そしてオリキャラが一人増えます。
「――――見えて来たな。海賊島が」
ニューゲートに命を救われてから、更に年月が経った頃。
『興味ない』などと、自身の力を過信して驕っていた台詞を撤回して、新たに二人の仲間を迎えた私、いや私たちは、
三人で乗るには些か大きすぎる気がしなくもないガレオン船を能力で制御しながら島の船着き場へ下ろしていく。ハチノスにいる海賊共がアホ面でこちらを見ているが、慣れたことだ。
「パトラ、島へ上陸する。必要なモノがあるんだったら買い出しの準備をしておけ」
「分かりました!」
旅の途中で出会った航海士兼船医のパトラに声をかけると、そう返事が返ってくる。
マリンブルーの瞳に、それを隠すように伸びたワインレッドの髪の毛は、私みたいに跳ねたりしないで真っすぐ肩甲骨のあたりで揺れていた。
その前髪で前が見えるのか気になるが、本人曰く「見えているから大丈夫」とのことらしい。
「見習いッ! 錨を海に沈めておけ!!」
「――――ふんッ!!!」
続いて声をかけた見習いが、踏ん張りながら錨を命令通り海に沈める――――のではなく、思い切り私に向かってぶん投げて来た。
凄まじい速度で投擲されたそれを、私は愛刀で弾くまでもなく素手でつかんで海へ放り投げ、下手人の方へと視線を向けた。
鍛え上げられた筋肉に、
「……私は海ではないぞ? ――――
後に『世界最強』と称されることになる怪物、カイドウ。
たまたま航海していた時にウォッカ王国を通りがかり、その時にたまたま彼を拾ったのだ。
最初は私に近寄らず、飯も食わなかったカイドウだが、ある時を境にこうして私とじゃれ合うことも増えたし普通に飯を食うようにもなった。
その時既に私の船に乗っていたパトラが「で、伝説の少年兵、カイドウ!!??」と怯えていたが、今ではすっかりカイドウの天然ボケに対するツッコミ役になってしまっている。
「チッ……んなこたァ分かってる」
「船番は任せたぞ」
「お願いしますね、カイドウくん」
まだ見習いで、若いカイドウとはいえ、その強さは折り紙付きだ。
今この島でカイドウを下せそうなのは……いや、意外と多いな。ただ、進んで敵船を襲うような奴らはいないというのは分かった。それなら安心だろう。
「ほ、本物の“金獅子”だ……」
「ウォッカ王国のカイドウを引き入れたっていうのは聞いたが、隣の女は誰だ?」
「えらい美人だぞ……」
更にこの数年間で、私のネームバリューも懸賞金と共に上がった。
ニューゲートに助けられたころの金額が4億5000万ベリーで、現在の懸賞金が11億6000万ベリー。
しかし、パトラの存在は私が意図的に隠しているのであまり知られていない。彼女も『悪魔の実』の能力者だが、人前で使わせたことは一度もない。勿論、カイドウにも。
その原因はパトラの食べた『悪魔の実』の強さや貴重さにあるのだが、その話は後でするとしよう。
とにかく、今は私をここへ招待した、この島の元締め――――ロックス・D・ジーベックと話をするべく、ハチノスの象徴ともいえる島の中心に聳える髑髏の巨大な岩をくりぬいた、ロックスの居城へ足を進める。
私の他に、そこへ向かう大きな気配が幾つか。
ニューゲート、それにリンリンの覇気も確認できる。
そうか。これから始まるのか。
あの海賊団が。
――――
「センゴク中将!! 海賊島〝ハチノス〟の巡視船より、『ハチノスへ新世界の億越え海賊たちが多く集まっている』との報告が!!」
「なんだとっ!?」
後の世界では『楽園』と称されるところにあるのは、正義の軍隊『海軍』の総本山である海軍本部〝マリンフォード〟。
そんな海軍本部は、現在新世界の巡視船よりなされた報告によって大騒ぎとなっていた。
「報告によれば、集まったメンバーには“銀斧”や“王直”、キャプテン・ジョンなどの他、“白ひげ”や“金獅子”、シャーロット・リンリンなどの大物もいるようです」
「ハチノスとなると……やはり『アイツ』か」
報告に上がった海賊たちの名前の大きさにセンゴクは頭を抱えつつ、恐らくその中心にいるのは報告に遭った海賊島の元締めであり、世界を騒がせている“海の悪魔”だと推察する。
基本的に仲間を連れていることはなく、それでもなお向かわせた軍艦を悉く沈めて高らかに笑う姿は、まさしく悪魔と言って差支えのないもの。
先日向かわせた海軍大将が痛手を負わせるも取り逃がしてしまい、悪い意味で話題が尽きない海賊。
しかし、海軍大将と、引き連れた軍艦をも退けてしまうほどの力を持った人物が、新世界の億越えの海賊を集めて何をしようと言うのか。
センゴクはその一点で引っ掛かっていたが、万が一その集まった億越えたちを従えるような事態にでも陥ってしまえば、是が非でも世界が揺らぐような大事件へと発展しかねないことは明らかだった。
「じきに元帥殿から命令が出るはずだ。万が一に備えて我々も準備しておくべきだろう」
「ハッ!」と敬礼して部屋を退出した海兵の後ろに続いて、センゴクも部屋を出る。
とにかく、今の自分が考えている『もっともあり得て、もっとも最悪な展開』を同期たちに伝えなければと思ったからだ。
集った海賊の誰か一人でもロックスに与してしまえばそれだけで大損害が出る事は間違いない。
海賊というのは基本的に自分勝手であるから、利益を見出せなければ誰かの下に付くなど考えづらい。
だがセンゴクの心から嫌な予感は離れてはくれなかった。
海軍大将と、その大将が引き連れた軍艦を一人で撃退するほどの力を持っていたとしても、ロックス一人ではなすことのできない事。
「海賊たちが食いつく『餌』なんぞ、今分かりやすく世界中に根を広げているじゃないか……!!」
正義の軍隊として、それだけは避けなければならない事。
もしロックスがハチノスに集った海賊たちをけしかけて
そして、更に懸念点があるとすれば。
「“白ひげ”の海震も厄介だが、それ以上に“金獅子”がロックスについた場合、相当厄介なことになる……」
海賊船と言うのは基本的に帆船である。
故に船は風に沿ってしか進まず、風がなければ海の真ん中で止まってしまう事もしばしば。
だが、それを覆してしまう能力を有しているのが“金獅子”のシキ。
「空の上からの奇襲も、
余程の風でない限りはこの世界を自由自在に行き来できてしまうという、海路しか持たない海軍にとっては厄介極まりない能力。
「ガープ!! ゼファー!!」
募る焦りや不安を共に過ごしてきた同期たちに共有し、同じことを大将や元帥にも報告しに行く。
「――――今日はお前らに、『
“海の悪魔”が醜悪に笑い、集った海賊たちが次々にそれに引き込まれていく。
あるものはそれで『自分が欲しいもの』が手に入るのかと所属を決意し、あるものはそれに不信感を抱きつつも『自らが望む世界』の為に所属を決意。
そして、あるものは『自由になるための強さ』を求めて所属を決意した。
「パトラ、カイドウ。私たちは、ロックスの下へつく」
――――世界を飲み込む悪夢は、もう少しで始まろうとしている。
パトラについては後々。
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
結果としては『何らかの方法で老いを克服する』の方に決定いたしましたので、そちらの方で話を進めさせていただきます。
見習いのカイドウくんですが、一応主人公から巣立つルートと、そのまま残留するルートのどちらも考えてます。
普通に独立して原作軸で主人公含め五皇と呼ばれるか、ウルージさんに「人に従うような男には見えないが……」と言われるか。
まぁ予想通りアンケートで決めようと思いますので、投票の程宜しくお願いします。
見習いのカイドウくん
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独立して五番目の海の皇帝
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四皇の最高戦力として活躍