ブラッド・オブ・ジョジョ   作:けーやん

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皆さんが好きな近距離パワー型のスタンドは何ですか?

私は4部の主人公である東方仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』です。

承太郎の『スター・プラチナ』に匹敵するパワーとスピードに加え、『壊れたモノを直す』能力はジョジョシリーズの中でも稀少な回復も可能なスタンド。能力者である仗助自身を直す事は出来ませんが、自分を直せない優しさが実に仗助らしいとも解釈出来ますよね。

次点でDIOの『ザ・ワールド』です。


藍羽浅葱

海を見下ろすマンションの1室。窓辺から洩れ射す朝陽を浴びて、條士は目を覚ました。

 

「ふぁ……ふぅ」

 

條士は欠伸をすると、軽く背伸びをしてからベッドから起きる。閉め切ったカーテンを開けると朝日の眩しさに目を細めながら窓を開ける。

 

ヴァトラーとの面会から帰ってきたのは、昨夜の深夜3時過ぎ。明らかに寝不足だが、今日の朝食当番が自分である為、何とか目を覚ましたのである。

 

(今日も酷いな……)

 

洗面所の鏡に写った自分の寝癖を見て、條士は溜め息を吐く。父親譲りの癖毛のせいで、毎朝爆発した様な寝癖を付けてしまうである。顔を洗い、歯を磨き終えると、條士はキッチンに行く。

 

(卵もまだあるし、今朝はクロックムッシュにするか。後はミネストローネとヨーグルトで良いか)

 

そうと決めると、條士は早速朝食の準備に取り掛かる。手慣れた手つきでミネストローネを作り、次にクロックムッシュを作り始める。ベシャメルソースを作り、食パンにハムとグリュイエールチーズを挟み、パンの表面にバターを塗って、フライパンで軽く焼く。パンに焼き目が付いたら1度取り出し、表面にベシャメルソースをかけてオーブンで5分程度焼く。

 

「おはよ〜、條士くん」

 

起きてきた凪沙がリビングに来て、眠そうな顔で挨拶する。

 

「お早う、凪沙」

 

「おっ、今日の朝ご飯はクロックムッシュだね。それとミネストローネ!」

 

「ああ。もう直ぐ出来るから、食器出してくれるか?」

 

「はーい」

 

さっきまで眠そうだった凪沙の顔は、キッチンから漂う美味しそうな匂いで一変し、いつもの明るい表情になり、そのまま凪沙は條士と共に朝食の準備をする。

 

出来たばかりの朝食をテーブルに並べて、2人は各々椅子に座る。

 

「うーん、今日も美味しそうだね。頂きまーす!」

 

「頂きます」

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

朝食を食べた後、條士は洗面所の鏡に写る自分をみながら寝癖の付いた髪を整えていた。

 

「クソ、いつにも増して直らん」

 

しかし、櫛を使用しても頑固な寝癖は中々直らない。

 

「條士くん、早くしないと遅刻するよ」

 

「悪い。まだ直らないから姫柊と先に行っててくれ」

 

「もう〜。あまり時間掛けちゃダメだからね」

 

「ああ」

 

そう言って凪沙は玄関の方へ向かい、條士は再び寝癖を直す為奮闘を続ける。しかし、それでも寝癖は直りそうに無い。

 

「どうするか……」

 

「もうっ、何やってんの。ちょっと櫛貸して」

 

「ああ、悪い………ん?」

 

條士は振り返ると、何故か浅葱が立っていた。

 

「浅葱?何で居るんだ?」

 

「ま、まあ。偶には一緒に学校に行こうかなあって」

 

「いや、お前の家は此処から距離あるだろ。それと、中に入るにしてもチャイム鳴らしたらどうだ」

 

「玄関で凪沙ちゃんとバッタリ会ったのよ。あ〜もう。良いから櫛貸しなさい。直してあげるから。それと、あんた無駄に背が高いから頭下げて」

 

「無駄ってなんだよ………分かった」

 

不機嫌そうな表情で手を差し出す浅葱を見て、條士は納得の行かないまま櫛を渡し、頭が浅葱の顔辺りの位置になるまで腰を屈める。浅葱は櫛で條士の頑固な寝癖を解かし始める。

 

「………よし、これで良し。こんな感じで宜しいでしょうか、お客様?」

 

「何で美容師風?どれどれ……お、直ってる」

 

解かし始めて1分も経っていなかったが、鏡を見てみると寝癖は綺麗に直っていた。

 

「あんた普段が癖毛だから整髪料とか持ってた方が良いわよ。寝癖を直すやつも最近じゃ売ってあるし」

 

「助かった。今度買ってみる」

 

「どういたしまして。ほら、そろそろ行かないと遅刻するわよ」

 

「ああ」

 

そう言って條士は浅葱と共に玄関を出る。エレベーターで1階まで降りる。

 

すると

 

「お早うございます。先輩」

 

マンションを出ると、直ぐ目の前に雪菜が立っており、隣には凪沙も居た。

 

「姫柊?凪沙と先に行ってたんじゃあなかったのか?」

 

「雪菜ちゃん、條士くんが来るまでずっと待ってたんだよ」

 

「監視役の私が先輩から離れる訳にはいけませんので………それより」

 

雪菜は真顔で條士とその後ろに居る浅葱の顔を交互に見る。

 

「どうした?」

 

「いえ、何でもありません。早く行かないと遅刻しますよ」

 

そう言い残して、雪菜は歩き出す。凪沙は慌てて後を追う。雪菜の態度に、條士は首を傾げる。

 

「何なんだ?一体」

 

「あれって、やきもちかしら?」

 

「いや、それは無いだろ。別に俺は姫柊と付き合ってる訳でもないしな」

 

條士はそう答えると、浅葱が何故か目を大きくして條士を見つめてくる。

 

「……そう。付き合ってる訳じゃないんだ」  

 

念押しする様にそう呟いた後、浅葱は雪菜が歩く方角を指さして訊いた。

 

「彼女って一体どう言う子なの?」

 

「どうって、見た感じそのままだ。悪い奴じゃあない。まあ、偶に面倒な時もあるけどな」  

 

付き纏われたり、監視されたりしている現状を思い出しながら、條士は薄く溜息を吐く。

 

「條士って、あの子に何か弱みを握られてたりする訳?」

 

「弱み?」

 

「そうね、他人に言えない秘密とか」  

 

浅葱がじりじりと條士に顔を近づけて訊いた。

 

「いや、特に隠し事は無いが」

 

條士は何食わぬ顔で浅葱に答える。そんな條士の横顔を見て、浅葱は何か納得した様な表情をする。

 

「ふうん。なるほどね……基樹も偶には良い事言うわね」

 

「基樹が何か言ったのか?」

 

「べつにー。ほら、あたしたちも行くわよ」

 

浅葱は妙に晴れやかな笑顔でそう言うと、條士の背中を叩いて歩き出す。

 

「やれやれ、一体何なんだ?」

 

條士は理解出来ないまま、浅葱の後ろを着いて行く様に歩く。

 

すると、街灯の上に止まっていた1羽の鳥が、條士の方をジッと見つめていた。その鳥は、金属で造られたような鈍色の羽を持っていた。

 

 

 

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