奈落の子育て事情   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます!

今回はとっても長いです。ぶっちゃけ2話分ぐらいある


子供の心と消える遺物。そしてミラヴィー

468:困ったゴーレムだったもの

ナナチが家に居着いてしまった

 

469:名無しの探窟家

当たり前なんだよなぁ

 

470:名無しの探窟家

経緯を聞けば皆当たり前っていうぞ

 

471:名無しの探窟家

子供の心にクリティカル入れやがってよぉ!

 

472:名無しの探窟家

ちょうどいいからメンタルケアもやって、どうぞ

 

473:困ったゴーレムだったもの

でもナナチがここに居着いたら祈手(アンブラハンズ)がここに寄れなくなるんだよなぁ。やむを得ずみたいな感じで来る祈手もいるけどそいつが滞在してる時はナナチとミーティの姿が消えるから夕飯までには帰すようにしてるし

 

474:名無しの探窟家

ボンドルドの部下に近付く訳ないだろjk

 

475:名無しの探窟家

連れ戻される可能性があるもんな

 

476:困ったゴーレムだったもの

祈手は俺の手が足りない時にミラヴィーの世話を見てくれるからって言ったらミラヴィーの世話はオイラがするから祈手は入れないでって言われるしさ

 

477:名無しの探窟家

母親思いのいい子だな!

 

478:名無しの探窟家

お母さんが仕事(趣味)で外に出るからその間にいつも呼んでいたベビーシッター(祈手)に対してお金がかかるからと気を配って自分で面倒を見ることを決めた子供かぁ。

 

479:名無しの探窟家

なんて出来た子供なんだ!

 

480:名無しの探窟家

なお実態

 

481:名無しの探窟家

ベビーシッター(祈手)に苦手意識があるから赤ん坊の面倒を見る代わりに家にあげないでくれ

 

482:名無しの探窟家

心温まるお話はどこ?ここ?

 

483:名無しの探窟家

そんなものここにはないよ

 

484:困ったゴーレムだったもの

このままだとリコ達と五層に行くルートが消え去りそうだから何とか原作ぐらいにまで苦手意識を軽減出来ないかあれこれ試しているんだけど上手くいかなくて草生えそう

 

485:名無しの探窟家

生やしてる暇あるならとっとと動け

 

486:名無しの探窟家

ほら、除草剤やるから枯らせ

 

487:困ったゴーレムだったもの

つってもなぁ、祈手の1人を除いてみんなナナチのこと祝福の子って呼んでるからほぼ無理っぽいわ。中にはくだらんことする奴もいたし

 

488:名無しの探窟家

除かれた1人のことが気になるって言いたいけどくだらんことをした奴って何?

 

489:名無しの探窟家

いつもはどうでもいいみたいなこと言って流しているイッチがくだらんって言うのか

 

490:困ったゴーレムみたいなもの

今のナナチって成れ果てた孤児達が自分を糾弾する幻聴が聞こえるみたいでさ。その祈手はナナチが苦しんでいるのを理解した上でそういうものを増幅させる遺物をナナチに気付かれないように取り付けてやがった

 

491:名無しの探窟家

は?何そのクソ野郎

 

492:名無しの探窟家

その祈手生きる価値ないのでは?子供は宝であり俺らの癒しやぞ?

 

493:名無しの探窟家

てかボンドルドもわざと見逃してたってこと?『精神隷属機(ゾアホリック)』で自分の意識を植え付けてるなら気付けると思うんやけど?

 

494:困ったゴーレムだったもの

さぁ?一応ボンドルドに聞いたけど本心は分からん。あとその祈手は海に沈めといたから今頃は原生生物の栄養にでもなってるんじゃね?楽しむだけなんて勿体無い真似しやがって、もっとナナチの反応の変化とか色々調べとけよな

 

495:名無しの探窟家

いつもの!

 

496:名無しの探窟家

珍しくイッチが怒ってると思ったら俺らが考えていた理由と違った……

 

497:名無しの探窟家

普通はナナチにそういうものが取り付けられてることに怒ると思うんですけど?

 

498:困ったゴーレムだったもの

えぇ?どうせなら反応とか色々知りたくない?あと被害者であるナナチは一応俺の庇護下に入ったから今回は動いたけどボンドルドの管理下のままなら気付いても無視してたぞ

 

499:名無しの探窟家

よそはよそ、うちはうちってことか

 

500:名無しの探窟家

そこは嘘でもよその奴の行いにも口を出して欲しかったなぁ

 

501:困ったゴーレムだったもの

俺は今世では極力嘘はつかないって決めてるからな!

 

502:名無しの探窟家

あら、良い子

 

503:名無しの探窟家

騙されるな。極力って書いてあるぞ

 

504:名無しの探窟家

何なら嘘はつかないって言ってるだけで事実そのままを話すとも言ってないぞ

 

505:名無しの探窟家

もっと人間性をだしてほらほら

 

506:名無しの探窟家

イッチのやつはどっかに落としてるから

 

507:名無しの探窟家

それで除かれた1人はどういう奴なん?

 

508:困ったゴーレムだったもの

ミラヴィーの世話を1番見てくれてる奴でさ。ナナチもミーティも1人の子供として捉えてる良い奴やぞ。なんならナナチが俺のところにいるって当たりをつけて会いにきたからな

 

509:名無しの探窟家

それって本当に祈手?探窟家組合からボンドルドの動向を調査するように命じられたスパイじゃないの?

 

510:名無しの探窟家

心優しい奴がボンドルドの口八丁に騙されて祈手入りしたパターンか?

 

511:困ったゴーレムだったもの

五層で会えばたまにそいつからボンドルド出てくるからスパイではないな。あと本人にもしっかりと度し難要素はあるぞい

 

512:名無しの探窟家

あるのか、失望しました祈手のファンやめます

 

513:名無しの探窟家

祈手ファンとか嘘だろ?

 

514:名無しの探窟家

うん

 

515:名無しの探窟家

素直w

 

516:名無しの探窟家

その祈手も度し難要素あるならナナチは姿を現さないんじゃない?

 

517:困ったゴーレムだったもの

ところがどっこい!そいつにだけは姿を見せてるんだよなぁ

 

518:名無しの探窟家

えぇ……?ほんとぉ?

 

519:名無しの探窟家

疑ってて草

 

520:名無しの探窟家

その祈手がなんかナナチにしたのか?

 

521:困ったゴーレムだったもの

俺もビックリしたわ。ナナチが隠れている家の前で呼びかけたと思えば自分で自分の腕と脚を折ってさ。これで自分は何も出来ないから話をすることは出来ないかだってさ

 

522:名無しの探窟家

わーお、豪快

 

523:名無しの探窟家

でもそんなんでナナチが出てくるか?

 

524:困ったゴーレムだったもの

ナナチは優しいから治療をするために出てきたぞ。それで2人で話し合ってその祈手が1人で来た時だけ姿を見せるようになった

 

525:名無しの探窟家

感動出来そうで出来なさそうな話だなぁ

 

526:名無しの探窟家

元はといえばあいつらのせいだもんな

 

527:名無しの探窟家

イッチは2人の話し合いを聞いてなかったのか?

 

528:困ったゴーレムだったもの

冒険ごっこと称して外へと飛び出たミラヴィーを捕まえるために離れたから聞いてない

 

529:名無しの探窟家

冒険ごっこw

 

530:名無しの探窟家

小さい子から目を離しては駄目だぞイッチ!

 

531:名無しの探窟家

虫取り網と虫籠を持ったミラヴィーちゃんの姿が見える見える

 

532:名無しの探窟家

外へ出さないための柵とか扉とかないの?

 

533:困ったゴーレムだったもの

あるけど家の方はナナチが祈手の行為に衝動的に飛び出して閉めてなかったのと、保険で設置しておいた家の外の扉も祈手の奴が開けっぱなしやったわ

 

534:名無しの探窟家

開放的で草

 

535:名無しの探窟家

遮るものがなくなったからミラヴィーちゃんの冒険心が爆発したのね

 

536:名無しの探窟家

ゴーゴーゴー!

 

537:困ったゴーレムだったもの

久々に焦ったわ。ミラヴィーが銃口を咥えてた時以来か?

 

538:名無しの探窟家

それでイッチはミラヴィーちゃんを捕まえれたの?

 

539:名無しの探窟家

流石に捕まえれるやろ

 

540:名無しの探窟家

そもそも捕まえてなければイッチはここに来てないぞ。

 

541:困ったゴーレムだったもの

ちゃんと捕まえたぞ。隠れられたら面倒やったけど全速前進してたからすぐに見つけれたわ

 

542:名無しの探窟家

全速前進だ☆

 

543:名無しの探窟家

それで帰ってきたら2人の話し合いは終了してたと

 

544:困ったゴーレムだったもの

そこから俺の説教が始まったけどな

 

545:名無しの探窟家

まぁ、それはしゃーない

 

546:名無しの探窟家

祈手とナナチが振り向けば笑顔なのに目が笑っていないイッチがいたのか

 

547:名無しの探窟家

なにそれ怖い

 

548:困ったゴーレムだったもの

なんならその手脚折った祈手を俺が五層まで運んで行くはめになったんだぞ?

 

549:名無しの探窟家

治るまでイッチの家……は流石に無理か

 

550:名無しの探窟家

ナナチの手前、遺物実験は出来んしなぁ

 

551:名無しの探窟家

イッチでもそこは空気を読むか

 

552:名無しの探窟家

今思えば祈手の覚悟凄いな

 

553:名無しの探窟家

確かに手脚折るなんて普通の覚悟じゃ出来ないよな

 

554:名無しの探窟家

いや、そうじゃなくて弱ってる奴いたら遺物実験してくるイッチがいるんだぜ?なのにナナチと話すためだけにイッチの前で手脚折るなんてなぁ

 

555:名無しの探窟家

イッチからしたらどうぞ実験に使ってくださいって言われてるもんか

 

556:名無しの探窟家

そこんとこイッチ的にはどうなの?

 

557:困ったゴーレムだったもの

めっちゃウズウズしたわ。正直俺らの目を盗んで飛び出したミラヴィーがおらんかったら先っぽだけ理論で手を出してたかも

 

558:名無しの探窟家

やっぱり?

 

559:名無しの探窟家

いつもの

 

560:名無しの探窟家

怪物ぅ……

 

561:名無しの探窟家

イッチの怪物ぶりに安心する自分がいる

 

562:名無しの探窟家

その祈手を使えばナナチの苦手意識を改善出来るのでは?

 

563:困ったゴーレムだったもの

だと思うじゃん?アイツそろそろ死ぬんだよな

 

564:名無しの探窟家

何故?

 

565:名無しの探窟家

根拠はあるのか!?

 

566:困ったゴーレムだったもの

ボンドルドがそろそろ新たなルートを開拓するからその時に行ってもらうって言ってたのよ。ついでに危険地帯を何回も通るから生存は不可能とも言ってたし

 

567:名無しの探窟家

つまりどういうことだってばよ?

 

568:名無しの探窟家

ヒント、数減らし

 

569:名無しの探窟家

それヒントちゃう、答えや

 

570:名無しの探窟家

数減らしなんてあるんや。上限無しで増え続けると思ってたんやけど

 

571:困ったゴーレムだったもの

なんか向こうにも細かいルールがあるみたいやで。あと調達した子供も数人連れて行くって言ってたから数減らしじゃなくて実験やな

 

572:名無しの探窟家

また実験かぁ

 

573:名無しの探窟家

親の顔より見た実験

 

574:名無しの探窟家

もっと親の顔見ろ定期

 

575:名無しの探窟家

んなもん俺の幼少期に原生生物に喰われて死んだわ

 

576:名無しの探窟家

oh……すまんかった

 

577:名無しの探窟家

ええんやで

 

578:名無しの探窟家

優しい世界

 

579:名無しの探窟家

んなもん無い

 

580:名無しの探窟家

アビスだからね、仕方ないね

 

581:名無しの探窟家

新しいパターンが開拓されてるなぁ

 

582:名無しの探窟家

それも冒険

 

583:名無しの探窟家

大体答え察してるけどイッチの方で手を出して助けてやらないの?

 

584:困ったゴーレムだったもの

別にボンドルドが言う危険地帯にいる原生生物を退けるのは積んでる遺物の効果を確かめるついでにやってもいいけど、多分これ仲のいい祈手が死んだら子供達がどんな反応をするのか的な実験だから結局は死ぬぞ

 

585:名無しの探窟家

はいはい度し難度し難

 

586:名無しの探窟家

確定された死かぁ

 

587:名無しの探窟家

原生生物によって死ぬかボンドルドの手によって死ぬかかぁ

 

588:名無しの探窟家

子供達も死なない?

 

589:名無しの探窟家

そこは別の祈手達が救助隊的な感じで助けに行くんだろ。もしくは子供達との絆を深めるためにボンドルドが直々に助けに行くか

 

590:困ったゴーレムだったもの

まぁ、アイツは確実に死ぬんだから気にしてもしゃあない。本人もどこか察してる雰囲気を出してるしな。だから俺の悩みを聞いてくれ

 

591:名無しの探窟家

うーん、いつものと言いたいけど言いにくいなぁ

 

592:名無しの探窟家

本当にいつも急に来るよな。お悩み相談

 

593:名無しの探窟家

アビスは命が軽いからしゃあない

 

594:名無しの探窟家

それに祈手の方も死を察してなおイッチに助けを求めない時点で覚悟は決まってんだろ。なら俺らに言えることはない

 

595:名無しの探窟家

てな訳でイッチの悩みに行こうじゃないか!でも度し難抜きで頼む

 

596:名無しの探窟家

多分無理

 

597:困ったゴーレムだったもの

今回は度し難じゃないぞ多分。んで悩みの方なんやけどさ、最近ナナチの面倒も見るようになったからミラヴィーが拗ねてるのよ。俺的にはミラヴィーとも充分なほど遊んでると思うんだがどうしたら良いと思う?

 

598:名無しの探窟家

あー、子供の頃の構って状態か

 

599:名無しの探窟家

ミラヴィーちゃんからしたら急に出てきたナナチがイッチを掻っ攫っていったと思ってそうやな

 

600:名無しの探窟家

俺も前世で似たようなのになったからミラヴィーちゃんの気持ちは少し分かる。何というか親が一瞬でも他の方に意識を向けるのが嫌やねんな

 

601:名無しの探窟家

そうそう、ずっと私を見て!ってなる

 

602:名無しの探窟家

それで親が自分に意識を向けたことを何度も繰り返すようになるんだよな。それが説教だったとしても

 

603:名無しの探窟家

ってことはミラヴィーちゃんの脱走未遂も冒険ごっこじゃなくて過去に一回イッチに内緒で外に出て怒られたことがあるから味を占めたんじゃない?

 

604:困ったゴーレムだったもの

確かに怒ったことあったなぁ。その後泣いたから泣き止ませてから一緒に寝たわ。

 

605:名無しの探窟家

それやん

 

606:名無しの探窟家

つまり今回のやつでイッチの気を引かせたかったと

 

607:困ったゴーレムだったもの

ほー、それでどうしたらいいかな?

 

608:名無しの探窟家

難しいなぁ、どんなにイッチがミラヴィーちゃんに意識を向けてもそういうのは際限無しだからな。

 

609:名無しの探窟家

時間が解決かな?それまではイッチがミラヴィーちゃんに意識を向けてちゃんと見てるよってアピールするしかないと思う

 

610:名無しの探窟家

あとはナナチとミラヴィーちゃんの仲を良くしてナナチならいいかと思わせるとか?

 

611:困ったゴーレムだったもの

つまりナナチとミラヴィーの仲を深めさせつつ俺もミラヴィーに構う時間を今まで以上に増やすってことやな

 

612:名無しの探窟家

いっそのことスキンシップを増やすって方法もアリやと思うけど人によっては嫌がる子もいるからそれは様子を見ながらって感じか?

 

613:名無しの探窟家

頑張れお母さん

 

614:名無しの探窟家

え?イッチの中身は男……

 

615:名無しの探窟家

>>614 見た目が女なら女の子なんだよ!

 

616:名無しの探窟家

>>614 なんだァ?てめェ?

 

617:名無しの探窟家

>>614 この野郎……こっちにこい!男の娘とかTSとか諸々の素晴らしさを叩き込んでやる!!!

 

618:名無しの探窟家

うわっ!?何をする!?やめろー!死にたくなーい!死にたくなーい!!

 

619:名無しの探窟家

あれは帰って来たら新世界を開拓してくるな

 

620:名無しの探窟家

やめろとか言いながら自分から突っ込んでるんだよな

 

621:名無しの探窟家

やってみろ、世界が広がるぞ

 

622:困ったゴーレムだったもの

なぁ、もう一個聞きたいんだが

 

623:名無しの探窟家

どうしたイッチ、上手くいかんかったか?

 

624:名無しの探窟家

子供の心は単純に見えて複雑やからな

 

625:名無しの探窟家

以上、子供がいない俺たちからです

 

626:名無しの探窟家

は、はぁ!?子沢山だしぃ!妻も50人いるしぃ!(震え声)

 

627:名無しの探窟家

それは盛りすぎ、せめて5人にしとけ

 

628:名無しの探窟家

冷静な指摘、俺でも泣いちゃうね

 

629:名無しの探窟家

泣くのか……

 

630:名無しの探窟家

ほら、俺らの頭の中にいる嫁に慰めてもらおうぜ

 

631:名無しの探窟家

うん……

 

632:困ったゴーレムだったもの

そろそろいいか?

 

633:名無しの探窟家

あ、はい

 

634:名無しの探窟家

俺らの茶番を黙って見てくれてありがとナス!

 

635:困ったゴーレムだったもの

ええんやで、んで聞きたいことなんやけどさ、遺物って勝手に消えたりする?

 

636:名無しの探窟家

すまん、分からん

 

637:名無しの探窟家

何?消えたの?

 

638:困ったゴーレムだったもの

うん、融合の効果を持った方が消えてる

 

639:名無しの探窟家

誰かが持っていったとか?

 

640:名無しの探窟家

祈手とか結構な頻度で訪れてるもんな

 

641:名無しの探窟家

大切なものっぽいし2階の保管室に置いてたんやろ?

 

642:困ったゴーレムだったもの

うんにゃ、息抜きでよく鑑賞してたから保管室じゃなくて俺の部屋に飾ってたのよ。祈手が盗んだ可能性もあるけど、最後に確認した時から祈手は来てないから無理やと思う。ナナチとかミラヴィーに部屋に置いてあった遺物を知らないかって確認をとっても知らないって言うしミーティはどうやっても無理やからなぁ

 

643:名無しの探窟家

うーん、夜に泥棒が入ったとか?

 

644:名無しの探窟家

案外遺物の知らん効果があって勝手に消えたとか?一回使用で消えるタイプなんやろ?

 

645:名無しの探窟家

ないない……って言いたいけど遺物は分からんことだらけやもんな。正しい保管方法じゃないと消えるみたいな効果があるかもしれへん

 

646:困ったゴーレムだったもの

泥棒は対策してるから無理やと思うけどなぁ。1番可能性が高いのが>>644 かぁ……

 

647:名無しの探窟家

迷宮入りですねぇ

 

648:名無しの探窟家

ナナチ達が知らないって言ってあっさりと信じるイッチの優しさ

 

649:名無しの探窟家

イッチには悪いけど俺なら疑う

 

650:名無しの探窟家

>>649 怪物に優しさで負けてるスレ民がいるらしいですよぉ?

 

651:名無しの探窟家

はぁ、はぁ、敗北者?

 

652:名無しの探窟家

誰もそこまでは言ってないんだよなぁ

 

653:名無しの探窟家

でも消えた遺物の効果的に対応の仕方は>>649 の方が正しいんだよな。もし間違えてミラヴィーちゃんとかナナチが使用したらヤバいぞ

 

654:名無しの探窟家

何かあってからじゃ遅いからな

 

655:名無しの探窟家

イッチ的にはどうするの?俺ら的にはナナチ達をしっかりと調べるべきだと思うけど

 

656:困ったゴーレムだったもの

今調べて見たけど何も持ってなかったわ。家もビットを使って隅から隅まで探したけど見つからない。これは消えた説が濃厚だな。はぁ……

 

657:名無しの探窟家

ため息w

 

658:名無しの探窟家

六層から持って帰ってきた遺物が一つしか残ってないってマ?

 

659:名無しの探窟家

そりゃため息も出るわw

 

660:困ったゴーレムだったもの

諦めてミラヴィーが喜びそうなプレゼントでも探してくるわ。あー、ショック

 

661:名無しの探窟家

めっちゃ引き摺ってるw

 

662:名無しの探窟家

ミラヴィーちゃんの喜ぶプレゼントをゲット出来たらいいな

 

663:名無しの探窟家

さて、俺も仕事に戻るかぁ

 

664:名無しの探窟家

俺もアビスに潜るわ

 

665:名無しの探窟家

俺は明日の準備かなぁ

 

666:困ったゴーレムだったもの

なぁ、帰ってきたらミラヴィー死にかけてるんやけどどういうこと?

 

667:名無しの探窟家

…………はい?

 

 

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 ある夜の日のこと、四層にあるとある家の住民達が大体寝静まった頃。廊下を小さな人影が歩いていた。

 

「むぅ〜、ナナチだけズルゅい!」

 

 まんまるな頬を更に膨らませて如何にも怒っていますという態度で歩いている幼女はミラヴィー。事故によってそのまま命尽きる運命だったのだが、マメナルに拾われたことで死ぬのを免れた子供だ。

 

 そんなミラヴィーが何故こんな夜遅くの時間まで眠らずに廊下を歩いているのかというと、単純にさっきまで寝ていたせいで眠れなくなったからだ。今までなら再び眠くなるまでマメナルに遊んでもらえたのだが、少し前からそれも叶わなくなってしまった。

 

「ミラヴィーのおかあしゃんなのにぃ!にゃんでナナチがひとりじめしゅるの!?」

 

 いつものようにマメナルに遊んでもらおうとお願いしたミラヴィーだったのだが、マメナルに拒否されてしまったのだ。といってもマメナルだって嫌だから拒否したわけではなくしっかりとした理由があって拒否したのだが、ミラヴィーには理解出来なかった。

 

 それも仕方ないことだろう。まだ1年と半分くらいしか生きていないミラヴィーにナナチが幻聴と毎日のように見る悪夢に苦しんでいて、マメナルとミーティが近くにいればその現象が和らぐから暫く一緒に遊べる頻度が少なくなるかもだけどミラヴィーは我慢してねと説明したところでミラヴィーが「うん、分かった」と納得するわけがない。

 

 ミラヴィーからすると急に来たナナチがマメナルを横取りしてきたようにしか見えないのだ。そして子供は思い込んでしまうと訂正するのは中々難しい。

 

 なんでなんでと怒るミラヴィーにマメナルも布団の中で遊ぼうと提案はしたのだが、ミラヴィーは外に行きたいとゴネた。それもマメナルがナナチがいるから無理と布団をめくってマメナルの服を掴んで眠っているナナチをミラヴィーに見せたところでミラヴィーの我慢は限界に達し、それなら1人で行ってくるもんとマメナルに宣言してから飛び出してきたのだ。

 

 そうやってミラヴィーが部屋を出て少し歩いたところで暫く待ってもマメナルはやって来ない。いつもなら暫く待てば出て来てくれるのにとミラヴィーは頬を膨らませて歩き始めて今の状態である。

 

 怒りながらもミラヴィーは玄関を目指して歩みを進める。玄関に辿り着いたところでマメナルが外に出れないように施錠しているので出ることは叶わないのだが、ミラヴィーはそんなことを知らない。いつもはマメナルが開けていたし、そもそもミラヴィーは鍵の仕組みを知っていないためドアノブを捻れば勝手に開く程度にしか思っていない。マメナルはそれを理解しており、ミラヴィーが扉を開けようと奮闘しているうちに眠たくなってすぐにこっちに戻ってくると当時のマメナルは考えていた。

 

 しかしミラヴィーは玄関に辿り着くことはなかった。途中でそれよりも気を引くものを見つけたからだ。

 

「あ、おかあしゃんのへや。」

 

 玄関までの通り道に存在するマメナルの部屋で足を止めたミラヴィーが思い出したのはマメナルの言葉だ。この部屋には危ない物があるから入ってはいけないと。もしお母さんの許可がないのに勝手に入ればお母さんはとっても怒るぞとマメナルは言っていた。

 

 そこでミラヴィーは気付く。今自分が部屋を入ればマメナルはナナチを置いて自分の方に来てくれるのではと。ミラヴィーの頭には怒られることなど忘れて、この部屋に入ればマメナルがやってくるとしか考えていなかった。

 

 なら急げと扉を押してミラヴィーは部屋の中に入り、部屋の真ん中で座り込む。それからマメナルが来るのを今か今かと待っていたのだが、マメナルがやって来る気配がない。

 

 再び頬が膨らんできたミラヴィーだったが、マメナルは自分がこの部屋に入ったことに気付いていないのではないかと思い至った。なら物を落とせばその音でマメナルが気付くはずと今度は部屋の中を見て回り始め、ミラヴィーは背の低い机の上に乗っている2つの球体を見つけた。

 

 片方は幾何学模様の光を点滅させており、もう片方は渦のようなものがグルグルと回っている。微光を放ちながら存在するその二つは、ミラヴィーの興味を強く引き寄せる。

 

 幾何学模様の方は机の真ん中辺りに置かれているのでどうやっても届かないが、渦巻きの方なら手を伸ばせばなんとか届く距離に置かれている。椅子などがあればもっと楽に届いたのだが、近くにあるマメナル用の椅子はミラヴィーが動かせる重さではなかったので断念することとなった。

 

「ん〜!ん〜!」

 

 近付けばミラヴィーからすれば意外と高かった机の端を片手で掴み、ミラヴィーは必死にもう片方の手を伸ばす。足もつま先立ちになり、マメナルがその姿を見れば即座に止めに入る体勢になっている。

 

「あとちょっとなのにぃ……とれた!」

 

 自分の視線からは見えない位置にあるため、記憶と手の感触で遺物を探り、掴み取る。取れた時の嬉しさでミラヴィーの顔がパッと明るくなるが、それと同時に片手で掴んでいた机の端を離してしまい、体勢を崩したミラヴィーはコロンと転がるように後ろに倒れてしまう。

 

「いちゃい……でもとれた!ってあれ?」

 

 痛みよりも取れた嬉しさでミラヴィーは遺物を掴んだ手を見つめたが、そこにあるはずの遺物が存在しない。落としたのかと周りを探しても見つからず、なら掴んでなかったのかと机の上を見える位置から確認しても見つからない。

 

「ん……ふぁ〜〜。ねむい。」

 

 暫く辺りを探し回っていたミラヴィーだったが、突然やって来た眠気によって捜索は中断されてしまう。目を擦りながら部屋を出て、ミラヴィーはマメナルとナナチが眠っている部屋へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、出かけてくるから留守番よろしくな。」

「んなぁ、気を付けてな。」

「いってらっしゃい!!」

「な〜〜〜〜。」

 

 あの夜から数日が経ったが、特にマメナル達の生活は変わらなかった。強いて言うならスレ民の助言を聞いたマメナルがミラヴィーにいつも以上に構うようになり、ナナチとも一緒に遊ばせるようになったことでミラヴィーの機嫌とナナチとの仲が少し良くなったくらいだ。

 

 いつものように出かけたマメナルを見送るミラヴィー達。マメナルが森の奥へと消えていき、外の扉が閉まる音がしてからやっとミラヴィー達は行動を始める。

 

 といってもやることはほぼ決まっており、寝室で先ずナナチが床に座り、その脚の隙間にミラヴィーが座る。そしてナナチの隣にミーティが寄り添う。

 

 みんなが自分の近くにいることをナナチが確認すると、手に持っていたアビスについて書かれた本を開いて朗読を始める。これがここ最近のナナチ達の日課だ。既に何度も行われていることで、一時期まだ完璧に文字が読めるわけではないミラヴィーがこれ以外の本がいいとゴネた時もあったが、育ての親であるマメナルがミラヴィーに勉強をしていて偉いなと褒めてからは文句も言わずに黙々とナナチの朗読を聞くようになった。

 

 ちなみにその日の夕方にミラヴィーの言い分ももっともだと思ったマメナルがボンドルドのところから子供向けの本を数冊貰って帰ってきたのだが、ミラヴィーはマメナルが褒めてくれたことであの本にこだわっておりマメナルが持ってきた本をいらないと突っぱねていた。突っぱねられたマメナルは、まさかいらないと言われるとは思っていなかったようで、後日前線基地(イドフロント)に赴いてボンドルドと手が空いている祈手達を召集して子供の心について会議を始めたが運悪くそういう物に疎い者ばかりが集まったので答えは出なかった。

 

「──ましたとさ、おしまい。……本は読み終わったが、飯の時間はまだ先だな。ミラヴィーは何かしたいことはあるか?」

「ならさんぽにいきたい!」

「んなぁ、それはマメナルが駄目だって言っていただろ?」

「やだやだやだ!!!さんぽにいきたいのぉ!!」

「んなぁ、困ったなぁ……。」

 

 いつもより早く本を読み終わったことで時間に空きができ、ナナチがミラヴィーにしたいことを尋ねるとミラヴィーは目をキラキラさせながら散歩に行きたいとやりたいことを口にする。

 

 しかしナナチはマメナルに留守番中の散歩は駄目と言われており、叶えることは出来ない。それを言い聞かせるようにミラヴィーに教えてやれば、ミラヴィーは床に寝そべってジタバタとゴネ始め、そんなミラヴィーを見て困ったようにナナチは自分の頬を掻いた。

 

 ナナチは自分がこの家に居着いていることに申し訳なさを感じており、特にミラヴィーがマメナルにおねだりをして断られているところを見てしまうと特に強く感じてしまう。

 

 マメナルもナナチが気不味く感じないように言葉を選んでミラヴィーのおねだりを断っているのだが、断られたミラヴィーがナナチが見ていることに気付くと目に涙を浮かべながら睨んでくるのだ。そんなものを見せられたら何が理由でマメナルが断ったかなんてすぐに分かる。

 

 きっとナナチがいなければマメナルはミラヴィーのおねだりを断らなかったのだろう。それがナナチの心に重くのしかかる。なのでナナチはミラヴィーのおねだりを出来る限り叶えてやりたいと思っている。

 

 この散歩も本当は叶えてあげたい。叶えてあげたいがマメナルに禁止されている。だから駄目だと考えていたナナチだったが、未だにジタバタしているミラヴィーを見ていると申し訳なさも加わって気持ちが揺らいでくる。

 

「んなぁ、しょうがねーなぁ。ちょっとだけだからな。」

「………ほんとう!?」

「ちょっとだけだぞ?本当にちょっとだけだからな?」

「うん!ナナチだいすき!!」

 

 泣き顔がすぐに笑顔になったミラヴィーを見て、ナナチは仕方ないなと考えながら外へ出る準備を整える。マメナルとの決め事を破ってしまうことになるが、ちょっとだけだから自分に言い訳をする。それに四層に出てくる危険な原生生物は前線基地にいた時にマメナルから教えられており、どうしたらいいかも教えられている。もし遭遇したとしても逃げることは出来るはずだ。ナナチはそう判断した。聞くのとやるのとでは全く違うということに気付かずに。

 

 

 

 

 

「ナナチっていっぱいこえがきこえるんでしょ?」

「声?幻聴のことか?あぁ、嫌になるほど聞こえるよ。」

「おかあしゃんはおともだちのこえっていってたけど、どこにいるの?ナナチのみみのなか?」

「んなぁ、タチの悪い友達はそんなとこにはいねーよ。……いねぇからな?本当だぞ?」

 

 外に出て暫く。周囲の警戒を厳にしつつ散歩を続けていると、ミラヴィーが興味津々と言ったかのようにナナチの両耳を見つめている。その目には耳の中を見てみたいと書いている気がして、ナナチはミラヴィーと手を繋いでいない片方の手で耳を押さえた。

 

 ミラヴィーの興味に満ちた視線をあえて気付かない振りをしながらそのまま散歩を続けるが、家を出る前にナナチが考えていたほど危険な原生生物に全く出会わない。あまりにも出会わないので覚悟を決めていた自分に少し拍子抜けをしているほどだ。

 

 それもそのはずで、マメナルは他の探窟家達のように安全なルートを選ぶことはなく、こっちに行きたいからこの道を進むといった方法で進んでいる。そこに原生生物の縄張りを避けるといった選択肢などはなく、寧ろズカズカと進んで原生生物の縄張りに侵入している。そうなればその縄張りにいる原生生物がマメナルに襲いかかるのは当たり前のことであり、マメナルの方も道を歩けば原生生物が大量に出てくるのがアビスの常識と思い込んでナナチに教えていた。

 

 それに追加してマメナルが四層に家を建ててからそこに住み始めて結構な時間が過ぎている。そのため四層の原生生物達はそこはマメナルの縄張りだと判断しており、更にマメナルに挑んだ原生生物はただ1匹も逃れることなく死亡、もしくは瀕死になるので最強の捕食者として恐れらている。ゆえにナナチ達が現在いるマメナルの縄張り範囲内には危険な原生生物などは居らず、代わりに四層では力が弱く、狩りの成功率も低い原生生物がマメナルのおこぼれを狙って生息している。

 

 そんな事情があるとは全く知らず、マメナルの言葉だけを真に受けていたナナチは、あまりにも危険な原生生物が出現しないことに安堵するとともに、張り詰めていた警戒を少し緩めることにした。

 

「ナナチ!あっちにいこ!」

「あっち?あの上か?」

「うん!」

 

 警戒を緩め、少し気が楽になったナナチにミラヴィーがとあるダイラカズラの幹を指差した。ナナチがそこに視線を向けると、そこに行くためには少し登らないといけないが決して無理な高さではなく、休憩を挟めば上昇負荷も来ないしそこまで時間はかからない。さっきまでのナナチなら無理だと拒否していただろうが、時間が過ぎて外の空気と緊張感に慣れたのと、あそこ(縄張りの外)まで行っても危険な原生生物など来ないだろうと根拠のない決めつけによってナナチはミラヴィーが指差した方へと向かうことにしたのだった。

 

 

 

「思ったより時間がかかったな。」

「わぁ!すごい!」

「ほぉ?こりゃ良い景色じゃねーか。」

 

 辿り着いた場所で2人が周りを見渡すと、そこには沢山のダイラカズラが生えており、力場の影響で空間が青色に見える幻想的な景色が待っていた。

 

「ミラヴィーはここに来たことがあるのか?」

「はじめてだよ!おかあしゃんはいつもちがうところにいくから!」

「ゲッ!?もしかしてオイラは間違えた道を進んでいたのか……?」

「うん、でもみたことないところばっかでたのしかった!」

「んなぁ、ならいい……のか?」

 

 ミラヴィー的には間違えていたとしても探窟家としては正しいルートである。もしマメナルと同じルートをナナチが進んでいたとしたら縄張りの外に出て数歩で原生生物に襲われていただろう。

 

「んなぁ、もういいだろ?家に帰るぞ、ミラヴィー。」

「えぇ!?もっとみたいよ!」

「駄目だ。これ以上見ているとマメナルが帰って来ちまう。怒ったマメナルは怖いぞ〜?」

「うぅ、わかった、かえる。」

 

 ナナチの帰る発言にミラヴィーが再びゴネそうになったが、マメナルの怒った姿をナナチが真似することによって帰る気になったようだ。既にマメナルが帰っている可能性もあるため、ナナチはミラヴィーを抱きかかえて急いで家に向かって走り出した。

 

 

 

 

 そしてそんな急いでいる姿は、さぞ目立つことだろう。

 

 

 

 

「!!あぶねぇ!?」

「え?」

 

 ナナチの力場をみる瞳が、ナナチ自身とミラヴィーを強く狙う力場を捉えた。何かが迫る気配を感じながら、ほぼ反射的に前へと身を投げ出したお陰でナナチ達はギリギリで命を繋ぎ止めた。

 

 ナナチが起き上がり振り返ると先程までナナチ達がいた場所とその周辺に針が突き刺さっている。あのままナナチが棒立ち、もしくは走り続けたままならば今頃あの針に貫かれていたことだろう。

 

「……嘘だろ?なんでここにタマウガチがいるんだよ!ここは剣山カズラじゃねーぞ!」

「ヴゥゥゥゥゥゥ……。」

 

 針を辿って辿り着いた原生生物の姿にナナチは思わず叫んでしまった。四層最強は誰かと探窟家に聞けば誰もがその名を言うことだろう。そんな原生生物がナナチ達のすぐ近くに、そしてナナチ達を睨んでいた。

 

「くそ!どうする?どうやって逃げる!?」

 

 あっちへこっちへと意識を飛ばしてナナチは必死に思考を巡らせる。その姿は格好の的なのだが、タマウガチの針は右へ左へと狙いが定まっていない。これはナナチが狙ってやっていることでタマウガチの性質を利用したものだ。

 

 タマウガチは赤い顔にあるボーリングの穴のような器官でアビスの力場読み取り、相手の動きを先読みすることが出来る。それを知っているナナチが意識を色んな方向に向けることでナナチが発する力場も色んな方向へ拡散し、タマウガチは先読み出来るが故にナナチの次の行動が定められない。

 

「もしかしてコイツ……幼体か?なら近くに親がいる可能性もあるってわけか……。」

 

 いつまで経っても力場に惑わされて襲ってこないのと、マメナルから聞いていたタマウガチのサイズの違いからナナチはこのタマウガチが幼体と判断する。それなら何故タマウガチが生息地から少し離れたこの場所に現れたかも納得できる。きっと好奇心で親の縄張りから離れたのだろう。

 

 そこで問題が出てくる。それはこのタマウガチの親が子を探しにくる可能性があることだ。タマウガチの生態なんてナナチは知らないが無いとは言い切れない。

 

「だけどこれなら逃げれそうだ。」

 

 相手は幼体で自分の能力に頼りっきりなのでこのまま力場を乱して離れれば逃げることは出来そうだ。例え追ってきたとしてもこの辺りは木々が生えているので小さなナナチ達はともかく、幼体でもそこそこ大きいタマウガチの進行を邪魔するだろうし、肉食ではないタマウガチはナナチ達を見失えば早々に探すのはやめるだろう。

 

 一歩、また一歩とナナチはミラヴィーを抱きかかえたまま後ろへと後退する。タマウガチは力場に惑わされて攻撃してくることはないが、ナナチが一歩下がれば一歩踏み込んで来るので距離は中々広まらない。

 

 でもこの調子なら後ろの木々にまで十分に間に合う。張り詰めた緊張感の中で自分の頬に汗が流れるのを気にすることも出来ずにナナチは我慢強くタマウガチを睨みつける。

 

 だけど我慢が出来ない者がいることと、その者を落ち着かせることをナナチは忘れていた。

 

「こっちにこないでよぉ!!!」

「ヴゥ!?ヴァァァァァァ!!!!」

「んなぁ!?しまった!」

 

 場の空気に耐え切れず、ミラヴィーがタマウガチに向かって大声で叫ぶ。ナナチが自らのミスを悟り、声を出してしまうがそれよりも早くタマウガチが雄叫びを上げた。

 

 タマウガチからすれば力場に惑わされていた時に真正面から強烈な力場を叩きつけられたもので、攻撃されたと判断するには十分だ。いきなりの不意打ちにパニックになったタマウガチが、先に仕留めるべきとナナチ達に向けて針を伸ばす。

 

 ナナチの予想より遥かに速く伸びてくる針をナナチはミラヴィーを抱えながら必死に躱す。先程と同じように力場をあちこちに伸ばして撹乱させようとするが、パニックになったタマウガチはナナチが伸ばした力場諸共攻撃を仕掛けてくる。

 

「お構いなしかよ!」

「ふぇぇぇぇん!!!」

 

 思わず毒突いたナナチだったが、それを間近で聞いてしまったミラヴィーがとうとう泣き出してしまった。辺りに響き渡る大音量に森が俄かに騒めきだす。タマウガチがその泣き声を聞いて更に興奮したのか、しきりに脚で地面を掻いている。

 

 状況が更に悪化し、ナナチも泣きそうになるがグッと耐える。それにこれはチャンスでもあり、ミラヴィーの泣き声に誘き寄せられた原生生物をタマウガチにぶつけることが出来ればその間に逃げだせる可能性が高まる。

 

 しかしただでさえタマウガチを撹乱するために意識をあちこちに飛ばしていたのに加えてタマウガチの針の警戒、逃亡する方法、変わるであろう状況。その全てを考えていれば、必ずどこかで綻びが出る。

 

「んな!?」

 

 いつの間にそんなに下がっていたのか、ナナチは後ろに生えていた木の根っこに引っかかって転んでしまった。そしてその隙をタマウガチが逃すわけがない。隙が出来た敵に対してタマウガチが針を伸ばす。

 

「え……?あっ……。」

 

 タマウガチが敵を貫き、飛び散った血がナナチの頬を濡らす。付いた血をナナチが震える手で拭う。

 

「ミ、ミラヴィー?」

 

 貫かれたのはナナチではなく、転けた拍子に離れてしまったミラヴィー。ミラヴィーは泣くのをやめて自身の胸を貫いている針を理解出来ないような顔で見つめ続けている。

 

「ミラヴィー!待ってろ!すぐに助けるからな!」

 

 我に帰ったナナチが近くにあった枝を折ってミラヴィーの方へと走り出したが、それよりも速くタマウガチがミラヴィーを持ち上げて自身の方へと引き寄せる。

 

 ぐったりとしているミラヴィー。その命は次の瞬間にでも尽きそうで、ナナチに焦りが募る。そんな時だ、ナナチの耳にガラスが割れたような音が聞こえてきたのは。

 

 変化はすぐに現れる。ミラヴィーの胸に黒い渦が出現し、ミラヴィーを刺し貫いているタマウガチの針を吸い込み始めたのだ。突然の事態にタマウガチは針を捨ててすぐに逃亡しようとしたが、発生した渦の引力に完全に捕まったのか逃げることが出来ない。次第にタマウガチの身体は宙を浮き、叫び声を上げながらミラヴィーの胸へと吸い込まれていった。

 

「な、何が起きたんだ?」

 

 枝を持ったままナナチが呆然と言葉を発する。それもミラヴィーが地面に落ちたことで我に帰り、慌ててミラヴィーの元へと駆け寄った。

 

「ナ、ナ、チ、いちゃいよ。」

「ミラヴィー!待ってろ、すぐに治してやるからな!」

「いちゃい、いちゃいの。」

 

 訳がわからないが、そんなことよりもミラヴィーの治療が先だと駆け寄ったナナチにミラヴィーは痛いと繰り返すのみ。ここでは満足のいく治療が出来ないため急いでミラヴィーを抱き上げて家に帰ろうとしたナナチだったが、またも変化が訪れる。

 

「いちゃい、いちゃい、いちゃい……。」

「……なんだよこれ、どうなってんだよ!!」

 

 最初に訪れた変化はミラヴィーの脚。白い剛毛が生え始め、爪は獣のようなものに変化する。次は腰、服を突き破ってさっきまで見ていた針が生え始める。

 

「んなぁ……。んなぁ……。」

 

 こんな現象は知らない、知っている訳がない。後退りをしながらどうすることも出来ずにナナチはミラヴィーを眺め続けるしかない。やがてミラヴィーの左眼が溶けて赤い丸の中に5つの黒い穴があるものが代わりに出てきた時、とうとうナナチは吐いた。それと同時に最近は聞こえなくなっていた幻聴が再び聞こえ始める。

 

「オボォ、おぇ……。」

 

 そうやって吐き続けていると、ミラヴィーの周囲に虫が集まってくる。ミラヴィーから流れる血の匂いに惹かれてやって来たのだろう。それを見たナナチは吐きながらでもミラヴィーに近付くと、持っていた枝を出鱈目に振り回して虫を追い払う。

 

「来るな!帰れ!ミラヴィーはお前らの食べ物じゃない!」

 

 既に何匹もの虫を叩き潰しているのに虫の数は減るどころか増え始めており、どうしようもなくなったナナチはミラヴィーに覆い被さる。

 

「これで喰えないだろ!?諦めて帰れよぉ!ミラヴィーはマメナルの宝なんだ!だから……だから……!!」

 

 そんなナナチを嘲笑うかのように重厚な足音が聞こえ始める。ナナチが音の正体を確かめるために顔を上げると、先程よりも大きなタマウガチがナナチを見下ろしていた。その姿は必死ながらも苛立っており、ナナチの下にいるミラヴィーを見つめている気がする。

 

「畜生……。」

「ヴゥォォォォォォ!!!」

 

 せめてもの抵抗としてナナチはミラヴィーを抱きしめる。その姿に何かを感じ取ったのか、タマウガチは雄叫びを上げながら針をナナチに伸ばし──上から降ってきた巨大な脚に潰されて絶命した。

 

「えっ……?」

 

 目の前のタマウガチが潰されて飛び散った血によってナナチの顔が真っ赤に染まる。それだけでは収まらず、ナナチの周囲を飛んでいた虫達が次々と粉々になっていく。

 

「ナナチ。無事……ではなさそうだな、どうなってんだ?」

「マメナル……ごめん、ごめんなさい、オイラが、オイラがあの時ミラヴィーのお願いを聞いてなかったらこんなことには……。」

「それは後で聞かせてもらうから先ずはミラヴィーに何があったか教えてくれ。時間が惜しい。」

 

 恐らく全力の状態なのか、マメナルの眼はレティクル模様に変化しており、髪の毛も腰の辺りにまで伸びている。尻尾の先は大きな針が飛び出ており、滴る液体は容易く地面を溶かしていく。そんなマメナルの姿を見たナナチが最初に出た言葉は懺悔。しかしそれはマメナルの手によって止められ、代わりにここまでの経緯を尋ねられる。

 

「オイラも分からないんだよ……ミラヴィーに渦みたいなのが出てきたと思えばタマウガチが吸い込まれて……今度はミラヴィーにタマウガチみたいな特徴が出てきて……。」

「……そうか。家に行くぞ。ここじゃどうすることも出来ない。」

 

 ミラヴィーに覆い被さったままのナナチをマメナルはミラヴィーごと抱き上げる。そしてふわりと浮かび上がると、家の方角を睨みつけた。

 

「獣ども、道を開けろ。退くつもりがないならその命はないものと思え。行くぞ?」

 

 マメナルが慈悲とばかりに自身のいる場所から家までの直線ルートに強烈な殺気を叩きつける。殺気を感じた原生生物達は慌てて逃れようとするが、言葉を言い終えたマメナルはすぐに移動を始めた。

 

 木々も岩壁も全てを破壊して直線で移動するマメナル。退避が間に合わなかった原生生物や、子を守るためにわざと離れなかった原生生物、プライドで立ち向かおうとする原生生物や、偶然来ていた探窟家などを等しく潰し、突き刺し、焼き殺し、突き進む。そのお陰か、家までは数秒もかからなかった。

 

 家の庭にミラヴィーを寝そべらせる。ミラヴィーは虚ろな眼で痛いとうわ言のように呟くだけであり、非常に危険な状態なのは誰が見ても明らかだ。

 

「お願いだよマメナル!ミラヴィーを助けてくれ!」

「分かってる、分かってるが……厳しい。」

 

 ナナチが懇願するようにマメナルのスカートを掴むが、マメナルはナナチの方を見ることなくブツブツと呟いている。かなり高速で呟いており、ナナチの耳では「魂」「混ざる」だけしか聞き取れなかった。

 

「……ちっ。無理か。」

「んなぁ!?マメナル?どこに行くんだよ!」

「あー?少し待ってろ。」

「ん……なぁ……。」

 

 次第にマメナルの瞳に冷たい色が纏い始め、舌打ちをしたと思えばミラヴィーに背を向けて家の中へと入ろうとする。気が動転しているのか、ナナチはそんなマメナルを掴み止めようとしたが、振り返ったマメナルに睨みつけられたことで腰を抜かしてしまう。

 

 決してマメナルはナナチを睨んだわけではないが、再び追い詰められていたナナチにはそう見えてしまった。腰を抜かした状態でナナチは蹲り、んなぁと言うことしか出来ない。

 

「んなぁ……、んなぁ……。」

「ナナチ?何やってんだ?」

 

 そんなナナチに戻ってきたマメナルが声をかける。初めて四層まで逃げてきた時と同じようにビクッと震えたナナチは恐る恐るマメナルの方へと顔を上げる。

 

「マメ……ナル?見捨てたんじゃ……。」

「あー?んな訳ないだろ。つっても本当に一か八かだけどな。出来るかも分からん。」

 

 戻ってきたマメナルの手には、幾何学模様の球体が握られている。それが何かをナナチが尋ねる前に、マメナルは自らの右眼に指を入れて抉り取った。

 

「んな!?」

「本当は使いたくなかったけどしゃーない。ミラヴィーの命が優先だ。見えるかも分からないし、見えたとしても混ざり合っていたら意味がない。神頼みなんてする気はなかったが、頼るしかないだろうな。」

 

 抉り取った右眼を捨てて、マメナルが幾何学模様の球体を右眼がなくなって空洞となった場所に嵌め込んだ。暫く目を瞑り、マメナルが再び目を開いた時には左眼にも同じような幾何学模様が浮かび上がっていた。

 

「ふーん、これがこの遺物を使用した景色か。変な景色だな。変なものしか見えん。試した探窟家には悪かったか?」

 

 周りを見渡してから何かに納得したのかうんうんと頷くマメナル。その後でミラヴィーの近くに膝をついてジッと見つめ始めるが、すぐに顔を顰めることになる。

 

「だいぶ混ざってる……が、決定的なとこまではいってないな。まだミラヴィーのままか。なら本体を切り離せばいけるだろうけど、上手いこと隠れていて見えんな……なら……。」

 

 状況がかなり不味いのか、マメナルの表情に焦りが浮かび上がっているのをナナチは見てしまい、驚愕する。ナナチの中ではマメナルは何事も表情を変えることなく淡々と解決してしまうイメージがついているからだ。

 

「ふぅ、『偽りの生まれ変わり(リューリイン)』、出番だぞ。」

 

 立ち上がって服を脱ぐことで全裸になったマメナルの背中にマドカジャクのような手脚が生えた。その手脚の間には空を飛ぶための皮膜がついているが、マドカジャクと違うところはその皮膜に巨大な眼がついている。他にもマメナルの頬や首、腕や脚など身体のいろんなところに縦長や横長の眼が出現し、瞬く間に右眼と同じような幾何学模様が浮かび上がる。

 

「………………見つけた。ナナチ、少し聞くけどナナチは止血を出来るか?」

「……あぁ、任せてほしい。」

「上出来だ。」

 

 ミラヴィーの全身をジッと見つめ続けたマメナルだったが、目的のものを見つけたのか安堵の表情を浮かべ、そしてナナチの方へと止血が可能かと問いかけてきた。身体中の眼がナナチの方を一斉に向いたのでナナチの反応は少し遅れてしまったが、しっかりと頷くことは出来た。

 

「ミラヴィー、聞こえるか?」

「おかあ……しゃん?どこ?ミラヴィー……ね?いちゃい、いちゃいの。」

「ここにいるぞ。ミラヴィー、そのいちゃいのを取り除くために今からすっごくいちゃいのがくるけど……我慢出来るか?」

「うん、がんばるゅ……。」

 

 マメナルがミラヴィーの近くに膝をつき、ミラヴィーの手を握って確認を取ると、ミラヴィーが反応する。既に誰がどこにいるのか分かっていないのか虚ろな眼のままだったが、確かに微笑みを浮かべて返答した。

 

 マメナルがミラヴィーの頭を撫でて、抱きかかえる。それと同時に治療道具を持ったナナチが戻ってきた。

 

「準備はいいか?今からミラヴィーと混ざろうとするやつを切除する。」

「分かった。」

 

 ナナチの準備が整ったのをマメナルが確認してくるのでナナチはしっかりと頷き返す。お互いに頷きあった後でマメナルはミラヴィーの──左腕の肘から先を切断した。

 

「アァァァァァァアァァァ!!!!」

「ナナチ!!」

「分かってる!」

 

 痛みで暴れるミラヴィーをマメナルはしっかりと抱きしめて押さえつける。出鱈目に振り回されるミラヴィーの針は尻尾を巻きつけることで動かせないようにして、ナナチが安全に止血出来るように尽力する。

 

「終わったぞ!」

「ならナナチはここから離れろ。俺は……アレを排除する。」

 

 治療を終えたナナチがマメナルにその旨を伝えると、マメナルは別の方向を見ながらナナチに退がれと指示を出す。マメナルが見ている方向をナナチも向くと、そこには不自然に動くミラヴィーの肘の先があった。

 

 その不気味さにナナチは後退りをし、マメナルは痛みで気絶したミラヴィーを抱きしめたまま立ち上がる。

 

「お前からすれば巻き込まれただけで申し訳なさもあるが……塵も残さず消えろ。」

 

 切除されたミラヴィーの手は残った部位から針を伸ばし、混ざった魂を取り返すためにミラヴィーに襲いかかる。その針をマメナルの髪が絡みとることで受け止めて、相手が針を自切するよりも先に空へと放り投げる。

 

 そして宙を舞うミラヴィーの手を挟み込むように赤熱したマメナルの手の遺物が襲いかかり、躱す術を持たないミラヴィーの手はそのまま挟まれてこの世界から消滅した。

 

「……ふぅ。」

「んなぁ……マメナル、その……。」

「言いたいことは色々あるが……先ずは寝てその酷い顔をなんとかしろ。それとナナチは布団に入る前に顔を洗うこと!血が固まると取るのが面倒だぞ?あとミラヴィーの毒は気にするな、移動中に解毒薬は投与している。」

「でも……。」

「でもも何もない!ほら、ミラヴィーも頼んだ。針には気を付けろよ?俺も後でいくから……な?」

 

 マメナルはナナチに抱きしめていたミラヴィーを託し、言いたいことがありそうなナナチの背中を押して家に押し込む。その後で足音が奥へといったのをしっかりと確認してからマメナルは自らの右眼に再び指を入れて中の遺物を抉り取った。

 

「さっきは焦ってたからすぐにやったけど、よく考えたらナナチが見てる前で眼を抉り出すとかしたら駄目だよなぁ。って、んん?」

 

 マメナルが自らの行いを反省しながら抉り取った遺物を眺めていると、徐々に周囲が暗くなっていく。日が落ちるには遥かに早く、何かの影に入ったとしても暗すぎる。そうなれば何が原因かは大体わかる。

 

「遺物のデメリットは失明ね。試した奴はみんなデメリットを確認する前に勝手に死んだから分からんかったわ。反省、反省。」

 

 この眼をつけた者は数分もかからぬうちに発狂して自らの両眼を抉るため分からなかったと反省を口にしながらマメナルは身体中に出現させた眼の部分を肉ごと引き千切っていく。『偽りの生まれ変わり』は出すことは出来ても戻すことは出来ないため、一度出した部位が必要なくなれば取り除くしか方法はないのだ。

 

「あとは新しく眼を作れば元通りってね。……あら?」

 

 『偽りの生まれ変わり』によって眼を製造しようとするが、うんともすんともいわない。もしかしてと思い当たる可能性を確かめるために中身の確認をとって……頭に手を当てた。

 

「しまった、使いすぎた。眼のストックがなくなってるじゃん。」

 

 隠れた魂を探り当てるために使えるだけ使ったので残りの眼のストックが0になっていた。それだけでどれだけマメナルが焦っていたのかが分かる。

 

「んー、原生生物の眼でもいいけどアイツらのだと見える景色が違うしなぁ……。明日、じゃ早いな。ミラヴィーとナナチが落ち着いたらボンドルドのところに行って余ったのを貰うか。カートリッジにする時に捨てるなら俺が貰ってもいいだろ。でもそれまでは失明生活かぁ、ナナチとミラヴィーになんて言おうかな?」

 

 ナナチに『偽りの生まれ変わり』の説明もしないといけないなぁとマメナルは呟きながら、2人の様子を見るために家の中に入っていくのだった。




オリ主……聞き方を間違えた。自分の部屋にある丸い物が見当たらないんだけど知らないかと聞いていればミラヴィーは答えていた。
プレゼントに綺麗な宝石を見つけて家に帰ってきたらミーティしかいないし急いで探しに行けばなんか絶対絶命だしですっごく焦った。
遺物は基本他人で実験して充分な情報を集めてから自分で試していたので今回はぶっつけ本番だった。
ミラヴィーの姿形は少し変わったが、気にしない。むしろミラヴィーの髪が自分と同じようになったことなど類似点が出来たのでちょっとだけ嬉しく思っていたり?
最近は『偽りの生まれ変わり』のストックを貯めていなかったので今回から暫くは失明生活。視界を確保するために周囲に四つのビットが飛んでいる。

スレ民……阿鼻叫喚。イッチがスレに帰ってくるまでお通夜状態

ミラヴィー……死にかけた。代わりにタマウガチの針や毒、力場を読み取る眼が手に入った。今回で左腕の肘から先が無くなった。混ざりきっていないのでミラヴィーのまんまだが、好物などは変化している。

ナナチ……オリ主とは普通に話していたが、精神状態がかなりヤバイ。リコがタマ毒に苦しんでいる姿とレグがそれを見てどうしようもなくて泣いている姿を見たら、この日を思い出して助ける。



融合石……オリ主が集めた情報は大半が間違えており、本当は能力の前借り。代償は魂の乗っ取り。または簒奪。
生物がこの球体に触れると体内に入り込み、条件を満たせば発動して近くにあるものを飲み込み融合する。使用者は飲み込んだ力を振るうことができるが、制限時間を過ぎれば飲み込んだものに魂を乗っ取られる。もし飲み込んだものが無機物だったなら制限時間をすぎると所有者の身体が爆散する。
オリ主は生きているがロボット。発動条件が整っていなかったので間違った使い方をしていた。つまりただの不発。所有者がいない状態で発動すれば、どちらが主になるのか分からないので吸い込んだモノ達で主導権を渦の中で取り合い、キメラになる。ちなみにこの不発発動で生物と無機物が混ざれば生物の特徴を持った無機物が現れる。しかし魂は爆散してるので動くことはない。
ミラヴィーは簒奪待機中の魂をオリ主が切り離したため簒奪されなかった。貰い得。
なおこの遺物は情報不十分だったので名前を付けられていない

幾何学模様の瞳……見える景色が違う。本来の景色が一切見えず、一面が真っ白な景色。一応魂を見ることが出来るが、それはオマケ。
使用中はずっと誰かに見られている気配を感じる。使用し続けていると、徐々に黒い人影が現れ始め、ジッと所有者を見つめ続ける。それでも使用し続けると幻聴も聞こえ始める。
オリ主が試した探窟家達は全員が幻聴あたりで耐え切れずに眼を抉った。
外せば失明する。本来なら使用し続けた時に受けた精神ダメージによって、失明すれば暗闇の中で誰かに見続けられる幻覚があるのだが、オリ主は精神ダメージが皆無なので幻覚はない。つまりノーダメージ。



以上!今回は人によって不快だと思うので注意してください!(手遅れ)

じゃあまた2話分完成したら浮上します〜。
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