コレクターが行く   作:見切り発車

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 なんか、全体的に上手く書けんかった気がする。
 時間かかった割に微妙でごめんなさい。


脆と堅

 それは動いていなかった。

 動けなかったわけではない、動けるうえであえて動いていなかった。

 動く理由がなかったから、2000年近くスリープ状態であったのだ。

 

 元々はとある兵装の試作品を搭載した物だった。

 しかし最終的にはこのプラントの素材を用意する採掘用に転用された。

 そして、このプラントのメインのマシンが機能失った為、採掘も停止し待機し続けていた。

 

 今となってはプラントの再起動を行う者はおらず、もう1つの条件も満たすことがなく、ゆえに動かない。

 そしてこれからも止まったまま時を過ごすはずであった。

 

 しかし、この埋もれたプラントに人が現れた。

 それにより、もう1つの条件を満たすことになるのは、もう少し先。

 

 

 階段を下った先は地面が剝き出しの広場のようなところだった。どこかに繋がっているであろう道が複数ある。

 

「ここは、なんだ?

 上と違って舗装されていないな。分かれ道も多い。

 それに、なにかあるな」

 

 それは見たところ機械のゴーレムのようだ。

 腕がドリル状になっており、各部に汚れも見えるため恐らく採掘用のものらしい。

 

 起動はしておらず、沈黙を保っている。

 

「動かない?」

 

 そう言いながらゴーレムに触ろうとする。

 しかし、それは叶わなかった。

 

 それより速くゴーレムがドリルを振るい、コレクトの腕を消し飛ばしたからだ。

 ゴーレムが立ち上がり、コレクトを見下ろす。

 

 そして、頭上に名前が表示される。それは先程までは無かったもので、すなわち今つけられたということ。そしてその名は【堅柔自在 ドリルミング】となっていた。

 

 この地下の主との戦いの始まりであった。

 

 

 

 先に動いたのはコレクトだ。不意を突かれ腕を失ったが、ドリルミングは音速に至らぬ身、音速のコレクトが先に動くのは必然で、コレクトの放った一撃が全く効果を現さないのもまた必然であった。

 

 この世界において前線で戦うものは大きく2つにわけられる。

 AGIが高い(速い)ものとENDが高い(硬い)ものだ。そして、基本的に片方が高いものはもう片方が低くなる。

 そしてドリルミングはAGIが低くENDが高い耐久型だ。コレクトのジャブ程度なら防げて当然だ。

 

「相当硬いな。

 それにしてもこれ、便利だな」

 

 反撃を受ける前に飛び退きながら腕を生やすコレクト。

 【死霊王】のスキルによって欠損を治したのは初めてで関心しながら、ここからどうするかを考える。

 幸いドリルミングは足が遅い。ゆえに攻撃を避けながら考える事ができる。

 

「多分私の魔法であの防御抜けるのは無いな。

 とはいえ物理もそこまでの威力出せるとなると《呪転撃》くらいか」

 

 今できることを整理し終え、《呪転撃》の威力を上げるため、しばらく回避に徹するコレクト。

 

 《呪転撃》は自身にかかっている状態異常を攻撃力に変換するもの。本来は状態異常を与えられないと威力は上がらないが、それを解決する方法がある。

 いわゆる、呪いの装備だ。

 

 コレクトは普段から呪いの装備を使っている。

 基本的にステータス上昇系の呪いの装備を常につけていて、これにより超音速機動に到達している。この前手に入れたカースドブラッドの特典武具も似たようなものだ。

 これにより《呪転撃》は常に一定の威力が保証されている。

 しかし今回は常より威力を上げるため、いくつか装備を付け替え、より状態異常を増やしていく。

 そうして一撃の威力を溜めていたが、ドリルミングに異変が起こる。

 

 ドリルミングの各部が展開し、バーニアで現れたのだ。

 

「あれは、まさか!?」

 

 そのまさかである。ドリルミングはバーニアを思いっきり吹かし、その金属で作られた巨体を超音速でぶっ飛ばした。

 その速度はコレクトより速く、ギリギリで体を捻り致命傷は回避できたが上半身を半分消し飛ばされた。

  しかしいくらAGI型のコレクトとは言え上半身を消し飛ばすのは難しい。

 コレクトは手に入れたばかりとは言え【死霊王】だ。それなりにENDはあるし、防御力が高いタイプではないが装備もある。

 

 これを成したのはドリルミングがドリルミングである由縁たるスキルの影響だ。

 それは《強度自在》。自身に接触したものの強度を自在に変更できるというものだ。

 このスキルによりコレクトの接触部位の強度が大幅な減算を受け、結果的に消し飛ばされたのだ。

 無論、この程度ならまだ治る。しかし頭部などを消し飛ばされたらどうにもならない。

 ここまで膠着状態だったのが一気にドリルミングに天秤が傾いた。

 

「ちっ!こんなもん隠してたのか」

 

 紙一重の回避を続けながら《呪転撃》を入れる隙を探す。

 しかし急加速急制動を繰り返すドリルミングに攻撃を入れるタイミングを見つけられない。

 

「!?曲がった!?

 たく、どういう機体なんだ!」

 

 ドリルミングは今まであくまで直線軌道であった。

 だがここにきていきなりバーニアを吹かし横へ強引に軌道を変え始めたのだ。

 

 超音速機動を使用しても回避を繰り返していたコレクトを処理するために攻撃の段階を一段階上げたのだ。

 

 これにより現状コレクトがドリルミングに攻撃を当てることが不可能に近くなってしまった。

 これがもっとプレイヤースキルがあるものなら変わるだろう。

 しかしコレクトに自身の3倍近い速度と音速未満を行き来するような相手に攻撃を当てる技術はない。

 

 ゆえにコレクトが頼るのは()()()()()()()()()()()()()()()

 すなわちジョブスキルだ。

 

 だがコレクトが持っているAGI型の超級職は【疾槍王(キング・オブ・ゲイルランサー)】。【疾風槍士】の上位職であり、槍士系統のジョブだ。

 《呪転撃》の特典武具は日本刀型。

 当然のことだが、【疾槍王】のスキルは日本刀型の特典武具を振るうことに効果を発揮しない。

 

 ならば何のスキルを使うのか?

 簡単だ。刀ならば刀を扱うスキルを使えばよい。

 使うスキルは《居合い》。東方の剣術系のスキルとしては基本的なもので納刀状態かつ敵が自身の半径2メートル以内に入ってきた場合という条件付きでAGIを倍にするスキルである。

 

 しかし、コレクトのAGIは1万の半ば。倍にしたとしても3万に届くかどうかと言ったところ。

 その程度では既に動いているドリルミングに攻撃を当てる前に轢き殺されるだろう。

 

「ここまでするのは久しぶりだな」

 

 そう言いながら刀を構えるコレクト。

 それは居合いの姿勢で、つまりは《居合い》をするということだ。

 

 動きを止めた相手にわざわざ複雑な軌道をたどることはなく、一直線に突っ込むドリルミング。

 先ほどまでと変わることはない。これがドリルミングの必殺なのだから。

 しかし、向かい打つコレクトも必殺に至る切り札を切ったのだ。

 

 ドリルミングがコレクトの居合いの間合いに入る。

 そして、一手届かないと思われた居合いはドリルミングがコレクトに接触する前に振るわれ、見事にその片方のドリルを破壊した。

 そして、横から叩きつけらた超威力によりドリルミングは弾き飛ばされコレクトに接触することもなかった。

 

 しかしその引き換えに刀が砕け散る。

 砕けた理由は簡単でドリルミングの《強度自在》により強度が0にまで減算されている物で、元々の強度プラス引き上げられた分で神話級の強度に至っている物を叩いたことにより砕け散ったのだ。

 豆腐で鉄を叩くようなもの、と言えば伝わりやすいか。

 

「なんとか届いたな。

 さて、これであとは内側をぶっ壊せば終わりだな」

 

 なぜコレクトが攻撃を先に当てることができたのか。

 同じ程度の速度で後から動けば一手届かないのは必然。

 速度が足りず、一手届かないのなら解決法はただ一つ。速度を上げればいい。

 コレクトは自身でバフをかけ、AGIを引き上げたのだ。

 バフのために用いたスキルは【高位付与術師】、付与術師系統上級職のもの。

 本来超級職を上級職のスキルで強化するのは難しいが、コレクトは魔法剣士ビルド。すなわち魔法系超級職を持っている身。

 つまり、自身の強化だけであるならばそれは超級職にも勝るとも劣らないものとなる。

 これにより、ドリルミングに先制して攻撃をすることができたのだ。

 

 ではなぜ《居合い》とバフを同時に使うことができたのか?

 もちろんジョブクリスタルで変更したわけではない。そもそもそんな暇はないが。

 そして《居合い》とバフを同時に扱えるようなジョブはそもそも持っていない。

 ではどうやったのか?

 その答えは簡単だ。この世界においてこのような異常を起こすのはエンブリオ以外にはありえない。

 

 コレクトのエンブリオはTYPE:アナザールール【双生奇児 リョウメンスクナ】。その特性は一言で言うのならばジョブの運用に特化したものと言える。

 今回の事を成した種は《異説統合》というスキルだ。

 効果は単純で、サブジョブのジョブ適正を得ることができるというもの。数は3つまでで、実質メインジョブに追加して3つのジョブを同時につけるようなものだ。

 このエンブリオにより複数のジョブの組み合わせがほぼ無制限にできることにより、コレクトは万能型の戦力を有する。

 

 とはいえ普段はここまで組み合わせを露骨に使うことはない。

 むしろほとんどの場合で普通の魔法使いを装っている。

 これはコレクトが伏せ札を何十にも用意するタイプであり、自分の力を誇示するタイプでないこともある。

 

 閑話休題。

 

 結果としてドリルミングは腕を破壊され、その破損部位から内部が見えている。

 そこから内部を破壊すればコレクトの勝利だ。

 

「やっぱりバフかけるとギリギリ追えるな」

 

 先程よりも余裕を持ってドリルミングの攻撃を回避できているコレクト。

 ダメージにより動きが鈍っていることとバフの影響で速度はほぼ同等と言っていい。

 

 この状況ならば回復ができるコレクトが有利。最終的に勝つのもコレクトだろう。

 

「よっと、起爆」

 

 何よりも、内部構造が露出したことにより魔法が通るようになったのが大きい。

 ドリルミングの《強度自在》はもちろん内部も強化できる。

 だが内部の強度が上がったところでパーツのかみ合わせなどを強化できる訳ではない。

 そういった総合的なダメージを与えることができるようになったのだ。

 

「このままなら勝てるな」

 

 だがしかしそこまでスムーズに勝てる相手ではないとコレクトは知っている。

 バーニアの温存を筆頭にこちらの想定を超える攻撃をしてきた相手だ、隠し玉の1つや2つはあって当然。

 そして、それは現実となる。

 

「動きが止まった?

 なんだ?」

 

 ドリルミングは先程までと一転、バーニアを収納しその場で防御姿勢を取っている。

 そして一瞬ののち、ドリルミングの周囲が崩れていく。

 床も壁も周囲に転がっている何かの残骸も、すべて等しく砂となる。

 これこそドリルミングの必殺。自身の周囲10メートル圏内の存在を殺し尽くす絶対の抹殺領域の構築。

 

「これは、想像以上だな」

 

 試しに符を投げながらそう言葉を漏らす。

 投げられた符はドリルミングに到達する前に砂のようになって消滅してしまう。

 コレクトの持っている符は基本的に威力が高い代わりに射程距離が短いものが多い。つまり、この状況ではドリルミングに符を使った魔法によるダメージは与えられない。

 コレクトの想像を遥かに上回る程の隠し玉であったのだ。

 

「これもダメか。

 まあ、効果圏内で発動されなかっただけマシだな」

 

 手持ちの捨ててもいい武器を試しに投げ、案の定崩れ去ったことを確認しながら、効果圏内に入っていなかったことを幸運に思うコレクト。

 コレクトは知らないが、ドリルミングに搭載されているこの機能は試作品であるがゆえにリミッター解除は発動までに溜めが必要なのだ。

 そしてもう1つ欠点があり、リミッター解除状態では減算または加算のどちらか1つしか発動できない。ゆえに、今のドリルミングの強度は素の状態だ。

 しかし、強化が切れたところであまり意味はない。何故なら元の強度ですら古代伝説級。コレクトが魔法だけで容易に出すことはできないものだからだ。

 

「となると、今ならいけるか?《サンドムーブ》」

 

 コレクトが使った魔法は粒子操作魔法。

 幸いにして、ここにはドリルミングのお陰で大量の砂が存在する。

 ではなぜ先程まで使わなかった粒子操作魔法を使いだしたのか。ここにはあまり砂が無かったこともあるがそれ以上に単純にドリルミングに効果が薄いと判断したからだ。

 しかし今は違う。腕が脱落し、内部構造を晒している。

 つまり、そこから侵入し内部構造を破壊するればいいのだ。

 そして、砂は狙い通り破損部位から内部に侵入しダメージを与えることができた。

 

 ドリルミングも自らの体内に侵入したものがあることはわかっている。

 そしてそれによって自らの終わりが近づいていることも。

 だがしかし、大人しく殺されるような存在でもない。

 これまで格納していたバーニアを展開し、超音速機動を始めたのだ。

 

「くっっそ!?

 そんなもん使ってんなら動くな!」

 

 限界まで距離を取りるコレクト。しかし距離を見誤り、全体的に右の辺りを持っていかれた。

 幸いにして先程までの速度はないようで、今のコレクトとほぼ同じくらいだ。しかも壁でも何でも真っ直ぐに突っ込んでいくという無茶な軌道もしていない。

 削られた足も無理やり動かして抹殺圏を避けながらも魔法の操作は止めない。

 コレクトは10メートル圏内を避ける続けることは流石に無理で少し削られては治している。ドリルミングは内部が砂により破壊され続けている。互いに命をすり減らしながらの粘り勝負となった。

 

「こいつのコアは何処だ!

 くっ超音速機動しやがるせいで砂が入らん!もとから入ってる分でやるしかないか」

 

 コレクトは超音速で砂を動かす事自体が不可能な訳ではない。しかし超音速で動かすならば集中する必要があり、今することが不可能なのである。

 

「!ここか!?」

 

 自身の操作している砂の感覚からコアらしき場所を見つけたコレクト。そこを重点的に攻め始める。

 しかし自身の終わりを理解したドリルミングがせめて相打ちを狙う。

 

 あえて出力を抑えていたバーニアを全力で吹かす。

 先ほどまで出力を抑えていたのはダメージを受けていたことと強化が途切れたことで反動を考え速度を抑えていたのだが、相打ち前提ならば話は変わる。

 残り僅かの命を燃やし尽くし、コレクトの命を取るつもりなのだ。

 

「!!!」

 

 この速度を出せる可能性も考え続けていたコレクトは対応はできたが、それでも避け切れない。

 体を思いっきり反らし、頭は守れたが胴体と脚の前面と喉を削られた。

 しかしそれで伸ばせた時間は一瞬。ほんの一瞬後にはデスペナルティになるだろう。

 だがその一瞬が勝敗を分けた。

 

 その一瞬の差でドリルミングのコアを破壊できたのだ。

 

【<UBM>【堅柔自在 ドリルミング】が討伐されました】

 

【MVPを選出します】

 

【【コレクト】がMVPに選出されました】

 

【【コレクト】にMVP特典【堅柔螺槍 ドリルミング】を贈与します】

 

「はぁはぁ、なんとか間に合ったな。

 なんか、最近苦戦ばっかだな」

 

 消滅した服を着替えながら呟く。

 ギリギリの戦いをした後で外に出るのも億劫になり、その場で休むことにした。

 ついでに今手に入れた特典武具の確認を始めた。

 

「まあなかなか使いやすそうな槍だな。

 これが今回の一番の収穫だな」

 

 コレクトは今回の収穫を振り返りながらそう思った。




 説明が多かった気がする。どうだろう。
 とりあえずここまで来たらあとがきも多めに書いとくね。


【双生奇児 リョウメンスクナ】
 必殺スキル含む二つスキルはあるけど《異説統合》と必殺スキルは近い感じのスキル。
 ちなみに【勇者】の大体下位互換で【超闘士】と大体相互互換くらい。
 相互互換なのはこっちは超級職以外も使えるけど数に制限があるあたり。


ドリルミング
 古代伝説級のロボ。フラグマン製で【マテリアル・スライダー】の試作品を搭載してる。
 試作品要素は通常状態だと接触部位しか強度操作できないところとリミッター解除状態でも減算値が10万くらいでリミッター解除すると加算か減算しかできないあたり。
 強いしコレクトと割と相性悪かった。でも迅羽だと一瞬なタイプ。
 というかコレクトはちゃんと強いけど相性悪かったりでスムーズに勝ててないのちょっとかわいそう。


コレクト
 ジョブと特典武具と武器の組み合わせで万能型に仕上げている。あとは空間超越攻撃さえあればもっと隙がなくなる。そしてほぼ迅羽になる。
 今度もっと強いところ見せる場を作ってあげたい。未定だけど。
 ちなみに戦い方が一番近いのは迅羽だけどビルドが一番似てるのはザラカイア。


報告
 魔法系超級職、全体的に王と姫で別れる可能性に気づきました。
 とりあえず【死霊王】は【死霊姫】とはしてないです。でも今後変えるかもしれない。


追記
 見てる人がいるかわからないけど少々報告を。
 見切り発車で始めた物語のせいでこの後書くことが思い浮かびません。正確には思いついたのですが上手く話しにできなかったので没にした後何も書くことが思い浮かばなくなりました。
 次回更新の可能性は低いですが、こういう話が見たいとかあればなんかいい感じに言ってくれたら更新されるかもしれません。
 以上わりとどうでもいい報告でした。
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