うおっ乳デカいね♡ 違法建築だろ   作:珍鎮

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いつも閲覧感想等ありがとうございます♡ 毎週更新が厳しくなってきたので以降また不定期に戻ります♡ ごめんなさい
次回更新の際はそこからエピソードが一区切りつくまで毎日更新にする予定です♡ 完結の目途は立っているので今しばらくお待ち頂ければ幸いです♡ メソポタミア文明



タマ先輩ヒーローすぎる 六年生じゃん

 

 

 ラストバトルが刻一刻と近づく中、これまで共に青春を謳歌してきたウマ娘たちからの告白が相次ぎ、内心をかき乱されまくっている俺はポーカーフェイスを保つのがやっとな状態に陥っていた。

 本日も特設レース場の下見という事で彼女たちと合流したものの、会話はどこか上の空になってしまって。

 

「こっち座り、葉月くん」

 

 どうやらそれを見抜いたらしい一つ年上の先輩であるタマモクロスに導かれ、俺は芝生から遠く離れたベンチに腰を下ろした。

 

「……すいません、タマ先輩」

「ウチはええって。それよりフワフワした返事で失言しないかが心配やったわ」

 

 ここはメジロ家が所有しているレース場の一つであり、事情を知っているご令嬢たちや理事長の力で一定期間貸し切りにさせてもらっているフィールドだ。

 ここを最終決戦の場所とするので、敵の妨害行為に対抗するための仕掛けなどをみんなで考えながらことを進めていた──のだが連日の告白で平静を失ってしまっていた俺を見かねて、休憩ついでに『ウチにぶっちゃけろ』という先輩のありがたすぎる提案でこうなったわけだ。熱い思いやりに感動♡ 踊りたくなってきた。

 

「ふーむ。……冷やかすつもりはないけども、やっぱり葉月くんっていろんな女の子を射止めとるなぁ」

 

 快活に笑いながら俺の現状を改めて言語化する大先輩。いったいどんな運命のイタズラなのか、もう知らないフリもできないほど俺は複数人の少女たちから特別な感情を抱いてもらえている。

 

「で、返事は全部が終わった後って?」

「ええ、まあ」

「つまり期限付きっちゅうわけやね。……葉月くんのことだからしっかり答えは出す、ってところは別に心配してへんけど……大切な戦い(レース)が控えてんのにその事しか頭にないのはアカンかも」

 

 もうすっかり秋川葉月の性質を理解してしまっているタマモクロスにそう言われると、さらにメンタルがなよなよし始めてしまった。彼女との待望の再会でこんな情けない姿を見せるつもりではなかったんだが。

 

「先輩……やっぱりこういうの、一旦忘れた方がいいですよね。真剣に走らなきゃいけないのに」

 

 マジメに考えるのであればそうするしかない。今回ばかりは俺と相棒だけの命ではないのだ。失敗すれば仲間たちはおろかこの街に住む人々も催眠おじさんの被害を被りかねない。

 

「……いーや、それもちゃうよ」

「えっ?」

 

 観念したように俯瞰意見を口にした俺とは正反対に、相変わらず先輩の余裕たっぷりな芦毛の少女は前方を見つめ、遠くでレジャーシートを敷いて昼休憩をしているウマ娘たちを眺めながら静かに語る。

 

「きっと有のときは、スズカたちもキミのことを考えながら競ってたはず」

「そ、そんな大事なレースで?」

「アハハ、変に鈍感やな。そういう大事なレースだからこそ、やろ」

 

 パシパシ、とこちらの背中を軽く叩かれた。軽率なボディタッチやめてくださる!? これが男子を勘違いさせる女の先輩……しっかり質量を持ち芳醇なエロ臭香るマゼラン星雲。

 ここにきて鈍感と言われてしまうとは、どうやらまだまだ修行が足りないようだ。少年誌の恋愛漫画の主人公の事をとやかく言える立場ではないのだと理解した。

 

「あくまで持論やけど、走るときはそのレースの事だけを考えて走るわけやない。無論コーナリングとか思考を走らせながら闘うのは間違いないけど……応援してくれる人たちや、どうして自分が頑張りたいのか。それを心の中で反芻しながら──想いを背負って走るわけ」

「想いを……背負う……」

 

 俺が頑張りたい理由はただ一つ。

 俺を信じてくれた人たちを守る為だ。

 そしてタマモクロス先輩はその信頼や好意を糧として燃やしながら走るのがレースなのだと語った。

 もっと簡単に言ってしまえば……好きな人の為にがんばる。あまり神聖な心持ちで足を動かそうとすると、途中で気合いが抜けて足が浮いてしまうから、もっとシンプルに()()()()()()()を胸に抱えて走れ、と大先輩はそう告げた。サンデーもそうだそうだと言っています。おまえはちょっと静かにしてて。

 

「……分かりました。ニヤニヤしながら走ります」

「いや油断しろって言うとるワケやなくて……まぁそれで力が出るならええけども……」

 

 仕方なさそうに笑う彼女を見て──なんとなく心が晴れた気がする。

 そうだ、元を辿れば俺はデカパイなウマ娘とコミュ繋げられないかなだとか下心全開で救急セットを持ち歩いていた人間だ。シリアスに壮絶な戦いへ身を投じる主人公の真似事なんぞ最初からするべきではなかったのだ。

 ただの秋川葉月として、なんかまぁやるだけ本気(マジ)でやってみる。

 あの少女たちに返す答えも考え、その向けられた好意を素直に喜んで心を燃やしながら、集団催眠を引き起こそうとしている違法おじさんをやっつける……と、考えてみればシンプルな道筋だった。

 

「ふふっ……なんや、ええ顔んなったやん」

「タマ先輩のおかげですよ。危うく道を踏み外すところだった……ありがとうございます」

「はぁい、役に立てたのなら何よりです。……さて、じゃあ面談は終わりかな」

 

 俺の快復を察したタマモクロスが立ち上がり──そこで待ったをかけた。

 

「あの、先輩」

「うん?」

「俺……あなたみたいになりたいんです。冗談抜きで、俺の人生の目標はタマモクロスになることだと言っても過言ではない」

「な、なんやそれ過言やろ。前から思ってたけど葉月くんってウチのこと過大評価しすぎなんちゃう……?」

 

 なにをバカなことを。過大評価なんぞであるわけがない。

 タマモクロスは秋川葉月にとってのヒーローだ。

 路頭に迷っていた見知らぬ子供を考える間もなく保護し、そんな年端もいかないガキの世迷い言にしか思えない事情説明を本気で信じるばかりか、ワケの分からないバケモノとのレースにも『先輩だから助ける』とその信念だけで参戦し事態を解決せしめた本物の英雄である。いやちょっとマジで命の恩人すぎるな。先輩に彼氏がいたら脳破壊で一週間は寝込むかも。

 

「そんな先輩に助けて頂きたいです」

「なにを……?」

「もし恋人ができたとしたら……初デートはどれくらい気合いを入れればいいんでしょうか。張り切りすぎて引かれるラインとか全く分かりません。助けてください!」

「は、はぁ!? そんな急に何を……!」

 

 これは半分冗談、半分本気だ。

 タマモクロスは頼りがいがあって面倒見のいい理想の先輩ではあるが、いささか大人すぎてこういった緊急時以外は見守る側に回ることが多いのだ。ショタコンお姉さんの如く。

 帰宅部である俺には理子ちゃん以外にこれといって親しい先輩はいなかった。同じ学生であるという点に絞れば、個人的に隠し事が多すぎる新堀先輩を除くとそれこそただの一人もいない。

 だからタマモママお姉ちゃん先輩ママとこれからも先輩後輩として縁を繋いでいくには、多少無理やりでも巻き込んでこちら側に来てもらう方が上手くいく気がしてならないのだ。

 あの時は巻き込んで申し訳ないと考えていたが、自らこちらへ歩み寄ってくれた以上は俺のやり方にも慣れて頂く。

 

「俺デート場所とか考えたこともありません。無論その相手に合わせたプランもあるんでしょうけど、いつも通りでは特別感がない。せめて初回のデートぐらいはドキドキしてもらいたいです」

「……まっまぁ? ウチも今年の春から大学生やし? そんな高校生のデートプランくらい朝飯前よ」

「さすが先輩! じゃあいま練習に付き合ってもらってもいいですか」

「この場で!? コントやるんちゃうねんぞ!」

 

 見てて分かる範囲では少しだけ見栄を張っているようだが年上の意見はバカにできない有益な物ばかりだ。ここは勉強の為にも彼女からたくさんのアドバイスを引き出していこう。まずは経験人数から♡ ゼロじゃなかったら心停止。

 

「俺が彼女役をやるんで、先輩は彼氏としてエスコートしてください」

「ちょぉ展開が早い……!」

 

 慌てふためくタマ先輩を敢えてフォローせず、無茶ぶり前提で仮想デートシミュレーションを開始した。ここで学んだことが今後の恋人との甘い生活の基盤を作ると言っても過言ではない。デート・ア・ライブ。

 

「あっ、せんぱーい。待ちました?」

「ん、んん゛……いや、ウチもいま来たところ。今日のデート楽しみやな」

「はい♡ とってもワクワクして眠れませんでしたよう。ところで今日は午前中なにをしてお昼なにを食べて午後なにをして夕食なにを選んで何時ごろに解散しますぅ?」

「しょっぱなから全部を決めんの!? 人の心とかないんか……!」

 

 やっぱりタマちゃんいじると楽しすぎてキショい笑いが止まらん。軽率に嫁に欲しい。

 

「じゃあとりあえず歩きます?」

「せ、せやな。行こか」

 

 とりあえずフリだけでも時間を進めようとしたその瞬間、何の気なしにタマモクロスが隣から腕を組んできた。嘘でしょう奥さん! 戦わずして完全王者。

 

「……サラッと腕を組んでくるあたり、もしかして先輩ってデート慣れしてます?」

「えっ。……あっ。──ちっちが!」

 

 それだけ役に真剣に入れるという事でもあるのだろうがスケベすぎ。私に恋人ができるわけないじゃんムリムリ! って言ってたのは噓だった? タマ子が悪いじゃん……。

 

「先輩って恋人いたんですね。すいません無神経なシミュレーションに付き合わせちゃって」

「ち、ちーがーうッ!! 彼氏なんて出来たことないわ! あんまりからかうと付き合ぉてあげへんよ!?」

「かわいい~♡ 素晴らしいホスピタリティ」

「コイツ……っ!」

 

 そんなこんなでヘソを曲げそうになったタマお姉ちゃんを宥めつつ、すっかり軽口を叩き合えるようになった頼れる先輩と昼休憩が終わるまでシミュレーションに勤しむのであった。演技中から漏れ出る壮絶なチョロ具合……アグリーでナレッジでコンセンサスだね。そうか、これが超次元サッカーだ!

 

 

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