魔神の為に鐘は鳴る   作:ミミルの泉

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午後

全方位から熱心に観察されている環境に耐えきれず、残りのハンバーグを掻き込んでオティヌスの腕を引いてモールから飛び出た。

せっかくのご馳走の味があんまりわからなかったのは勿体ない気がしたが、それでも悪い気はしなかったのは不思議だった。

 

場所が変わって各学区を跨ぐためのモノレールの中。

相変わらず人の目を集めて止まないオティヌスは、初めての上から見る学園都市に興味津々のようだ。

 

「学園都市というのはかなり広いものなんだな」

「東京都の三分の一を占めるらしいからなぁ。でもこれを23個に分割してるから学区一つあたりの敷地面積は意外と狭いんだ」

「私の趣味じゃないが、アレイスターめ。中々の物を作り上げたじゃないか」

 

オティヌスは忌々しそうに吐き捨てた。

世界を丸ごと作り上げるのと、街一つを作るのとでは訳が違うだろう。

それでもこの偉大なる魔神の少女は癪に障るらしい。

 

「だが海が無いのはいただけないな。なぜ内陸に作ったんだ」

「俺も詳しくないけど、基本機械類は潮風が天敵だから湾岸部に作ると維持費が跳ね上がるんじゃないか?」

「そんな理由か。科学は変な所で不便だな」

「万能じゃないのは魔術も一緒だろ。海、好きなのか?」

「好きか嫌いかで言えば好きな部類だ。まぁ、水着もないし今日は行けそうにないな」

「そんなに行きたかったのか、オティヌス」

「お前が今度一緒に行こうと言ったんだろうが」

 

呆れたようにそう言われて上条は思い出す。

オティヌスが元に戻った夢を見て、それから醒めた時。

あの夢で見たオティヌスがあまりにも楽しそうだったから、勢いでそんな約束を取り付けたのだった。

 

当時はうんともすんとも言わない反応で流されていたのでてっきり忘れてたものだと思っていたが、ちゃんと覚えていたらしい。

 

ふとオティヌスの碧眼が窓に映る。

 

「あの一角だけやたらと愉快な様相を呈してるのが例の第六学区か」

「そう。あそこに観覧車とでかい城が建っているだろ。あれが目印だ」

「火山とか大河があるぞ。蒸気機関車まで走ってないか? まるで異世界だな」

「完全に幻想の世界に客を没入させるために全力ってことだ。現実を忘れて遊びまわれるんだとさ。学園都市の外からここ目当てに遊びに来る人もいるくらいだ」

「なるほど。現実を忘れた輩ならいくら値段を釣り上げても気にはしないだろう。よくできた集金施設だ」

「オティちゃん言い方」

「オティちゃんじゃない」

 

実際、彼女の言う通り第六学区の物価は他とくらべて三割り増しだ。

多少値段が高かろうがそれに見合う価値を見出してくれるならばwinwinと言ったところか。

需要と供給はいずれは均衡点に達するものだ。

 

「まぁいい。どの程度のものか拝見させてもらおうか」

 

それから少しして第六学区に到着する。

出発地点の第七学区とは打って変わって、駅の様子からして異空間だった。

どこを見てもアニメチックで、柵の一つをとっても西欧風の意匠が凝らしてある。

風に乗って漂ってくる甘い匂いは売店で売られている菓子によるものか、ごった返す人たちがその菓子をこぞって持ち歩いて食べているせいか。

頭にはネズミだか象だかの耳のついたカチューシャを着けた者もいる。オティヌスにはとんと理解できないファッションだ。

 

さっきまで普通の街にいたはずなのにこの変わりよう。

周りが我を忘れているためか、自分も忘れかねない空気が充満している。

朱に交われば赤くなるとは言い得て妙だ。

 

そんな空気だからか、第六学区に来てからというもの、オティヌスを見た人たちが騒ぎ出すこともなくなった。

大方遊園地の賑やかしの一人だと思われているのだろう。

それくらいオティヌスは浮世離れた容姿の持ち主だった。

 

平日の、それも真昼間だというのにこの時間からでも来場する人はかなり多いようだ。

ぞろぞろと歩く人だかりの流れに沿って進んでいき、昨日の上条であったら目玉が飛び出てたであろう値段のする来場券を購入した。

無事にメルヘンな住人の仲間入りを果たした二人。

お互い初めて来る場所なので、渡されたマップを広げて覗き込む。

 

「ふむ。アトラクションの名前を見ても面白いものなのかどうかわからんな。この恐怖の塔というのがあの時計塔みたいなヤツの名前か」

「フリーフォール系のアトラクションだってさ」

 

ちょうどその時、少し遠くに見える時計塔の頂点部分にあるアーチ状のひさし部分がパカっと開いたと思ったら内側から緑色の光がフラッシュし、キャーっという悲鳴が聞こえてきた。

そこそこの距離があるし今いる場所も色んな音が騒ぎたてる中でも聞こえてくるのは相当な声量が必要である。

 

ざっと見積もって50メートルの高さからのフリーフォール。

かつて山より高く谷より深い事情により、高度1500メートルから生身一つでスカイダイブを決行したことのある上条は、その時のトラウマを思い出した。

 

「あの高さから落ちるんですか……?」

「三十分の一の高さじゃないか。余裕だろ」

「オッティのおバカ! 人間10メートルも落ちた時点で余裕で致命傷なんだよ!」

「誰がオッティだ。お前の盛大な自殺と違ってあのアトラクションにはシートベルトがある。生命の危機に直面するか、生命を確保した上でちょっとしたスリルを味わうかの違いはたいぶ大きいだろう」

「お前さてはあの感覚を味わったことがないな? あの全身の骨の隙間から空気が吹き抜けていくような感覚を! 愉快な浮遊感で片付けられる代物じゃねぇんだぞ!」

「そうか。なら乗ってみよう」

「あれ? オティヌス? 人の話聞いてる?? 俺の意志の尊重は?? 今かなりぞんざいに扱ってませんか??」

「人のトラウマを癒してやろうという粋な計らいだ。なぜわからないんだ?」

「そんな荒療治は傷を抉るだけだ! 上条さんはセカンドオピニオンを要求する!」

「わかったわかった。手を握っててやるから一緒に行こうな」

 

所構わず泣き喚くガキを宥めるような調子で抗議を飄々と受け流すオティヌスは、するりと上条の右手に指を絡ませた。

 

「さ、行くぞ」

 

ピタリと少年の口が止まったのを良いことにとっとと手を引いて少女は歩き始めた。

人込みを避けながらマップに従って行けばすぐに着く。

が、そこでオティヌスは信じられないものを見た。

 

「一時間待ち……だと……」

 

恐怖の塔の入り口から最後尾が覗ける程度の列だと思っていたら、予想待ち時間を表示する掲示板が残酷な事実を突きつける。

 

「今の時間だと皆昼飯食ってるだろうし、空いてるほうなんじゃないか?」

「空いてる!? これで空いているのか!?」

「混んでるときだと三時間待ちはザラって聞いたぞ」

「三……ッ!?」

 

オティヌスは人間たちの気の長さに絶句する。

昇って落ちるだけのためにそれだけの時間を無為に費やせる神経が知れなかった。

その間にもっと他の事もできるだろうに、贅沢なことだ。

 

出鼻を挫かれたオティヌスを見て、上条が助け舟を出す。

 

「まぁ、ちょっと時間をずらすことになるけどあの整理券をもらえば十分程度で乗れるっぽいぞ」

 

塔の入り口の隣にある券売機は、使える時間帯が決まっている代わりにスムーズに列に並べる公式割り込み券のようなものを配っているそうだ。

 

横にずらっと同じものをぶち建てれば客の掃きも良くなるだろうに、と金に糸目を付けぬ暴力的解決法を試案していたオティヌスは、仕方ないと上条の提案を採用した。

 

「18時から……」

 

出てきた割り込み券に表示される利用可能時間に軽く頬が引き攣る。

この整理券の仕組み上、貰う人が増えれば増えるほど後ろにずれこんでいく。

12時を回った今の時点で18時からスタートするということは、それだけこの乗り物に乗りたがっている人がいるということだ。

とんでもない集客力を持つアトラクションだ。

 

肩を落とすオティヌスを盗み見て結構楽しみにしてたんだなと上条は心のうちで思った。

多少変化はするものの、人並よりは感情を表に出さない彼女の内心を知る手段として声音を参考にしていた上条は脳内メモ帳に記録した。

 

「時間が空いたと前向きに捉えようぜ。コイツ並みの人気アトラクションはキツそうだけど、それ以外はそんなに並ばずに済むはずだから片っ端からコンプリートしてみないか?」

「そうだな。まずはこのあたりのエリアを巡るか」

 

そうして始まったぶらり旅。

気が向くままに歩いては、見つけたアトラクションの待ち時間を見て十分程度で入れそうなもには入って、それ以上なら後回し。

 

「白雪姫は地中海全域に遍く知られていた物語集『ペンタメローネ』に収録されている物語が元になっているとされている。呪術的な要素や描写が多いためか、この物語にあやかった魔術は数多く、その対抗策もまた同様に生み出されてきた────」

「アラジンか。『千夜と一夜の物語』、いわゆるアラビアン・ナイトとして有名だが、さる高名な学者によって全く関係のない創作だったことが判明したことにより、魔術界隈にも大きな影響を及ぼした作品だ────」

「人魚姫はデンマークの著名な童話作家によって生み出された傑作だ。

『ウンディーネ』に影響を受けており、人魚を始めとした水にまつわる精霊にウンディーネの名前を結び付けた作品だと言えるだろう。

しかし待て、このアトラクションにある物語はだいぶ脚色を加えられていないか?

あの悲劇があるからこその人魚姫だぞ。コイツが救われたら教訓はどこで得られるんだ?」

「灰被りを意味する女・シンデレラ。その出典は白雪姫と同様、『ペンタメローネ』に収録された物語にある。

しかしそれは現代に伝わる『シンデレラ』の形を整えたという意味で、物語の骨組みを作ったルーツを辿れば紀元前にまで遡る。

それゆえこの物語の持つ影響力は計り知れず、その知名度もまたあらゆる物語の中でもずば抜けている。

物語の内容は、灰にまみれた惨めな姿の女が魔法により一時的に美しい装飾品を施され、期限以内に王子に見初められるよう奔走するというものだ。……全く奇遇なことだな」

 

アトラクションの題材となった物語を解説するオティヌス。

智慧の泉の如く湧き続ける語り口に、上条は何とか理解して追い付く。

 

相変わらず表情は無に近しいが、言葉を乗せる舌の滑り具合からすると彼女なりに楽しめているみたいだ。

上条としてはそれだけで十分だった。

 

さて、コンプリートとまではいかなかったが、目ぼしいアトラクションを回りきった辺りで昇っていた陽は学区を遮る壁の向こうへ沈み、夜の帳が下りる。

午後六時。約束の時間である。

 

「……なぁオティヌス。やっぱり違うアトラクションにしないか? 別に怖いってわけじゃないんだが、仮にあのエレベーターを吊るす紐が切れた暁には恐怖の塔のストーリー通りにぺちゃんこになっちまうよ。そんな危ない乗り物に乗ろうなんて命知らずだと思わないか? 別に怖いわけじゃないんだよ??」

「恐怖で無様に引き攣るお前の顔が見たくて楽しみにしていたのに残念だ。だが怖くないなら別に乗っても構わんよな?」

「オティヌス!? お前今聞き捨てならないことを言ったな!? いや本当に怖くないんだけど問題はそこじゃなくてあのアトラクションの安全性なんですよね!」

「当麻、飛行機が墜落する確率を知ってるか? ジャンボ宝くじ一等賞に当たる確率と同じらしいぞ。そしてこのアトラクションで事故ったという話は聞いていない。つまり私たちが乗るであろうこのエレベーターも墜落することはないんだ」

「……なんかその話聞いたら余計に不安になってきた。俺の不幸体質舐めない方がいいぞ」

「私がいるからプラマイゼロだ。私がいる限りお前の不幸を振り払ってやる。喜べよ」

「どんだけ幸運がついて回ってんだお前の人生! 半々の確率じゃなかったのか! もしかして100%の可能性を手に入れちまってんのか!? あれ、てことはそれでようやく打ち消せる俺の不幸って……不幸だ……」

 

戯言で待ち時間をやり過ごしながらアトラクションまで上条を引きずり込むことに成功したオティヌスは、あれから片時も放さずにいた手を放し、エレベーターに搭乗する。

 

「あばばばばばばばばびぶでばびでぶ!!」

「意外と余裕なんじゃないかお前」

 

恐怖でガタガタ震える手だとシートベルトが上手く締められないらしい。

留め具に悪戦苦闘している上条を見かねたオティヌスが代わりに留めてやった。

シートベルトを締めているか見回りしていたアトラクションのキャストににっこり微笑まれたのを見なかったことにして自分のも締めた。

それではお楽しみくださーいとアナウンスされ、ガコンとエレベーターが搭乗口から離れ上り下りするためのレールへ移動し始める。

 

「あばあばばばばばば!」

「おい、さすがに怖がり過ぎじゃないか? 冗談じゃなく、本当にそんなにキツいのか?」

「だから言ったでしょうが! 自殺をするにしても飛び降り自殺だけは絶対にしないと誓ったレベルで落下するのは怖いんだって!!」

「……悪い、そんなにマジで怯えてるとは思ってなかった。手握るか?」

 

言うや否や上条が差し出した左手にしがみついてきた。

今まで自分から握ってきたことのなかった上条が意地をかなぐり捨ててくる程度には追い詰められているらしい。

 

「大丈夫だ。さっきも言ったが、一般人が楽しめる範囲のスリルしかぁぁあああうん!?!?」

 

エレベーターが上昇を始めた途端ガクンと揺れ、それに素っ頓狂な声を上げた少女に上条が顔を向ける。

いつもの無表情の上から空いている右手で口を押さえているオティヌス。

 

「……オティヌス?」

「違う。違うぞ当麻。下から突き上げられた衝撃で口が回らなかっただけだ。お前の考えているようなあぁああああああああああ!?!?」

 

一気に上に持ち上がったエレベーターに少女が叫んだ。

無情にも高速で上昇し続けるエレベーターの中で二人の目線がぶつかり合う。

 

「オティちゃん?? お前まさか」

「いや、待て。早まるな。私は戦を司る『魔神』だぞ。かつては戦場の遥か上空を飛び回って蹂躙してやったことすらあるオティヌス様だぞ」

「……でもそれお前の言うところの安全装置がある状態のちょっとスリルのあるだけのお遊びだったんじゃ? お前もしかして魔術っていう命綱無しで飛ぶの初めてなんじゃ??」

「んんんん何のことかわからんな! こんなもん何も怖くない! 怖いものか!」

「手ブルブル震わせて顔真っ青じゃねぇかお前! そんなんでよく『恐怖で無様に引き攣る顔が見たくて~』とかほざいたな!」

「唇まで紫にしているヤツに言われたくない! 私はお前よりは怖がってない!」

「どんぐりの背比べって言葉知ってるか!? ちなみにお前が小さくて俺が大きいどんぐりだ!」

 

醜いマウントの取り合いはエレベーターが最高到達点に着いたことで終結する。

 

チーンとベルが鳴るとともに全面が大きく開け放たれた。

そこから覗くのは暗闇を彩る遊園地のイルミネーション。

 

とても、とても高い視点で見る景観は美しいという他ないが、次に待ち受ける恐怖体験を目撃している二人は頬を思いっきり引き攣らせた。

 

ぎゃあああああっ!?!?!? と、のっぴきならない二人の悲鳴が窓から全域に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「ふ。全然怖くなかったな。チョロいものだ」

「嘘つけ! 全身が生まれたてみたいになってんぞ!」

 

表情だけ一丁前のオティヌスは上条の肩を借りて近くのベンチまで運んでもらう。

ようやく腰を落ち着かせたところで深くため息をついた。

 

魔神オティヌス、一生の不覚。

まさか何の魔術的補助なしで空中に晒されることがあんなにも恐ろしいことだとは露ほども思っていなかった。

魔術があるのが大前提の人生を歩んできたオティヌスに、どれだけ魔術によって守られてきていたかを自覚する日は終ぞ無かったのである。

 

まさしく極寒の地に裸で放り出され全世界から憎まれたような絶望感だった。

あの時は全身の感覚と心の情緒が完全にぶっ壊れていたため正常に危機を判断できていなかったが、きっと同じような恐怖があったのだろう。

 

「いやー、めっちゃびびってる人見ると落ち着くのって本当だったんだなー」

 

荒療治が功を奏したらしく、さっきまでの怯えようが嘘のようにのほほんと自分の隣に座る上条。

 

あの絶望的窮地に、たった一人助けに来てくれた人。

誰よりもその恐怖を『理解』していただろうに、それでも私の傍に立ち続けた人。

世界の全てを敵に回しても私の『理解者』であり続けた人。

 

その横顔を左目で盗み見る。

 

「……敵わんな」

「ん? 何か言ったか?」

「充分休めたと言ったんだ。そろそろ行こう」

 

ベンチから腰を上げようとした瞬間、ふっと後頭部の血の気が失せて急に視界が真っ暗になった。

 

「?」

「──? ───!!」

 

何か耳元で叫んでいるようだが、キーンと甲高い耳鳴りがしてろくに聞き取れない。

立ち眩みか。

そう自覚してから何も見えていない目を閉じて、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。

血という熱を失い冷え固まっていく脳に空気を送り込む。

 

次第に耳鳴りが静まっていき、視界も開けてきた。

 

「──ヌス、オティヌス!」

「……ん。もう大丈夫だ」

 

上条の必死な表情に応えて立ち上がろうとするが、膝が砕けてしまう。

震えるオティヌスの肩を担いでベンチに座りなおさせる。

前後不覚になっていたオティヌスは気づいていなかったが、指で弾かれたマッチ棒のように前のめりにぶっ倒れるところだったのだ。

 

「大丈夫。無理すんな。一日中歩き回ってりゃ女の子なら疲れ果てるのに、元の身体に戻ったばかりのお前がこんな時間まで普通でいられる訳なかったんだ。気づけなかった俺が馬鹿だった」

「気にしすぎだ。自分の面倒を自分で見れなかった私の落ち度だ」

「連れまわしたのは俺で、お前は楽しんでいただけだ。だから気にせずに休め」

 

有無を言わさず自分の膝にオティヌスの頭を置いた。

オティヌスは尊大な性格をしているせいか、どうも自分を大きく見せようとする傾向にある。

多少無理が祟っても何でもないと見栄を張れてしまう上に、その負荷を自覚すらしないで貫けてしまう強さを持っていた。

 

だから強引にでも誰かが止めてやる必要があった。

添えている程度の力で頭を押さえる上条の右手。

オティヌスはそれを振り払う気力すらないことに、ようやく気付いた。

 

ゆっくりと靄のような眠気が瞼の裏に染み渡る。

それを振り払うように言葉を紡ぐ。

 

「……今日はもう、歩けそうにないな」

「明日があるさ」

 

妙に胸の内がざわついている。

上条の励ましには申し訳ないが、オティヌスは確信を覚えていた。

 

「いや、今日いっぱいで元に戻る。そんな感覚があるんだ」

「……そっか」

「寝て起きたら、たぶんまたあの身体になっているだろう」

 

だからまだ目を閉じたくなかった。

最後の最後まで足掻きたかった。

終わりを告げる鐘の音は、まだ遠くにある。

 

「最後に、やりことがあるんだ」

「それは今の身体じゃないとできないことなのか?」

「そうだ。お前、言ってただろ。本当に一番にやりたいことを探せって。それがしたくてここまで来たんだよ」

 

疲労困憊で、ろくな力が入っていない声音の中に、ぶれない芯のあるものが含まれていた。

上条は即答した。

 

「どうすればいい」

「長く休めて、落ち着つける個室を探してくれ。もう少し余裕をもって探すつもりだったんだがな」

 

あまり長く意識を保てなさそうだ、という言葉は飲み込んだ。

言葉(ルーン)は力を持つ。

魔術師は言葉を使って世界に影響を及ぼす。

迂闊なことは言わないのが魔術師の鉄則だ。

 

オティヌスの声にならない声を聴いた上条は手元のマップを広げて、条件に合う場所を探す。

 

「あった。当日飛込で泊まれるホテルだ。徒歩で九分」

「頼めるか?」

「勿論」

 

乗せていた頭をそっと下ろし、ぐったり投げ出された細長いオティヌスの両腕を自分の首に巻かせ、身体を背中に凭れ掛からせておぶった。

 

意識のない人間のように、完全に脱力した人間を運ぼうとするとき意識のある人間にするのと比べて重く感じる。

意識のある人間は運ぼうとする人間の運びやすいように関節を曲げたり筋肉を動かすが、軟体生物のように全く力が入っていない身体はその手助けをしない。

 

意識不明の女子高生一人を運ぶのに大の男二人でも苦戦する。それが本来の人間の重さだ。

 

だが、背中におぶさるオティヌスから感じる重さは殆どない。

病的と言っていいほどオティヌスの身体が軽い。

スカスカの発泡スチロールを運んでいるかのように中身を感じられなかった。

 

命令口調がデフォルトのオティヌスがなりふり構っていられないほど弱っている。

オティヌスに負担が行かないように、されど少しでも早く着くように急ぐ。

 

「今日はずいぶんと疲れる一日だった」

「悪かった」

「責めてるわけじゃないさ。私が勝手に、色々と挑戦しただけなんだから」

 

何か喋っていないと気付かないうちに眠りに落ちてしまいそうだった。

滑り落ちないように、何とか腕に力を込めてしがみつく。

 

「お前はどうだった。今日一日楽しかったか?」

「あぁ! デートってこんなに楽しいもんだったんだな。一瞬で一日が過ぎちまった」

「そうか。それは良かった」

 

閉園時間が22時であるこの遊園地はまだ賑わっている。

二人を置き去りにするように喧噪が後方へ遠のいていく。

夢はいずれ醒めて消えるのが道理。

名残惜しそうにオティヌスが振り向いたが、すぐに上条の肩に頭を預けた。

 

「よく笑って、よく焦った。こんなに感情を揺さぶられたのは久方ぶりだ」

「オティヌス、そんな感動してたっけか……?」

「お前……。はぁ。それは後で『理解』させるとしよう」

 

何をするつもりなんだこの少女は。

かつてクルミ割りに装着されたクルミのようにオティヌスに万力で締め上げられた頭が疼く。

 

オティヌスが短く息を吸って一拍子作った。覚悟を決めるような間だった。

 

「なぁ当麻。お前は私を恨んでいないのか?」

「え? なんで?」

「なんでってお前、私がお前にしたことを忘れたのか?

あの無限に繰り返す救いのない地獄で、お前を責め殺そうとしたんだぞ。

一回でも味わえば人格が粉々に崩壊するような根源的恐怖を、底なしの絶望を、何度も食らわせた。

お前の右手が欲しいという、ただそれだけの理由でだ」

「確かに、死ぬほどキツかったよ。あの時は本当の怖さってのを知らなかったから我武者羅に前へ進めた。怖いもの知らずって感じでさ。

だからもう一回アレを乗り切れるかと言われたら、たぶん無理だろうな。それくらい辛かった」

「なら────」

「でも、アレは全部お前が食らってきたことなんだろ。お前が過去に経験してきた地獄。世界を作り直すたびに受けてきた責め苦。その全てがアレなんだろ」

「……」

「俺の場合はこの右手が欲しいって理由で襲われたから、まだ納得できた。

コイツに何度も命を救われてるし、本当の使い方ってヤツを見せてもらった今なら、あの地獄を食らわせてでも奪いたいって気持ちを理解できた」

「……」

「じゃあお前は? お前は何であの地獄を生き延びなきゃいけなかったんだ。

一体どこのどいつが、どれほどの崇高な命題を掲げてお前にあの地獄を食らわせたってんだ」

「それは、私が人智を超えた力を奮った応報だ。

理解できないモノ。桁違いのモノ。人はそれらを排斥しようとする。

大いなる力を持つ者は、その力の及ぼす範囲に自覚的である義務がある。

私が上手くやれなかったんだ」

「そうかもしれない。けど俺はそう思わない。

あの地獄をお前に食らわせたのは、お前以外の全ての人間の怠惰だ。

科学サイドも、魔術サイドも、なんも知らない一般人も。記憶にないけど、たぶん俺も。

皆最初からオティヌスっていう一人の女の子を理解することを諦めた。

恐れていれば自分たちは被害者でいられて、そっちの方が遥かに簡単だったから、誰も本気で向き合おうとせずに言葉を交わすことを拒絶した。

そんなくそったれた下らない理由があの地獄を作ったんだ」

 

そこまで言って、上条は肩越しにニッと笑った。

 

「だから俺はあの地獄を知れて良かったと思ってるんだ。

どういう経緯でお前が世界を作って、どうしてお前がこの世界に絶望して、何が一番お前を苦しめていたのか。

それを『理解』できて良かった。

何も知らずに正義面して地獄に加担せずに済んだ。あの地獄からお前を救うことができた。

俺以外の誰にでもできることだったけれど、酷い理不尽から女の子の笑顔を守れたことが本当に嬉しかったんだよ」

「……なら、本当に恨んでないんだな? 一切。一欠片も」

「あぁ」

「……大馬鹿野郎だよ、お前は」

「ははは。よく言われる」

 

オティヌスはそれ以降、何も話さなかった。

上条も何も話しかけなかった。

 

実態を持たない言葉が彼らの間で通じ合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

それからほんの少しの時間が過ぎた頃、目的のホテルに着きフロントに足を運ぶ。

 

成人していない男女が二人でホテルに来るという怪しい来客にスタッフが身構えたが、背負われているオティヌスのただならぬ様子に気を利かせてくれて、何も聞かずにキーを渡してくれた。

 

一階のすぐ手前の部屋という至りつくせりの配慮に心の底から感謝し、靴を脱がしてオティヌスをベッドに置いた。

こっくりこっくりと船を漕いでいる相手に酷なことだが、オティヌスがそれを望んでいることを知ってる上条は肩を叩く。

 

「着いたぞ、オティヌス」

「……ん。ありがとう。危うく寝落ちしかけた」

 

もう取り繕う余裕すらないのだろう。

少女は眼帯をしていない方の目をゴシゴシ擦り、足をぺたっと倒してベッドの上に座った。

 

「じゃあ、最後のやりたかったことを始めるぞ」

 

そして、緩慢な動きで自分の目の前の空間をぽすぽすと撫でた。

 

「当麻、私の前に座れ」

 

言われるがままに移動して胡坐をかく。

一体何をされるのかわからない上条はごくりと固唾を飲んだ。

 

少女は朦朧とした碧い瞳を、懸命に少年へと注ぐ。

 

「お前にしてほしいのは、嘘偽りなく答えることだ。同情だとか、雰囲気だとか、そういうノイズの混じってない本当のお前の心を教えてほしい」

「わかった」

「よし。……あぁ、思考がまとまらん。事前に考えていたはずなんだが……」

 

戦の力を失っても、智慧の力は依然と保有する魔神の少女。

その明晰さが霞んでしまうほど深い眠気に囚われても尚、少年に向かう。

 

「お前は本当に、もう本当に鈍いヤツなのは『理解』している。そんなお前でもどう曲解しても正しく『理解』できるように言葉を選んでやるから、よく聞け」

「はい……」

「お前はさっき、お前以外の誰もが私の『理解者』足りえると言ったが、それは違う。

私の『理解者』はあらゆる世界でたった一人の人間しかいない。

あの地獄を乗り越えられる者はお前ただ一人だ。

あの地獄を乗り切った者はお前ただ一人だった。

そして『魔神オティヌス』としてではなく、私という個人を見てくれたのは、全ての世界でお前だけだ。

断言する。私の『理解者』は上条当麻、お前以外あり得ないんだよ」

 

ゆっくりと手を突いて少年へと身を進める。

なめくじのように遅い速度でも、少しの隙間も逃さないように、確実に。

 

「その上で私は、私の『理解者』がお前であることを好ましく思っている。

他の誰でもない、お前が私の『理解者』であってほしいと望んでいる。『理解者』であり続けてほしいと願っている。

お前はどうだ。お前は私をどう思っているんだ」

「俺もオティヌスを『理解』し続けたいと思ってるよ」

「それは一個人の人間としてか。それとも一人の女としてか」

「人間として、だ」

「そうか。残念だ」

 

少女の手が止まった。が、すぐに次の手を伸ばした。

 

「私はお前を一人の人間として、そして一人の男として『理解』したいと思っている」

「……」

「上条当麻の人間性は良く『理解』している。呆れるほどにな。

だが上条当麻の男としての面は知らない。

好きな容姿。好きな服。好きな食べ物。

嬉しいと感じる瞬間。悲しいと感じる瞬間。恥ずかしいと感じる瞬間。怖いと感じる瞬間。安心と感じる瞬間。楽しいと感じる瞬間。

少しでもお前のことを知りたくてたくさんのことを試した。

お前の反応に触れて私がどう感じるのか知りたくて試した。

そしてわかった。私はお前を『理解』すればするほど『理解』したくなる。どこまでもお前という男を『理解』したいのだと。

だが、これ以上『理解』するためにお前の意志を『理解』しておきたい。尊重したいんだ。

だから問う、上条当麻。改めて私を女として『理解』する気はないか? お互いがお互いの唯一の『理解者』となる意志はないか?」

 

胡坐をかく少年のほんの目の前まで進んだ少女は、じっとその目を見つめる。

言うべきことは全て言った。そして少年も少女の言いたいことをちゃんと正しく受け取った。

そして、返した。

 

「これがお前を傷つけることだとわかってるし、最低なことだとわかってるけど、正直に言うよ。

わからない。

オティヌス、お前には俺に男としての魅力を感じる部分があった。それがどういったところなのかはわからないけれど、すげぇ嬉しいのは間違いない。本当にありがとう。

でも俺にはお前に女として惹かれる部分がわからない。

滅茶苦茶美人だとか、目が綺麗だとか、たまに見せる笑顔が超可愛いとか、知識欲が豊富な子だとか、説明するのが好きな子だとか、手を繋ぎたがる子だとか、ノーパンでも全然気にしない子だとか。

魅力を挙げればキリがないんだけど、それが本当にお前を好きになる要素なのか、自信が持てないんだ。

訳の分からないなぁなぁな心で付き合っていくなんてこと、俺にはできねぇ」

 

答えず。

少年は少女の求める答えを導き出せなかった。

 

しんと静まり返る部屋で、少女はふと笑顔を零した。

嬉しさを隠し切れない。そんな笑みだった。

 

「私が思っていたよりずっと『理解』しようとしてくれていたのだな。そういうことなら希望が持てる」

 

手ひどくあしらわれたはずの少女の言動に、殴り殺されても仕方ないと覚悟していた少年は思わぬ肩透かしに狼狽える。

 

「え、えっと、オティヌス。それってどういう意味でしょうか?」

「お前は言ったな。納得のいく魅力が見つけられないと。だが当然に私はそれを持っている。ならそれを『理解』させてやれば、私を女として見れる訳だな」

「……うん。まぁ、そういうことですかね……?」

 

少女の意図するところを掴みかねる少年の膝に、少女の手を届いた。

 

「どんな化粧品にもお試し期間というものがあるものだろう。

レビューを見る感じは良いが、実際の使い心地がどうなのかわからないから、一か月無料を試してみるか。合えば使い続けるし、合わなければお見送り。

それと同じで、お前も私を試せば良い。本当に感じるところがないのか。一度試せば見えていなかったものが見えてくるかもしれんだろう」

「ど、どうやって……?」

「決まっている。今までにやったことのないことをすればいい」

 

ほとんどよじ登るような感じで少年に覆い被さった少女は、ぽすんと少年の胯座に正面から収まった。

鼻頭同士をくっつけて、至近距離から少年の瞳を覗き込む。

薄暗い部屋で、眠気で曇らされていてもなお美しく輝く碧の瞳に見入られる。

 

「ちょっ、おまっ、これって……!?」

「安心しろ。性交渉は試用範囲外だ。お前に間違いなく『理解』させるのに最高の手段だと思うが?」

「何か勢いで押し切ろうとしてないか!?」

「気づくのが遅い。あれほど猶予をやったのに拒否しなかったじゃないか」

「こんな急展開になるとは思ってなかったんだ!!」

「頼んだ私が言うのもなんだが、ホテルに連れ込んだのはお前だぞ? 多少はこういうことになるのを見越しておくべきだったな」

 

まぁ、少年はどうせ最後まで気付かないだろうと『理解』していた上であの提案をしたのだが。

 

「それに本気で嫌なら振りほどけばいい。今の私程度の力、お前なら何ともないはずだ」

「……っ」

「惜しむ時点で私に夢中になっていることに気づけ、ばか」

 

長きに渡る戦いに、戦の魔神はチェックメイトをかけた。

 

少女は鼻頭を放し、すっと瞼を閉じた。少年は、今度こそは違えなかった。

二人の顔が少し重なり、少し離れた。

 

唇が触れ合う程度のキス。

面積と時間で言えば手を繋ぐことより何てことないはずの接触。

ずっと少女の知りたかった謎が一つ一つ柔らかく解きほぐされていく。

少年と心を通じ合わせた事実に多幸感に頭の中が痺れる感覚がする。

 

その触れ合いが齎した万感の思いを胸に秘め、少女はうっとりと目を開けた。

 

「優しいキスだな」

「変じゃなかったか? 初めてだからわからない」

「私も初めてだから勝手など知らん。だが、悪くない。気に入ったぞ」

 

見たことないくらいに赤く染まった顔と、柔和な笑みに少年の心が跳ねる。

ピッタリと寄り添う少女の身体を波打つ鼓動と少年のものと混ざり合った。

布越しだが、互いが一つになろうとしているのがわかる。

これが直接肌と肌でやり取りしたのならば自分はどんな思いを感じるのだろうか。

 

「『理解』したか?」

「あぁ。間違いなく」

 

少年の頷きに、少女は幸せそうに、本当に幸せそうに目を細めた。

 

心が少し交わっただけでこの有様だ。

もっと深く唇を重ねたら? 舌を絡めたら? 手を握りながらするのは? 深く抱き合いながらするのは?

 

その先はどうなってしまうのか?

少年はどんな風に私を感じてくれる?

 

『理解』したい。もっともっと『理解』し合いたい。

 

けれど、鐘の音はもうすぐそこまで聞こえてきている。

『理解』し合う時間は残されていなかった。

 

間に合わせなきゃ。

震える身体で上条を抱きしめ、心の内の全てを声に込めた。

 

「ずっと共にいような。当麻」

 

本当に一番にやりたかったこと。

あの時は口に出せなかったこと。

 

雪解けのような柔らかさを湛えた言葉は上条の胸にゆっくりと広がっていった。

 

やり切ったオティヌスは、上条の肩に頭を押し付けた。

 

「……お前は気にしないようにしてるみたいだけどさ、未だにお前が元の世界に焦がれてるのを知ってるんだ。寝ているときよくうなされてたから」

 

もう聞こえていないのは知っている。

小さな寝息が返ってくるだけだ。

それでも良かった。それでも言葉にしたかった。

 

ガラスの靴を扱うように、眠れるオティヌスの頭を右手で撫でる。

 

「何億回も地獄を乗り越えてでも欲しかったモノのくせに、俺のために全部放り投げちまった」

 

元の居場所への渇望の苦しさは、この世界の誰よりも上条はわかっている。

 

幾星霜もオティヌスに挑み続けたのは、挑み続けられたのは、あの苦しさから逃れるためでもあった。

最後に上条は敗北し、唯一の希望だった右手をオティヌスに差し出したが、あれはどうせ死んで無駄にするくらいなら有効活用してほしいという酷く消極的な行為だ。

 

死の淵の淵まで追い詰められなかった限り、決して自らの希望を捨ててまでオティヌスを助けようとは思っていなかったのだ。

 

もはや何も邪魔するものなどなかったのに、手を伸ばせばそれが手に入るところまで来たのに。

あの地獄が待っていると『理解』しながら。二度と元の世界に戻れないと『理解』しながら。

 

広すぎるあの世界で、オティヌスは上条当麻を選んだ。

本当の大馬鹿野郎はどっちなのか。

 

「俺を救ってくれてありがとう、オティヌス」

 

ごーん、ごーん。と遊園地のシンボルである城から19時を知らせる鐘の音が聞こえる。

少女をベッドに横たわらせて、細い指に絡めて手を握る。

 

かつて、この右手に宿る不思議な力についてオティヌスは言った。

全ての魔術師達の怯えと願いが集約したものだと。

 

怯え。夢。願い。

そういった力強い形なき思いが世界に影響し形を成すことがある。

 

今回のオティヌスの身体の変化は、それと同じだったのかもしれない。

 

上条の右手と比べたら込められた思いの数は全然足りないのだろう。

一日ももたずに消えてしまう程度の、形を成すにはあまりにも弱い力なのだろう。

 

けれど、それでも思いは実を結んだ。

天文学的確率でしか起こり得ないだろう奇跡の光景。

人はそれを魔法のようだと形容するのではなかったか。

 

あとほんの少しだけかもしれない。

けれど、魔法はまだ残っている。

そう二人は願っている。

 

夢の終わりまで、ずっと握っていた。




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