うおっ乳デカいね♡ 違法建築だろ   作:珍鎮

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今回は短めですみません♡ 卍解します♡



デジたん遊んで~♡最近夜の生活はどうなんですか?

 

 

 マンハッタンカフェからの告白、もといはしゃぎ過ぎな誘惑を受けてから数日後。

 週末を乗り切って休日に辿り着いた俺は、まったり朝餉を嗜みつつスマホで今日のスケジュールを確認していた。

 の、だが。

 

「──え゛っ」

 

 そこでつい驚きのあまり声が漏れた。

 

「どうひたの。もぐもぐ」

 

 朝方はなかなか活動スイッチが入らずぽやや~んとしている相棒ですら気になったらしく、白米を食べながらジッとこちらを見つめてきた。ジト目かわいいね。下から見上げてほしい。

 

「あ、あぁ……すまん、朝から不用意に驚かせちまって」

「何かあった?」

「……これ、見てくれ」

 

 サンデーには説明するよりこっちのほうが早いと判断し、ある人物とのメッセージアプリのトーク画面を表示して机の上に置いた。

 それを覗き込んだ彼女の表情自体に変化はなかったものの、その代わりにきめ細かな白髪で構成された頭のてっぺんにあるアホ毛がぴょこんと跳ねてリアクションを表現した。どういう仕組みなのそれ。つんつんしたい。

 

「久しぶりだね。タマモ先輩に会うの」

「……そうだな」

 

 相棒の言葉に頷き、味噌汁を片手に改めてメッセージの内容に目を落とした。

 

 ──今朝、タマモクロス先輩から連絡があった。

 それも他人行儀な挨拶的なものではなく、もはや身内としか思えない内容がそこにはあったのだ。

 送信されてきた内容は二つ。

 一つ目は『なんでヤバい怪異とバトるのに連絡せえへんかったん、ボケ』というもので、それに続いたこと言葉が『昨日から勝手にドーベルんとこ手伝ってます』というものであったため、つい驚懼の声を上げてしまったというわけだ。

 そこで何か思うところがあったのか、食べ終わったサンデーが食器を流しに持っていきつつ片手間で質問をしてきた。

 

「そういえば、どうしてタマモ先輩とは連絡を取ってなかったの」

「いや、メッセージを送って簡単な会話くらいはしてたんだよ。ただ……あの人はもうじき卒業する三年生だし、年始は忙しいと思ってそれ以上は控えてたんだ」

 

 タマモクロスは命の恩人だ。

 相棒を喪い、記憶を失い、自らの命すら消えかけた瀕死の俺を見つけてくれた救世主であり、まさに頭の上がらない先輩だと言える存在だ。

 なおかつ怪異にまつわる情報も明かしており、彼女のファーストキスを代償に俺の魂魄の一部を分け与えたことで、俺とマンハッタン以外で唯一通常の怪異を視認できる人でもある。

 

 なんか、こう、簡単に言うと……彼女は元一般人で、俺に関わったことでいろいろとめちゃくちゃにされてしまった不憫な先輩、ということになるのかもしれない。

 

「ん……でも、タマモ先輩は望んで手を貸してくれたんでしょ」

 

 はい。なのでマジで一生頭が上がりません。先輩だから、っていう理由だけで助けてくれたの、本当に根っからのヒーローすぎる。現世に降臨せし女神さま……美しいでゲスよ。

 そして今回もどこからか俺たちの作戦を知った彼女は、対ラスボス用のレース場を準備してくれているドーベルとやよいのグループに合流してくれた──となると。

 みんなの作業場を普通に回るだけではダメだろう。お姉ちゃんママ先輩への甘い対応は許されない。

 もともと差し入れは何かしら持っていくつもりだったが、もはや菓子折りとかそのレベルを用意した方がいいのかもしれない。婚姻届けとかでいいか。

 

「それで今日はどうするの?」

 

 洗い物を終えた相棒がパジャマから着替えながら質問してきた。それを見ないように背を向けつつ、再びスマホのスケジュールを確認する。……背後にそこはかとなくインモラルな衣擦れ音。いま振り返ってスケッチしていい? 大写生大会を開催したい。

 

「とりあえず午後はタマ先輩を訪ねるよ。ドーベルとやよいにも進捗を確認したいしな」

 

 で、それはそれとして。

 

「午前中は先約がある。まずは──スーツを見に行こう」

 

 

 

 

 市街地の外れ辺りにポツンと存在する大き目のガレージを備えた一軒家。

 この場所こそメジロマックイーンが手配した()()()()()()()()のコスチューム製作現場であり、ここ最近ずっと親友が寝泊まりしている仮の宿である。

 

「お邪魔しまー……うおっ、山田……」

 

 裏手のドアから直接ガレージに足を運ぶと、スタッキングチェアをいくつか並べて作られた簡易ベッドの上で横になっている男子の姿があった。

 ぎぎぎ、と扉の軋む音で目が覚めたようで、仮眠していたらしい彼は寝ぼけ眼を擦りながら上半身を起き上がらせた。

 

「むぅ……あ、秋川か……おはよぅ」

「おはようさん。朝メシは? よかったらこれ」

「わぁ、ありがとう~……」

 

 コンビニで買ってきたものを袋ごと彼に手渡し、改めてガレージを見渡してみると、その中央に不思議なスーツが装着されたマネキンを発見した。

 また周囲の作業台には塗料や粘土やよく分からんカーボン素材のかけらなど、とにかく凄まじい作業の痕跡の数々があった。

 

「すっげぇな……マジで助かるよ、山田」

「キミの為だけじゃないよ。ウマ娘さんたちを守ることに繋がるなら、やれることは何でもやるつもり」

 

 カッコいいこと言ってるとこ悪いんだけど、買ってきたおにぎりはもう全部食べちゃったの? 早すぎるよもっとよく嚙んでよ。健康第一。

 

「と言っても、僕はほとんど組み立ててるだけだけどね。素材調達はマックイーンさんとゴールドシップさんがやってくれてて、スーツの設計に関してはデジたんさんの独壇場って感じ」

「でも作業自体はほとんどお前がやってくれてるんだろ?」

「そりゃ……皆さんお忙しい方ですから。素材組のお二人なんてお昼からイベントに顔を出して、夜は大事な会食とかなんとか」

 

 うおっ……俺の友人みんな大物すぎ……? というか親友君も頑張りすぎですけどね。ありがとう♡ シンプルに好き。

 

「ふわぁあ……うぅっ、いてて……」

 

 ようやく椅子から立ち上がった山田は体の端々に筋肉疲労が見て取れる。長丁場の作業もさることながら、居住スペースではなくガレージで雑魚寝を繰り返していることで体力だけでなく気力も擦り減っていることだろう。

 

「ここのところ学校以外の時間はほとんどここに詰めてたんだろ。親御さんは説得済みなんだろうけど、たまには帰った方がいいぜ。つか家で休んでくれ。真冬のガレージで寝られるの怖いよ……」

「うーん……そう、だね。ちょっと根を詰めすぎてたかも」

「片付けは俺がやっとくから」

「わかった、ごめんだけどお願い~」

 

 なんとか説得を聞き入れてくれた山田はささっと荷物をまとめてリュックを背負い、そのまま裏口から退出──すると思いきやこちらを振り返ってきた。どしたの。

 

「あ、そうだ秋川、今日デジたんさんが足りない部品の買い出しに行ってくれる予定だったんだけど……」

「それなら俺が手伝ってくるよ。それだけガレージに置いたら、今日のスーツ製作は休みでいいよな」

「うん、よろしくぅ……!」

 

 そう言うと山田は若干フラフラしながらも帰路についていった。帰り道が少し心配だが、まぁ今日は冬にしては暖かいしメシも食ったから大丈夫だろう。

 それから簡単に後片付けを済ませ、早速アグネスデジタルに連絡を入れ、彼女が集合場所に指定した駅へ向かうのであった。

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 デジタルと駅で合流し、隣町の専門店で重要な部品をいくつか買いそろえてガレージに戻って解散──とはいかなかった。

 まず買い出し自体がかなり早めに片付いたのと、午後に向かうはずだったドーベルのグループも今日は早々に解散したとの報が入ったため、俺もデジタルも丸一日フリーになったことが判明したのだ。

 マンハッタンやサイレンスも普通にトレーニングの日ということで、ラスボス討伐作戦の準備に関しては完全にストップがかかった。

 二人でスーツの調整を行うこともできなくはないが、主な組み立て作業を担当している山田がいない時に、わざわざ無理をしてやることでもない、と諸々が重なりまくった結果──

 

「わっ、あっ、秋川さーんっ、新弾ここまだ残ってます~……っ!!」

「マジか!」

 

 ウマデュエルレーサーの買いそびれたカードパックを探す旅に出ることとなった、というのが現在の状況である。これは普通にデートかも。

 いつも通っているカードショップや家電量販店には売り切れの札しか残されていなかったため、二人で電車を乗り継ぎしながら知らない街へ赴き、さらに駅から離れた位置のこじんまりとした店などを狙い、ようやくお目当てのものを見つけた。

 

「デジタルさん、それ購入制限ある?」

「一人三パックまで、だそうです。手に入る分はもう確保しちゃいましょ!」

 

 早速買えるだけ買った後、保護用のスリーブも手に入れてからその店を後にし、付近のショッピングモールへ足を運んだ。

 休日特有の人の波をうまく避けつつ、誰も座っていない屋内ベンチを見つけてそこに腰を下ろし、一息つく。

 

「ふぃ……やっぱ土曜は人がすごいな」

「ですねぇ。お昼も近いですし今がピークかも?」

 

 周囲は雑踏の音で溢れかえっている。

 二人並んで座った状態でそれを眺めつつ、袋からパックを取り出した辺りで、一つ思い出したことがあった。

 

「あ、そういや前にもこんな感じでパックを剥いたことあったよな」

「むふふ……秋川さんと一緒にウマデュエのパックを剥くと、必ず良いカードが当たるという法則がありますねぇ」

「そうだっけ……?」

 

 たしかに思い返してみれば、ここに山田を含めた三人でカードを買ったときは、アイツが十数万円相当の激レアなメジロマックイーンのカードを当てたし、年始に二人きりで開封した時もデジタルが良さげなヤツを当てていた。

 彼女の言う通りにパックの引きが良くなるのであれば、三度目の今回はどうだろうか。てかなにニヤニヤしてんだよ。この誘いマゾが……どこまでも俺を苛立たせる。

 

「……ふおぉっ! 秋川さん出ました! ホイル出ましたぁ!」

「マジで? 俺のほうは……うお、全然まったくダメだ……」

「あははっ。もしや同行者の運だけを上昇させる能力かもしれませんね?」

「なにそのピーキーな異能……俺もレアカードが欲しいのに……」

 

 相も変わらずカス引きな自分のパックを見て肩を落とした。友人に幸運が訪れるのであればそれに越したことはないが運の集約がすごい。他が当たると俺が絶対外れとる。

 まぁ楽しかったからいいか。デジタルの笑顔と優良カードの取得であれば、比べるまでもなく前者の方が俺にとっては嬉しい。それはそれとして笑顔が足りない! 写真撮るからこっち向いてダブルピースしてほら!! ぁいや、アへ顔はちょっと……保留で……。

 

「……うし。じゃあそろそろ昼飯でも食おうか。なにかリクエストある?」

 

 荷物をまとめて立ち上がると、彼女もカードを懇切丁寧に長財布へ避難させたのち後に続く。

 

「では、ショッピングモールを出て少しだけ街を散策しませんか? せっかくあまり知らない土地へ来たので、珍しいご飯屋さんなどに入ってみたいです!」

「いいね、ちょいと冒険するか。あんまり人が多い場所にいると、前みたいにデジタルさんのファンの子に囲まれちゃうかもしれないし」

 

 冗談めかして言ってみると、デジタルは照れたようにたははと笑った。その困り笑顔マジで好き。軽率にもっと照れさせたい。

 

「……でも、そうですね。ファンの方には申し訳ありませんが……今日だけは──二人きりの時間を楽しみたいので」

 

 わずかな羞恥を含みつつも、どこか穏やかな雰囲気で、彼女は平然とそう告げた。

 友人と遊ぶ際にわざわざ()()()()と強調することは稀だと考えていたのだが、隣にいる少女にとってはそうではないらしかった。

 

「ぇ……えへへ」

 

 ──ほんの少し、たった一歩だけ、アグネスデジタルは距離を詰めた。

 肩が触れ合う寸前だが、どうにもそれを気に留める様子はない。

 いつもとどこか違うような、普段よりも鷹揚な少女の雰囲気に違和感を感じつつも、まずは腹ごしらえという事でショッピングモールの大きな自動ドアを通っていった。

 

「ひゃあっ……さ、さむ……っ!」

 

 ああぁ~~~~でも寒すぎるからって反射的に肩をくっつけてくるのは違うかも!!! なんか絆が深まりそう。俺たちの仲がもっと強固に結ばれるよね♡ アセチレン結合。

 

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