コレクターが行く 作:見切り発車
バカ二人
コレクトは現在アルター王国にいる。
理由としては単純で、レジェンダリアから逃げてきたというだけだ。
少しやんちゃをし過ぎた。もう少し言うとジョブクリスタル周辺の汚染をして居座ったせいで顔が割れ、追われることになった。
ゆえに追っ手を撃退しながら王国まで逃げてきたのだ。
なぜカルディナに戻らなかったかと言えば、せっかくここまで来たんだしついでに王国の神造ダンジョンでも潜るかという思考で来たのだ。
そして今(コレクトにとって)重大な事実を突きつけられていた。
「ここって王国所属しか入れないの?」
「ええ、残念ながらそうなっています」
「マジかぁ」
平たく言えばコレクトは神造ダンジョン『墓標迷宮』に入ることができなかったのだ。
墓標迷宮は王国所属のマスターしか入れないのだが、それを知らなかった形だ。
余談だが近い将来同じ勘違いをするアンデッドで魔法使いのマスターもいる。
「予定が崩れたなぁ。
さて、これからどうしようか」
あまり深い意味はないがコレクトは墓標迷宮の入り口のすぐそばで椅子とテーブルを取り出してお茶とお茶菓子を取り出しながら考え始めた。
「うーんと、王国に観光地なんてあったか?」
そうつぶやきながら記憶を辿るコレクトだが各国の観光地を覚えているような人間ではない。
当然思い出すことができず、〈DIN〉から情報を買おうか悩み出したころにコレクトに声がかかる。
「何をしているんだい?」
「ん?誰だ?」
コレクトに話しかけた男はどこかちぐはぐな男だった。
一言で言えば外見に拘りがないオンラインゲームのプレイヤーといった外見で、もう少し言えば強い装備を上からつけたような装いだ。
「僕はフィガロ。こんにちは」
「ああ、こんにちは。私はコレクトだ。
ところでフィガロというと【超闘士】の?」
「うん。そのフィガロであってるよ」
フィガロは王国の決闘王者であり、決闘王者しかなれない【超闘士】だ。
ちなみにコレクトも【超闘士】は狙っていたが他のこともかなり手広くやっていた上に天地の決闘王者に勝てるビジョンが見えず他国に移籍するか悩んでいた頃にフィガロに持っていかれたので諦めたという経緯がある。
「で、そのフィガロが私に何か用でも?」
「こんな所でお茶をしててどうしたんだろうって思ってね」
「別に大したことではないんだけれどな。
っと、自分だけ座ってるのも居心地が悪いな。とりあえず、1杯飲むか?」
「じゃあ頂こうかな」
周囲の誰もが疑問に思っているが余りにも自然に行ってた上に、意識はしていないだろうが近づき難いオーラを放っていたコレクトに話しかけたフィガロに周囲の人々は〈マスター〉・ティアン問わず内心で称賛を送っていた。
それはそれとして素直にお茶を貰うフィガロに困惑もしていたが。
そんな周囲に気づかず呑気に話を続ける
「それでこんな所で茶を飲んでる理由か。
まあ大したことはないんだが、墓標迷宮に入ろうとしたら入れなくてこれからどうするかって悩んでたんだよ」
「なるほど。ここは王国所属の人しか入れないしね。
知らなかったのかい?」
「知ってたらここには来ていないかな。
そうだ、王国で何処かオススメの場所とかないか?わざわざ王国まで来たのに何もしないのは勿体無いからさ」
「そうだね、僕としてはギデオンとかオススメするけどどうだい?」
「闘技場か?決闘は足を洗ったんだがな」
「それは残念だ。君は強そうだから決闘したかったな。
まあ決闘をしなくても活気はあるし観光地もあるから一度行ってみるのも悪くないと思うよ」
「悪いな。
ふむ、そうかギデオンか。まあどうせ他に行くところもないしアリだな。
ありがとう。参考になった」
コレクトは提案を吟味し、アリだと判断を下した。
そして感謝の言葉と共に手を差し出した。感謝の握手というやつだ。
「助けになったのならよかった。
また縁があったら」
「ああ、また縁があったら。
その時はまあ、1度くらいは決闘に付き合うよ」
「それはたのしみだ」
立ち上がりながら言葉を交わす二人。
コレクトは諸々の片付けをしながら会話を続ける。
「道はわかるのかい?」
「マップは買ってあるよ」
「なら大丈夫そうだね。
じゃあ、楽しんで」
「ああ、のんびりと楽しませて貰うよ」
そして、会話が終わるとともに歩み出す。
フィガロは迷宮に、コレクトはギデオンに向かって行った。
二人が決闘するのは、またいつか。
ちなみにコレクトがいきなり椅子とテーブルを出したのに嫌がらせとかそういうのは本当にない。
追記
タイトル間違えてたから訂正しました。