萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ 作:ごまぬん。
リコリコで一番熱いCPはまじロボという風潮
一理ある
Who are you(1/3)
「「───せーのっ!!」」
DA本部。真島一味との交戦を経て『リコリス狩り』の犯人を突き止めた私たちは、情報共有と今後の方針を審議するため楠木司令と会っている。
「それが……真島か」
「はい。これが真島ですっ」
今は真島の人相をハッキリさせるべく、似顔絵を描いて提出しているところだ。
私は少し離れた位置から千束とニコルを支援していたので、真島の顔を正確に見ていたわけではないが……あの錦木千束を追い詰めた相手だ。印象には残っている。
「……ぷっ」
一方、真島と至近距離で交戦していたはずの千束の似顔絵は……、何だろう……。
ツンツンした緑色の髪に、やたらキラキラした目の……。
「あっはははは!! 何それ〜!? たきな、へったくそー!」
「千束こそっ、そんなの漫画じゃないですか!!」
「全然違うじゃねーか!!」
「どうどう、落ち着け春川……」
といったところで、同席している春川フキが吼えた。それを包帯で顔を隠した
会議室のプロジェクターに映されているのは、私たちの証言から作成されたモンタージュ写真だ。
「それはそれで、別に似てないんですけど」
「そう言うから描かせてんだろうが」
「面目ないのです……。ミカドが砲弾を飛ばした先に、ちょうどその……真島さん? が居たなんて。シショーの『鏡花水月』なら、飛び道具を狙った方向に受け流せたのですが……。まだまだですね。ミカド、今後も精進するのです!」
「いや普通の人は刀でロケットランチャー跳ね返せないからね」
そんな様子を見ていた楠木司令が、ボソリと告げる。
「……お前たち、もう帰っていいぞ。やはり人相書きならニコル一人で充分だったな」
「!? 待ってください司令!! 私のは似てますッ!」
「ならフキも描いてみろよ〜!」
「お前らしか真島見てないんだから描けるわけないだろ!」
「あっそうか」
「ほんっとアホだな!!」
「春川、とりあえず水飲んで落ち着け。な?」
「リコリスは絵も必修にすべきッスねぇ」
春川フキのパートナーである乙女サクラが、机に頬杖を突きながら言った。
何かといけ好かない後輩だが、今回ばかりは同意見だ。
とはいえ、私だってさすがに千束よりはマシだと思───。
「出来たよー」
「───ほう」
「……えっ。嘘、ニコルあんた……いつの間にそんな特技を……?」
「コイツが真島か。……確かにモンタージュとは似てないな」
…………、……。
……。……うん……。
「暗かったからあんまり正確じゃないけどね」
「お前たちが見たのも、この顔で間違いないか?」
「まぁ〜……。……そうねぇ」
「……、はい」
「あと、無人の車が
「留意しておこう。ゴッホ、情報部に共有を。諜報部隊の編成を任せる」
「了解」
「へー。やるねぇ、おチビちゃん」
「……チビじゃない。わたしはニコ……」
春川フキの拳骨が乙女サクラの脳天に落ちた。
「いっっっだ!! 何スか!? 何するんスか先輩!」
「上出来だ、ニコル。不甲斐ないアホ2人に代わってよく報告してくれた。ご苦労だったな」
「さっきからアホアホうるせーよっ! ……ちょい待ち、今アホ
……?
どうしてそこで私を見るんだ?
◇ ◆ ◇ ◆
<この動き……。でも、やっぱ避けてるなんて有り得ないだろ>
「……」
<アンタの射撃が下手なんじゃないのか?>
「いいや。あの距離で外すわけが無ぇ。それに、このあと迷いなく撃ち返して来てるだろ? "当たらない"って確信が無きゃ出来ないことだ」
君は───。
◇ ◆ ◇ ◆
「……ん?」
「千束、ランチ終わりのプレート頼む」
「はーい。……、……」
「どうした?」
「あっ……あぁ、プレートね。お手洗い済んだら出しとく」
───その日、午後からだっただろうか。
「う〜ん……」
千束が、暇さえあれば何かを考え込んでいる。
「いらっしゃいませー! ……むむ」
それでも業務に支障が出ないのは、さすがと言ったところだが……。
「ありがとうございましたー! ……ん〜。
結局、その日の終業時刻まで、千束の"考える人"状態は解除されなかった。
そして夕方……。
「ぷは〜!」
「晩酌なら家でやれよ」
ミズキさんがお酒を取り出した辺りで、私は意を決して聞いた。
「んん〜……? ん……」
「あの、千束。どうかしましたか? 何か今日、変ですよ」
「千束は毎日変だよ、たきなお姉ちゃん」
そうかも知れないが。
しかし、そんなニコルの軽口にも反応しない辺り、今日に限っては度を越して変だ。
「うぅん……。……、先生は?」
「さっき買い出し行った。何ぃ? もうオッサンが恋ちいのかな〜、千束ちゃんは?」
ミズキさんが酔った勢いのままそんなことを言うが、これにさえ無反応。
やがて、千束はいつになく神妙な顔をして、告げた。
「……。皆さん。リコリコ、閉店のピンチです」
─────え?
◇ ◆ ◇ ◆
「クリア」
終業後の雑事をすべて終え、照明もほとんど落とした時間帯。
薄暗い店内をミズキさんが走査し、会話の輪に戻ってくる。
「はぁ。……あのね、
「だってぇ、見えちゃったもんは仕方ないでしょお」
何でも千束は、店長のスマートフォンに『とある通知』が来た瞬間を、たまたま見てしまったのだという。
「目が良いと、余計なものまで見えてしまうんですね」
「パンツとかな……うぐっ」
あっ、ついお盆で……。春川フキの癖でも移ってしまったか?
「楠木さんからのメールって、何でわかるの?」
「そうですよ。司令とは限らないでしょう?」
「いーや。先生をタラシ込んで、私をDAに連れ戻す計画じゃわ」
……だそうである。
曰く、店長に『千束の今後について話したいから会えないか』というメールが届いていたとか何とか。
「……。自慢ですか? 結構ですねDAに必要とされてて」
「あぁ〜ん!! そうじゃないよたきな〜!」
私に縋りついて頬擦りをする千束。
半分冗談だったけど、面白いからこのままにしておこう。
「それがどうして
「色々特殊とはいえ、一応ここもDAの支部だからねぇ。正式な指揮権のあるファースト・リコリスのコイツが居ないと存続できないのよ」
「楠木さん、真島を追うのに人手が欲しいのかなぁ」
「そういう事情なら私が戻りますよ、DAに」
「え〜!? そんな、寂しいぃ〜!!」
「たきなはお呼びじゃないんだろ……うえっ!」
さすがにこの一撃は正当な権利だと思う。
「し、失言だったよ……。すまんて」
「みんなもお店無くなったら困るでしょー!?」
リコリコ支部が解体……。
正直考えにくいが、実際そうなってしまうと───。
「まぁ、私は所属が再決定するまで、養成所戻りでしょうね」
「ぼくは……もう少しここに潜伏してないと命が危ない」
「アタシも男との出会いの場が無くなる……!」
「わたしは……! ……。ぶっちゃけみんなほど困んないけど、DA本部じゃ気軽にお出かけできないからやだ!」
「そうでしょうそうでしょう!」
「「「
約2名ほど動機が不純だが、とにかく全員の利害は一致した。
さっそくクルミがノートパソコンを持ってきて、調べ物を始める。
「『
「DAのお偉いさん御用達だもんね。そもそもホームページなんてあるのかな」
「商売は商売だ、今どき無い方が不便だろう。まずはドメイン販売の業者を当たって……ネット上の情報から関連しそうなキーワードを拾う……アドレス欄に直接組み合わせを……、おっ。あったぞ」
「会員制のバーか」
高級感溢れる店内の写真を背景に、瀟洒なフォントで説明が書かれたホームページ。
会員制バー……。入会費やら何やらの項目には、ちょっと考えたくない感じの金額が並んでいる。
リコリコの経営状態は確かめたことが無いが、これは……。店長は私費で通っていると信じたいところだ。
「入れるんですか?」
「そこはコンピューターの人の出番でしょ」
「情報の遮断に予算をかけ過ぎだな。一度アクセスしてしまえばハッキングは何でもない。偽造は簡単だ……が」
「おぉ!」
「アンタもたまには働きなさいよ〜」
さすがは『ウォールナット』だ。
しかし、当の本人は妙に渋い顔をしている。
「いや……。こんな店で、仕事の話するか? 普通に
「……店長と司令は、愛人関係ということですか?」
「ぷふっ! 愛人て」
「た、たきなお姉ちゃん……!」
「アンタの口から……、何か興奮する!」
えっ?
な、何か変なことを言ってしまっただろうか……?
「けど実際そういうことだろ?」
「「ないないないないないないないない」」
「? 何で? わたしも有り得る話だと思うけど……」
「「ないないないないないないないない」」
ないないないないないないないない、らしい。
特に店長との付き合いが長い千束とミズキさんが言うのだから、何らかの根拠があるようだ。
だが、まぁ、なるほど。10年もの間、独立独歩での活動を追認してきた支部の解体だ。さしもの楠木司令とて、慎重にならざるを得ないはず。
付け入る隙は、きっとある……!
◇ ◆ ◇ ◆
新調した自動車で配下の集合を待ちながら、真島はロボ太との雑談に興じていた。
彼の興味は目下、先日交戦したリコリスたちに向けられている。
<おい。関係あるかも知れない情報が見つかったぞ>
「ん〜?」
<白髪の方だ。ヤツと同じ、非殺傷弾を使って戦った奴の記録……というより、噂があるんだ>
白金の髪のリコリス。
至近距離から放たれた銃弾をも回避せしめる異能の『眼』の持ち主にして、アラン機関との関係が疑われる少女。
<『電波塔事件』は知ってるだろ?>
「あぁ。
<えっ。どゆこと?>
「んで? 噂ってのは?」
相変わらず人の話を聞かないヤツだ。僕にももう少し色々知る権利があるだろう───。
ロボ太は内心そう思ったが、言っても無駄だということはわかっていたので、仕方なく話を進めることにした。
<……謎の凄腕エージェント、『旧電波塔の英雄』だってよ。あの時のテロリストは全員、コイツ一人に叩きのめされたとか>
「一人か。やっぱ俺の記憶違いじゃなかったってことだ」
<はぁ? まぁ……嘘くせぇよな。こういうのは
ドローンで全部空撮してたくせに、コイツは何を見ていたんだろう───と真島は内心思った。
"アランのリコリス"も、『
「クッ……クク。あァ、だが信じられないのも無理はねぇ。あん時も一緒だった。まるで手も足も出なくてよォ……」
愛銃のチアッパ・ライノを、車内に持ち込んだノートパソコンの画面に突きつけながら笑う。
そこに映っているのはもちろん、白金の髪のリコリス───錦木千束だ。
「こいつぁ運命だな」
ましてや、それがさらに同格の仲間を引き連れているなど───。
茂みから援護していた射手だけは姿を確認できなかったが、真島が力を蓄えている内に、
<楽しそうで結構だけど。これからやってもらうこと、わかってんだろうな?>
半ば陶酔していた真島の意識を、ロボ太の声が現実に引き戻した。
「お? ……あー、まぁな」
真島はノートパソコンに刺さっていたUSBメモリを抜き取る。
メモリには、製作者の自己顕示欲を表すが如く、ロボットの玩具のようなストラップがぶら下がっていた。
「しっかし、何でこんなもん直接挿しに行かなきゃならねぇの?」
<あのね……。DAのシステムはとんでもないスペックのスーパーAIが制御してるんだよ。ちょっとでも
「はァー。わっかんねぇけど、遠くからチョチョイとやれねぇのかよ? 世界一のハッカーなんだろ?」
<なっ!? こ、これを作れるのは僕だけなんだぞ!! 『
ロボ太はいつになく興奮して抗議した。
腕力で敵わないことは承知しているが、ならばせめて、ハッカーとしてのプライドは捨てまいと。
<く、く、くくく……今回の
「あーあー、わかったよ。お前さんの夢が懸かってるわけね」
<フン! 僕に出来ないことは、世界中の誰にも出来ないと思えよ!>
「頼もしいこって。んじゃ確認だが、コイツを警察署のパソコンに挿してくりゃいいんだよな?」
<そうっ。それが君の計画を達成するのにまず必要なことだ>
「ハッ───
何故か勝手に共犯にされていた──というか既に普通に共犯なのだが──ロボ太は一瞬面食らった。
「10分後に襲撃をかける。通信のジャミングと逃走経路の確保、頼んだぜ。トップ・ハッカー」
<へっ……! さぁて。5分で終わらせろよ!!>
しかし何にせよ、事ここに至ってはもうどうしようもない。
いっそどうにでもなれ、という心持ちで、ロボ太はマシンのキーボードに向かうのだった。
◇ ◆ ◇ ◆
「……? おい……。君たち? 警察の前で、そういうオモチャはいかんよ」
「オモチャ……? ほう」
暗緑色に染め上げた髪を揺らし、男は
本職の警察官ですらほほうと唸ってしまうような、それはそれは精巧な
「───すまんな、こんなオモチャで」