萌え声人類種の天敵系ロリっ娘リコリス vs 俺たちのちさたき vs ダークライ   作:ごまぬん。

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エイプリルフール特別企画の時間だ!! オラァ!!

時系列は本編3話のしばらく後くらい。脳内でお好みのCVを設定しながらお楽しみください。



#4.1 Autonomous Sensory Meridian Response

 

 DA関東本部、リコリス寮。

 橙がかった赤毛の小柄なリコリス───蛇ノ目エリカの下に、一枚の通知書が届いていた。

 

「お。またドットフィフスの応援要請か?」

 

 エリカとは対照的な長身のリコリス───ルームメイトの篝ヒバナが問いかける。

 彼女らバディが目下、人数不足に陥っているという司令部直轄の特殊部隊『第1.5級(ドットフィフス)』の応援要員として招集されるようになって約2ヶ月。

 下命される任務の内容こそハードながら、帯同するドットフィフス・リコリスの3名はまさに一騎当千の超人揃いであり、未だに危険らしき危険に遭遇したことは無かった。懇意にしているファースト・リコリスの春川フキに散々脅された割には、はっきり言って拍子抜けするほど()()の現場だ。

 

「たぶん違うと思う、けど。何だろう、こんな半端な時期に……」

 

 エリカは少しだけ残念に思った。ドットフィフス・クラスの任務は困難ではあるものの、得られる学びも多い。

 さりとて、異動の類の通達とは考えたくなかった。4月の一件の直後こそ前線を離れていたエリカだが、あの『喫茶リコリコ組』の模擬戦を見てから人一倍の訓練を重ねてきたし、努力の甲斐──と星谷ニコルとの縁──あって実戦でも結果を出している。

 別の角度から見るなら、そもそもリコリスの運用は2人1組(ツーマンセル)が基本であり、自分に何かあるならヒバナにも通達が来ているはずだ。

 

「……選択式補給制度?」

 

 ───そして、恐る恐る開いた通知書には、何やら見慣れない文字列が記されていた。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「っ……かあぁぁ〜!? なーんで発起人のあたしが、試験運用の対象外なんですか!? 頑張って署名集めたのに〜っ!!」

 

「そんな署名集めるようなヤツだからだろ……。くっだらねぇ」

 

「下らなくないッスよぉ! 遊びたい盛りの女子を休日まで寮に閉じ込めておくなんて、DA上層部はあーし(あたし)らの人権を何だと思ってるって話ッス!」

 

「サクラお前、出世出世うるさい割にはそういうとこあるよな……。休日は大人しく体力回復に努めりゃいいし、娯楽なら寮の中だけでも充分用意されてるだろ。遊ぶ暇と元気が有り余ってるなら自主訓練って手もある」

 

「フキ先輩……、完全に仕事中毒(ワーカーホリック)じゃん。そんなんで生きてて楽しいんですか?」

 

「余計なお世話だバカ」

 

「あいてっ!」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ……そんなわけで、わたしは今後新たに施行されるという特別休暇制度と、選択式補給制度のテスターに選ばれた。

 この制度が正式採用されれば、リコリスは『ラジアータ』による監視付き・非武装・事後の報告書提出義務などを条件に、月1回程度の自由外出を認められる。さらには、DAと提携しているフロント企業の一部製品やサービスに限り、専用の仮想通貨を使った『お買い物(物資補給)』も可能となるらしい。

 

「へぇ、そいつは羨ましいな。アタシにも何か買ってきてくれよ」

 

「えっと……、うん。お金(仮想通貨)や買ったものの譲渡は、ちゃんと報告して審査を受ければ大丈夫みたい」

 

「え? あはは、いやいや。冗談だって。それよりも……あんまり羽目外さないでよね。正式採用はまだなんでしょ? テスターのあんたがしっかりしてくんなきゃ、アタシらの番が回ってこないんだからさっ」

 

「ん、そうだね。気をつけるよ」

 

 あわわ、責任重大だ。変なとこ行ったり変なもの買わないようにしないと。

 ……しかし、それにしても『お買い物』かぁ。みんな、一体どんなものに興味があるんだろう?

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「ほ〜、お休み&お買い物制度ねぇ。DAもちょっとずつ良い方に変わってきてるってことかな」

 

「どうかしたんですか?」

 

「んにゃ、先生から聞いた話でさ。どうも本部の寮の方で、私の遺志を継いで規則撤廃の署名を集めてくれた子が居たらしいのよ。で、なんとこの度、リコリスのお出かけとショッピングが解禁されるんだって! まぁ、色々と制約はあるみたいだけど~」

 

「なるほど。存外、水面下では、千束のような不真面目なリコリスが多かったってことですかね」

 

「一言余計だ、私はいつだって真面目に仕事してますー。てか、たきなこそどうなの? 普段オフの日って何してるん?」

 

「? お店(リコリコ)の地下室で訓練か、潜伏拠点(セーフルーム)で勉強ですけど」

 

「聞いた私がバカだったよ。また今度一緒にどっか遊びに行こうね……」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 7月某日。ついに初めての『特別休暇』の日がやってきた。

 

 リコリスは普通の社会とは切り離されて育つけれど、一般人に擬して任務を遂行する以上、外界のことを何も知らず体験もせずに生きるわけじゃない。娯楽に飢えているというほどではないにせよ、リコリス寮では手に入らないものに憧れる気持ちは誰だってあると思う。

 寮の中では見られない景色、リコリス制服ではないファッション、給食では出ない食べ物、訓練棟には無いアスレチック、図書資料庫には置いてない本、娯楽室では遊べないゲーム……。

 まぁ、服装に限っては意外とそこまで興味を持たれていなかったりもする。制服が普段の活動に必須な上、そもそも思い入れの強い子が多いからね。

 

 わたし以外のテスターの子に人気なのは……ちょっとしたアクセサリーとか、寮室の机の上に飾る雑貨とか、気軽に食べて済ませられる甘いもの(スイーツ)あたりかな?

 人によっては美術館だったり、珍しいところだと釣り堀に行った子なんかも居るみたい。なんだかお洒落でいいなぁ。

 

 

 

 ───さて。

 そんなこんなで、かく言うわたしは……。

 

「何しようかな……」

 

 日頃の感謝を込めて、ヒバナにプレゼントをあげるのは確定している。ちょっと気恥ずかしいけど、何かしらお揃いのアクセサリーなんか買ってみるのも良いかも知れない。

 感謝といえば、いつもお世話になっているフキや、ニコルちゃんたちドットフィフス・チームにもお土産を渡したい。サクラについては……今後もフキの指揮下で戦う機会があるなら、友達にはなれずとも、最低限和解はしておくべきだろう。

 

 そこまで考えて、

 

「……でも、他人(ひと)にあげてばかりじゃもったいないよね?」

 

 チームメイトに贈り物をするのはいい。そうするだけの理由も気持ちもある。

 ある、が……それはそれとして、せっかくのお休みとお小遣いだ。()()()()()()()()も欲しい───。

 

「とりあえず、歩きながら考えよう」

 

 立ち止まって悩んでいても仕方がない。いくら考えても答えが出ない時は、頭じゃなくて手足を動かせ……とはニコルちゃんの教えだ。

 みんなへのプレゼントを選んでいる内に、きっと何か見つかるはず……!

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「ん~。お昼、なに食べようかなぁ」

 

「ひっ……、ヒィ……! ヒイィ……!」

 

「うああァァァ!!」

 

「うどん……は一昨日(おととい)の晩に食べたし」

 

「グギャ」

 

「助けて!! 助けて……くれッ、許してくれぇ!!」

 

「天ぷら? 微妙に気分じゃない……。お好み焼き……うん、ナシよりのアリ」

 

「お前ら来い!! 囲め囲め! 向こうはガキひとヴッ」

 

「クソ!! クソ、クソックソックソォ!! ああぁぁああああぁぁ!!」

 

「ここはひとつお肉で手を打つ、っていうのもさ。芸が無いよね」

 

「おぶっ」

 

「ぎっ」

 

「あ。そうだ、イタリアンにしよう!」

 

「ギィヤアアアアァァァアァァァ!?」

 

「千束たちも誘って……いや、今日は忙しいって言ってたな。残念───」

 

「ヒュー……ヒュッ……、ごぼっ」

 

「……? あぁ。……もしもし司令部? ストーム・リーダー、執行対象の殲滅完了でーす。工作班はポイントA3-T1によろしくっ」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 意外性は無いが間違いも無いはず、と考えて、都内の大型ショッピングモールに来た。

 服屋、雑貨屋、本屋に、スポーツ用品店や飲食店……気になるお店が目白押しで、歩いているだけでも楽しい。

 

 とはいえ、歩いているだけではいけないのも事実だ。

 気づけば時刻は正午に差し掛かっていて、何だかお腹も空いてきている。

 ひとまずお昼にしようか、頭に栄養が行けば良い案も思いつくはず───と、フードコートの方に足を向けたところで。

 

「あれ?」

 

 後方から聞き覚えのある声がした。

 振り返ると、そこに立っていたのは。

 

「エリカちゃん! エリカちゃんだよね!」

 

「……ニコルちゃん?」

 

 緩く波打つストロベリー・ブロンドの長髪に、夕焼け色のリコリス制服───『排撃者数第1位(ダブル・オー・ワン)』、星谷ニコル。

 現役最強と謳われる『旧電波塔の英雄』・錦木千束と双璧を成す、DA最高レベルの個人戦力。

 そして今は、同じ部隊で戦う……こともたまにある、良き友人……ってほど仲良くはないけど、うん。わたしにとって、最も身近な『目標』だ。

 

「やっぱり〜! こんな所でどうしたの?」

 

「あ、その……えっと。あれだよ。今日は……任務じゃなくて、例の特別休暇ってやつ」

 

「おっ? へぇー、あれ本当に実施されるんだ。よかったねっ」

 

「うん。……けど、いざ自由行動って言われてみると、あまりピンと来なかったから……色々迷っちゃって」

 

「なるほど」

 

 何かに納得したようにうんうんと頷くニコルちゃん。

 どうも大仰な仕草だが、それでも()()になるのだから可愛いって得である。

 

「じゃあ、わたしと一緒に遊ぼうよ!」

 

「へ?」

 

「へ、じゃないよー。同じ職場の()()なんだから、そのくらい当たり前じゃない? なんか今日さぁ、ちょうど誰とも都合つかなくって寂しかったんだ」

 

 とも……だち……。

 わ、わたしとニコルちゃんが……?

 

「まずは腹ごしらえかな? わたしのオススメのお店、教えてあげるね!」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ニコルちゃんと一緒に、お昼を食べて。

 

「千束は昔っから自由な子でね。最初に会った時は……おっきな任務の終わり際だったから、ちょっと記憶が曖昧なんだけど。療養明けにいきなり押しかけて来てさ。しばらくわけわかんない遊びに連れ回されたんだ」

 

 ゲームセンターのガンシューティングでスコアランキングを更新して、UFOキャッチャーで妙な生き物──チンアナゴという魚らしい──のぬいぐるみを取って。

 

「それで、またフキさんの雷が落ちたんだよ。わたしは悪くないのに、千束と居るといっつもそう! 自分だけ痛い目見るならいいけど、周りまでどんどん巻き込んじゃうんだっ。───でも、そこでみんなに"しょうがないな"で済ませてもらえるのが、日頃の行いってことなんだろうな」

 

 ヒバナたちに買うためのお土産を選んで。

 

「……え? 何でたきなお姉ちゃんを『お姉ちゃん』って呼ぶのかって? ……、……んん。それは、まぁ~流れでと言いますか……。……何でだろうね?」

 

 ここ最近のことや、今まであまり知る機会の無かった昔の話を聞かせてもらった。

 たきなと『旧電波塔の英雄』、喫茶リコリコ支部での日々について話すニコルちゃんは───何だか、いつもより楽しそうに見える。

 

「───つれてい〜って、みった〜ことない♪ ほし〜まぁで〜♫」

 

 それから、門限まで案外時間が余ったので、カラオケにやってきた。

 流行りの曲とかは全然知らないから、ほとんどニコルちゃんが歌っているのを聴くばかりだった──というか、カラオケなんて初めて来た──けど、これはこれで良い経験だと思う。

 何より、

 

 ……何より、何より。

 

「───、……」

 

「ふぅっ。……、? エリカちゃん?」

 

 そう。

 何より、これだ。

 

「……あの!」

 

 蜂蜜めいて甘やかながら、すっと頭の芯に染み入ってくる声。

 年齢相応の幼さと、どこかそれに相反する蠱惑的な響き。

 鈴のような、という形容は彼女のために考案されたのではないか……などと真剣に思えるほどだ。

 

「もし、もしよかったら、なんだけどっ」

 

 リコリスとしての任務中もそうだ。部隊を指揮するニコルちゃんの声は常に朗々としていて、わたしに高揚と安心感を与えてくれる。彼女の下で戦う限り、自分たちに負けは有り得ないと断言できそうなくらいに。

 フキとも顔馴染みらしいから、そのあたりの技術はフキから学んだのかも知れない。

 

「その。───何でも言ってくれていいから……わたしの耳元で、しばらく囁いてもらえないかな……!!」

 

「…………。……、……なんて?」

 

 蛇ノ目エリカ、一世一代の大勝負───!

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ───、えーと……。

 

 これくらいの距離と声……で、いい?

 う、うん。じゃあ、喋るね……。

 

 そうだなぁ。

 エリカちゃんは……ちょっと気弱で、ドジなところもあるけど。

 でも、臆病なのは良いこと、だよ。慎重ってことだもん。一瞬の隙が命取りになる世界だからね〜。

 

 それに、何だかんだ言ってもわたしたち(ドットフィフス)の任務についてきてるんだから───エリカちゃんはすごい子なんだよ。

 わたしはエリカちゃんの良いところ、たくさん知ってるよ? 隠密行動が上手だしー、一度決めたら撃つ時は迷わないしー……。何かあったら素直に謝れるし、お箸の使い方が綺麗だし、いつも良い匂いするし。

 辛いこともあったのに、諦めずに頑張ってて……すっごく偉いと思うっ。もっと自信持ってね。

 

 それから……それから……、んー……。

 ……えへへ。他人(ひと)を褒めるって、結構難しいね。気が利かなくてごめん───。

 

 え? ……適当に応援してくれるだけでもいい、って?

 あはっ。それくらいならお安い御用、だよ……♡

 

 んー、こほん。

 

 エリカちゃん。エリカちゃんは、頑張ってるよー……。

 わたしは、一生懸命なエリカちゃんが大好きだよー……。

 今度任務で一緒になった時も、わたしたちみんなで、きっと成功させようね。

 エリカちゃん、がーんばれっ……♡ がーんばれっ……♡

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「……こ……、こんな感じでよかっ……た?」

 

「」

 

「あはは……。な、何か思ったより照れるね、こういうの。動画とかCDとか作ってる人、大変なんだろうなぁ」

 

「」

 

「……。……っ、? ……エリカちゃん? おーい?」

 

「はぅ! ……あっ、だ、大丈夫! 平気だよ、ちょっと意識が水星あたりに飛んでただけで……!」

 

「ぜんぜん大丈夫に聞こえない言い方なんだけど……」

 

「ほんと、ほんと平気だからっ! ……えと、その、それで……。あの、……」

 

「まだ何か……?」

 

「───もう1テイク、お願いします。2万円払うので録音させてください」

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 後日、蛇ノ目エリカが星谷ニコルに突き返された2万円でイヤホンを購入したことは、また別の話である。

 


















タイトルに冠しておきながら特に活かされなかった萌え声要素を今になって回収。
ちなみに筆者自身が想定するニコルのCVは加○亜衣さんです。千束役の安済さんか、たきな役の若山さんでもいいですが。
ついでに言うなら御門は福○美里さん、ゴッホちゃんは田○睦心さんのつもりでした。

みんなも妄想力を鍛えて、最強の萌え声リコリスを脳内に飼おう!
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