ラプラスの悪魔と契約したらなんか違う   作:ただのVオタク

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YMD!


ラプラスの悪魔と契約したらなんか違う

「ふふふ…やっとだ。やっとこの手が世界に届く時がきたっ!」

 

「俺は…全てを知り…力を得て…世界をこの手中におさめるんだっ!」

 

「そう、この魔法陣によって呼び出される悪魔、『ラプラスの悪魔』との契約によってだ!!!あーっはっはっはっはっはっは!」

 

とある暗く、狭い部屋の中。不気味で静かな部屋に高笑いと共に男がいた。その男はかの悪名高い『ラプラスの悪魔』との契約をしようとしている。

一説によれば彼の悪魔との契約はその後の補償などないが、この世の全てを知り、全能の力を与える悪魔である-“らしい”。なぜ“らしい”なのかと言えば簡単だ。ラプラスの悪魔なんて、その“説”の中にしか存在しないからである。

そもそも『ラプラスの悪魔』とは、エから始まる塔がシンボルでお洒落なお菓子とパンを愛する国の数学者が唱えた概念に過ぎないのである。だってのになぜこの男はこうも『ラプラスの悪魔』を真剣に信じ、狂信的といえるほどに契約をしようとしているのか。簡単だ。彼の家が大分特殊な家系だからである。

彼の家は所謂“魔法使い”の家系であり、彼はその子孫なのだ。といっても、彼が使える魔法なんて微々たるモノ。

 

ちょっとライターほどの火を出せたり。

 

ちょっと物を浮かせることが出来たり。

 

そんな、ちょっとした魔法を扱えるだけの男である。

そして、彼はとうとう魔法陣に魔力を込める。

 

「さあ、目覚めよ『ラプラスの悪魔』我の魔力に呼応し、我の願いを叶えよ!現れろ!

 

クワバラク・ワーバラ・エクスペクトパ・トローナ・ム・フンジャラホンジャラ・サイキンポテトノネダンガアガッテムカツイ・テール!

 

おい。絶対のその呪文おかしいぞ。なんかどこぞの厨二病爆裂魔法使い(CVり◯りー)みたいな口上唱え出したと思ったらなんかようわからんけど悪いものとか魔法使う時とかこれ言えばいいっしょ!的な感じのことを並べて言い出した。あとマジでポテトの値上がり許せなくね?

 

そんなようわからん呪文では、つかいないものの呼び出しなんてできるはずもなく。魔法陣は何も反応を示すことはなかった。

男は頭を掻き,ため息を一つこぼした。

 

「ハア。そりゃそーだよなぁ。なんか今を変えたいと思い家の書庫にあった本を読んで地下室でやってみたものの、悪魔なんて出るわけねぇよなぁ…こんな立派な魔法陣まで描いちゃって。あー恥ずかし」

 

さっきまでの狂信っぷりは何処へやら。

男はすっかりと正気に戻り、自分の行いをはじた。

そりゃそうよな、もう完全に黒歴史確定だもんな。みなさんにもこんな時期はあったんじゃないだろうか。悪魔に願いを慟哭してみたり、良くわからん模様書いて『魔法陣だ!』とかやっちゃうヤツ。

ウッ(自傷)

 

「そもそも、あんな巫山戯た魔法陣と呪文で悪魔が呼び出せる訳がないよな、うん。さっさと魔方陣掃除して寝よう。明日は休みとはいえ夜更かしもよろしくないしな…」

 

いそいそと魔法陣を書いた紙を処分し、雰囲気を作ろうと思って用意した蝋燭達を消し、先ほどまで手に持っていた怪しげな表紙の本を書庫(本棚)にしまう。成る程、コレがあのヘンテコ呪文書いてあった本か…悪魔の召喚本なんて言うんだからさぞかし古く重厚な…と思ったが全然軽いし薄い…あと裏面の出版社:竹○房ってのは見間違いだよな、そうだよな、うん。タイトルの下に

(※ジョークです。真に受けないでください。)

って書いてあるけど、それも見間違いだよな。

片付けを終えた男は地下室から自身の寝室へ向かい、そして寝た。

おやすみ、ゆっくり眠るといい…その厨二もいつか眠るさ…。

 

────────

次の日。男はコンビニからの帰り、不思議なモノを見た。

 

「っうう!あ!う!くそっ、なんでこんなにピンポンが高いのだ!」

 

我が家のインターホンをぴょんぴょんと飛び跳ねて押そうとする、頭に鳥を乗せ、大きな2本のツノが生えたょぅι゛ょを。

 

「えっ…?は?えっ…?何あの子。ウチになんか用か…?」

 

周辺に住みマダム達がその幼女を見て、そして帰ってきた俺をみてなんとも言えない視線を向けた。まあ我が一家は周囲の人からは『いい人だけどちょっと(だいぶ)変人』と思われている節があるからな。なんか親族なんかのイタイ子だろう、と思われていそうである。

とにかく、俺は幼女に話しかけた。

 

「お嬢ちゃん、そこは俺の家だけど…何か用かい?」

 

少し膝を折り、できるだけ目線の高さを合わせるて話しかける。泣かれても困るし、まず色々聞かねばならない。

 

「むっ!おまえか!?おまえだな?!」

 

幼女は俺が話しかけるなり俺に指を刺し、何か確認してくる。一体何のことだろうか?

 

「えっと…何がかな?あとお父さんお母さんは何処?君どこの子かな?」

 

彼女の保護者さんは何処だろうか。全く、目を離さないで欲しいものだな。

 

「子ども扱いするな!吾輩、お前より年上だぞ!」

 

「ハイハイ、ごめんねー?そんでお父さんとお母さんは…「だから子ども扱いするな!あと質問に答えろ!」

 

機嫌を損ねてしまったようだ。そして質問とはなんだろうか?

 

「えっと…質問って?」

 

「惚けるな!おまえだろう!?」

 

「だから何が?」

 

なんのことなんだろう、ホントに。この子は何を俺だと──

 

「だーかーらー!昨日の夜!吾輩、つまりラプラスの悪魔を呼んだのはお前かと聞いているんだ!」

 

「え?今…なんて?」

 

「だから!昨日の夜!吾輩を呼んだろう!?召喚陣を書き!魔力を込めて!呪文を唱えたろう!?だから吾輩、来てやったんだ!」

 

な、なぜこの子がそのコト(黒歴史)を──!?

 

────

 

ともかく、これ以上家の外で騒がれ(恥広められ)ても困るので男は家の中へ招き入れた。側からみたらどう映るんだろうな、この絵面w(愉悦)

彼女は男の前に座り、用意したジュースと菓子を食べ続けている。あら可愛い。

 

「えっと…つまり君は俺の召喚に呼応した『ラプラスの悪魔』ッてコト…?」

 

頭が混乱している男は上手く口が回っておらず、未だお菓子に夢中の幼女に問いかける。彼女は口をモゴモゴさせ、飲み込んでからジュースを一口飲んで答える。

 

「まあつまりそういうことだ。めちゃくちゃ久しぶりに召喚されたし,せっかくだから召喚されてやろうと思ったら…」

 

「思ったら…?」

 

「何故かはわからんが吾輩はお前の元へではなく、近くの公園にさっき呼び出された。大方、完璧な召喚じゃなかったんだろうな。てかこの菓子うまっ」

 

再びお菓子を食べだす幼女。男は興奮して尋ねる。

 

「じゃっ、じゃあ。俺に力を授けてくれるのか?」

 

ピタリと。幼女は菓子を貪る手を止めた。先ほどの可愛らしい雰囲気は何処へやら。威圧感…威厳…とも取れる重々しい空気を発し、問いかける。

 

「本当に…本当に力が欲しいんだな…?どんな代償も…厭わないと…?」

 

「あ、ああ。俺は…俺は退屈してたんだ。こんな家系に生まれて。けど、何もないし面白くもない毎日。いい加減ウンザリなんだ!代償は払う!俺に…力を!」

 

「クク…よくぞ言った!それではお前に力を与えよう!」

 

男は待望の力を手にできるとワクワクした。ゾクゾクした。さあ、これから何をしてやろうか──「と、言いたいところなのだが」

 

 

「無理なのだ。契約することは。()()()()ではできん」

 

ズコー。男はギャグ漫画ならそう表現されるであろう盛大なズッコケ方をかました。

 

「ズコー!!」

 

言っちゃったよ。

 

「え?!なんで?!なんで契約できないの!?」

 

男はバン!と机を叩き詰め寄る。幼女はこともなげに言う。

 

「原因はこの輪っか。このよーからん輪っかを遠い昔に付けられて、力を封じ込められてしまった、のだと思う」

 

「のだと思う?」

 

「良く覚えてないのだ、何故か。吾輩が力を持っていた時のことも。あるのはお前が言うような『ラプラスの悪魔』としての在り方だけ。クク…力なき悪魔の在り方とは笑わせる」

 

幼女は自重するように、笑う。嗤う。歒う。それは己を、なのか。はたまた『在り方』をなのか。

その笑みを見た男は思った。

 

──じゃあなんで態々俺ん家来たんだ…?──

 

確かに。

 

「えっと…君が力を持ってないってのはわかった。うん。何かしら事情があるからってのもわかった。だったらなんで召喚に応じてきたの…?」

 

男は至極真っ当な疑問をぶつけた。確かに口振り的には召喚されないこともできたような口振りであった。ならば,力を持たないのにくる意味もないだろう。

口に含んだジュースを飲み干した幼女は言う。

 

「いったろう、久方ぶりの召喚にせっかくだから答えてやろうと思ったって。まあ、それだけじゃないのだが…」

 

何か含みをもたす言い方。幼女は続ける。

 

「お前,力が欲しいんだろう?吾輩もだ。本来の力を取り戻したい。

だから、手伝え」

 

「え?」

 

「吾輩の力を戻すのを手伝え。具体的には吾輩をここに住ませろ」

 

「そうだ。力を取り戻そう。我々がこのエデンの星を統べるのだ。どうだ、ワクワクしてくるだろう?」

 

目の前の幼女(あくま)は手を差し出す。そう、これは悪魔(天使)の誘い。

力を求め、強欲に欲しがるモノへの誑かし、唆し。

昔より、悪魔の誘いに乗るのは破滅への歩みだとされる。しかし、求める者にはまさに未来への一歩なのである。

男の返事は決まっていた。

 

「わかった。君の誘いに乗ろう」

 

「ヨシ、これで契約は成立だ。我々の輝かしい未来のために、頑張ろうではないか。それではまず…」

 

手をとり、互いにわらう。此れにより男は悪魔との契約をしてしまったのだ。そして今。この星を統べるための記念すべき一歩が踏み出され──

 

「吾輩、ハンバーグが食べたいぞ!」

 

なかった。ホントに悪魔か?この幼女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、そう。とある厨二病患者と力を失った幼女(悪魔)のお話。

2人はこの後他に4人の仲間と共に、エデンの星を統べることを目的として生きていく。しかし、その生活はお世辞にも悪魔と思えない、悪魔と契約したとは思えないドタバタな日常を歩んでいく。

これはまあ、語る機会があれば語らせてもらおう。

悪魔に魂を売り、契約者となった男は思うのだ。

そう、

 

「ラプラスの悪魔と契約したらなんか違う」

 

と。




好評で有れば連載にして男とラプ様の日常とか、他のホロックスのメンバーとかとの出会いとか、とにかく続きを書こうと思います。
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