騎影が行く   作:ごまぬん。

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あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

更新が遅くなりまして申し訳ありません。プロットと書き溜めが品切れになってました。(正直者)(鉄面皮)(天下無双)
あと、今回はちょっとセンシティブなシーンがありますので、その手の描写が苦手な方はご注意ください。



Make debut!

 

 時は流れて、6月。

 トゥインクル・シリーズへの出走登録を果たした新進気鋭のウマ娘たちが、希望と闘志を胸にデビュー戦(メイクデビュー)へと挑む季節。

 

 (本人曰く)星間スパイとして中央トレセンのウマ娘に扮することを選んだハルノエクリプス(『世界の敵』)もその例に漏れず、選抜レースを経て担当契約を結んだ舩坂金時トレーナーと共に、メイクデビューに向けて修練を重ねる日々を送っていた。

 

 デビュー戦、あるいはそれに敗退してから出走する『未勝利戦』で()()しなければ、トゥインクル・シリーズにおいて他のレースに出場することは許されない。

 他のレースなら2着や3着でも相応の評価が付いて回るところ、これらの場合は正真正銘、1着より下の順位には何の価値も無い。

 ウマ娘のメイクデビューとは、そこまでの苦労が初めて報われる機会というイメージとは裏腹に、そこから先の未来を決定づける運命の瞬間でもある。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 中山レース場、芝2000m、左回り。天気は晴れ。西向きの微風。

 梅雨の時期ながらここ数日は雨脚も落ち着いており、バ場状態は稍重(ややおも)に留まっている。

 

<───さぁ、やって参りました6月最終週! 集いし若きウマ娘たち、新たな世代の挑戦が、ここ中山レース場から始まりますっ>

 

<公式戦デビューの瞬間、いつ見ても背筋が伸びる思いがしますね。彼女らが一体どのようなドラマを見せてくれるのか楽しみです>

 

<それでは出走ウマ娘を紹介しましょう。まずは一番人気、ソプラノリズム! かのリズム一族より、期待の新星が……>

 

 今回の出走ウマ娘は10名。奇しくも、ハルノエクリプスが出走した『あの』選抜レースと同じ人数。

 自身を紹介する実況と解説の台詞をすべて聞き流し、観客への目礼もそこそこに、ハルノエクリプスはいつも通りの無表情でゲートに入った。

 他の出走ウマ娘たちが大なり小なり浮足立つ、あるいは覚悟を決めていくのに対し、ともすれば夢現のままぼうっとしているかのような有様だ。

 

「さすがだなぁ……。ライス、デビュー戦の時はすっかり緊張しちゃって、全然ダメだったもん」

 

「やー、言ってもライスさんは一発で勝ったんじゃありませんでしたっけ? アタシはその次でようやくでしたからねぇ。……というかアレ、落ち着いてるんじゃなくてボーッとしてるだけじゃ……」

 

「えっちゃーん☆ がんばれーっ★」

 

「推定ステータス『好調』。ソプラノリズムさんを筆頭に人気も実力も相応のウマ娘が揃っていますが、えっちゃんさんのポテンシャルを発揮するには良い機会でしょう」

 

 ちなみに、たまたま予定が合った『マーベラス同盟』のメンバーも総出で応援に来ている。

 ハルノエクリプスは10人中7番人気。それも"凡庸"と評される彼女自身の能力というより、彗星の如く現れた大型新人トレーナー・舩坂金時に対する関心の方が反映された形だ。

 少なくとも周囲の認識はそんな感じなので、この謎のGⅠ級ウマ娘集団がいったい何を見に来たのか、勘づいている者は少なかった。

 

「……。……めっちゃ目立つな、この子ら」

 

「俺たちだけでも離れようか」

 

「あぁいえ、そこまでは。人混みではぐれると危ないですし、今日居ない3人にも悪いですよ」

 

 舩坂は、穏やかな大学生風の青年───ライスシャワーの『お兄様』(担当トレーナー)と言葉を交わした。

 『カノープス』の南坂(ナイスネイチャ担当)『マスター』(ミホノブルボン担当)は所属チームの諸用で、マーベラスサンデーのトレーナーは2日前の夜から行方不明──マーベラス空間に関わった人間にはままあること──で来ていない。

 

<各バ、出走準備が整いまして───>

 

「しかし、あの子はともかく、君もずいぶん落ち着いてるな。メイクデビューの時……ライスはあれで案外図太いからまだ良かったけど、俺なんて不安で仕方なかったよ」

 

「ははは。私だって内心ヒヤヒヤしていますよ。勝負に絶対はありませんから」

 

<……そして今、ゲートが開いた!>

 

 船坂の言う通りだ。ウマ娘のレースは全力全霊の真剣勝負。絶対に勝利する方法などは無い。

 だが───それが全力全霊の真剣勝負である限り、()()()()()というものは、ある。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 自称エイリアンなのに身体能力は常識の範囲内に収まっているハルノエクリプスは、はっきり言って、メチャクチャ普通のウマ娘だった。

 何をやらせてもそこそこ出来るが、無理は利かない。どんなトレーニングを課してもまぁまぁモノにするが、劇的に強くなることは決して無い。

 例の『領域に限りなく近い()()』については話が別だが───担当トレーナーである舩坂金時(ゴールドシップ)は、少なくとも()()()()()()()()()が現れるまでそれを封印するつもりだった。

 

 ハルノエクリプスの肉体は、『ウマ娘』という種族全体の"平均値"となるように形作られている。

 それなりに速く走れる。地球で一番速度が出せるわけではない。

 それなりにパワーがある。どんな障害も打ち砕けるほどの怪力を発揮できるわけではない。

 それなりにスタミナがある。無尽蔵の体力や、特別頑健な筋骨を持っているわけではない。

 

 言ってしまえば、"中央トレセンの生徒なら誰でもそのくらいは出来る"程度の素質しか無く。

 選抜レースでの一件が人々の記憶から消去された今、ハルノエクリプスに注目する者など皆無に等しい。

 

 そして、最も近くでハルノエクリプスを見ていた舩坂金時の他に、彼女の真の力に気づいている者は居なかった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 レースは粛々と進行し、概ね盛況であった。

 エレクトリック・ライムの髪を二つ結びにしたウマ娘、シュガールギンメが現在1位。開幕より先頭(ハナ)を奪い、ジュニア級とは思えぬほどの驚異的なスタミナで、後続のバ群から逃げ続けている。

 シュガールギンメの背を追う2位は、かのリズム一族の才媛・ソプラノリズム。こちらも血統に裏打ちされた基礎能力と質実剛健なトレーニングの成果を発揮し、2番手の地位を堅持していながら、充分な余力をもって後半戦に備える。

 それから少し離れて3位・テトラビブロス、4位・ミニデイジー、5位・オリノコリエンテ。そして、ハルノエクリプスが6位と続く。

 

 デビュー戦ゆえに、その存在と実力を公に知られているウマ娘は少ない。レース展開について事前に予測を立てられるのは、各トレーナー陣を始めとするトレセン学園の一部関係者のみと言って差し支えないだろう。

 ここまでの展開は大方の予想通りだった。基本線としては、ソプラノリズムとシュガールギンメの2強。他にもトレセン学園内の選抜レースで存在感を示したミニデイジー、シャランガ、ローカルストリームといった面々が好位置につけており、3着以下はそれなりに荒れるはずだ。

 

 舩坂トレーナー擁するハルノエクリプスについては情報が少なく、正確な脅威度を算定することは難しい。

 しかし、ビギナーズ・ラックで勝てるほどレースの世界は甘くない。よほどの秘策でも無い限り、1着を取ることは考えにくく───。

 

 シュガールギンメの力強い踏み込みが、されど注視していなければそうとわからない程度に浅くなった。

 これを好機と見たソプラノリズムが打って出る。さらなる加速。その流れに追随して、テトラビブロスとミニデイジーが駆け上がる。

 オリノコリエンテはここに来て荒い息を吐く。その横をバイタルダイナモが通り抜け、また後ろからローカルストリームが一転攻勢を仕掛ける。

 まだまだジュニア級の新人というレベルの範疇ではあるが、稀に見る接戦に実況席と観客もまた大いに白熱する。

 

「よし」

 

 先頭集団が最終コーナーに差し掛かった瞬間、舩坂はぼそりと呟いた。

 ゴールまではあと200mも無い。シュガールギンメは尚も粘りを見せているものの、ソプラノリズムらの末脚を前に優位を保てなくなりつつある。

 

 

 

 やがて、バ群からするりと抜け出す、ひとつの影があった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 過剰な速度も、余計な力みも、無尽の戦意も不要。

 絶えず敵を追い、我の消耗を抑え、然るべき時を待ち、腹を空かせ弱ったところで首を落とす。

 ただ備え、ただ狙い澄まし、ただ実行するだけでいい。

 

 追走劇は終わった。その者の狩りには、一点の過ちも無い。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 きっかり3歩、半バ身差。

 劇的な勝ち方をしたわけでも、レコードを更新したわけでもない。

 しかし終わってみれば、これ以上ないと言えそうなほど鮮やかな勝利だった。

 

「わぁ~!! えっちゃんの勝ちだーっ☆★」

 

「う、うんっ。本当にすごかった……!」

 

 会場は万雷の喝采に包まれている。1着のハルノエクリプスはもちろん、2着のシュガールギンメ以下、共に競ったウマ娘たちにも惜しみない称賛が投げかけられていた。

 当のハルノエクリプスは、例によってターフの上でポケっとしていたが。

 

「初勝利おめでとう、舩坂」

 

「ありがとうございます。皆さんの応援のおかげです」

 

「うひゃ~……、序盤から好位置を維持しての抜け出し戦法。笑っちゃうくらい王道ですねぇ」

 

「しかし、最後に加速した瞬間がまったく見えませんでした。あの混戦の中で、いつの間に突破ルートを確保していたのでしょうか?」

 

「フフ。小惑星帯(アステロイド・ベルト)宇宙塵(デブリ)掃除で鍛えた、隕石避けの技術だそうですよ」

 

「なんて?」

 

「冗談です。ウイニングライブの準備がありますので、私はこれで。また後でお会いしましょう!」

 

 『お兄様』の頭上に浮かぶ大量の疑問符を尻目に、舩坂はそそくさと去って行った。

 初担当ウマ娘の、記念すべき初勝利だ。今の姿になる前にも(ゴールドシップとして)、仲間のウマ娘に助言をしたり特訓に付き合った経験はあるが、それらとはまた違った感慨を抱いて。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「……、? ういにんぐ……らいぶ……?」

 

 自分がかつての『スピカ』トレーナー(師事した恩人)とまったく同じ失敗を侵していたことに気づき、舩坂金時(ゴールドシップ)は膝から崩れ落ちた。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 いや~、良いレースでしたな~。我らがえっちゃんも無事に初勝利を飾れて何より。

 てか、デビュー戦でストレート勝ちって地味に偉業だよね。やっぱ三冠取るって明言してるような子はモノが違うわ。

 

 というわけで、ウイニングライブが始まるまでの間、アタシたちはさっきのレースやお互いの近況について雑談中。

 2着以下の子たちも頑張ってたし、話すネタは尽きない……と、思っていたんだけれど。

 

「いやぁ、お呼び立てしてすいません」

 

「ご足労いただき感謝します」

 

 気がつけば何故か、みんなでバックヤードに招集されていた。

 防犯上の理由から関係者以外は原則立ち入り禁止のエリアだが、同じトレセン学園の生徒かつ友人同士ということで通してもらえた。

 ライスさんやブルボンさんの顔パスって部分もあるかしら? すげぇぜGⅠウマ娘パワー。

 

「お疲れ様〜。ま、さすがはアタシたちの後輩ってとこかな」

 

「私はえっちゃんが勝つって信じてたよ☆ 初勝利おめでとーっ★」

 

「うん、おめでとうえっちゃん。よく頑張ったね」

 

「あぁ。素晴らしい走りだったよ、おめでとう」

 

「おめでとうございます、えっちゃんさん。そして、トゥインクル・シリーズの舞台へようこそ」

 

 皆が口々にえっちゃんの健闘を称える。当人はただ『ありがとうございます』と言って一礼。

 例によって表情筋は死滅している上になんだか普段より素っ気ない返事に聞こえるが、さしものえっちゃんとて今日は必死だったのだろう。きっと疲れているだけだ。

 

「───して、どうして我々をお呼びになったのですか?」

 

 といったところで、ブルボンさんが話を切り出す。そうそう、何の相談かな?

 ライスさんの『お兄様』(トレーナーさん)も一緒だから、『マーベラス同盟』絡みのことではなさそうだけど。

 

「はい。……実は、この後に予定されているウイニングライブのことで」

 

 ウイニングライブの……、あっ。

 この感じ、まさか───。

 

「もしかして……ライブの練習、してない感じですか?」

 

「ハハハ……お察しの通りです。レースの方を基礎の基礎から教えていたもので、そちらまで手が回らず……」

 

 ───えっちゃん(ハルノエクリプス)の素性については、既にいくつか表向きの()()を考えてあった。

 家庭環境が複雑で世間の常識に疎い、という設定──半分は事実──は『お兄様』にも伝えている。多少苦しいけれど、レースのレの字も知らないような箱入りウマ娘をデビュー戦から勝たせられるだけのトレーニングを課していた、とすれば一応筋は通るはず。

 

「困ったねぇ。ふふ……しょうがないなぁ! そういうことなら、マーベラス空間にお任せっ★ 時間の流れが2000分の1になってるエリアがあるんだ〜☆」

 

 マジで!? そんな精神と時の部屋みたいなのあんの!?

 

「魅力的な提案ではありますが、あまりマーベラスさんに負担をかけたくはないです。普段から拠点を提供してくださっていますし」

 

「じゃあ、今から詰め込みで練習? ……でもなぁ」

 

 ライブの開始予定時刻までは、あと1時間も無い。

 今日の演目は比較的ポピュラーなもので、アタシたちでもライブの流れが頭に入っているような楽曲ばかりだけれど、それを他人に教えるとなるとさすがに厳しい。

 

「いえ、ご心配には及びません。わたしは、……」

 

 えっちゃんは2秒だけ言い淀んだ。周囲を見渡し、半径3m以内にアタシたちしか居ないのを確認して続ける。

 

「ちょっとした……特技がありますので。質問ですが、この中で最もウイニングライブの技術に優れているのはどなたですか?」

 

「ライブの技術?」

 

 んー? どうだろ。そう言われると難しいな。

 ダンスに、歌に、あと(えっちゃんには期待すべくもないが)愛嬌も大切だろうし……。

 

「体力あんのはマーベラスよね。ブルボンさんだっていつも振り付け完璧だし、歌ならライスさんが上手かったと思う」

 

「え……そ、そう? えへへ……」

 

「それを言うなら、ネイチャさんも見事なものです。咄嗟のアドリブに関しては右に出る者が居ないでしょう。特にあの有馬記念での───」

 

「あー!! あー!! 勘弁してくださいその話はッ!」

 

 違うの! 自分でもわかってるの! 謎に浮かれてて変なことしたねアタシね!

 何だよ投げキッスって、そのへんのアイドルグループでも滅多にやらないぞ……!

 

「ん〜……そのへんもコミコミなら、やっぱりネイチャが適任かなっ? 歌って踊れて愛嬌抜群! えっちゃんもお顔は綺麗なんだし、ネイチャから仕草を学べばきっともーっと素敵だよ☆」

 

「うぇっ……あー、ちょ……。……マジで? 何かフツーに責任重大なんですけど……」

 

「なるほど」

 

 う……うぅん……。まぁ、事ここに至っては仕方ないか。

 可愛い後輩の門出を祝う、大切な舞台のためだ。仕上げてやろうじゃないの───1時間で、初めてのウイニングライブを!

 

「ではネイチャさん。失礼します」

 

 ゑ?

 あっ、何か既視感(デジャヴ)……!

 

 えっちゃんの能面じみた、しかしルネサンス期の絵画のように整ったかんばせが、ずいと迫ってくる。

 何だ何だと、身構えていた、はずだったのに、

 

 

 

「ん」

 

 

 ─────むにゅ、と。

 

 柔らかいものが、唇に当たった。

 それはやや湿っていて、少し冷たく、しかしその奥に秘められたほのかな熱を感じられる。不思議な感触だ。

 

「」

 

「」

 

「」

 

「ぇ……」

 

「……、……? ……?????」

 

 みんなが、鳩がレーザー光線を喰らったような顔で、こちらを見ている。

 あれ? えっちゃんは? アタシの目の前だ。それは、そう、目の前。顔が近い。ていうか、ほぼ密着してる。良い匂いもする。小さい頃、実家にあった色付き粘土みたいな。

 何故か、息が───口? アタシ、どうなって。

 

「ん……ふ、むっ」

 

「…………!?!!!??!??!???? ……んん!???!!??!??!??!?」

 

 ぬるりとした()()()がアタシの唇をこじ開け、歯列をまさぐった。再びあの冷たいような熱いような感覚が脳を駆け巡る。

 思わず肩が跳ねたのが、自分でもわかった。驚愕で機能停止しかかった理性は、なけなしの残りHPを振り絞って拒絶すべきだという声を発していたが、それもアタシの舌とえっちゃんの舌が触れ合った瞬間に消滅した。

 

「ちゅむ───」

 

「んんーっ……! む、ふ、ぅぅ……!」

 

 やわらかい。あったかい。いき、できない。

 くちのなか、えっちゃんに、すきにされて……あたし───。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「……ぷは」

 

「きゅう……」

 

「」

 

「」

 

「マベ……。マーベ……ラ……?」

 

「す……ステータス『一時的狂気』を検知……。ただちに対抗措置を……ギギ……」

 

「…………、……あっ。……あの……、えっちゃん? 今のは、何を……」

 

「はい。物理接触による神経ネットワークからの量子的……こほん、いえそうではなく。わたしは……ある種の共鳴みたいなもので、()()()()()()人の身体に触れることで、その記憶を読み取ることが出来ます。()()()()()()()()です」

 

「……つまり?」

 

「先程の接触で、ネイチャさんの記憶をコピーさせていただきました。ネイチャさんの知識でアップデートされた今のわたしには、歌唱もダンスも"ふぁんさ"も容易いこと。最高のパフォーマンスをお約束しましょう」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「……しかし、念には念を入れておきたいですね。もう1件くらいサンプルが欲しいところです。───ですので、ライスさん」

 

「え?」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ウイニングライブは大成功だった。

 その陰に約2名のウマ娘の犠牲があったことを、人々は知らない。

 

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