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「画像で見たときも思いましたが、やはり大きいですね。」
上部にUとAを重ねた模様の書かれているどことなく近代的なゲートとその奥に見えるHのように見える校舎を前にして、肩の部分にまるで掴まるかのように爪の有るボロボロのマントの様なモノを身に纏う少女が呟く。
「それにしても、まさか私がヒーローを目指すとは。転生した頃には夢にも思いませんでした。」
子供の替わりに車に轢かれ、気が付いたら赤子になっていた。今世の名前は
「さて、《俺》の記憶に有った"狩技"や"鉄蟲糸技"・・・・・・は翔蟲が居ないので使えませんが、《私》が極めましたし。同じく記憶にあった"城塞高地"にいる《我》の"技"も使えるようになりました。それらがどこまで通じるか・・・・・・フフッ楽しみではありますね。」
だが、その転生は普通ではなかった。狩楽の頭の中には3つの前世の記憶
1つ目は平凡に生き、子供を助けて死んだ《男の記憶》
2つ目は強大な自然に立ち向かい数多くのモンスターを狩った《
3つ目は大自然の一部として生き、多くの命を喰らい種としての役割を遂げた《
が有ったからだ。
(本当に、記憶が定着した時は混乱しました。まさか全ての記憶を一気に思い出すとは。)
記憶が復活?した時のことを思い出していると、少し後ろから声が聞こえてきた。
「どけデク!!」
「かっちゃん?!」
「俺の前に立つな、殺すぞ!」
「え、えぇと、その、お互いにガンバロウネ」
「チッ」
(おや、こちらに来ましたか。避ける気が無さそうですね。)
ウイルス性を消し周囲に拡散させた感知能力を持つ鱗粉と今は髪に隠れている知覚器官である触角を通じてそのまま一直線に向かって来たのが分かったので、横にずれる。
「邪
「はいどうぞ。」
魔d ッ!!あ゙ぁ゙?」
親切心でよけたにもかかわらず、その爆発したかの様なツンツン頭の少年はこちらを睨んできた。
「なぜ私を睨むのでしょうか。何か気に障る事でも?」
(うわぁ、あからさまな不良です。)
「チッ、ねぇよそんなもん。」
「いえ、ありますよね。その舌打ちといい眉間のシワといい。」
「あ゛ー!!ウルセェ!!黙ってろモブが!!」
(プライドが高いと言うべきか、井の中の蛙と言うべきか。)
「まあ良いでしょう。そろそろ私も行くとしますか。」
◆◆◆
「そこまで、全員ペンを置きなさい。」
その声に従い狩楽はペンを置いた。机の上の答案用紙は全て埋まっている。
そしてさっきまで解答をしていた狩楽はと言うと、
(自信を持って合っていると言えるのは9割6分といった所でしょうか。まあまあ解けました。)
密かにドヤ顔をしていた。よほど自信があるようだ。
「よし、君達ヒーロー科志望はこの後実技試験だ。説明会場に行きなさい。」
◆◆◆
(ふむ、やはり中々に広いですね。収容人数は五百人ぐらいでしょうか。・・・・・・あれ?えーっと、そうなったらこのような場所が最低あと24ヵ所は有るということに?なんという敷地の使い方・・・太っ腹過ぎます。)
説明会場の広さに呆気に取られ、変な方向に思考が飛んでいる狩楽の耳に足音が届く。
思考を打ちきり前を見ると、天を突くような金髪、ヘッドフォンに首には指向性スピーカー、逆三角形のサングラスetc.が特徴の"ボイスヒーロー"プレゼントマイクが壇上に上がっていた。
『今日は俺のライブにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!』
(口に出すのは恥ずかしいので心の中で叫んでおきましょう。YoKoSooooです。)
シーン・・・・・・・・・
(それにしてもスベッてますね完全に。)
『こいつぁ、シヴィー!!! 実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!! アーユーレディ!? YEAHH!!!』
(ああ、ついには自分で合いの手を・・・・・・)
受験生の緊張を紛らわそうとしたのかそれとも素なのか盛大にスベッったにもかかわらずそのままのテンションで説明を続けるプレゼントマイク。
『入試要項通り!リスナーにはこの後10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ! 持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!演習場には仮想敵三種、多数配置してありそれぞれ『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある! 各々なりの“個性”で“仮想敵”を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達リスナーの目的だ! もちろん、他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
(なんと言うか、スコア制のゲームみたいですね。分かりやすくて良いですが。)
そこでメガネをかけたThe・優等生というような外見のメガネの少年がビシッというオノマトペが付きそうな動作で手を上げる。
「質問よろしいでしょうか!」
『オーケー!どうしたそこのリスナー!!』
「プリントには4種のヴィランが記載されております、誤載であれば日本最高峰の雄英において恥ずべき痴態!我々受験生は規範となるヒーローのご指摘を求め、この場に座しているのです!」
(真面目ですね。しかし恥ずべき痴態は言い過ぎでは?)
などと狩楽が思っていると
「――ついでに、そこの縮れ毛の君!先程からボソボソと気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻
今全く関係ない所に飛び火した。そして注意を受ける縮れ毛の少年を見てクスクスと笑う周囲に腹が立った。だから、
「す、すみませ・・・・・・
「少し良いですか?」
突然声を上げ立ち上がる狩楽に視線が集中する。
「確かにボソボソと言っていた彼が悪いのかもしれません。しかし、癖とは緊張すれば自然と出てしまうものです。そして今日は今後を決める重要な日、どう足掻こうと緊張はするでしょう。さっきあなたが注意した縮れ毛の彼の癖が考えている事が口に出るものなら、あなたの行為はただの威圧になります。現にホラ、彼、完全に萎縮していますよね。間違いを指摘するのと、大勢の前で晒すのとでは全く違いますよ?」
そう狩楽が言うと、メガネの少年は何かに気が付いた様な表情を浮かべる。そして縮れ毛の少年に対して直角に腰を折った。
「すまなかった!個人的に気になっていたとはいえ、萎縮させる様な事をしてしまった!本当にすまない!!」
「え、えぇと・・・・・・こっちこそごめん!邪魔になってたのは事実だから。」
(自らの非を認める事は良いことです。後は・・・・・・)
互いに謝罪し合うのを見届けた後、狩楽はさらに口を開く。
「さて、説教臭くて鬱陶しいと思うのなら聞き流してくれても構いませんが。さっき縮れ毛の彼の事を意図的に笑っていた人達に聞きたいのです。貴方方は本当にヒーローを目指しているのですか?人の失態を見て心配するのならまだしも、それを見て見下すように笑う様な、そんな人がヒーローに成れると思っているのでしょうか?ヴィランを倒す事だけがヒーローの仕事では無いと思うのですが。」
文字通り空気が死んだ。ハッとした表情をする者、恨みがましく狩楽を睨む者などがいる中、それを微塵も気にせずプレゼントマイクに向けて頭を下げた。
「説明を中断させて申し訳ありません。眼鏡の彼の質問にお答えしてあげてください。」
『オーケーオーケー!リスナー番号7111くん3667ちゃん。ナイスなお便りサンキューな! そいつぁ断じて誤載じゃないぜ? 四種目の敵は0P! そいつはいわばお邪魔虫だ! 各会場に一体! 所狭しと大暴れする『ギミック』よ!倒しても別に構わないが、倒したところで意味は無い! 戦わず逃げることをお勧めするぜ!』
「ありがとうございます!失礼いたしました!」
『つう訳で俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校『校訓』をプレゼントしよう!!かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!
“Plus Ultra”
それでは皆、良い受難を!』