萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ 作:ごまぬん。
『独自設定』タグが輝く時が来ました。
これを愛と希望とご都合主義の物語と言います。
「たきな。今日は千束に付いて、
───喫茶リコリコ支部の仕事は、まったく本当に奇妙なものだった。
冷静に考えれば予想できてもよかった。千束さんが電話したのはDAの司令部ではなく知己のファースト・リコリスで、そもそも私用だった。仕事の依頼を受理しているはずも無い。
つまり、これが『喫茶リコリコ』の通常営業ということだ。
「やぁやぁ子供たち! 千束が来ましたよ〜!」
「ちさとねーちゃーん!!」
「あれ? もうひとり?」
「ん、こっちはたきなお姉ちゃん! 新しいお友達だよ〜。みんな仲良くしてあげてね」
「……どう、も? 井ノ上たきな……です」
「かみのけきれー」
「ふっ、おもしれーおんな……」
「いや君はたきなの何を知ってんのよ。私だって今日が初対面だっつの」
保育園で子供たちと遊んだり。
「どうもー!
「おぉ、いらっしゃい千束ちゃん。そっちの子は……新人さんかい?」
「は、はい。井ノ上たきなと申します」
「ほぇー。若い頃の姐さんにそっくりっすね! こりゃ若も頭上がんねぇぞぉ」
「バカ言え、お袋より数段美人だろうが。目ン玉腐ってんのかこのタコ」
「え〜、その歳で反抗期ぃ? お母さん、最近五十肩が辛いって言ってましたよ。もっと親孝行してあげないとっ」
「あぁ……ったく。お袋が千束ちゃんくらい可愛けりゃ、素直に孝行する気にもなるんだがねェ。親父もあの人を甘やかし過ぎる……」
「また今度、メシにでも誘ってみたらどうですかい。俺ァ何件か美味い鍋料理出す店知ってますんで、若と姐さんさえ良けりゃ紹介させてくだせぇ」
「お、いいなぁお鍋! その時は私たちも呼んでくださいね!」
「「「ハッハッハッハッハ!!」」」
……どちらかと言えばDAの排撃対象っぽい事務所に、薬物ではなくブレンドコーヒーの豆を配達したり。
「Repeat after me,"井ノ上たきな"」
「「「イノーェタケィナ」」」
「Excellent!!」
「……。エクセレントですか……?」
何故か外国人向けの日本語学校でアシスタントをしたり。
とにかくリコリコ支部は喫茶店のみならず、地域の何でも屋的な事業も営んでいるようだった。
営んでいるというか、こっちはボランティアみたいなものだが。
所用を完遂して喫茶リコリコへと帰る道すがら、私はそれとなく質問する。
「すみません、千束さん。……リコリコは一応、DAの支部なんですよね? なのに、いつもこんな仕事を?」
「そうだよ。喫茶リコリコは地域のお店として、コーヒーとお菓子でお客さんをもてなし、困った人たちを助ける! そうやって、みんなを笑顔にするのが私たちの仕事なのです! ま、私だって仮にもリコリスだから、DAから依頼を受けなきゃいけない時もあるけどね~」
───出世そのものに興味は無い方だと思っていたが、これはさすがにマズいんじゃなかろうか。
さんざっぱら"人助け"をしてご満悦の『最強のリコリス』を横目に、私は溜め息を禁じ得なかった。
◇ ◆ ◇ ◆
東京湾に存在する広大な埋立地の一角、昨今の不況の煽りを受けて廃業した町工場と、その経営法人が所有していた倉庫。
土地の管理は
それなりの広さを持つ廃工場と倉庫には、あらゆる黒社会の人間が集結していた。
利権を欲する
実際、ここまで大規模な
屍山血河、死屍累々。
20分前まで生ある人間だった肉塊が40以上、無造作に転がっている。辺り一帯には、赤い鉄の臭い。
頭部を露出している死体はすべて、眉間に3つの穴が空いていた。銃創。追加で胸や腹を穿たれているものもある。
そうでないものは、より悲惨な姿をしていた。ヘルメットや防弾ベストで十全の防御をしていたにも
彼らは四肢を引き千切られ、あるいは胴を抉られ、あるいは
生きて動いている影は、残り2つ。
「───あは」
幼げな、ひどく甘い声が笑う。
緩やかに波打つストロベリー・ブロンドの長髪。オリーブ色の瞳。
熱帯に棲む猛毒の蛇のような、血に錆びた鋸のような、赤みの強い
「ひっ……! は、ぁ、あぁぁ……!」
背広を着崩した中肉中背の男が、尻餅をついたまま不格好に
会合に参加していた暴力団の構成員で、傷害犯上がりの鉄砲玉だ。まだ若く大きな肩書も持っていないが、黒社会での抗争に際し、既に殺人の経験もある無情な任侠者。
そんな男が───体格で圧倒的に勝る少女を相手に、まるで狼を目前にした羊の如く縮み上がっている。
<ストーム1よりストーム・リーダーへ。逃亡したターゲットの掃討を完了。周辺に敵影無し>
<はーい、こちらストーム2! 同じく殲滅完了です! タイチョーはご無事ですかー?>
「二人ともご苦労様〜。わたしは全然平気! ごめんねぇ、こっちはみんな片付けちゃった」
<いえいえ! 結構
少女は耳元のインカムで仲間と通話している。
その立ち姿は隙だらけだ。男の手元には拳銃がある。懐に
<
「ん〜。それもごめんなさい、かな? 一応ここに1人だけ生きてるけど、下っ端さんっぽいしね。あ、でもだいじょうぶ! 書類とかパソコンとかは無事だよっ。後で回収よろしくぅ」
だが、男は動かない。動けない。
少女が隙だらけに見えるのは、明らかな油断に加えて、両手が塞がっているからだ。
右に大容量のドラムマガジンを備えたH&K G36Cアサルトライフル。左に鮮血と肉片を滴らせる小型チェーンソー。妖精めいた美貌に反する、ホラー映画の殺人鬼じみた異様な装い。
こんなものを前にして、考えるまでもない。抵抗など出来るはずも無い。
<はぁ……。出来れば、そいつだけでも生かしておいて欲しいんですが>
「えー。やだ」
刹那、すべては唐突に終わった。
銃声が3度響く。恐怖で混濁しつつあった男の意識は、容易く霧散して永久に失われた。
◇ ◆ ◇ ◆
「お仕事おーわりっ」
ややあって、赤銀の髪のリコリスは仲間と合流した。
ストーム1。女性にしては長身──170cm台は堅いだろう──の、大きなスポーツバッグを背負ったリコリス。頭部全体を覆い、目元のみを露出した包帯の上から、さらにソフト帽を被って顔を隠している。
ストーム2。ちょうどストーム・リーダーとストーム1の中間程度の背丈で、腰に長短一対の金属の棒──機械的な造形の
「今日はありがとー。楽しかったねぇ」
「こちらこそ! やっぱりミカド、タイチョーと
「……オレはもう二度と御免だがね。これでしばらくアンタらと会わずに済むと思うと、せいせいしますよ」
「ふぇ、ゴッホちゃんひどーい! わたしも御門もゴッホちゃんのこと大好きなのに、よよよ……」
「あー! 駄目ですよゴッホちゃんー、ゴッホちゃんがタイチョー泣ーかしたー」
「はいはい。ところで、ニコルと御門はどうしてオレが好きなんでしたっけ?」
「「
「マジでそういうトコだぞテメェら」
50人以上の武装した反社会的勢力を殲滅した3人のリコリスは、まるで普通の女学生のような軽口を叩きながら帰途についていた。
「……しっかし、にしても……絶対ここだと思ったんだがなァ。まさか、あの規模の会合が外れだとは」
「銃取引の現場を押さえるのに失敗して、
「ふてぇ奴? なのです?」
「そうそれ」
「勘弁してください……聞かなかったことにするのも限度があります」
長身のリコリスがこれ見よがしにスポーツバッグの肩紐を揺らすと、ガチャガチャという金属音が鳴った。
リコリスである彼女たちには、その音の源がよくわかっている。
「つい今朝も1人……さっきも含めれば5人か。ドタマ吹っ飛ばしてきたばっかですから、これでも。同じ目に遭いたくなかったら自重なさいな」
「えっ、ゴッホちゃん今朝もお仕事? ねぇねぇどんなヒトのドタマ吹っ飛ばしたの!? 教えてよー!」
「聞いちゃいねぇ……。別に、ただの引きこもりのオタク野郎ですよ。『ウォールナット』っつったかな? インターネット黎明期から活動する
「あっ、あの
「いや、向こうの情報網を警戒しての采配です。何せ『ラジアータ』の運用開始から30年、
前を歩く二人の少女の背を見ながら、長身のリコリスはスポーツバッグの重みを確かめた。
いざという時は『ゴッホ』がストッパーになる手筈なのだが───場合によっては、この二人を敵に回すより
「アンタとかそこの侍バカレベルのはそうそう居ませんが、適当な護衛を雇うだけでも時間稼ぎにはなります。また潜伏されると厄介でしたから、つつがなく終わって今はホッとしてますよ」
「えっ。侍バカって、もしかしてミカドのことですか!?」
「あは、不思議な縁だねゴッホちゃん。
「は? 仇? 誰ですかお姉ちゃんって」
「ひみつ!」
赤銀のリコリスは悪戯っぽく笑う。
『侍バカ』はこの笑顔が好きだった。敬愛する剣の主が、幸せそうな表情をしている。これ以上に喜ばしいことがあるだろうか。
『ゴッホ』はこの笑顔が嫌いだった。庇護欲と独占欲を掻き立てる、
「……。本当に、今日は楽しかった。でも、たった1回しかみんなで遊べないなんて……。せっかくお揃いの制服が出来たのに」
「確かに横暴です! もうミカドたち3人しか残ってないからって、あんまりな仕打ちなのです……!」
「おい待てェ、オレとテメェらを一緒にすんじゃねぇ。その制服が特注された意味をもっとよく考えてください。頼むから」
「? ゴッホちゃんも着てるじゃん」
「今日帰ったらもう金輪際着ませんよ。アンタらのお目付け役は別のリコリスに引き継ぎます。前任の薄情者どもが、オレにそうしたみたいにね……!」
時刻は午後5時を回った。西陽が傾き、地上を燃えるような紅に染め上げていく。
少女たちの着る制服も、それと同じ色をしていた。一日の終幕を告げる夕焼けの色。
黄昏が去った後には、ただ黒洞々たる夜闇が残るばかりである。
◇ ◆ ◇ ◆
夕刻。リコリコに帰ってきた後は、今日の外回りの成果を店長に報告し、そのまま解散という運びになった。
責任者の
私は着の身着のままで来て、行って、戻ってという形だ。なので撤収に時間はかからないのだが、
「うーん。……ん〜、ん〜ん……。ねぇたきな、お疲れのとこ悪いんだけど……帰る前に一つだけ聞かせて」
「? 何でしょう」
千束さんは珍しく──と言ってもまだ1日一緒に居ただけの相手なので、本当に珍しいのかはわからないけれど──言葉尻を濁し、何とも形容し難い表情でこう聞いてきた。
「今日のお昼さ。リコリコに来るまでに、
今日ここに来るまで……、あぁ。
「はい。小学校高学年くらいの、赤みがかった銀髪の女の子に。ここを探している時に偶然会って、『自分もリコリコに行くから』と言っていたので、道案内をお願いしました。臨時休業のことは知らなかったようです」
───千束さんの顔が、一気に青褪めた。
店長とミズキさんも、千束さんほどではないが意外そうな様子だ。
「あ……会った、の? ニコルに……」
「ニコル? 常連の方なんですか?」
「まぁー、……そうね。常連さんっていうか……うん。多分そう。部分的にそう。……そいや制服着てなかったな、今日は」
制服?
───あ、なるほど。つまり、
「あの子、リコリスだったんですね」
リコリスの制服は、見る人が見ればそのまま所属と権限を示す身分証になる。
私たちは制服を着ることで初めて『
機密保護の観点から、差し迫った重大かつ正当な理由が無い限り、リコリスは私用での外出を禁じられている。
この規定の適用範囲については、DA上層部と現場の
とにかく、私たちリコリスが制服を着ていない時は、市井に住まう一般人のフリをする必要がある。
完全に騙されていた……。『ニコル』というらしいあのリコリス、凄まじい演技力だ。
「今の一言でわかったの? 探偵みたいだね、たきな。……やー、別にいいんだけどさ。リコリス同士で隠しとくことでもないし、見たところ何も吹き込まれてないっぽいし」
「吹き込まれ……?」
「んん。どう言えばいいのかしら……、ちょーっち変わった子でねぇ。たきなは、私がDAで何て呼ばれてるか知ってる?」
「まぁ、はい。旧電波塔事件の英雄、現役最強にして史上最強のリコリスと」
「ウワッ。なんべん聞いてもひどいな、恥っずぅ……。……旧電波塔の方はまだいいけどさぁ」
───私は、最強のリコリスなんかじゃないよ。
遠い目をしながら、錦木千束はそう告げた。
「千束? アンタね、謙遜も過ぎると皮肉に聞こえるわよ。いいじゃない、最強のリコリス。もらえる称号はもらっときなって」
「えぇ? みんなが勝手に言ってるだけでしょ、そんなの。
「そんなにですか」
「ダメよたきなちゃん、天才の言うことを真に受けちゃ。千束だって大概なんだから。あんな年若い
「誰がジョン・コナーだオイ。ジョンはフキでしょ髪型的に」
た、ターミネーター……。本格的に意味がわからなくなってきた。
とはいえ、『実るほど
派手な見た目と言動の一方、意外と繊細な内面をしているようだ。
「ふぅむ……日頃の行いを見るに、悪い子ではないと思うんだがな。所詮、噂は噂だろう。私はあまりリコリスとしてのニコルを知らないが……」
「あー。あの子らって確か正規の訓練受けてないし、命令系統も違うんだっけ」
「機密だらけの特殊部隊って、まるで漫画の世界よねぇ」
何やら非常に気になる話題が盛り上がっていた。機密……、特殊部隊……。
確かに、それらしい話は私も聞いたことがある。元よりDAは、政府機関と密接な繋がりを有する暗部組織なのだ。私たち末端のリコリスには知らされない、もっと重大な機密を取り扱う部署があっても不思議ではない。
「それで……そう! 私としては、『英雄』だの『最強』だのってやつが気に入らないわけ! 安直すぎて可愛げ無いじゃーん!」
「いやそこかい。あんまり凝った二つ名付けられてもイタいだけだって」
「や〜だぁ〜!! 私も『
「最後のはカッコよくてお洒落なのか?」
……どうやらオチがついたようだ。
しかし、あのふわふわした雰囲気の童女が、現役最強のリコリスに一目置かれているとは。
オフではリコリコの常連客ということなので、ここに通える距離に住んでいるなら、リコリスとしての管轄地も近いはずだ。いつか作戦で協働する機会もあるだろう。不謹慎ながら、少し楽しみかも知れない。
「てか、たきなだって京都にずっと居て、本部でもしばらく働いてたんでしょ? 噂の一つや二つ聞いたことあるんじゃない?
するとその時、店の玄関の鈴が鳴った。
いけないな、戻って来た際に鍵を閉め忘れていたか。
しかし、外には休業の看板が出ている。仮に普段通り営業していたとしても、じきに閉店時間だ。この状況で入ってくる客など……。
「……初戦果は4歳の時。施設を抜け出して先輩リコリスの車に密航、何も知らない子供のフリをしてターゲットに近づき、隠し持ってた
親指を立て、首に突きつけるジェスチャーをする千束さん。
彼女も訪問者には気づいているようだが、一度話し始めると止まれない
「そうやって任務への無断参加を繰り返し、7歳で正式なリコリスになっても暇さえあれば出撃してる
いや……唐突で驚いたが、この時間にわざわざリコリコを訪れるということは、恐らくDAの関係者だ。
今回の出向にはずっと不服だという態度を取っていたので、私が喫茶リコリコ支部にちゃんと勤めているか確認しに来たに違いない。
それがわかっているから、店長とミズキさんも千束さんを止めないのだ。
「こんばんは〜。お邪魔しまぁす」
───そして、蜂蜜めいた甘やかな声が聞こえ、"最強のリコリス"の表情が凍りついた。
ネジの壊れたゼンマイ式の玩具のように、ぎこちない動きでそちらを見やる。
「ほう……噂をすれば何とやらか。いらっしゃい、ニコル」
「先生久しぶり〜! ミズキさんも、千束も。それから───」
星谷ニコル。赤銀の髪と色素の薄い瞳を持ち、夕焼けめいたオレンジの学生服を纏ったリコリス。
初めて見るタイプの制服だ。先に特殊部隊所属だという話を聞いていなければ、DAの敵対組織による何らかの工作を疑っていたところだ。
「お昼ぶりだね、お姉ちゃん。わたしのことはもう聞いてるかな?」
「えぇ、はい。少々驚きましたが、千束さんがとても優秀なリコリスだと。───私は井ノ上たきなです、星谷ニコルさん。よろしくお願いします」
「うん! ニコルでいいよ、たきなお姉ちゃん!」
私が差し出した右手を、ニコルは両手で包み込みぶんぶんと振った。
小さくて柔らかい手だ。とても銃を扱う人間のものとは思えない。実際の仕事ぶりを見たわけでは無いので何とも言えないが、正直、こっちこそ想像と違うような……。
「マジか!? あのニコルとこうも簡単に……。すごいぜたきなお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん? 千束さんの方が年上じゃないですか」
「よくもまぁそんな済まし顔のままボケられんね。おもしれー女……」
「みんなは何話してたの?」
「そりゃあまさしく貴女のことですとも、『ダブル・オー・ワン』のニコルちゃん。私もスタイリッシュでワンダフルな二つ名が欲しいな〜って話」
「ふふっ、ありがと! わたしは千束の『英雄』も素敵だと思うよー。ディープインパクトみたいでかっこいいよね」
「アンタいくつ? それアタシの親世代の馬よ」
それは、一体どういう……。
「お前たち、二つ名談義も結構だが。ニコルは何か用事があって来たんじゃないのか?」
「あっ、そうだった。急な話でごめんねぇ、ほんとは事前に連絡するべきだったんだけど。わたしもお仕事で忙しかったし、上は上で正式決定が長引いてたみたい。詳しくは後で本部に確認してもらえればいいから───はいこれ」
ぱたぱたと店長の方へ近づき、ニコルは封筒に入った書類を差し出した。
受け取って中身を
「まったく。縁というのは、不思議なものだな」
「はい?」
「あは〜。先生、そこから先はわたしの口から言わせて欲しいな」
少女は一瞬だけ目を細めたかと思うと、姿勢を正して右腕を曲げ、伸ばした手を額に当てた。
当人の雰囲気とは打って変わって、しっかりとした敬礼。
「
……千束さんの方から『ひゅっ』とも『ぴぇっ』とも聞こえる空気の振動が伝わってきたが、私はそれを努めて無視した。
あまり他人の感情の機微には聡くないけれど、私にもそのくらいの良心はあるのだ。
◇ ◆ ◇ ◆
ドットフィフス・リコリス、星谷ニコル。
岐阜県出身。13歳。身長144.7cm。体重非公開。
任務成功率95.8%。忠誠度テストC判定。
一般学力テストC判定。射撃技能テストA判定。白兵戦技能テストB判定。工作技能テストB判定。電子戦技能テストC判定。
4歳の時にDAの養育施設を脱走するも、逃亡先で別任務に従事していたリコリスと合流・協力し、ターゲットの排撃に成功。
以降も脱走と任務への無断参加を繰り返したことから、その特殊性を鑑みて訓練カリキュラムの変更が検討される。やがて7歳で養成所を卒業した扱いとなり、サード・リコリスとして活動を開始する。
暗殺を中心に戦果を挙げるものの、程なくして集団での作戦行動に難があることが発覚。各所で問題を起こし支部を転々とする。
他方、任務成功率は一貫して極めて高い水準を維持し続けている。
ドットフィフス・クラス開設以前の階級は、能力優秀ながら素行に問題があるため、ファーストへの昇進は見送られセカンド留まり。
他の指揮系統下に属していない場合、作戦行動中のコールサインは『
経歴に
ちゃんと脳内でEDが流れましたか?
もしあの神イントロが聞こえているなら光栄です。