プロローグ
彼方に光が生まれ来て
大地に若芽が伸びるなら
此方に闇が生まれ来る
すべてを照らすは光なれ
あまたの影は地に還り
いずこに光が帰る時
新たな影が生まれけん
やがては影が地に還り
新たな命の息吹待つ
共に回れや 光と影よ
常世に廻れや 光と影よ
そしてひとつの唄となれ
天を廻りて戻り来よ
時を廻りて戻り来よ
御魂がその目を覚ますなら
彼方に命が生まれ来て
心がその目を覚ますなら
此方に想いが生まれ来る
すべてを包むは御魂なれ
あまたの想いは力に変わり
命が御魂に帰る時
新たな想いが生まれけん
消えぬ想いは御魂に帰り
新たな命の息吹待つ
共に回れや 命と心
常世に廻れや 命と心
そしてひとつの唄となれ
共に歩みて戻り来よ
共に歌いて戻り来よ
共に生きるは
魂と想い
◆◆◆
「あぁ゙~ 、終わった…2つの意味で終わった。」
マヌケな、そしてちょっと沈んだ言葉
そんな言葉を出したのは何のへんてつも無い少年だった
テスト最終日、学校が終わりいつもの道を一人で歩きながらぼやいている
「いつもの事だけどうちのテストちょっと難しくねぇか?もっと簡単にしてくれても良いと思うけど。ハァ…今回も40点代取れれば御の字かな。」
どうやらあまり頭が良くないようだ。この調子なら毎回の如くだろう
いつもの言葉、いつもの道、いつもの日常。それが"いつも"では無くなったのは人通りの少ない小さな十字の交差点に差し掛かった時だった
道を挟んで向かい側に有る公園からポンポンとそれを追いかけて来たおそらく7歳ぐらいの子供が飛び出して来た。
そして、そこに猛烈な勢いで走って来るトラック。普段あまり車の通らない道だったのが災いして、ボールに夢中になっている子供は気付かずに横断歩道まで出てきており、トラックはなぜか止まる気配を見せない
「マジかよ…あーもうっ!!」
周囲に人はおらず気付いているのは自分だけ、すなわち
気が付けば少年の体は子供に向かって走り出していた
そして…
子供を突き飛ばした後、少し遅れてドンッという衝撃と自分の体が宙を舞う感覚を感じながら少年の意識はブラックアウトした
◆◆◆
『グオオオォォォォァァァ!!』
「ハアアァァァァッッ」
天空山の頂上、何人も立ち入る事の赦されぬ地《禁足地》
その地にて大小2つの影が、
人は女性で全身に赤と黒を基調にした鎧《レウスシリーズ》を纏い、その手には鎧と同じ素材で作られたであろう太刀《飛竜刀〈楓〉》を持っている
化物は龍、それも"古龍"と呼ばれる災害と等しい存在。純白の鱗に黒い角と爪、肩から生える翼腕を持つ《〈天廻龍〉シャガルマガラ》と呼ばれるモノ
ハンターはその手に持つ武器を降り下ろし、切り払い、突き、時には気刃斬りと呼ばれる大技をシャガルマガラに叩き込んでいく
シャガルマガラはそれらをものともせずハンターに、牙で、翼腕で、尻尾で、ブレスで攻撃を仕掛けていく
そうやって何時間ほど戦っていただろうか、いつしか一人と一匹の間には不可思議な連帯感とでもいうべき感情ができた
「はぁ…はぁ…フフッ互いにボロボロになりましたね、シャガルマガラ。
私は防具も壊れアイテムも底を尽きました。あなたももう瀕死でしょう?」
『グルルルァ』
「ええ、そうですね。次の一撃で決着です」
『グオオオォォォォ!!』
「来なさい!!」
シャガルマガラは軽く飛び上がり、翼腕を前に出すように滑空する。ハンターは太刀を使い翼腕をいなす。その瞬間バキッと太刀が折れ、それを認識するより早く腰から剥ぎ取りナイフを抜く。
その後観測船から連絡を受け駆けつけたギルド職員が目にしたものは、
眼窩にナイフを突き立てられ絶命した龍とその口に噛まれたまま死んでいるハンターだった。
◆◆◆
―市内某病院
「ふぇ…ほんぎゃぁ…ほんぎゃ~ほんぎゃぁぁぁ」
「ほらお母さん、元気な男の子ですよー」
新しい命が生まれた
「「無事に生まれてきてくれてありがとう」」
「この子の名前は"狩楽"、禍尽狩楽だ」
祝福されたその子には
額から頭頂部の少し後ろまで漆黒の角のようなものが有り、肩甲骨あたりから赤黒い爪を持つ漆黒の翼腕が、腰からは棘の有る平たい漆黒の尻尾が生えていた
主人公の名前は まがつき かるら と読みます。
始め2文字と後1文字を抜き取って読むと・・・・・・