あけましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
1月中に投稿できてよかった……。
「行きなさい、ファンネル!!」
ダスクローズの左背部、コンテナに収められた
絶対無敵ハッピーミーク号が装備していたものより小さく、また数が多い。ロックオンした敵機を複数基で包囲する機動を取り、擬似的に多対一の状況を強制する恐るべき兵器だ。
補給と再使用の機能を持たない使い捨てだが、それ故に自壊すら厭わぬほどの瞬間出力を有しており、小型ながら総火力は高い。
「───……」
ハルノエクリプスの視線が、電撃的な速度で周辺空間を走査する。
レーザードローンは脅威として大きく目立つものの、
全方位から襲い来るレーザーの雨霰に、強烈な運動エネルギーを伴う実体弾が交じる。
火力型アサルトライフルの鋭い一射、重機関銃のばら撒くような弾幕───恐るべきことに、そのいずれもがある意味では本命であり、ある意味では本命ではない。
「……、っ」
見る目のある者が見れば理解できるだろう。ハルノエクリプスの駆るレギオンズワンは、ここまでに一手たりとも
重力と慣性を味方につけ、ステージの壁面を蹴りつけての即時反転──スカイファルシオンが見せた三次元戦法と同じ──も用いて、間断なく加減速を繰り返す。
中量二脚型の限界を超えた速度、旋回性能を引き出し、被弾を最小限に抑え、最大限の火力を発揮する超人的
そして───それほどの挙動を実現して尚、
「さすが、よく動きますが」
理由は単純。レギオンズワンの装備では、射程が足りていないのだ。
拡散型バズーカとパルスブレードは共に近接迎撃用で、唯一有効なのは連装ミサイルのみ。それも、
「それでは追いつけませんよ。私のダスクローズには」
四脚型UCは背面ではなく下半身に
「……速い。それに」
加えて、パイロットであるミホノブルボンの特性ゆえか、射撃精度が尋常ではなかった。
ウーマード・コアの
しかし、ミホノブルボンのダスクローズは"重武装の高速機"という矛盾を実現するため、耐久性の欠如を承知でフレーム・装甲の重量を切り詰めており───それはすなわち、
「───先天性の高負荷競争環境適性者。"
なお、この一件でミホノブルボンは『やっぱりサイボーグなんじゃないのあの
◇ ◆ ◇ ◆
「なんだかよくわからないけど……ふふ。ブルボンさんもえっちゃんも、楽しそうでよかった」
「……ミホノブルボンさんのUC……黒と紫のカラーリングに明るい青の差し色、名前が『
◇ ◆ ◇ ◆
ここではないどこか─────。
遠く果て無き星々と時空の彼方、ゆっくりと鼓動する巨大な意志のうねりがあった。
それは待っている。
今も、その瞬間を待っている。
〈勝利せよ〉
そして、少女は大いなる声を聞いた。
◇ ◆ ◇ ◆
「これが今度の実験体かね?」
「あァ。資料では中央トレセン出身だとか」
「なるほど、例のルートからか……」
「死に顔は存外安らかだったそうだぜ」
「己が宿業に殉じたか……。フッ。だが、この実験で生まれ変わるさ」
「生きていれば、だがなァ」
「まっ、そういうことだな。では始めようか」
◇ ◆ ◇ ◆
ハルノエクリプスの
静謐を旨とする暗殺者から───獰猛なる戦士へ。
「……!!」
されど、ミホノブルボンもまた揺らがない。
あくまでも冷静にレーザードローンを展開し、ライフルと重機関銃によるアウトレンジ攻撃に徹する。
「───……」
掠れるような吐息を一つ。
次の瞬間、純白のUC・レギオンズワンが、
「!? ……、いえ」
何のことはない。
ダスクローズのレーダーは未だ敵機を捉えたままだ。レーザードローンがレギオンズワンを追い続けている。回り込んで即座に追撃を───。
バギン、ガオン、という異音が轟いた。
機体レーダーが高熱源体を捉え、被弾警告を発したまではミホノブルボンも理解できた。それがレギオンズワンの装備している背部拡散型バズーカによるものであるということも。
不可解だったのは、
「何を」
封鎖された
レギオンズワンが遮蔽として隠れた、その構造体の一部が、
「こういうことも、出来る」
「ッ!!」
宇宙開発用の特殊合金で形成された
ダスクローズは咄嗟にアクセルブーストを噴かして回避したが、レギオンズワンの攻勢は止まらない。連装ミサイルによる牽制を交えつつ、パルスブレードや拡散型バズーカで
「く……、無茶苦茶な……!」
迫る質量弾を回避し、回避し、回避し───時に、銃撃で破壊する。
そうしている間にも、レギオンズワンは確実にダスクローズとの相対距離を縮める。舞い上げられた瓦礫と粉塵に身を潜めながら。
這い寄る蛇の如く、白き流星はついに鋼の女傑の背を捉えた。
「追いつきました、先輩」
拡散型バズーカの砲口が閃く。
硝煙と共に吐き出された複数の成型炸薬弾が、優れた機動力の代償に重装甲を持たないダスクローズのフレームへと突き刺さる───。
「……いえ。
直前で、解き放たれた
強烈な衝撃に姿勢制御システムが即座にダウンし、乾坤一擲の機会を無に帰す。
舞うような所作で離脱していくダスクローズの背部に、高出力レーザーキャノンの光が灯る。
「これで、終わりです───!!」
地形そのものを貫通するほどの超高出力レーザーが、姿勢を崩し回避も防御もままならぬレギオンズワンに直撃する。
誰もが、塵一つ残さず消し飛ぶ白銀の騎士を目撃した。
それでも。
ゲームはまだ、終わっていない。
◇ ◆ ◇ ◆
会心の一撃だった。
確かに手応えがあった。
背部レーザーキャノンの青い閃光に灼かれ、跡形もなく消えた
なのにまだ───ゲームシステムは、勝敗判定を出していない。
「
激しく明滅する
機体が大破に至る深刻なダメージを検出し、瞬間的に展開される緊急シールド───
「……ファンネルっ!!」
思考よりも先に手が動いた。
このまま適切な距離を保ち、手持ちの武装すべてを叩きつければ削り切れる。
1秒。
レギオンズワンのライフルが吼える。
2秒。
こちらのライフルが発砲する寸前、
3秒。
想定外の負荷を受けた機体フレームが悲鳴を上げ、左腕の重機関銃の照準が大きくブレた。
4秒。
ラストワードのパルス防壁の明滅が弱まる。展開終了が近い。
5秒。
6秒。
敵機のパルス防壁が、ほぼ完全に消失して。
「秘剣───"燕返し"」
7秒。
緩やかな円を描いて振るわれた光の剣が、周囲を飛ぶファンネルをことごとく切り裂いた。
剣の射程からの離脱を阻む横薙ぎの一閃が、ダスクローズの前脚を切り落とした。
───
袈裟懸けに放たれたパルスブレードの一撃が、機体の
◇ ◆ ◇ ◆
「…………。今更だけど、とんでもねー
「チーフ、英国から呼び戻します? 今ならスズカさんも一緒に帰国してくださいましてよ」
根性が結構上がった。