萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ   作:ごまぬん。

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筆者も千束マッマの豊満な……ゴホン、これは人工心臓の調子を確かめるための医療行為であり、猥褻が一切ない。いいね?



#5.5 Quiet heartbeat

 通信で店長が話をつけ、『サイレント・ジン』と情報のすり合わせを行うことになった。

 今は互いに負傷の応急処置を終え、ミズキさんが乗ってきたリコリコの車で休んでいる。

 

「───ミカ」

 

 ……。……あっ、喋った。

 店長は『声を聞いたことが無い』と言っていたけれど、普通に喋るんだこの人。

 

「まさか、お前が『赤帽鬼(レッド・キャップ)』を従えていたとはな」

 

「お前もこの子(ニコル)をそんな風に呼ぶのか。優秀なリコリスなんだが……」

 

「そういやニコル、あんた先生が直接見てる現場だと大人しいよね。……わかった、楠木さんにチクられたくないからでしょ」

 

「……、ノーコメントで」

 

 図星らしい。

 確かに、普段の依頼でもやる気がある時と無い時の差が露骨だなとは思っていたが、そんな理由だったとは。

 

「まぁ、それはいい。本題に入ろう。ジン、そっちの依頼人は誰だ」

 

「赤毛の女だ。3週間前に直接会いに来た。報酬は全額現金で前払い、正直キナ臭いとは思ったが、依頼主のプライバシーは詮索しない主義だ。人相もいくらかは覚えているが……この業界ではアテになるまい」

 

「20年前、松下の家族を殺したというのは?」

 

「ゲリラを拠点ごと吹き飛ばしたならともかく、資産家の妻子を狙って()ったようなことは無いだろう。……ところでミカ、足はどうした?」

 

 そういえば、ミカ店長は右足を悪くしており、普段から杖を突いて生活している。

 お店(リコリコ)では厨房に居て、依頼の時も指揮官役に徹しているから、あまり意識する機会が無かった。

 ジンと共にPMCに務めていたのが15年前だから、DAの訓練教官にスカウトされる前後に何かあったのだろうか。

 

「勘弁しろ、あまり良い思い出じゃない。15年の内に変わったのはお互い様だ。お前こそ、腕は平気か?」

 

「フ……。脳天をかち割られなかっただけマシだ。しばらくは大人しく寝ているとするさ」

 

 そう言うとジンは立ち上がり、自分のバイクに跨った。片腕でも普通に運転するだけなら支障は無いようだ。

 

「あっ、おじさん! 連絡先交換しよ? 一度殺し合ったら友達だもんね!」

 

「待ってアレ本気で言ってたの!?」

 

「……。ミカ、お前にはまた後で連絡する。人殺しの外道に好かれたところで迷惑かも知れんが、今回のような気色の悪い仕事が、再び舞い込んで来ないとも限らん。ここで会ったのも何かの縁だ。不戦条約締結と行こう」

 

「わかった。助かるよ」

 

()()()()()。───ではな」

 

 サイレント・ジンはそう言うとヘルメットを被り、バイクのエンジンを始動させて去って行った。

 今回ばかりは、千束の"いのちだいじに"が功を奏したと言わざるを得ない。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「『掃除屋(クリーナー)』から連絡があったわ」

 

 連絡というのは、もちろん松下氏のことだ。

 いつも通りの現場清掃に加えて、今回は突然動かなくなった『松下氏』の回収と調査も依頼している。

 

「指紋から身元が判明。先々週に病棟から消えた、薬物中毒の末期患者だって。身体を動かすどころか、もうまともにモノを考えることも出来ない───脳波コントロールすら使えない状態だったらしいわよ」

 

「そんな……! みんなと喋ってたじゃない!」

 

()()()()()()()()()()()()。こっちも調べ終わったぞ>

 

 クルミだ。さすがに手が早い。

 

<ゴーグルはカメラ、車椅子は遠隔操作(リモート)、音声は通信、おまけに個人情報は全部デタラメだよ。……そもそも、脳波コントロール機器はまだ理論実証段階の技術で、研究機関の間でしか取り扱いが無い。いくら大企業の重役でも手が届く代物じゃないんだ。今朝の時点で違和感を覚えているべきだった>

 

 こんな子供騙しに引っかかるなんて末代までの恥だ、と独り言ちるクルミ(ウォールナット)

 つまり、私たちは今日一日、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と接していたというわけで……。

 

「『松下さん』は、存在しない……?」

 

「え……!?」

 

 最初から『松下氏』を疑っていたらしいニコルは……現在、私の肩に頭を預けてお休み中だ。

 本当なら見解を聞きたかったところだが、この負傷では無理もない。

 

「じゃ……じゃあ、誰が? 何のためにこんなことを? ()()、ジンを殺させようとしたのは───」

 

 ……わからないことだらけだ。

 思えば少し前から、変なことばかり起きている気がする。

 あの老人が語った『動乱』という言葉の輪郭が、徐々に浮かび上がってくるようだった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「……。…………」

 

「───、ジンが行方を(くら)ましました。処理は?」

 

「捨て置け。それより……次の手を打たなければ」

 

「はっ」

 

()()()を使う計画を進めてくれ」

 

「かしこまりました」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 DA・喫茶リコリコ支部に、奇妙な依頼が舞い込んだ日の夜─────。

 

 暗い空の下、都会の光が届かぬ闇の中で、ふたつの影が蠢いている。

 

「コンテナ4つ、荷運びは済んだ。約束のモン寄越せ」

 

「あぁ。また追って指示がある。残り半分はそっちが上手くいけば渡す」

 

 ツナギを着た砂色の髪の男が、赤毛でサングラスをかけた若い男に封筒を手渡した。

 中身は当然、報酬()だ。違法な『荷運び』とそれに伴う金銭の授受。日本の路地裏では珍しくもない光景だった。

 

 

 

 そして、それを追うもうひとつの影の姿も。

 

 明るいベージュの学生服を纏い、右手に拳銃を握ったサード・リコリス。

 少女はしばし男たちの様子を窺うと、砂色の髪の方を尾行し始める。もう片方は典型的な場末のチンピラに過ぎず、こちらが本命の『業者』と思われるからだ。

 

 深夜帯の街は薄暗く、周囲に一般人の姿も無い。排撃執行には絶好のチャンスだ。

 黒髪のサードは機を見計らう。物陰に隠れてグロック17のスライドを引き、音も無く男の背後に忍び寄り、トリガーに指をかけて、

 

 

 

 

 

 横合いから突っ込んできた、黄色のGT-Rに撥ね飛ばされた。

 

 

 

「……!?」

 

 完全な不意討ちだった。大質量の金属機械が高速で叩きつけられ、黒髪のサードの身体が宙を舞った。

 犯罪者を狩る側であったはずの国家の刃(リコリス)が、一瞬にして狩られる側の少女へ。

 

「うっ……! うぅ……」

 

 GT-Rは少し離れた所で停車し、ドアを開けてひとりの男が降りてくる。

 毒々しい緑色の髪。ピンクのアロハシャツ。黒いロングコート。

 

「───まずは1人目だ、『リコリス』」

 

 緑髪の男───真島の視線の先には、既に彼の配下たちが集結しつつある。

 彼らの手にもまた、銃が握られている。リコリス制服の防刃性能によって轢殺を免れ、しかし咄嗟には動けぬ重傷を負ったサード・リコリスを取り囲む。

 これから行われることなど、もはや考えるまでもない。

 

 誰にも顧みられぬ深夜の街に、幾度も火花の散る音が響いた。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 …………、……。

 

 ……。……あーあ。

 

「いっぱい話して……良いガイドだって言ってくれたのも、ぜ〜んぶ嘘か」

 

 帰ってきたリコリコの、座敷に寝転んでそう呟く。

 柄でもないけど、今回ばかりは愚痴のひとつやふたつ零さなきゃやってられない。

 

「───良いガイドだったのは……嘘じゃないと思います」

 

 たきなが私の隣までやってきて、座ると同時にそう言った。

 ……ふふ、こやつめ。なかなか気の利いた台詞を思いつくようになったじゃないか。春先に出会った頃とは別人みたいだ。

 

「ありがと」

 

 それだけ返事をして、私は天井を見つめる作業に戻った。こういう時、提灯風の照明は目に優しくて良い。

 普段は終業後はそそくさと帰ってしまう──最近はボドゲ大会の日とか、そうでなくとも頼めばコーヒー1杯分の世間話くらいは付き合ってくれるようになったが──たきなも思うところがあったのか、何やら私の美少女フェイスを見つめて考え込んでいる。

 いやん恥ずかしい、うふふ。……そんなに顔に出てるかな。

 

 

 

 ─────ぴたっ。

 

 

 

 あ……ありのまま、いま起こった事を話すぜ!

 

 私はお店の座敷で黄昏れていたと思ったら、いつの間にか胸の上にたきなさんの頭部があった……。 

 

 な……何を言ってるのかわからねーと思うが、私も何をされたのかわからなかった……。頭がどうにかなりそうだった……。

 

 おもしれー女だとか距離感バグだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ!

 

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

 

 

 

「ちょーいちょいちょいちょい……!」

 

「今は他の人居ませんよ」

 

 違くて。それは違うやろ、たきなさん。

 いや……ま、まぁ、そうだね。言ったわ。言いました。昼間ね。

 『公衆の面前で乳を触るな』って。確かめたいなら触ってもいいけど、と前置きして。

 でもだからってあんた、何も直接耳を当てに来るこたぁないでしょーよ!

 

「……本当に鼓動無いんですね」

 

 う……! ん、むむ、むぅ……!

 これは……曇りなき瞳っ……! 厳密にはたきなの後頭部しか見えてないけど、多分この子の脳に邪念の類は存在していないっ……!

 

 ……はぁ。

 何か今日は、こう……いいか、別に。疲れちゃったし、色々と。

 

「おう、そーだぞ。すごいだろ」

 

 リコリコの店内には冷房が掛かっているが、夏の夜とは蒸し暑いものだ。

 けれど───こうして私の心臓の音を確かめようとするたきなの体温は、そんなに不快ではなかった。

 

 

 




















「あ─────!! ねぇクルミちゃんクルミちゃんクルミちゃん!! 大変大変っ! スクープだよ! 一大スキャンダルだよぉーっ!!」

「何……。何でそんなに元気なんだお前? 今日は働き通しだったから、ぼくはもう眠……ふあぁ……」

「ちょっ!! 待って!? 待てお前らぁ! ちちちちち違っ、これは何かそういうあれじゃなくって!」

「君たち、騒がしいぞ。こんな時間にどうしたんだ?」

「あっ、せんせー! あのね、あのねっ、千束がたきなお姉ちゃんにセクシュアルなハラスメントしてたんだよ! リコリコ支部の責任者としてどう思いますか!?」

「ハラスメントじゃねーよっ!! つーかむしろ私されてた側ァ!」

「……?」
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