ゴルシの親友(純度100%の幻覚)すき
【LIVE】pippi564さんが生配信をしています【1:03経過】
はーい、よーいスタート。
俺の愛バとの出会いで世界がヤバいRTA、はーじまーるよー。
……いや、何これ?
台本置いてあったからとりあえず読んでみたけど、どうなってんの?
あっ『配信中』って出てる……。ということはあれか、少なくとも、どっかに電波は繋がってるわけだから……、そうすると……うん。
えー、というわけで皆さん、こんにちは。
一体どこのどなたがご覧になってくださってるのかはわかりませんが、本日はどうもありがとうございます。
中央トレセン所属のウマ娘、ゴールドシップの担当トレーナー……配信だしハンドルネームでいいよね?
改めましてこんにちは、ゴルシTことpippi564です。真実をお話しします。
そりゃあね。私も現代っ子だからさ、わかりますよ。自分がいま何やってんのかは。
パソコンとゲーム機、モニターがそれぞれ2つ。パソコンの方は動画投稿サイトの生配信画面開いてて、ゲーム機の方は……何でしょうね、知らないゲームのオープニングムービー流れてますけれども。えげつないクオリティの3DCGだな、フロムの新作か? まぁそれはさておき。
これはもうアレでしょう、わた……ピッピにこの知らないゲームをプレイして、実況配信をやれと! そういうことでしょう!
……ただ、あの、ピッピも実は自分の状況がよくわかってなくてですね。
ピッピ、今どこに居るか皆さんわかります? マジな話、ピッピはわかんないです。
昨日……ピッピの主観で昨日、ね。まぁ普通にオフの日だったんで、ゴルシの調整メニュー考えたり、幽遊白書読み返したりしてたんですよ。
そうしたら珍しく、ゴルシがピッピの部屋まで訪ねてきたんです。いや担当と不仲とかでは全然ないんだけども、あの子、自由人だし友達も多いでしょ? あくまでトレーナーと担当ウマ娘の間柄ってのもありますし、実を言えばこう……ジェネレーションギャップを感じることも多々あって。だから同じ女子とはいえ、休日一緒に遊ぼ〜みたいなの意外と無かったんですよね。
何の用事だろう? 遊びに来ただけか、それとも真面目な相談かしら、とか思ってドア開けたら……。はい。
そこに居たんですよ。サングラスとマスクの妖怪が。
いやあのね、先輩……『スピカ』のチーフからは聞いてたのね。
あっ、これ前にチーフが言ってた『ゴルシが他人を拉致る時の装備』だと思って。
すぐにドア閉めたら、そのあと動きが無いから───アレッと思って外出たっけ、ゴルシ飛んでって、もうお姫様抱っこさ!
そして麻袋に突っ込まれ、知らない車に載せられ、気がついたらこの謎の部屋に居たというわけです……。
ピッピだってバカじゃないんでぇ、そら最初は逃げようとしたんですよぉ。
でも何か、ドアの覗き窓から外の様子見たら、どこもかしこも真っ黄色な地下室っぽい空間が広がってたんですよね。秒で諦めるでしょこんなん。
まぁ〜ゴルシのやることですから、多分何か意味があるんでしょうね〜。考えも無しに担当トレーナーをデスゲームに放り込むような子じゃないんで。
幸い部屋には電気も水道も通ってますし、お風呂やトイレにベッドもありますし、何故か着替えと
……控えめに言って天国ですねここ。絶対に私をカンヅメにしてこのゲームを遊ばせるという意志を感じる。
しょうがねぇなぁ。相変わらず意味はわからんけど、その挑戦受けて立つぞゴルシィ!
さぁて、いっちょやったりますかァ……!!
◇ ◆ ◇ ◆
つーわけで、ゴルシちゃんの愛しきトレピッピは今、この宇宙に存在しない。
正確に言うと、トレピッピじゃなくて
<───……シップ。シップ>
ダイナー・レッドラムでの密会を終え、
頭の中に奇妙な声が響いた。男とも女ともつかない奇妙な声色。
「んだよ、『エデソ』」
アタシが名前を呼ぶと、何も無い空中に白い閃光が迸り、一本の棒状の物体が現れた。
絡み合う木の枝のような、捻じくれた槍のような、鈍い金色もしくは光沢のある黄土色をした短槍。
先端部には黒いウマ耳に似た飾りが付いており、うっすら何となく神々しい雰囲気がしなくもない。
<いやぁ、あれが
「オメェーなぁ、ジャス……エデソ。実装どころか権利許諾前からそういう安易なキャラ付けはやめろって、散々言ってんだろ」
<ふふ、よいではないですか。世間の期待に応えるのも人気者の役目ですよ。ねぇ、我が友ゴールドシップ?>
「何で今フルネームで呼んだ? 急に湿度上げないでくれね?」
<しかし実際どうなんでしょうね。我が主はこの手の企画には理解がある方だと思っていたのですが。想像するに、あのゴリラはともかく───」
「お前それ以上はマジでやめろ!!」
……こいつは『エデソ』。
いわゆる異世界とか多元宇宙とかパラレルワールドとか、そういう遠い場所から流れ着いた武器、あるいは神器だ。
アタシは始祖の三女神からの託宣と共に、いくらかの知識を与えられた。こいつの存在もその一つだ。
<では話題を変えましょう。……マックイーン翁に、話してよかったのですか? いえ、どうせ話してしまうなら、黙っておくべきでなかったこともあるのでは?>
「クソッタレ。ギャグとシリアスの温度差デカすぎて風邪引くわ」
とはいえ、実はエデソは過去に何者かによって持ち出されたことがあり、その時に力を使い果たしてしまっていたらしい。
だから───既に壊れていることを逆手に取り、三女神サマが存在を予想できない手札として運用することにした。
「……。いいんだよ。いや、よくはないかも知れねぇけど。今夜のことはアタシの気持ちの問題でしかねぇ。……アタシだって……」
日本は
完全再現とはいかなかった──元々のサイズからだいぶ短くなっちまった──けど、まぁまぁ使える程度には復元してもらえた。
<
んで、直した途端に何か喋り始めた。
しかも、何故かアタシのことを『我が友』と呼び、一見丁寧な物腰で訳知り顔に毒を吐く謎の人格が生えている。
本人(本槍?)曰く『正確にはエデソは壊れていたわけではなく、"先代エデソ"の魂───要はある種の
アタシはこんな肝の太い一般通過ウマ娘と友達になった覚えは無いのだが、不思議と話しやすいのもまた事実で、そのへんの追及はなぁなぁになっている。
「言ってろ。だいたい、説明しようったって突拍子も無い話が多すぎんだよな。アタシもやれることはやったけど、大事な部分は一から十までお前の入れ知恵だったじゃねーか」
<私が要求した水準の人材や資源に、バッチリ伝手があるあなたも大概ですけどね。特にあの蒼崎とかいう魔術師───>
「それこそアタシっつーか、トウコの姐御のコネだよ。エルメロイだの
三女神の託宣といい、つくづく我が国は魔境である。
「はぁー。……にしても、未だに信じらんねぇ。ここが『トレピッピの遊んでるゲームの中』だなんてな」
そして────ここが一番重要な部分。
エデソはかつて、地球から遠く離れた異世界にウマ娘の魂を運ぶ神器だったという。
異界に送られたウマ娘は『空の試練』なるものを課され、それをクリアした者のみが、『大いなる力』を手に入れて帰ってくることが出来た。
<正確にはデジタルワールドとかコンピューターワールドみたいな、『現実と隣り合い密接にリンクした仮想現実』ですがね。尤も、
だが、一度機能を停止して沈黙し、再び蘇ったエデソは大きく変質していた。
その能力は……何かもうスケールがデカすぎて言っててバカらしくなるけど、ズバリ『
「まるで胡蝶の夢だ。ぞっとしねぇな」
<ウマ娘一人育てるのに時間が欲しい、と言ったのはシップじゃないですか。実際、『敵』を倒したいだけなら、
「あ? ダメに決まってんだろ」
アタシたちが生きてる世界とは異なる時間、IFの歴史、分岐した可能性を手繰り寄せ───事実上、現実を改変する神域の権能。
発動には多くの制約があり小回りは利かないものの、正直ドン引きせざるを得ないチートパワーだ。
<はいはい、承知してます。ただ警告はしておこうかと。あなたほどの方なら理解していただけると思いますが、ファンタジーにはファンタジーなりのルールがありますから>
「……おう」
<いま行っている『現実世界すべての仮想化』は、控えめに言って大事業です。蒼崎氏による改造を経て、私の権能を拡大解釈することでどうにか維持できているものだ。あなたがえっちゃんとの融和に失敗した、その時は───>
「仮想世界
<おや、一度しか説明していないのによく覚えていましたね。さすがはシップです>
褒められてるはずなのに、絶妙に嬉しくねぇ〜。
このエデソ、悪い奴ではないというか、むしろメチャクチャ優しそうなのはわかるんだけどな。何でこんな胡散臭いんだろう。
<あぁそうだ、説明といえば。トレピッピさんは上手くやってくれるでしょうか?>
「大丈夫だろ。あいつ結構図太いし。アタシのUmaTubeアカウントで勝手にサブチャンネル開設した上、アタシを差し置いてASMR音声売る女だぞ」
そして、トレピッピ。彼女にはいわば『要石』になってもらっている。
<しかし……不誠実ではありませんか。何も事情を知らせずに、世界の存亡を懸けたゲームに参加させるなんて>
エデソの力はおよそ全能だが完璧ではない。『ここ』は仮想ではあれど、それでも一個の宇宙をエミュレートした
たとえ仮初めの存在だろうが、それだけの質量を持っているとなると、何かの間違いで『こちら』と『本来の現実』が入れ替わらないとも限らない。
すると、アタシがわざわざ育てたえっちゃんが『世界の敵』の本性に覚醒し、ついでに稀代のアイドルウマ娘であるところのアタシが何年か失踪していたという歴史が確定してしまう。
その場合は
「ハッ、聞こえねぇな。今のゴルシちゃんは闇堕ちモードなんだよ。敵を騙すにはまず味方からだ。うちのトレピッピが、地球滅亡の危機なんつー大層なプレッシャーに耐えられると思うか?」
なので、この世界は半分『ゲーム』であるという
作ったとは言っても、九分九厘エデソの入れ知恵なわけだが……わざわざこんな遠回りで複雑な予防措置を仕掛けたのは、他ならぬアタシの意志で間違いない。
<───不器用な方だ。本当に損な性格をしていますね、シップ>
「……うっせ」
<まぁ私はあなたのそういうところに惹かれたんですけど。ねぇ我が友ゴールドシップ!>
「マジでうっせぇ!」
何なんこの槍?
イメージ的にはエグゼイドのゲームエリアが全世界に適用されてるとか、もっと言っちゃうと人工の異聞帯みたいなものですね。
今回で3章は終了です。
次回から4章が始まります。どうぞよろしくお願いします。
果たしてえっちゃんは、栄光の三冠バになれるのか?
何だか普通のオリ主ウマ娘二次SSみたいですね。
そんなわけないだろ