子”と“鬼”は、初邂逅を果たしたのだった。
・モーブ少将
カイドウくんにやられた、映画とかでよく見る「鉄塊!!……ぐぼぁ」おじさんと同じ役回りのモブ。出番は二度とない。
・ジナル中将
本名はオーリ・ジナル。オリジナルのジジィ中将。この戦いで生き残ったとしてもエッド・ウォー辺りまでには歳で死んでる。ギチギチの実の設定は元々考えていたが、オリキャラを出す場面があまりないのでこの人に食べさせた。
・センゴクの技
元ネタは仏教の教えの一つである『八正道』から。
『
作者が仏教学校に通っていたのでセンゴクさんの技名設定はやりやすかった。