萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ 作:ごまぬん。
復ッ 活ッ
アーマード・コア復活ッッ
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アーマード・コア復活ッッ アーマード・コア復活ッッ アーマード・コア復活ッッ
Signal Lost(█/X)
「おかえり」
意外と言うか何と言うか、延空木から撤収した私たちを最初に出迎えたのはニコルだった。
「ん。───ただいま」
「はい。ただいま戻りました」
延空木攻略作戦に動員されたリコリスたちに代わり、東京全域の守りを固めていたというドットフィフス部隊。
会ってないのは正味3日くらいのはずなんだけど、色々なことが重なりすぎたせいで、ずいぶん久しぶりに感じる。
「派手にやられたねぇ。痛そ〜」
「まったくだよ。最後のあれ、あんたでしょ? 相変わらず意味わかんないけど、今回ばかりは助かったわぁ……」
「そうですね。真島討伐の最大の功労者は、ニコルということになりそうです」
「えへへ」
延空木の第2展望台にはデッカい穴が開いたけどな! マジで何だったのあれ?
「……そういや、『DEMONS』のハッカーってどうなったの?」
ぶっちゃけ休みたくて仕方ない……実際、とても任務に就けるようなコンディションじゃないが、乗りかかった船だ。
少なくともたきなの方はDA本部に帰らなきゃだし、話くらいは聞いておきたい。
「今のところ大人しくしてるよ、不気味なくらいにね……。他のリコリスは再編された部隊に入るか、自分の管轄地に戻って、暴動の事後処理にあたってる」
「サクラは? 無事でしたか?」
「サクラ? あぁ、フキさんとこの」
……! まさか、あの時に怪我を?
真島が延空木に現れたのは、私を追ってきたせいだ。出会い頭の銃撃でやられたんだとしたら、それは私に責任がある───。
「確かめてはないけど、たぶん平気なんじゃない? フキさんは
「そ……そうですか」
そうなんだ……。
ていうか、その言い草だと……泣いてたの? あの春川フキが? そんな一面があったとは、私も知らなかった。ちょっと見てみたかったな。
まぁ、サクラが生きてたならそれでいい。本当に、生きててよかった。
「はぁ〜っ……」
な~んか、安心したら一気に疲れが出てきちゃった。
撃たれた左肩はめっちゃいてーし、今は落ち着いてるけど心臓のバッテリーもギリギリだし。
「これからどうしようかね」
「『DEMONS』の脅威は残っていますが……あのクルミがDAと協力して動く以上、敵がいつまでも逃げ切れるとは思えません。私たちは1000丁の銃を回収するだけです」
「いやいや。とりあえず帰って休まない? ほら、ウチ泊まってけばいいからさっ」
「千束は医務室に直行だよー。医療班の人、向こうでずっと待っててくれてたんだから。縄で縛ってでも連れて来いって
うぐっ。
私とたきなを回収するだけなら誰でもよかったろうに、わざわざニコルを迎えに寄越したのは先生の差し金か。ほんと敵わないなぁ……。
「ちなみに、たきなお姉ちゃんはしばらく待機です。フキさんとエリカちゃんが楠木さんに頭下げたんだって。表向きは命令違反で謹慎処分って名目だけど……ふふ。これでまた、リコリコのみんなと一緒だね?」
「……!」
お、マジか。楠木さんもたまには気の利いた采配するじゃん。
さすがにもう死ぬまで入院生活になるのは覚悟してたけど、たきながそばに居てくれるなら退屈しないな。
「それじゃあ、行こっか」
「はーい。……あいだっ、ててて……!」
「ち、千束! ニコル、そっち支えてくださいっ!」
「えぇ? も~、しょうがないなぁ───」
うわーお。両手に花だ、役得役得♪
つっても、片方は食虫植物みたいなヤツなのだが……。
◇ ◆ ◇ ◆
ドルルン、ドルルンと、車体の下に水牛の群れでも飼っているかのような振動に揺られている。
……いや、"揺られている"というのはまるで適切ではない。脳が勝手なイメージとして
DA謹製の特殊装甲車両は、その怪獣めいた威容に反し、一度乗り込んでみれば驚くほど快適だった。
これだけの質量体を時速ウン十キロで運動させておきながら、車内は静穏そのものだ。一体どんな機構をサスペンションに採用しているのか。
やっぱりDA本部に向かうべきだったかも知れない。ぼくのような人種にとって、あるいはそうでなくともこの世のあらゆる人間にとって、あそこの技研は宝の山だ。
「首都高も物騒になったもんだ。こんなヤバいマシンで堂々と乗り込んじゃって、まぁ」
「ナンバープレートはついてるし、法定速度も守ってる。法務部に隠蔽工作を要請する必要性は感じないな」
「ねぇクルミ、このマニュアル何か変じゃない? アタシの目には新幹線並みの速度が出るって書いてあるように見えるんだけど」
「どれどれ……奇遇だな。ぼくもだ」
「大丈夫、補助AIもありますよ。ハッキング対策に完全スタンド・アローン化した時は面倒でしたが、いざこういう状況になってみると、必要な仕事だったと実感しますね」
なるほど、ぞっとしない話だ。
思い返せばロボ太は昔から、ドローンの扱いに関しては光るものがあった。春先の一件で車を操られたのが良い例である。
「……さて」
───不意に、ゴッホの声が半音低くなった。
嫌な予感がする……。それも、かなり最悪な類の。
「シートベルトとヘルメットの確認、お願いします。
「あ~? ちっ。延空木は千束たちが守り切ったってのに、しつこいテロリストどもね。……ヘルメットなんてどこにあんの?」
「これじゃないか?」
後部座席の天井に設けられた謎のグリップを引っ張……ろうとしたが手の長さが足りなかったので、ミズキに代わってもらう。
ガションとパネルが開き、ガスマスクとの
「数は5……いや6か。ウォールナット、人口密集地での戦闘は避けたい。ルートを再検索できるか?」
「要らん。偽情報を流して無人の区間を作る。テロリストがあんなデカい騒ぎを起こしてくれたんだ、せいぜい利用してやらなきゃ損だろ? シナリオは……そうだな。タンクローリーの横転事故と、逃亡したテロリストの残党を追って警察が
「ハッ───情報部が出し抜かれるはずだ。この
む……その手があったか。
例の学生服を着る羽目になるのは少々面映ゆい感じがするものの、
「再就職先の相談もいいけど、今は運転に集中してくれない?」
「ハハ、すみません。戦いの前となるとどうしても不安で、軽口でも言わなきゃやってらんないんですよね」
また適当なことを。『
「───よし。工作部とも話がついた。この先で通行止めに遭っても無視しろ、そこの作業員はDAのエージェントだ」
「了解。あと5分で戦闘開始だ、目ぇ回して吐くなよ」
「ミズキ、今は酒飲んでないか?」
「どういう意味だオイ」
よかった。胃の中身をぶち撒けられる心配は無さそうだ。
このモンスター・マシンの胎内は、不快なほど狭くもないが、決して広くもないからな。
ドットフィフス部隊の3人目───星谷ニコルや御門かなはに匹敵する数少ないリコリス、エージェント・ゴッホ。
こうやって話している限り、あのふたりほどイカれている印象は無いけれど……お手並み拝見といこうじゃないか。
◇ ◆ ◇ ◆
<───
「……心配するだけ無駄だったか。手筈通り、医務室に移送しろ」
<了解>
「最大戦力を失わずに済みましたね」
「どうだかな。激しい運動はその分だけ人工心臓の寿命を縮める。リコリスとしては、もう使い物にならないかも知れん───」
◇ ◆ ◇ ◆
肩の銃弾を摘出する緊急手術が無事に終わり、いくつかの薬品の注射にもどうにか耐え切ると、千束は吸い込まれるように眠りに落ちた。
一瞬、ついに心臓が……とも思ったが、救急車のベッドに寝かされた彼女の胸は規則正しく上下している。
「ぐぅ……むにゃむにゃ……」
無理もない───旧電波塔と延空木を行き来して、今日一日戦い通しだったのだ。
身体を張り過ぎる英雄の休息としては、ちょうど良い機会だろう。
「千束……」
「だいじょうぶだよー、千束はバカだし。バカは死なないって言うでしょ」
それを言うなら『風邪を引かない』ではないだろうか。
あるいは、私を励まそうとしてくれているだけかも知れないが。
「他人じゃなくて自分の心配もしなよ。たきなお姉ちゃんだって、大きな作戦の後で疲れてるんだから」
「私は平気です、特に怪我もありません。そう言うニコルこそ……任務の帰りだったのでは? 千束の付き添いなら私一人でも充分ですよ。山岸先生のクリニックに着いたら、後は」
「えー。わたしだけ仲間外れにするつもり?」
「あ……いえ、そういうわけじゃ……」
「ふふっ。なんてね、冗談冗談。実を言うと、延空木の作戦が終わってリコリスの数が戻ったから、わたしも当分暇なんだ。今夜くらいは一緒に居させてよ」
「───、はい。少しでも賑やかな方が、千束も喜ぶと思います」
赤銀の髪の少女はくすくすと肩を揺らした。鈴を転がすような声音が、かすかに
……『平気』と断言した手前恥ずかしい話だが、正直、私もかなり疲弊していた。身体的にというよりは、心労が溜まって精神的にというか……。
勘の良いニコルのことだ。さっき合流した時にはもう見破られていたのだろう。
「たきなお姉ちゃん。お腹空いてない?」
「え……、っと」
「お菓子ならあるよ~」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、脇に置いてあったコンビニのビニール袋からチョコレート菓子を差し出してくる。愛好者の派閥を巡る抗争で年に億単位の死者が出ているともっぱらの噂の
どうやらニコルは『
「夕食の前ですよ」
「いいじゃん別に。どうせ医務室行ってたら遅くなるんだし」
まぁ……それもそうか。
「では、ちょっとだけ」
「うんっ。はい、どーぞ」
茶色と薄紅色と黄土色をした小さな筍を受け取り、口に放り込む。
糖分の甘味、チョコレートの苦味、苺の酸味。奥歯で噛み砕けば、そこへクッキー生地の香ばしさが加わった。
端的に言って、美味しかった。市販の菓子ひとつで気力が充填されたような心地さえするとは、己がどれだけ切羽詰まっていたのかを自覚する。
「〜♪」
ニコルの方も、一度に数個を鷲掴みにする贅沢な食べ方でご満悦の様子だ。
ついでにペットボトル入りのミルクティーを取り出し、こくこくと飲み始める。
「あ。たきなお姉ちゃんはこっちー」
必須ミネラル含有のスポーツドリンクを手渡された。
何から何まで、少し申し訳ないな。
「ありがとうございます」
素直に受け取っておく。何にせよ今は休息が必要だ。
クッキー生地に水分を吸われた喉の渇きを癒やすべく、一息にペットボトルの半分ほどを飲み干す。
こうして、補給を済ませてみれば───満腹というには程遠いけれど、大きな安心感があった。
「ふぅ……。……」
……、……。
む……?
「───あれ」
「たきなお姉ちゃん?」
「いえ……その……」
……ん……、しまった。
どうも頭が重い。よくよく思い返してみれば、千束の心臓の件を知ってこっち、ずいぶんと根を詰めていた。この疲労感は今日一日で蓄積したものではなかったらしい。
我ながら情けない……。DAのリコリスともあろう者が、体調管理に失敗する……など……。
「すみ……ません、ニコル……。私も……少しだけ……」
「あぁ。うん、いいよ。病院着いたら起こすね。ゆっくり休んで」
「はい……。千束のこと……よろしく、お願い……しま───」
◇ ◆ ◇ ◆
「……。……ごめんね」
救急車の添乗員用シートに座ったまま眠るたきなを見て、ニコルは小さく呟いた。
如何にも手持ち無沙汰だ、というような表情を作り、ポケットからスマートフォンを取り出す。
「ここも渋滞か。うちの患者は大事無いとはいえ、軽傷でもないんだけど」
「仕方ないさ。あんなテロがあった後だ、どこもかしこも大混乱だろうよ。人間を狂わせる催眠音波なんて……奴ら、人の命を何だと思ってやがる」
千束たちの他に、乗員は2名。DAの医務官だ。
片方が車両を運転し、もう片方は千束の容態急変に備えて後部に控えている。
GPSとドライブレコーダーが、車の様子を常に監視していて───。
「……ん?」
「どうした?」
「何か今、一瞬カーナビが変になったような」
「『ラジアータ』はもう復旧したって話だろ。疲れてるんじゃないか? 運転代わるか」
「いや……大丈夫だ。でも確かに、今日はずっと緊張しっ放しだったからなぁ。その子ら送ったらちょっと休むよ」
「そうか。ならいい、俺はこの後───」
パシュッ。
「……。……、? おい、どうした?」
不自然に途切れた会話と、奇妙な異音。
運転席の医務官が後部座席を覗き込んだ瞬間、
「んー……。ねぇ、
拳銃を持っているのとは反対の手のスマートフォンから、どこか陰鬱な印象の電子音声が鳴った。
<───問題ない。だが急いでくれ、今の『ラジアータ』にはウォールナットがついてるからな。踏み台の無い通信経路では限界がある>
「あは。さすがクルミちゃんだね」
ニコルは運転席まで移動すると、その場に崩れ落ちている医務官の亡骸を踏みつけつつカーナビを操作した。画面がカシャリと変形し、車内オーディオ用のデータ・ディスクやUSBを挿入するためのポートが露出する。
そこへ、飾り気の無い黒のUSBメモリが挿し込まれると───車両の制御系が瞬時にして書き換えられ、完全に『ナッツクラッカー』の支配下に置かれた。
「準備よしっと」
<……真島もそうだったが、理解できないな。
「決闘? ふふ。
ハンドルを乗っ取られた救急車はもちろん、DAの医務室───山岸のクリニックに向かうことは無い。渋滞を避けるようにして、まるで見当違いの方角へと突き進む。
「わたしは……ただちょっと、お話するだけだよ。『女王様』になる前に」
<そして世界が燃える前に、か。まるで
「ヤンキーって。花も恥らう乙女に対して失礼じゃない? デリカシーの無い男の子はモテないぞ〜、ロボ太君」
<
「うん」
通信を終えて、赤銀の髪の少女はそっと目を閉じる。
別段、睡眠を欲しているわけではない。星谷ニコルのコンディションは常にフラットだ。そう訓練されているし、そうなる必要があった。
落陽の後、夜が来る。
光は翳り、闇が蔓延る。
戦いはまだ、始まったばかりだ。