東方丸太郷 48日後…   作:光を司る者

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この館は…?


昼寝の邪魔されて怒らない生き物なんていないだろ!

「あそこの館まで行くには湖を迂回していくしかないよ」

「めんどくせェな」

二人はそう言って歩き出した。

「さっきのバケモノってなんなの?アンタは邪鬼とか言ってたけど…」

「邪鬼は…吸血鬼ウイルスの感染者の成れの果てだ。ある程度の期間血を吸わないでいるとああなっちまうんだ」

「吸血鬼ウイルス?なんて幻想郷にはないはずだけど…現にさっきの奴も私は初めて見たし」

「これから行く紅魔館には吸血鬼がいるんだろ。そいつが感染を広めたとしか思えねェ」

「そうなの?アイツらはそういう感じじゃ無いと思うけど…」

にとりは首を傾げながら言った。湖の真ん中で妖精達が戯れあっていた。

「凄ェな。ここに住んでるやつは空が飛べるんだな」

「え?アンタ飛べないの?ああ、そういや人間だったか。バケモノじみてるから忘れてたよ」

「ざけんな」

「冗談だって…ほら着いたよ。じゃあ私はこれで」

「もう人間襲うなよ」

紅魔館の周りはレンガ積みの塀で囲まれていた。正門には門番のような女が立っている。こっそり侵入した方が良いだろう。塀の高さは3mはあり普通の人間ならば侵入できないようになっていた。

しかし宮本明は普通の人間では無い。義手刀を引っ掛けいとも簡単に塀に登った。しかし、塀の上に設置してあった鋭い忍び返しが足を貫いた。

「くっふざけやがって!」

足を痛めたが大した問題では無い。すぐさま塀から飛び降りた。

(吸血鬼が何体いるか分からないからな…ここのボスに正面から奇襲をかけるしかない)

塀の中は庭になっていた。よく手入れされた色とりどりの花が咲き乱れていた。館につながる石畳の道の両端では白い噴水が水を流していた。

「ハ 吸血鬼のクセに一丁前にガーデニングなんかやってやがるのか」

雨上がりの気持ちのいい晴れ間だったが、紅魔館の敷地内だけやたら気温が下がっているような気がした。館からは気の滅入るようなおどろおどろしい雰囲気が漂っていた。

明はそんなオーラなど気にもとめず館のドアを開けようとした。しかし扉は固く閉ざされたままだった。

「鍵穴?そうか、この扉を開けるには鍵が必要なのか」

彼は義手刀を抜きドアとドアの僅かな隙間に刃を滑らせた。閂が落ちる音がしたと同時に両開きの扉が軋みながら開いた。

「よし行くか。皆殺しだ」

エントランスホールに入ると、昼だというのに薄暗かった。埃っぽい匂いが鼻についた。出来るだけ静かに扉を閉めると、中の光源はステンドグラスから入る光だけになった。しかし、もとから光を抑える造りなのか光量は少なかった。

「なんだあのステンドグラス…ピエタか?」

キリストを抱いて悲哀に暮れる聖母マリア。それがピエタであるはずだ。しかしこの館のステンドグラスは明らかにピエタをモチーフとしているに関わらず、キリストを抱いている女が不気味に笑っていた。

「なんて趣味が悪ィんだ…」

明は呆れ果てながら階段を登っていった。赤いカーペットが敷かれたふかふかした階段だった。階段は途中で二又に分かれていて、それぞれの通路にはいくつもの扉があった。とりあえず右の通路を進んでいった。廊下は先が見えないほど続いていて幾多の扉が並んでいる。一定間隔を空けてゴシック風の燭台が取り付けられているが、どれも埃をかぶっていた。長らく使われてないのだろう。

しばらく進むと、左側に明らかに異質な鉄の扉があった。厳重に錠前をつけられている。今まで目にした紅魔館の扉はどれも白い塗装をされていて、ドアノブには美しい金細工がなされていた。しかし目の前にある鉄扉は…明らかに異様だった。無骨で大雑把な機能性しかないような頑丈な扉だ。まるでなにかを閉じ込めているような、そんな意図が感じられた。

「邪鬼でも飼ってやがるのか…」

明は義手刀で錠前を断ち切った。重い扉がゆっくりと開いた。

「解き放って暴れさせよう」

明は地下に続く石段を降りていった。彼はその先にいる少女の存在など知る由も無かった。




この扉は…!?
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