カオ転三次 ガイアが俺に囁く転生者   作:一一生寝てたい一

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仕事終わりの一杯は美味い

「死ぬ・・・死ぬ・・・はい死んだ!俺今死んだよ」

「落ち着け。もう修業は終わってるだろ」

「ほんとお・・・?だまして悪いがしない・・・?」

「しないしない。するのは修行中だけ」

「お前まじ許さねぇからな・・・」

「情緒不安定かよ」

「まじさ・・・いやまじさ・・・最初神主の言葉聞いてさ・・・この世のなかにも仏様っておられるんやなって思ったんだよ・・・」

「このメガテン世界だと仏様も悪魔だろうけどな」

「あれ全部俺に修行を諦めさせないための釣り餌だったって気づいたときの絶望感がさ・・・もうまじやばいのよ・・・」

「その話もう百回は聞いた」

「じゃあもう百回聞けよお!」

「情緒不安定だわこいつ」

 

ここは富士山近くのとある居酒屋。俺こと皐月定春(さつきさだはる)は霊能力覚醒のための修行でたまたま同期になった男、馬宮真宮(まみやしんぐう)と酒を飲みながらお互いに(?)愚痴を言いあっていた。

 

「つーかお前こっち側のはずだったじゃん・・・なんで修行に協力してんだよ・・・」

「ショタの神主にな。『協力してくれたら今日の分の修行少し軽くしてあげるよ』って言われたから」

「裏切者ぉ!」

「そうだな。でもお前が俺の立場だったら?」

「裏切りますけど?」

「ならお互い様だな」

「はぁ~?そっちは裏切っててこっちは裏切ってないんですけどぉ~?」

「すみませーん。ジョッキ一つくださーい。中身は大丈夫ですー。こいつの頭に叩きつけるだけなんで」

「すんませんした」

 

ため息を一つつく馬宮を見て少しうざ絡みが過ぎただろうかとも一瞬思ったが、この懐の広い男がそれくらいでキレることもないかとすぐ思い直す。

俺と馬宮は互いに第一回オフ会。そして実際に修行(という名の拷問)を行った第二回オフ会共に参加したメンバーの中でも数少ない『覚醒者』メンバーだ。俺が覚醒するまでにかかったのが約一カ月半。馬宮が約二カ月だった。覚醒したらこれ以上世話になっている親戚の面々に不安をかけるわけにもいかないので直ぐ帰るつもりだったが、覚醒した後の神主との会話でそうもいかなくなった。

 

~~~回想~~~

 

『皐月。修行お疲れ様。よく頑張ったね』

『お前このまじこの』

『うん。いい眼をしている。修行前とは別人のようだよ。あの時の君はまるで死人だったからね』

『その死人にほんとに死ぬ体験を何度も何度も何十回も何百回もさせた人が何言ってるんです?あと始まる前のあの台詞、明らかに修行中俺が逃げ出さないようにめちゃくちゃ優しい言葉掛けてますよね?』

『ほんとに別人みたいに変わったね。いいことだと思うよ。あと始める前のあの台詞は本心だよ』

『修行中に俺の友達にだまし討ちするよう仕向けましたよね?』

『・・・何を根拠n』

『本人から聞きました』

『・・・んん!』

『やっぱあんた効率のいい修行の実験対象として俺の事見てたな!?』

 

あれ以来俺の中でのショタ神主の印象は鬼畜外道有能糞ショタに変わった。いいところと言えば有言実行の行動力と、式神を作り出せる有能さのみである。

 

『さて、冗談はこれくらいにしておいて』

『その冗談で地獄見てるやつが約一名いるんですけど???』

『わかったよ。なら式神に関しては君の要望を真っ先に聞くから、それでいいかい?』

『え、まじすか?正直なんの補填もないと思ってたんで驚いてるんですけど・・・』

『そろそろキレるよ?』

『すんません』

『まぁ式神に関しては君の要望をなるべく早めに聞くことにするよ。それでいいかい?』

『それはありがたいです・・・ところでなにか話があったのでは?』

『ああ、そうだった』

 

君にとってとても大事な話だから、ちゃんと聞いてねと念押しして話始めるショタ神主。失礼な、まるで俺がちゃんと話を聞いていないようではないか。

 

『君、高校中退していて碌な経歴が無く、働き先も見つかっていない。そうだね?』

『え、なんすか。なんでいきなり心を抉りに来たんですか』

『そんな君にいい話があるんだ』

『もう嫌な予感しかしない』

『なに、ほんとにいい話だよ。君、霊能力者としての仕事に興味ないかい?』

『・・・ん?それはつまり就職のお誘いです?』

『まぁそう受け取ってもらっても構わない。君が目覚めた異能はなんだった?』

『んぅ?えーと』

 

俺が修行の結果覚えたスキルは二つ。それは

 

『【タルカジャ】と【烈風破】ですね』

『かなりいいものを引いているよね。他の人たちなんて【ディア】のみなんてまだいい方で、【トラフ―リ】なんかの戦闘に一切貢献しないスキルを引いた人もいるんだから』

『それはまぁ別方向で役立ちそうですけど・・・それがどうしたんです?』

『うん、直球で言うけど君、異界攻略に興味ない?』

『・・・俺ぇ?』

『うん。君』

『いや、まぁ、あの地獄を乗り越えて目覚めた力鍛えたくないかって言われたら鍛えたいですけど』

『そうだろう?そこで君に異界の一つを攻略してもらいたいんだ』

『・・・仲間は?まさか俺一人でいけとか言いませんよね?』

『大丈夫。君用の式神が完成してから挑んでもらうつもりだから。それまでうちにいるといいよ』

『あ、はい。ありがとうございます・・・』

『声が露骨に嫌がってる・・・』

 

~~~回想終了~~~

 

「まぁそういうわけだ」

「突然どうした」

 

馬宮が頭のおかしい奴を見る目で見てくる。失礼な。ちょっと酒で気分がハイになってるだけではないか。

 

「馬宮は地元に帰るんだっけ?またどっかで会おうぜ。俺知り合い少ないからさ・・・寂しいんだよ・・・」

「いきなり重い事言うよなお前。あー・・・」

 

どこか歯切れの悪い返事をされたので馬宮を方を見ると、今度は心配そうな目でこっちを見ている馬宮がいた。

 

「ん?どうした?」

「いや、お前、異界攻略に協力するんだよな?」

「そうだよ。その予定だよ」

「・・・大丈夫なのか?」

 

お?おお?なんだこの男、それが心配であんな歯切れの悪い物言いをしていたのか?

 

「愛い奴よのう、愛い奴よのう」

「すいませーんジョッキー」

「まじすんませんした・・・まぁ大丈夫、とは言えないけど」

「・・・」

 

馬宮は真摯に俺の身を案じてくれている。短い付き合いではあるが、この男が心の底からよい人物であり、他者の身を案じれる優しい奴だということは十分に分かっている。心配されていることが、気を遣われていることが気恥ずかしくて思わず茶化してしまったが、ここは真面目に答えるべきだろう。

 

「少なくとも、そんな簡単に死ぬ気はないよ。・・・今まで誰かを見殺しにして、誰かに守られて生きてきた人生なんだ。もうそんな簡単には捨てられない」

「・・・そうか」

 

その言葉を聞いてこれ以上は余計だと判断したのだろう。馬宮はそこで会話を切り上げるとそのまま立ち上がって荷物を担ぎ始める。

 

「ん?もう行くのか?」

「ああ。お前とは一時の別れになるけど、元気にやれよ?・・・就職祝いにここの代金は持ってやる」

「いよっ、太っ腹!」

 

俺の言葉を聞いて最後に安心したように笑うとそのまま馬宮は立ち去って行った。俺も残った料理を食べ終えるとさっさと店を出た。

 




あとがきってなんか美味しそうな響きしてるよね・・・してない?
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