萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ   作:ごまぬん。

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遅ればせながら、原作のスピンオフ小説を買うことが出来ました。これでもう14話の幻覚を見ずに済みそうです。
は? 14話の幻覚なんてなんぼあってもいいんだが?



Game start 20XX(4/4)

 水族館を出ると、もう夕方だった。

 千束は水族館以降の予定までは詰めていなかったらしく、ゆるゆると喋りながら帰路についている。

 

「……あら?」

 

「どうかしましたか?」

 

「ん〜。いや、何か……多くない? リコリス……」

 

 千束の視線を追って周囲を見渡す。

 確かに、言われてみれば、10名近いベージュ制服(サード・リコリス)が駅の周辺に展開していた。

 付け加えるなら、駅そのものも封鎖されている。……DAの作戦にしても相当に開けっ広げだ。

 

「珍しいこともあるもんですねぇ。タイチョーは何か聞いてないです?」

 

「わたしだってそんなに楠木さんと仲良くないよ。まぁリコリコにもドットフィフスにも声かかってないんだから、その程度の案件なんじゃない?」

 

「いやぁ、私らの代わりに本部で頑張ってくれてるフキ姐さんには頭が上がりませんな〜」

 

 こんな物々しい雰囲気が漂っている中で、のんきだな……。

 

「私たちも応援に向かった方が良いのでは」

 

「制服着てない時はリコリスじゃないって言ったでしょ。今日は帰ろ? ほら、戦利品も多いし」

 

「さーんせい。あっそうだ、晩ご飯もみんなで食べる? こないだ美味しいラーメン屋さん見つけたんだ」

 

「パンケーキ行った日の夜にラーメンはなぁ。さすがに女子的にどうなのよ、っと。てかニコルもちっこいのに割と食べるよね」

 

「わたしはそのぶん出撃してるからいいのー」

 

「そんなに気にする必要ないと思いますけどねぇ。ミカド、前に骨折して満足に動けない時期がありましたが、普段と同じご飯食べてても別に太らなかったのです。ちゃんと体動かしてるなら尚更じゃないですか?」

 

「「は?」」

 

 千束は今日一日で、御門かなはとの距離がだいぶ縮まったらしい。結構なことだ。

 不穏な気配を放射し続ける地下鉄の出入口を尻目に、私たちはその場を立ち去った。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ─────地下鉄線の駅構内に、10人ほどの男が並び立っている。

 揃いのツナギに目元を隠すサングラス。常人より明らかに鍛え込まれた肉体。

 足元に転がるボストンバッグの中には、黒光りする金属の筒が入っていた。

 

「……さぁ」

 

 癖の強い頭髪を毒々しい緑色に染め上げた男が、嘲るような声を発した。

 集団の中でその男だけが揃いのツナギを着ておらず、代わりにピンクのアロハシャツと黒いロングコートを身に纏っている。

 恐らくは彼が集団の頭目なのだろう。彼は配下の男たちを統制して、ボストンバッグに入ったものを取り出させる。

 

「来る……来るぞぉ」

 

 PKM軽機関銃。AKM突撃銃(アサルトライフル)

 頭目の男が()()()から買い付け、日本に持ち込んだ1000丁の銃の一部。

 

「始まり、始まり───」

 

 平日の夕刻。通勤ラッシュの時間帯だ。

 徐々に駅へと近づいてくる地下鉄には、何も知らない無辜の市民たちが乗っている。

 電車のヘッドライトが駅構内に差し込み、そして。

 

「始まりぃ」

 

 トリガーが引かれ、膨大無数の銃弾が降り注いだ。

 火薬の炸裂音と共に、ステンレス合金製の車体に次々と穴が開く。

 

「ハハハハハハハハハハハハ!! ハァッ───ハァァ!!」

 

 無論、何の軍事的訓練も受けたことの無い乗客たちにはひとたまりもない。

 人体を容易く破壊する鋼の豪雨が、赤く濁ったものを撒き散らす─────。

 

 

 

 はず、であった。

 

 

 

 30秒近い一斉射の後、頭目の男が手を挙げる。

 濛々と立ち込めた硝煙が晴れ、露わになった車体に、

 

「……は?」

 

 あるべき惨状は、無かった。

 乗客の死体どころか血痕のひとつすら見当たらず、通勤ラッシュで満員になっているはずの地下鉄線は、完全な無人だった。

 

 

 

 ───否。

 

 ぱん、という乾いた音が駅構内に響いた。

 

「あひゅ」

 

 理解の及ばぬ事態に混乱していた武装集団の一人が、眉間から鮮血を迸らせて絶命する。

 銃撃───先刻まで、自分たちが一方的に行使する側であった暴力。

 火器どころか刃物すら厳格に所持を規制されるこの国(日本)において、地下鉄のような公共空間で行使されることなど有り得ない暴力。

 

 それを放ったのは、車内に潜んでいた学生服姿の少女(リコリス)たち。

 

「……やっべ」

 

 あまりに現実離れした光景に、さしもの武装集団も一瞬だけ反応が遅れた。

 音速の弾丸が飛び交う銃撃戦において、その一瞬は大いに命取りだ。

 

 火薬の炸裂音が再開する。

 

「ぐわっ!!」

 

「うお……!?」

 

 少女たちの武器は拳銃で、火力では武装集団の方が勝っていたが、自由射撃によってリロードのタイミングを揃えていなかったのが仇となった。よく統率された面制圧射撃が、武装集団を薙ぎ払っていく。

 果敢に反撃する者も居るには居たが、電車のボディを盾に出来る少女たちとの差は埋め難い。

 

「ぎッ……く、ハ、ハハハハハハ!!」

 

 撃たれているにもかかわらず、撃っている時と同様の哄笑を上げて頭目の男は走った。

 コートを翻して巧みに被弾を避けるその動きは、武装集団の中でもひとつ頭抜けた練度を示している。

 

「そうか……ハハッ!」

 

 頭目の男はどうにか柱の陰に飛び込むと、すかさず懐をまさぐった。赤いスイッチが設けられた手のひらサイズの通信機を取り出す。

 此度、事を起こすにあたって彼が用意したのは、何も1000丁の銃だけではない。

 

「─────『()()()』かァ!!」

 

 事前に設置しておいた、証拠隠滅用のプラスチック爆弾が起動する。

 強烈な衝撃と熱波が解き放たれ、駅構内の天井が崩落した。大質量の瓦礫が降り注ぎ、敵味方関係無くすべての人間を押し潰し始める。

 敵味方関係無く、すべての人間を。

 

 

 

 北押上駅武装集団討伐作戦。

 午後6時44分、状況終了。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 喫茶リコリコ店内、カウンター横の小型モニターからニュース速報が流れる。

 

「かあ〜ッ!! クルミちゃん強ぇなぁ」

 

「ふっふっふ……」

 

<速報です。きょう夕方頃、東京都の北押上駅にて地下鉄が衝突し脱線事故が発生しました。警察の発表によりますと、脱線したのは自動運転の回送車両で、()()()()()()()()()()と───>

 

 直前まで無邪気にボードゲームに興じていたクルミと常連客たちだったが、一度そんなニュースを聞いてしまっては穏やかでいられない。

 

「えぇ〜、脱線事故? 怖くて乗れなくなっちゃいます……」

 

「回送電車だったって。不幸中の幸いだね」

 

「あっ! あれ阿部さんじゃない?」

 

 そう言って、帽子とサングラスを着けた男性の常連客が指差す。

 店長のミカと補佐のミズキも含めて全員で見れば、背面だけではあるが、薄橙色のジャケットを羽織った刑事───阿部が映り込んでいる。

 

「本当だ。阿部さん、テレビに出ちゃってる」

 

「仕事か……。こりゃあ今日は来ないな」

 

 本来は許される話ではないにせよ、押上署の刑事である阿部が、警官の職務もそこそこに喫茶リコリコに来ていること。それ自体が街の平和を示すサインなのだ。

 彼と相棒の新米刑事。たった二人の常連が欠けただけで、リコリコの店内は言い知れぬ不安感に包まれていた。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「───何で警察の俺たちが、現場に入れないんですか!! それに、()()()()()()()()()()ってどういうことです!?」

 

「……。色々あんだよ……、きっとな」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 翌日。

 ───昨日の『脱線事故』……。さすがにあれだけ()()が揃っていて何も気づけないほど純粋ではないけれど、例によってリコリコ支部には特に連絡が来ていない。

 とはいえ、私がどれだけ頑張ったところで、私の目と手の届かない場所では今日も誰かが死んでいる。その辺りの分別がつかないほど私も見境無しじゃない。

 今はまだリコリコの力を借りる時ではない、と楠木さんが判断したのだ。悔しいことに、()()()()()()の楠木さんは大体正しい。

 

 

 

 と、それはさておき……。

 どのみちリコリスとして出来ることが無いのなら、リコリコ看板娘の責務を全うするまでだ。

 

「はい捨てまーす!」

 

 まぁ、どっちかというと個人的な趣味ですけど!

 たきなには昨日今日で諸悪の根源(トランクス)の在庫をリコリコまで持ってきてもらったので、後は私が処分するだけだ。

 

「捨てまーす。これも捨てまーす」

 

 本人は『古着屋にでも売ってお店の雑収入にしてください』などとのたまっていたが、言語道断である。

 洗ってあるとはいえ、どこの馬の骨ともわからぬ輩にたきなの使用済みパンツ……を……。

 

「捨てま……、……あっ」

 

 ……。……待てよ?

 

 

 

 ───これ、結構いいんですけどね。通気性も良くて動きやすい。

 

 

 

 確かに、どこの馬の骨ともわからぬ輩にたきなのパンツを渡すわけにはいかないが。

 

 タキナンティウスの竹馬の友たるこのチサトウスになら、これをどうこうする資格があるのでは?

 

「………………」

 

 ちょっとくらいなら……いいよね?

 だって、パンツ見せてあげたもんね?

 たきな。あなた……『覚悟して来てる人』……ですよね。他人(ひと)のパンツを『調査』しようとするって事は、逆に『調査』されるかもしれないという危険を、常に『覚悟して来ている人』ってわけですよね……。

 

 よいしょ。

 

 よっこらしょ。

 

「おっ───おぉ? これは……」

 

「千束〜? サボってない、で……」

 

「………………………………。……、……いやあのこれは」

 

「キャアアアアア!! 破廉恥───ッ!!」

 

 アァ、オワッタ……!

 

「違う違う違う違う!!」

 

 私が大いにパニクっている隙に、ミズキの腕が閃く───ウギャアッ、何だその完璧なチョークスリーパーは!? 元・情報部の分際で、一体どこで覚えて来やがった!! 

 

「さてはアンタ!! 男の所に泊まって来たな!? アタシへの当てつけかぁぁ!」

 

「ち〜が〜うぅ〜!!」

 

「ガキのくせに不潔よぉ!」

 

「たきなのっ! たきなのだから!」

 

 許せタキナンティウス、許せ……! そもそも嘘は言ってないけど!

 

「んん? ……」

 

 ミズキのターゲットが私からたきなに移った。南無。

 でも、元はと言えばタキナンティウスがトランクスなんか履いてたのが悪いんだからねっ!

 妖怪婚活メガネは、当たり前のようにたきなのスカートをめくって中を覗き込むと、

 

「……かわいいじゃねーか」

 

 そらそうでしょうよ。

 

「いやだからぁ、それを昨日買ったの!」

 

 改めて指摘されると心にクるものがあったのか、基本的に鉄面皮の──最近割と笑うようになったけど──たきなが、珍しく顔を真っ赤にして照れる。かわいい♡

 

「かくなる上は───」

 

「えっ? あっ、ちょいちょいちょいどこへ!?」

 

 などと感慨に浸っている場合ではない。

 

「皆さーん!! このお店に裏切り者の嘘つき野郎が居ますわよーっ!」

 

 やりやがった!! マジかよあの野郎ッ、やりやがったッ!!

 お客さんを巻き込むのは無しでしょ〜!? そんなにトランクスが憎いか!(???)

 

「やめろやめろやめろ!!」

 

「ひらり」

 

「は?」

 

 するとミズキのやつ、ダッシュで飛んできた私を推定合気道の要領で転ばせると、そのまま(たわら)の如く持ち上げた。元・情報部の分際で(以下略)。

 

「いらっしゃーせー」

 

 

 

 

 

 その日、私は思い知った。

 悪意ある者にスカートをめくられる恐怖を……。

 衆人環視の最中、パンツを開示される屈辱を……。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「ぐすん……ひっく……。もうお嫁に行けないぃ……」

 

 泣き腫らす千束に……。

 

「誰が嫁に行けないって!?」

 

 激昂するミズキさんに……。

 

 ウイィィィン。

 

 唸る扇風機。

 めくれるスカート。

 開示される千束のパンツ(トランクス)

 

 ……私は何を見せられているのだろう。

 千束は一体、どのような罪を犯したのだろうか。この現代日本でこんな公開処刑が行われるというのは、憲法的ななんかに違反するのではなかろうか。

 いや正確に言うと私もさっき処刑人(ミズキさん)による攻撃を喰らっているのだが、千束がいま受けている恥辱に比べればまだマシだったように思う。

 

「ほれ。たきなも団扇(うちわ)で」

 

「えっ?」

 

 何故かクルミが横から現れ、団扇を差し出してくる。

 私も処刑人の一団に加われと?

 

「……。……おっと、電話だ」

 

 ほとんど最高と言っても過言ではないタイミングでベルが鳴り、店長はそそくさと奥に引っ込んでしまった。

 リコリコ支部の責任者とは一体何だったのだろうか。部下(ミズキさん)の不始末は店長の責任では?

 

「ちょっと見ました〜? 皆さんこれ、男物のパンツですよぉ?」

 

「違う違う違う!! だからたきなのって!」

 

「はぁ? そもそも、それが意味わかんな……」

 

「───おはようございまーす!! あっ千束、朝からどうし……た……の……?」

 

「ナイスタイミングだニコル! この妖怪婚活メガネを止めて!! 今すぐ殴り飛ばして!!」

 

「誰が妖怪婚活メガネじゃゴルアァ!!」

 

「……すみません、今日なんか変な幻覚見えるんで帰りますね」

 

「待てや!!」

 

 ……、あぁ。

 これはもう、本当に。どうしようもなく……。

 

「ぷっ……ふふ」

 

 楽しい、な。

 

「あはははははは!!」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ───何処とも知れぬ路地裏、東京の街には掃いて捨てるほど存在する世界の影で。

 

「……あぁ、ちっくしょォ……。()()俺だけ残っちまった」

 

 癖の強い頭髪を毒々しい緑色に染め上げ、ピンクのアロハシャツと黒いロングコートを身に纏った男が呟いた。

 

「フ……フフ、フフフフフフ……。しかし、あれが日本のバランスを狂わせてる奴らか。面白い」

 

 仲間は彼を残して全滅したが、あれだけの爆発を起こしてやった。

 さぞや大騒ぎになっているだろうと思い、携帯端末でネットニュースをチェックしていくが───。

 

「……、……あ? 事故?」

 

 既にリコリスの元締めであるDAによる情報統制が始まっており、男が昨日体験したあらゆる出来事の痕跡は、影も形も無くなっていた。

 

「事故、事故、事故……。……何だ?」

 

<『リコリス』の存在は、情報統制されるのさ>

 

 すると唐突に、どこからか知らない声が聞こえてきた。

 ───否、その悪童めいた加工音声は確かに、男がいま握りしめている携帯端末から発せられている。

 

「……ンだテメェ」

 

<そう言うお前は真島だな。僕はロボ太。お前を手助けする、世界一のハッカーだ>

 

 見れば、携帯端末の画面表示がいつの間にか切り替わっており、そこに奇妙な被り物をした少年が映っていた。

 ダークウェブに名を馳せる最強のハッカー『ウォールナット』をして、唯一警戒に値すると思わしめた鬼才・ロボ太である。

 

<いいか? リコリスを倒すには僕のような頭の良ーい人間が必要だ。僕の頭脳とお前の戦力を……>

 

 武装集団の頭目、『真島』と呼ばれた緑の髪の男は、ロボ太の台詞を最後まで聞かずに通話を切った。

 電波の向こう側で慌てふためくロボ太を脳裏に描きながら、真島は空を見上げる。

 

「だったら……もっとでけぇ花火を上げりゃいい話さ。嘘をつけなくなるくらいにな」

 

 視線の先には、いびつに捻じれ歪んだ奇妙な塔が()っている。

 旧電波塔。日本の平和を象徴する建造物であり、()()()()()()()因縁深き戦いの地。

 

「さぁて。───ここからだ」

 

 濁った瞳が、蛇のように嗤った。




















主人公と因縁のあるライバルキャラの本格登場と、パンツから始まる日常回が同時進行するイカれたアニメがあるらしい。
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