してんのっ! ~魔王軍四天王のお仕事はアイドル活動~   作:ぶしゅくろ

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今回はちょっとだけ、えっちぃ感じかもしれないです。


第5話:夜の個人レッスンするのっ!

 すっかり夜の帳が下り皆が寝静まった頃、魔王城の一室には未だ明かりがともっていた。

 その部屋からは、パン! パン! と一定のリズムで何かを打ち付けるような音と、許しを乞う少女の喘ぎ声がドアの隙間から漏れ聞こえていた――。

 

「あっ、も、もうっ無理ぃ! はっ、はぁん! ロザ、ロザッリィさん! んあっ! もぅ、許してぇ!」

 

 ユーフィが息も絶え絶えに懇願する。その小さな体では激しすぎて耐えきれないのだろうか、足をガクガクと痙攣させながらロザリーに訴えた。

 

「――駄目だよユーフィちゃん。これくらいじゃ、まだまだ満足できないよ。今夜は寝かさないからね」

 

 しかし、ロザリーは笑顔のまま首を振り、ユーフィを攻め続ける。

 パン! パン! と打ち付ける音がより強く、無慈悲に部屋に響いた。

 

「はっ! んっ、はぁっ! あっ! もっ、死ぬっ! ひんじゃうぅっ!」

 

 ユーフィはもう限界であった。彼女の美しい銀色の髪は汗に濡れ、じっとりと顔にへばりついている。

 

「んっ! あっ、イイよその表情! すごくイイ! もっとよく見せて、ほら!」

「や、んぅっ! やだぁ――」

 

 不意に表情を褒められて、ユーフィは恥ずかしくなり顔を背ける。

 しかし、ロザリーはそれを許さず、クライマックスに向けて容赦のないラストスパートをかけた。

 

「口ではイヤイヤ言ってても本当は悦んでたんだね! イイよ! その顔みんなに見てもらおう!」

「ちがっ! はっ、あひんっ! ちっが、うのぉっ!」

「あっ! ほらっ! イクよ! 最後はどうするのかちゃんと覚えてるよね!?」

「はぁっ! あんっ! ぴ、ぴーすしましゅっ!」

「違うでしょ! ほら最後イクときはどうするって教えた? ほら、イクよ!」

「だ、だぶるぴーしゅしましゅううぅっ!」

 

 ――音楽の終わりに合わせて、ユーフィはテヘ顔ダブルピースでポーズを決めた。

 

「はぁい、オッケー。休憩しよっか。とりあえず、一通りは踊れるようになったかな~」

 

 パァン! と今までリズムをとっていた手を叩き合わせてロザリーは休憩を告げた。

 

「い、いや、もう無理! ほん、っと無理。死ぬぅ」

 

 肩で息をしながらその場にへたり込む。ユーフィの足腰はとっくに限界であった。

 

「もー! まだ二時間しか経ってないよ? 今夜はまだまだやる予定なんだから! 最初は恥ずかしがってばっかりだったけど、さっきはイイ表情できるようになってきてたし」

「そんなこと、言ったってぇ……」

 

 無理だよぉ――、と瞳を潤ませながらだらしなく口を半開きにして見上げてくる少女を見て、ロザリーは顔を赤らめて目をそらす。何かイケナイ気持ちに目覚めそうであった。

 とはいえ、ユーフィがこの調子では今日の個人レッスンはここまでということになりそうだ。

 

 ――事の発端は昼のダンスレッスンに遡る。

 

 ユーフィのデビューから四日が経ち、撮影や取材が落ち着いてきたため、ついに新生四天王デビュー曲のレッスンが始まったのである。

 だが、他の三人に比べてダンスに慣れていないユーフィは皆について行くことができず、上手く踊ることができなかった。そのためロザリーに頼んで個人レッスンをつけてもらっていたのだ。

 さすがに、ここまでスパルタなレッスンだとは予想していなかったが――。

 

「じゃあ、レッスンはここまでにして一緒にお風呂入ろっか」

 

 その提案にユーフィは固まった。

 ――今この少女は何と言ったのか? 聞き間違いでなければ『一緒にお風呂に入ろう』と言われなかっただろうか? つまり、一緒にお風呂に入っていいってことだよね? レッツすっぽんぽん! 

 

 いやいや、絶対駄目だろうとユーフィの良心が訴えかける。

 

 いくら見てくれが十歳美少女になっていても中身は男なのだ。たとえどんなにカワイイ衣装を着せられたとしても、心までは決して染めることはできないという『捕らわれの女騎士精神』を持って――最近はもう慣れてきている気がするが――今まで耐えてきたのではなかったのか。

 そんな自分が年端もいかぬ少女と一緒にお風呂に入るなど、大問題では……。

 

 ――いや、何も問題はない! だってボク、女の子だもん!

 

 ユーフィは都合よく『今の自分』を利用した。

 実際、傍から見れば女子小学生が女子中学生のお姉ちゃんと一緒にお風呂に入るだけのことだ。第三者に知られたところで、微笑ましく思われても通報されることはない――。

 ちなみにユーフィは、四天王を外見と雰囲気からロザリーが中学生、コレットとエリーゼが高校生くらいと勝手に前世界の基準に当てはめて考えている。

 

「入らないの? シャワーにしとく?」

「入る入る、入ります。ボク、お風呂大好きー」

「そう? 変なユーフィちゃん。じゃ、行こっか」

 

 悩んでいると、各自シャワーで現地解散になりかけていた。危ない危ない。

 やはり仲間との信頼関係を築くために、裸の付き合いというのは大事なのだ。

 自らのプロ意識の高さにユーフィは満足しドヤ顔を決めていたが、下心を誤魔化すためにそれっぽく理由をでっち上げただけである。実に見上げたプロ意識であった。

 

「そういえば、ユーフィちゃんってここのお風呂使ったことなかったよね? 自分の部屋のと違って、広くてすごいんだよー」

「はい! 『楽しみ』です!」

 

 ユーフィは遠足中の子どものように、うっきうきでついて行った――。

 

 四天王専用設備の中でも、大浴場は特に充実した造りになっているらしい。アイドルたち専用のお風呂なのだから、そりゃ造る方も気合が入って当然なのかもしれないが。

 

「ほえー……。しゅごい――」

 

 生まれたままの姿になり、浴室を見渡したユーフィは感嘆の声を漏らした。もうここ、魔王城から四天王城に名称変更した方がいいんじゃないかな。

 

 「ほら、こっちこっち。頭洗ってあげるから座って?」

 

 ロザリーの前に座らされて頭を洗われる。

 風呂場なので、自分の前には鏡がある。そして後ろには膝立ちしたロザリーがいる。

 目をつぶってる場合じゃねえ! とユーフィは頭を上げ目を開いた。ドバっと目に泡が入った。

 

「目が~! 目がぁ~!」

「もうっ! なにやってるのユーフィちゃん! ちゃんと目を閉じてなきゃだめでしょ? まだシャンプーハットが必要だったかなぁ……」

 

 シャンプーハットが必要な子ども扱いを受けてしまった。甚だ遺憾である――、とユーフィは思っていたが、ただの自業自得であった。

 髪を洗い終え、体も洗いレッスンの汗を流していく。ちゃっかりと背中の洗いっこも達成した。

 

「気持ちいいね~」

「そうですね~」

 

 二人で並んで湯船につかる。この世界のお風呂には、謎の光や妙に透明度の低いお湯は存在しなかった。

 風呂は良いものだ――。ユーフィがとても人に見せられない顔で、夢のような空間を満喫していると隣のロザリーが遠慮がちに声をかけてきた。

 

「その、今日はごめんね。レッスン、きつかったよね?」

「――まあ、想像していたよりもスパルタでしたけど」

「あはは……。つい、自分の練習と同じような感じでやっちゃった。ごめん」

「え、いつも一人であれくらい練習してるんですか?」

 

 今日のレッスンは二時間ぶっ通しでその後もまだ続けようとしていたが、あれがロザリーの普段の練習量らしい。正直やり過ぎな気がした。

 

「――うん。私って、なんて言うか『平凡』だから。コレットちゃんみたいにダンスが得意とか、エリーゼちゃんみたいに歌が上手だとか、そういう自分にとっての『武器』っていうのが、私にはないし」

「そんなこと! だいたいそれならボクだって――」

「ユーフィちゃんはね、人を惹きつける『魅力』がある。私たちの中で一番」

 

 えー、それは無いんじゃないですかね――、とユーフィは思ったがそんなことを言える雰囲気ではなかったので空気を読む。

 

「でも、ロザリーさんは誰よりも頑張ってるじゃないですか」

「それは、他の子に比べて私には何もないから練習しなきゃって思って――」

「そうやって健気に頑張ってる女の子は、他のどんな子よりも魅力的なんです」

 

 これは、元男として心からの言葉であった。

 仕事で疲れているとき、嫌なことがあったとき、テレビのアイドルが一生懸命に歌って踊っている姿を見ると自分も頑張ることができた。

 本当に疲れているとき、癒しと笑顔をくれるのは『一番の美貌』とか『一番の歌唱力』を持つ子ではなく、その中でひたむきに頑張っている子の姿だと思ったのだ。

 

「だから、ファンの人たちも惹かれて応援してくれてるんじゃないですか。だったらそれがロザリーさんの『武器』なんです。何もないなんて言わないでください。優しくて、いつもボクやみんなのことを気にかけてくれて、そして『誰よりも一生懸命』な、そんなロザリーさんのことがボクも大好きです」

 

 ――なんかすごい恥ずかしいこと言った気がする。いや、思ったことを正直に言っただけなのだが、最後の方は告白みたいなこと言ってなかっただろうか。

 

「……ユーフィちゃん、よくそんな恥ずかしい台詞言えるね」

「うぐっ」

 

 ロザリーちゃんジト目である。

 

「うん、まあ……、ユーフィちゃんが言いたいことは分かった、かな。……そうだよね、私のこと応援してくれてるファンの人たちのためにも、そんなこと言っちゃ駄目だよね。ありがとう、ユーフィちゃん」

「どういたしまして」

「あ~あ……、妹分のユーフィちゃんに励まされるなんてお姉ちゃん失格だ~」

 

 恥ずかしくなってきたのか、誤魔化すようにロザリーはわざとらしく落ち込むそぶりをしていた。

 

「ま、ボクはこれでもみんなと違って大人ですからね!」

 

 この世界に来てから子ども扱いばかりされていたので、今回悩める少女を導くことができてユーフィはごきげんだった。渾身のドヤ顔で大人アピールをキメた。

 

「大人ねえ……。こんなちびっこいユーフィちゃんの、どこが大人なのかな~っと!」

 

 そんなユーフィを呆れたようにじと~っと見つめた後、ロザリーはニヤリと笑いながらユーフィに跳びかかった。

 

「ちょっ、ちょっと! ロザリーさん! どこ触って、ちょ、やめっ!」

「ん~? どこが大人なのかな~って思ってね~?」

「んっ! やめっ、ほんっとに、ちょっと! あんっ、だめぇっ!」

 

 ロザリーが、ふにふにと捏ねまわすようにユーフィのちっちゃな、わずかな膨らみを撫で回す。

 ユーフィは今まで感じたことのない刺激に思わず甘い声を漏らした――。

 

「……うわぁ、ユーフィちゃん、なんか大人っぽいかも? というか、えっちぃ」

「んっ! ふっ、誰のせい、だとっ! んぅ! 思って、というかっ、いい加減にぃっ、んっ!」

 

 ちょっと、これ以上は色々と駄目な感じになりそうである。ユーフィは必死に抵抗するが、ちびっこの体ではどうすることもできなかった。

 

「だーめ! すぐに調子にのっちゃうユーフィちゃんにはお仕置きです! ユーフィちゃんは大人なんでしょ? だからぁ、もっと……、ユーフィちゃんの大人っぽい、やらしぃ声、聞かせて?」

「ひっ! ら、らめえええええええ」

 

 レッスン中にも思ったけど、この子絶対ドSだ!

 ユーフィの悲鳴が浴室に響く――。

 

 『裸の付き合いで親睦を深めよう計画』は仲間の新たな一面も発見でき、結果的に大成功だった。

 しかし、その代償としてユーフィはすっかりのぼせて倒れてしまったのであった――。

 

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