なにか問題があった場合は一度削除した上で投稿しなおすかもしれません。
生まれた時から妙なものが見えていた。
「ママ、見てごらん。小さいお手てをこんなにも必死に伸ばしてる」
「ほんと。可愛いわね・・・あら?でも変ねえ。そっちにはなにもないのだけど」
少し大きくなって、それが『悪魔』と呼ばれるものであることを思い出した。でも誰に言っても『悪魔』の存在は信じてもらえなくて。そのうちに言うのをやめた。
「今日裏山行こうぜー!」
「行く行く!さだはるも行くよな!?」
「・・・裏山は止めといた方がいい。あそこは・・・その・・・不気味だから」
「なんだよお前、怖いのか?」
「付き合い悪いな・・・俺たちだけで行こうぜ」
「・・・俺は言ったからな」
「定春・・・あなたのお友達がいなくなったんだって。裏山に行くって言ってたのよね?」
「そうだよ。それ以外は・・・ほんとに何も知らない」
中学生になって身体と頭が成長し、自身の『前世』について完全に理解した俺にとって、小さい友達を消してしまった『悪魔』と『悪魔』の見え隠れする現世は恐怖の対象でしかなかった。
「定春・・・大丈夫、貴方が見ているのはただの幻覚だもの。頑張って治療すればそのうち見えなくなるわ」
「定春、辛いだろうけど頑張ろう。父さんたちがついてる」
そんな俺にとって、『悪魔』が見えずとも理解を示そうとしてくれる今世の『親』は最後の理解者だった。
その親を事故で失ったのが高校生の頃。なんてことはない。二人が仕事で乗った飛行機が事故にあって墜落し、そのまま帰らぬ人となった。その後親しくもない親戚に引き取られたが『悪魔』の話なんかできるはずもなく、心のよりべを失った俺は学校を中退し次第に引きこもりになっていった。
「・・・?」
そんな俺が唯一安心できるのがインターネットだったのも、その中でたまたま『転生者掲示板』なるものを見つけたのも、すべては偶然だった。
ほとんど死んだ心ですがるように『前世』を知る者にしかわからないようなパスワードを入れ、その中でこの世界には『悪魔』の見える人が、そうでなくとも知っている人がこんなにもいるのだと知った時、安堵の心から思わず泣いてしまった。
そんな俺が、ある神社の神主だという人の開いたオフ会に参加しようとしたのは、もはや偶然ではなく必然だっただろう。
こんな俺を引き取って今まで迷惑かけ続けた親戚の人に頼んで金を借りて、今世で初めてわくわくした気分を味わいながら俺は旅立った。
そうして始まったオフ会で神主を名乗る少年のような見た目の人に、今までの全てを話し、俺はこう聞いた。
「私は今まで悪魔を見る力がありながら立ち向かってこなかった臆病者です。そんな私でも、変わることは出来ますか―――誰かを助けることは出来ますか」
彼は少し考えるように顎に手を当てて、次に俺の頭を優しく撫でながらこう言った。
「君は今まで守られてきたんだ。『悪魔』の見える世界で、それを知っているのが自分一人だけである恐怖は、孤独はきっと誰にも理解できない。それでも君を理解しようとしたご両親に、ここに送ってくれた人に、君は守られてきたんだろう。―――大丈夫、変われるよ。そして今度は君が人々を守るんだ」
そう言った彼の手のひらは暖かくて、その言葉は優しくて、だから、きっとこの人の元なら変われると。もう『悪魔』を恐れることはない。これからの俺は人を、他者を守るんだと。そう思った。
―――そして修行を終えた今、あのとき神主が俺に言った言葉を振り返ってこう思う。
あんのクソショタ絶対許さねぇ
「ああぁあぁあああーーーー!!もうヤダ帰る!」
「うるせぇ!おらさっさと次の修行に行くんだよ!」
「今は何日・・・?ここはどこ・・・?私は・・・一体・・・?」
「正気を失った奴がいるな。水ぶっかけろ」
「オデ・・・オマエ・・・マルカジリ・・・」
「悪魔と化したか・・・ナムサン!」
富士山に存在する『星霊神社』。そこは今や地獄になっていた。霊能力者としての覚醒のため、あちらこちらで様々な方法で臨死体験を味わう第二回オフ会参加者。かく言う俺も上記の一番上の台詞を吐きながら血反吐も同時に吐き出していた。
「ねぇこれほんとにここまでする必要あるの!?あるの式神さん!?答えてよ!答えろよ一反木綿!」
「一反木綿が喋るわけないだろ!正気に戻れ!」
「うるさい!知ってるんだからねほんとは喋るんだって!おら!言えよ一反木綿!」
「シャベリマス」
「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」」
「そこうるせぇぞ!余裕があんならもう一周臨死体験コース追加だおら!」
この後隣の奴と仲良く溺死体験をさせられたり、焼死体験をさせられたり、一反木綿にぶん殴られて死亡一歩手前まで行く中で、俺は一つの事を悟った。
―――あのクソショタ、こんな地獄が待ってるからあんなにやさしかったんだな。ちゃんと言えよあん畜生
導入なので少し短め。偉大な原作者様にこの場を借りて三次(賛辞)を捧げます。ハーレルヤハーレルヤハレールヤー