萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ 作:ごまぬん。
今回はちょっとだけ独自設定というか、独自解釈的なシーンがあります。
スマートフォンの画面に表示されているのは、若い女性───今回の依頼人である篠原沙保里氏と、交際相手の男性の写真。
男性の方は少々強面でぎこちないが、二人とも幸せそうな笑みを浮かべている。
「この写真をSNSに上げてから?」
「えぇ……。脅迫みたいな
写っている場所は屋内。東京ならどこにでもあるビル群の一角のようだ。
何の変哲も無いカップルの自撮りにしか見えないが───。
「その後、彼も私もずっと変な奴に付き纏われてて……」
「前の交際相手とかですか〜?」
「それ! 警察も痴情のもつれだって取り合ってくれないけど、
「あー。でもまぁ、どこで恨みを買うかわからない時代ですからねぇ」
千束とニコルがうんうんと頷く。
私たちは篠原氏からスマホを受け取り、改めて拡大・縮小を繰り返していると、
「……! このビル───」
「沙保里さん、ここってもしかして?」
「あっ、そうそう! 『ガス爆発事件』のビルの向かいなのよ。窓ガラスとか割れて大変だったっていう……」
……何てことだ。
こんな偶然があるか? さすがに無関係とは思えない。
「
千束さんが小声で笑うが、正直それどころではない。
場所が
「ずいぶん早くから開けてるお店なんですね」
「うん。朝日のインスタ映えスポットで有名なのよ」
───そして私たちは、決定的なものを発見した。
「たきなお姉ちゃん。ここ、頭の後ろ、二人の間」
「これは……」
スマホ内蔵のカメラでは解像度は低く、ピントも合っていない。
しかし、ニコルが指摘した箇所には、窓ガラス越しに例のビルの屋内が写っている。
一人の男と、数組の足と、いくつかの
普通に考えれば、早朝から営業している運送会社にでも見えるかも知れない。
だが……無論、私たちにとってはそうではない。
「ぶーっ!?」
遅れて写真を確認した千束さんがコーヒーを噴き出す。
私もニコルも、千束さんも『そう』だと思ったのだ。もはや間違いないだろう。
「な……何かわかったの?」
「ぁえっ……い、いやぁ。すみません。あの、この写真、こっちに送ってもらえます?」
「えぇ……」
メッセージアプリで連絡先を交換し、件の写真を送信してもらう。
こちらの端末でも確認。幸せそうに笑うカップルの後ろに、男、足、コンテナ。やはり夢でも幻でもなかった。
「これってあれだよねぇ、たきなお姉ちゃんの言ってたやつ。取引の現場、写ってるじゃん」
「タイムスタンプはDAの作戦発動の3時間前……。1000丁の銃はどこかに消えたんじゃなくて、既に引き渡しが完了していた」
「その関係者が、SNSで写真を見つけて? うえぇエゴサの怪物かよぅ! めちゃヤバなのに狙われてるよ〜沙保里さん……!」
私は阿部刑事の慧眼に舌を巻いた。単なるストーカー被害の相談から、これほど大きな
降って湧いた汚名返上の機会に、私は心の中で拳を握った。
◇ ◆ ◇ ◆
さて。
いくつか細かい質問をした後、今日は解散としてもよかったのだが……。
「3人とも、ありがとう。刑事さんにもお礼言っといてね」
「ねぇ沙保里さん。今夜だけでも、とりあえず一緒に居ませんか」
「えっ?」
「みんなで張ってれば、ストーカーの尻尾くらい掴めると思うんですよ。それに、人数が多い方が何となく安心でしょう?」
「あぁ……」
篠原氏はしばらく考えるような素振りをしてから、柔らかく笑ってこう言った。
「じゃあ、うちに来てもらえる? 部屋なら空いてるから。そのくらいは構わせて欲しいな」
「あは〜! やったね、お泊まりだ!」
「おう、遊びじゃないんだぞニコルぅ。君は
「え〜……」
……。まぁ、嘘だな。
見た目が幼くともニコルはリコリスだ。後詰めとして配置するのだろう。もし私がファーストだったら同じ指揮をする。
「というわけで。今夜は親睦会も兼ねて、パジャマパーティーなんてどうです!?」
「遊んでるじゃん! 千束、完全に遊ぶ気でいるじゃん!」
「ふふっ。いいわね。ニコルちゃんも、色々落ち着いてからまた泊まりに来るといいよ」
千束さんはニコルを引き連れ、喫茶リコリコの方向へと歩き出す。
去り際、私の肩に手を置いて一言。
「しばらく任せるね。無茶はしないように。"いのちだいじに"、だからね」
「はい」
「よしっ。……じゃあ沙保里さん、私ちょっと支度して来ますね! 今夜は大いに盛り上がりましょ〜!」
「お姉さーん、またねー!」
そうして、白金と赤銀が夕陽の向こうに消えて行った。
─────しばらく一人か。どう立ち回ったものか……。
「何だか明るくて良い子たちね。不安が吹っ飛んじゃった」
「……そうですね」
じゃれ合いながら遠ざかっていく二つの背中を見送る。
とても『旧電波塔の英雄』や特殊部隊の精鋭には見えない後ろ姿に、私は今さら不安な気持ちになりつつあった。
◇ ◆ ◇ ◆
「───動いたぞ」
そして、世界の悪意が顕れる。
◇ ◆ ◇ ◆
徒歩でゆっくりと篠原氏の自宅へと向かっていると、辺りはすっかり暗くなっていた。
私は千束さんやニコルほど喋りやすい性格ではないが、篠原氏は明るく優しい人で、その頃にはぽつぽつと世間話をする程度には打ち解けていた。
「じゃあ、千束ちゃんとニコルちゃんとは、昨日初めて会ったの?」
「はい。ニコルはともかく、千束さんは……優秀な方らしいのですが。そうは見えませんよね」
「で、前のバイトに戻りたいと。けど、嫌なことがあったから辞めたんじゃ?」
「いえ。少し誤解があっただけです」
……多分。きっと。恐らくは。
「そんなに戻りたい?」
「戻りたいです」
それとなく、周囲を窺う。警戒は厳に。
京都支部で何度か任務に帯同したファーストには『後ろにも目をつけるんだ』などと無茶苦茶な指導をされたものだが、私にはそんな武術の達人じみた超直感は無い。意識して五感を使う必要がある。
「っ」
───見つけた。
交差点に設置されたミラーに、一台の白いワゴン車が写り込んでいる。
それだけなら何ら見咎められるものでもないが、車窓が不自然に暗く中を見通せない。
注意深く聞いてみれば、エンジン音も妙だ。何度も止まってはまた走り出すことを繰り返している。
「そっかぁ……。ま、ここで会ったのも何かの縁だし、良かったら相談に乗るよ。こう見えて私、バイト経験豊富なお姉さんだからね!」
……良かったら相談……。良かったら相談、か。
なるほど。ではさっそく、年下のお願いを聞いてもらおう。
「すみません、篠原さん。実はさっきの角で、怪しい影を見た気がして……。少し確認してくるので、ここで待っていてもらえますか?」
「えっ!? そんな、たきなちゃん一人じゃ危ないよ!」
「いえ、先ほど千束さんから『もうすぐ合流する』との連絡がありました。私たちで挟み撃ちにします」
「でも……」
「とにかく、篠原さんはここから動かないでください。大丈夫、何事も無ければそれでいいですし、本当に危険なら逃げてきますから───すぐに戻ります」
次の返答を待たずに踵を返し、交差点の陰へと身を潜める。
背負った
深呼吸して精神を集中させながら、戦闘開始の瞬間を待つ。
◇ ◆ ◇ ◆
「先生ぇー、お泊まりセットは?」
「押入れだ」
「ほんとに遊びに行く気? 無理だね、今夜は荒れるよ」
「は〜? な〜にを根拠にほざきよるか、このイチゴカラーロリ娘め。私たちが沙保里さんを守ってるって知ったら、向こうも手ぇ出して来ないかもしれないでしょ」
「だからぁ、そういう問題じゃないって。わたしの勘は当たるんだ」
「……。……、あー……最っ悪」
◇ ◆ ◇ ◆
1分後、例のワゴン車が動き出した。
行動が素早いのは良いが、無警戒だな。大きい取引を成功させた後で、気が大きくなったか?
タイヤが強くアスファルトを擦る音。ワゴン車の扉が開く音。複数の足音。
やがて篠原氏の悲鳴が住宅街に───いや。
「……!?」
さすがにそれを許すほど馬鹿ではないか。
「オラッ、大人しくしろ!」
篠原氏は頭から麻袋を被せられ、抵抗も虚しくワゴン車の中に連れ去られる。
『敵』の仲間の一人が、篠原氏のバッグを拾ったのが見えた。
姿勢を低くし、敵のワゴン車そのものを遮蔽として隠れながら、前を塞ぐ位置へ移動する。
「写真あったか!?」
「ありました」
「さっさと消せ! 他には拡散してないか? 他には撮ってないな!?」
「どうなんだ!!」
「んーっ……! んんー!!」
「消しましたッ」
「何止まってんだ、出せよ!」
ワゴン車のヘッドライトが私の姿を浮かび上がらせる。
ようやくこっちに気づいたようだが、遅い。私は既にS&W M&P9を構えている。
トリガーを─────引く。
「うわ!?」
「うおっ!?」
最初にフロントガラスを撃ち抜いて牽制。
相手が驚いている内にライトを破壊し、こちらを捕捉するための光源を断つ。
「……取引した銃の所在を言いなさい!」
少しずつ側面に移動していき、車内に9mmパラベラム弾を送り込む一方、タイヤを撃ってパンクさせ機動力を奪う。
篠原氏は車内に寝かされる形で拘束されているので、射線は通っていない。
「無茶苦茶撃ってくるぞ!!」
「何で取引のこと知ってんだ!?」
「
17+1発を撃ち切った。車は無力化したが、中の敵は無事だな。
鞄から予備マガジンを取り出してリロード。スライドを引き、再び狙いをつけ、
「……!」
背後から伸びてきた手に、発射を止められた。
知っている気配。隣を見る。知っている顔。
「───何してんの!」
平時の飄々とした笑みをかなぐり捨て、真っ赤な瞳で私を睨む
◇ ◆ ◇ ◆
先ほどの交差点の陰に連れ戻された。
待機していたニコルが『やっほー』と手を上げる。千束さんは変わらず不満そうな表情。
「……何をしてる、と言われましても。尾行に気づいたので、こちらへ
「ちょちょちょっ、沙保里さんは!?」
「車の中ですが」
「護衛対象を囮にしたの!?」
……?
何だ、そんなことか。
「彼らの目的はスマホの画像データです。篠原さんを殺す意図は無いと思います」
「うえぇ? だからって……、いや、人質になっちゃうでしょ!?」
「───この女がどうなってもいいのか!?」
陰の向こうから声。
千束さんは苦虫を噛み潰したような顔。
ニコルは……何故か笑いを堪えている。
「……止んだぞ」
「クソッ。今の内だ、出ろ!」
悪運の強い
「あなたが止めなければもう終わっていました」
「沙保里さんに当たっちゃうでしょ!」
「そんなミスはしませんよ」
「ぷっ……ふふ。そうだそうだー」
……。何でこんなに楽しそうなんだ、この子は?
いや、まぁいい。それはいま考えるべきことではない。
「この距離からでも射殺できます」
「わたしもやる! お手伝いするよっ」
「"いのちだいじに"だってば。それよりたきな」
「?」
「射撃に自信あるなら、7時方向のドローン撃ってくれる? さっきからこっち見られててさ。あぁ、音は出してね」
振り返りもせずに言うので一瞬疑ったが、視線だけを動かして見てみると───本当にドローンが浮揚していた。
敵の仲間、あるいは上役の仕業か? 末端の運び屋を監視でもしていたということか。
「まぁまぁ遠いよね。デザートイーグルあるけど使う?」
「いえ。ドローンは1箇所壊せば無力化できます。当てるだけでいいなら、この距離でも問題ありません」
幸い弾はリロードしたところだ。一撃で墜とすのが理想だが、そうでなくとも4発目までには当たるだろう。
千束さんの指示通りにサイレンサーを外し、射撃の直前まで気取られないよう、さっき一瞬見た記憶を頼りに
「じゃあ、行くよ。3、2、1─────」
ゼロ。
上空に銃口を向ける。記憶の中の座標と現実空間の誤差を修正。
東京の夜闇に閃光が迸り、100m先で火花が弾けた。
「!?」
「やぁ。取引したいんだけど」
ドローンの撃墜を確認して視線を戻すと、千束さんが敵の目と鼻の先にまで迫っていた。
車のドアを挟んで、距離はせいぜい50cmあるか無いか。
「あ───」
「うっ……!? お、おぉおぉぉ!!」
赤いアフロ風の髪型の男が、無骨なリボルバーの引き金を絞った。
絶叫と共に放たれた金属錐が飛翔し、錦木千束の頭蓋骨を穿ち、脳髄を掻き乱して破壊する─────。
「あら」
ことは、無かった。
「え?」
「は?」
極限状態で加速した思考と感覚が、はらりと地面に落ちるプラチナ・ブロンドの白髪を捉えた。
「交渉決裂か。残念」
『英雄』の右足が跳ね上がる。
盾として使うべくワゴン車のドアを開いていたのが仇になった。蹴りつけられたドアで両脛を打ち、悶絶するアフロ風の男に、白金の髪のリコリスが追撃を加える。
一瞬にして5発の銃弾を叩き込まれ、男は完全に沈黙した。
「クソガキが! ブッ殺してやる!」
「あはっ、すごいすごい! チンピラさんのお手本かな〜?」
連続する銃声。致命の牙が赤銀の髪の少女へ喰らいかかる。
しかし、星谷ニコルが踊るようなステップを踏むと、その姿が霞の如く揺らめいた。どれほどの切れ味を有していようと、実体を持たぬ霞を噛み砕ける牙など存在しない。
くるりくるりと回転し、灰髪の刈り上げ男の懐へと侵入する。その眉間に右手のジェリコ941を突きつけ、
「ばいば〜い♡」
きっかり3発。
飛び散る血煙すら最低限に、芸術的なまでの殺戮技巧。
「テメェッ!! やりやがったな!」
「やってはないんだけどねぇ」
金髪にサングラスの男。再び、超至近距離から拳銃弾の洗礼。
錦木千束が小首を傾げた5cm隣を、音速の死神が通過していく。
男は反撃の3射を奇跡的に回避したが、眼前の
ワゴン車のボディに縫いつけた上で、鳩尾に2発。また1名制圧。
「……あれ? おっかしいなぁ……」
「ふっ……、ふ、ふざ、ふざけんじゃねぇ!! 畜生オオォォォ!!」
「ニコル! もう1人!」
「ん」
後方から狙うスキンヘッドの男より速く、ニコルの銃が火を噴いた。右腕を曲げて肩越しに、首を動かす素振りすら見せない背面撃ち。
3発のうち2発は外れたが、残る1発が男の左胸に命中し、絞り出すような苦悶の声が漏れる。
そこへすかさず、錦木千束がワイヤーガンを連射して─────。
◇ ◆ ◇ ◆
「ち〜さ〜とぉ〜!!」
1分足らずで銃を所持する暴漢の徒党を撃破した2人の
その片割れが、もう片割れに突っかかって唸った。
「
弾? それに、『殺し損ねた』とは……。
私はワゴン車に縫い留められた金髪グラサン男に近づく。
千束さんに撃たれたはずの腹部に銃創が無い。そこで踏みしめた地面に違和感を覚え、しゃがみ込んで見てみると、大量の赤と黒銀の粉末が散らばっていた。
通常は航行中の飛行機や船舶など『弾が貫通してはならない状況』での使用を想定した弾種で、体表面で金属片が破砕・飛散する性質上、人体に対しての破壊力はむしろ増大するのだが……弾頭がゴム製になっているなら話は別だ。
「非殺傷弾……」
「自分の持ち物管理が杜撰なのが悪いんでしょー。こっちも詰め替えるの大変だったんだから。先輩からの栄転祝いとして受け取っときな、フフッ」
「千束のいじわる! ばーか! あほ! まぬけー!」
ずんずんと歩いてきたニコルが、途中に転がっていた赤アフロ男の腕を踏みつける。
転がる拳銃と、『ぐあっ!』という呻き声。非殺傷弾による気絶から回復していたらしい。
なるほど、確かにこれは間抜けだ───錦木千束というリコリスが、
「ハァイ皆さん、大丈夫?」
「……というか、"いのちだいじに"って」
「うぅっ……。こ、殺さないでくれ……」
「あれまぁ、痛そ〜。すみませんねぇウチのたきなが」
『英雄』はリコリス標準装備の
最初の私の攻撃で手傷を負った者に対しては、救急キットを使って応急処置を施す始末だった。
「
銃声が3つ、ついでにバキッという快音。
(非殺傷弾を)撃った上で蹴ったな、ニコル……。
「そーだよ。千束は昔っからそうなの。だからこんな討ち漏らしが出るんだよね」
基本的にいつもふわふわと笑っている星谷ニコルが、不機嫌さを隠そうともせず吐き捨てた。
……年下の女の子を相手に大きな声では言えないけれど、普段とのギャップもあって、正直結構怖い。
「たっ……たきなちゃああぁぁぁ───ん!!」
救出した篠原氏が抱きついてくる。
結果はどうあれ囮にしてしまったのは事実なので、こうして頼られるのもかえって気まずいのだが……。
とりあえず、落ち着くまでは胸の中で泣かせてあげよう。これがせめてもの償いだ。
「あ、もしもしミズキ? うん、結局ニコルの言う通りになったよ。やんなっちゃうよねぇ……。うん、うん。じゃあ『
「クリーナー?」
「隠語っていうか、通称だね。本当の名前は誰も知らない。『旧電波塔の英雄』御用達の民間組織……の皮を被った、国際的秘密結社ってやつ? 政治家の汚職から紛争地域で起きた戦争犯罪まで、あらゆる犯罪の痕跡消去と、人間の経歴洗浄に特化した文字通りの
私は思わず振り返って錦木千束の方を睨んだ。
睨んだというか、色々と信じられないという目で見ざるを得なかったのだけれど。
「DAは潔癖症だからさ。こいつら程度の小物でも、一度引き渡せば問答無用で処刑しちゃうわけ。お人好しの千束はそれが嫌で、『クリーナー』なんていう怪しい組織のお得意様になってんの」
……頭が痛くなってきた。
何が『現役最強にして史上最強』だ。喫茶店で働き、地域の皆様のお悩みを解決し、おまけに犯罪者を殺さないリコリス?
それはもはや、
「あ───っ……!! もうっ!! たきなお姉ちゃん、銃貸して! こいつ一人くらい殺さないと、わたしどうにかなっちゃいそ……」
「はいそのムーブも予想通りー!! はい予想通りー! よいしょお!」
「うがーっ! がるるるるる!」
腰から担ぎ上げられ、ニコルは錦木千束に連行されていく。
やがてその場には、死なない程度に痛めつけられた4人の暴漢と、先刻からさめざめと泣いている篠原氏と───途方に暮れる私だけが残った。
えっ、『クリーナー』ってそういうことですよね?(すっとぼけ)