ラプラスの悪魔と契約したらなんか違う 作:ただのVオタク
「なあ…ラプラスよ」
「ん?どうしたのだ〜?」
男は目の前でゲーム片手にアイスを頬張る悪魔に問いかける。
悪魔は視線を男に向けることなく、気の抜けた返答を返す。すると男は呆れと軽い怒りの混じった叫び声をあげる。
「契約結んでからなんもしてねぇじゃねぇかぁー!!」
しかし男の悲痛な叫びも意に返さず、悪魔はアイスを食べ続る。
それを見て男はまた一つため息をこぼした。
男がラプラスと契約を結び、
彼のラプラスの悪魔は『せかいせいふく』と書かれたダボTシャツ(近所の古着屋で見た瞬間即決してた)を着てゴロゴロしているだけ。片や男はご飯を作り、掃除をし。お世辞にも世界を統べようと目論んでいるとは到底思えない。
「お前がこの家に来てから早3日!その間一切何もナシ!いい加減にしろこのニート!!」
「うるさいやつだ。何をたかだか3日如きでギャーギャー言っておるのだ」
「悠久を生きる悪魔と一緒にするな!人間の3日なめんなよ!?」
とうとう爆発した男はむきーと怒りの感情を露わにし、地団駄を踏む。そりゃそうだよな。
「そうは言っても力を取り戻す手立てなんて現状何もわからんし…とりあえずゴロゴロするのが正解だろう」
「んなわけねーだろ!?わからないんだったら方法を探せこの厨二病ニート悪魔(笑)がぁ!」
「はぁー!?誰が悪魔(笑)だ言いおったな貴様!!というか厨二病とは貴様にだけは言われたくないわ!!!」
「事実だろーがぁ!初めて来た時からカッコつけといてゴロゴロばっかりしやがってこの…駄目悪魔が!」
「むきゅー!!何だとこの感性中2に取り残され男が!」
ワーワー。ギャーギャー。彼らの子供のような言い争いはヒートアップし、終わりの気配がない。ガキすぎんだろコイツら…
ピンポーン
2人の言い争いが熱を持ち始めた時、この家のインターホンが鳴った。
男は言い争いを中断し、玄関へ向かう。
「はーいどちら様ですかっと…」
男が玄関を開けるとそこには鍋を持った女性がいた。
「やあ。待ったかね?」
────
「いやー、いつもありがとうルイ姉」
「これぐらい気にしないでくれたまえ。何年来の付き合いだと思ってるんだい?」
俺がこどものころから隣に住んでいて、いつも世話を焼いてくれるルイ姉が夕飯を持って来てくれた。両親が仕事の関係上家を空けることが昔から多かったから、ルイ姉には度々に世話になっている。ご飯を作って来てくれるのもその一つ。こうやってたまに夕食を作って持ってきてくれるのだ。
「それにしても会うたびに成長を実感するよ。大きくなったねぇ」
「そりゃねぇ?」
「こんなに成長したんだ、彼女の一つや二つ出来たかい?それともようやく
「揶揄わないでくれ。
「アッハッハ、ちょっとしたか
「ハハハ…」
「私のギャグを苦笑いとは偉くなったもんだねぇ!?」
ルイ姉の
「遅いぞ、一体誰が…」
「あら…」
「「誰??」」
そうじゃん、
────
「そうかそうか、遂に魔法使いらしいことをしようと思ったら召喚された悪魔、と…」
男は彼女にに事情を説明したところ、アッサリと理解を得られた。
それもそのはず、この女性も普通の人間ではないのだ。さらに男が幼き頃から共に過ごし、魔法の存在を知っているどころか、練習に付き合っていたのだ。頼りすぎやろ。
「そうなんだよ…だからちょっと騒がしくなっても許してくれ」
「そりゃ全然大丈夫。そもそも君の家が騒がしいことなんて慣れっこだしね。あっラプちゃん飴食べる?」
「食べる!くるしうないぞ!」
男と話しながらも
「ま、大体事情も解ったし、ご飯食べよ!せっかくカレー作ってきたわけだし!」
「そうだな。腹減ったし、ルイ姉のカレー楽しみだ!」
「おい、そのカレー甘口か?」
「あ、ごめんラプちゃんいるの知らなくて甘口にしてないや」
「何?お前辛いのダメなん?ってもそこまで辛くねぇから安心しろよ」
「な、ならいいが…」
カレーを温め、よそって3人は食卓に着く。ホカホカと湯気の立ち上るカレーはなんとも美味そうだ。
「そんじゃ…」
「「「いただきます」」」
手を合わせいただきますをしていただく。男と女は一口食べる。何とも美味そうに食うものだ。
「ん〜!!やっぱルイ姉のカレーうんめぇなぁ!」
「ふふ、ありがとう。確かに今回のはいい出来だ!」
2人が幸せそうに頬張る中、幼女はカレーを載せたスプーンを見つめる。
「なんだラプラス。くわねぇのか?」
「いや…だって…明らかに色が辛そうじゃないか…?」
確かに、良くみてみれば普通のカレーよりも辛そうに見える…ってか赤くね?
「大丈夫だよ。まあちょっと辛いかもしれんがそれが美味いんだって」
「…ええいままよ!」
パクッ。
幼女は一口含む。すると、みるみる顔が赤くなり、
「からーーーっ!!!!」
火を吹いた。いや、比喩とかじゃなく文字通り。
「おお、お前火なんて吹けたんだな。初めて悪魔らしいとこ見たかも…」
「わあっ、すごいねラプちゃん!」
涙目で水をがぶ飲みする幼女をみながら感嘆の声を漏らす2人。鬼か。
「どーこがそんな辛くないだ!メチャクチャに辛いじゃないか!というか何でお前らは平気そうなんだ!?」
「んなこと言われても…俺はガキの頃からコレが普通だったしなぁ」
そう、何を隠そうこのカレーの作成者である鷹嶺ルイという女。無類の辛いもの好きである。そして男はそのルイの作る飯を幼き頃から食べてきており、初めの方でもうこの辛さに慣れきっており、この2人は辛味に対して麻痺しているのだ。ええ…
「ご、ごめんねラプちゃん。今度美味しいお菓子作ってきてあげるから許して?ね?」
「そ、そうだぞラプラス。ほら、明日ダッツ買ってきてやるから」
すっかり怒って拗ねてしまった幼女のご機嫌を取るため、様々な策を講じるが、幼女の方は「ふんっ」と取り付く島もない。ホンマ子供やな…
「う〜どうしたら良いの〜?ラプちゃん、私ある程度なら何でもするけど…?」
その言葉に幼女はピクっと反応した。
「今…
クックックと笑いながら振り返る幼女。その表情は悪魔らしく…いやそんなことねーわ。まだ涙目だった。
「う、うん。ある程度だけど…」
「ふんふん!いいだろう!ならば今日からお前は吾輩の部下だぁ!」
「「部下?」」
「そうだ!」
バーンと効果音がついてそうなぐらい胸を張って告げる幼女。
いきなりの部下宣言に2人は首をかしげる。
「吾輩はこのエデンの星を総べるために考えたのだ!秘密結社を作ろうと!吾輩は総帥!今日からお前は吾輩の部下!秘密結社、『Holox』の女幹部だ!」
「いやいやラプラス、いきなり秘密結社って…」
「うるさぁい!貴様にも働いてもらうからな!とにかく、お前は今日から幹部だ!ルイよ!」
幼女の宣言に、クスッと笑って彼女は片膝をつき、答える。
「わかりました、総帥殿。この鷹嶺ルイ、貴女の元に着く、女幹部となりましょう」
「ええっ!?付き合ってやるのか、ルイ姉!?」
「うん。だって辛いの食べさせちゃったお詫びだしね」
「よおし!それじゃあ秘密結社Holox!たちあげだあ!」
「おー!」
「お、おー…」
こうして、ラプラスが総帥として君臨する、『秘密結社 Holox』が立ち上げられた。後にこのエデンの星を統べることになる、闇に存在する秘密結社。そのスタートが切られた──
「それじゃまずは…ハーゲンダッツを買いに行くぞ!初任務だ幹部よ!」
「ダッツなら私の家にあるので持ってきますね、総帥」
「初任務それかよぉ…」
きられた…のか?
────
ラプラスは悠久を生きる悪魔である。遠くない未来。何百年か、何千年か。気が遠くなるほどの時間が経っても、秘密結社の幹部は総帥と共に在った。
そう、ちょっとポンコツな女幹部は隣に居続けたのである。
そんな遠い未来の話を語ることになるかはわからないが、これから先は尚のこと騒がしい日常が待っているに違いない。
遠い静かな未来ではなく、近い騒がしい未来を語ろうじゃないか。
そう、
「
続いた。あと連載に切り替えました。
ルイ姉の口調おかしいけどこれ以上直せんのよ…