外道女ハンターは噛生虫と共に   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。昨日(2022/10/9)完結した【急募】狩猟笛の正しい使い方の続編もしくは外伝早速投稿しました。掲示板も前作面子視点で書くかもです。

一応注意点として、前作と違って主人公は転生者じゃない現地人です。モンハン知識が足りないこともお許しください。では、楽しんでいただけると幸いです。


噛生虫と共にある者達
私の強さをなめるなよ!


「なんでこうなるのー!」

 

 

 私、ナユタは先端に刃が付いた細身の武器……操虫棍のボーンロッドⅡを両手で抱えて全速力で、村近くの山にある狩り場「万年樹の森」の山道を走っていた。HR1の私でも簡単なキノコ採取クエストのはずだったのに、どうしてこうなったんだろう。おそるおそる後ろを見る。怒り狂ったどす黒いアオアシラ……ヌシ・アオアシラが岩やら木やらを次々と粉砕しながら突進して来ていた。

 

 

「ううっ、なんでヌシモンスターがここに……。イッセン、マンジュウ…どこにいるの…!?」

 

 

 一緒に来てバラバラにキノコを探していたオトモの名を呼ぶが返事はない。瞬間、背後からヌシ・アオアシラが投げつけてきた岩が迫っているのを感じて、私は操虫棍の柄を地面に打ち付けると印弾の射出口からガスを放出し、そのガス圧と棒高跳びの要領で跳躍。宙返りして岩を回避する。

 

 

「はふっ!?危なかった!」

 

 

 咄嗟にやったがなんとかなった。だが事態は好転していない。なにせ、戦おうにも操虫棍に不可欠な相棒の狩猟用に飼い馴らされた「猟虫」がいないのだ。いや、いないは間違いだ。殺された、あのヌシ・アオアシラに。不意打ちだった。気付いた時には遅かった。もう一年近くになる相棒の死を悼んでいる暇はない。なんとか逃げないと……。

 

 

「行って!」

 

 

 懐から手持ちの翔蟲を二匹出してヌシ・アオアシラに向かって飛ばさせて鉄蟲糸で縛ろうと試みるが、巻き付く前に破ってしまった。スピードも落ちていない、駄目だ。

 

 

「こうなったら…」

 

 

 覚悟を決める。振り返り、操虫棍に体を預けて体勢を低くして、ガスを射出。面食らったヌシ・アオアシラの喉仏に刃が炸裂、えづかせてビターンと地面に転がる。

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 顔を地面に打ち付けて痛い。泥だらけだ。目元の泥を拭いながら見上げると、悶絶し首を押さえながら後退するヌシ・アオアシラの姿があった。

 

 

「や、やった…?」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

「わあああああっ!?」

 

 

 しかし途轍もない咆哮で大きく小さな我が身が吹き飛ばされてしまい、大木に背中から打ち付けられる。見上げれば、この森のシンボル、万年樹が。

 

 

「うん?」

 

 

 キノコの傘の様に分厚い枝葉の中に紅い何かが見えた気がした。なんだろう?ってそれどころじゃないや。

 

 

「グゴアァアッ…」

 

 

 前門はヌシ・アオアシラ、後門は大きすぎて逃げ道がない万年樹。控えめに言って詰んでいるが、私は死にたくない。あの人との約束を守るために、ようやくハンターになれたのにこんなところで死ぬわけにはいかない。

 

 

「グゴアァアアッ!」

 

「うおりゃあぁああっ!」

 

 

 ヌシ・アオアシラの突進に合わせて【突進回転斬り】を使用、独楽のように回転しながら前進し、攻撃を受けるとその勢いを利用して空中へ跳躍するその技で私は空中に回避、ヌシ・アオアシラは勢いよく頭部から万年樹に激突する。ぐらぐらと揺れる万年樹。その威力に恐れおののいていると、落ちてきた葉の雨の中に紛れる様にしてそれは降ってきた。

 

 

「蟲…?」

 

 

 それは一見蟲の姿をしていた。顔の大半を占める大きな口に蝙蝠の様な翼、そして深紅の体。それは自然と、空中で滞空する私の握るボーンロッドⅡにくっ付いた。まるで猟虫の様に。あとから気付いたが、そこにはヌシ・アオアシラを刺した時の体液が付着していて、それに引き寄せられたのだと思う。でも私にとっては僥倖だった。

 

 

「ごめん、力を貸して!」

 

 

 なんとか着地。操虫棍を回転させ、勢いよく振り下ろして紅い蟲?を射出する。それは牙を剥いてヌシ・アオアシラに喰らい付き、飛ばした蟲?を腹部にもらい転がったヌシ・アオアシラがもがくうちに見る見る弱って行き、そして満足げな蟲?が戻ってきて操虫棍に収まった。腰が抜けて、へなへなと崩れ落ちる。

 

 

「うぉん!」

 

「やっと見つけたにゃ旦那さん!…ってどうしたんにゃそんな大物!?」

 

「わ、わからないよぉ…」

 

 

 そこにようやくやってきてくれたオトモガルクのイッセンとオトモアイルーのマンジュウに安心し、ぽろぽろと涙がこぼれたのもしょうがないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在、一年後。あの時期にカムラの里で百竜夜行・ヌシ大乱というのが起きていたらしく、あのヌシ・アオアシラはそれからはぐれて凶暴化していた個体だったらしい。他にも大地母蜘蛛ヤツカダキやらの脅威をカムラの里のハンターチーム「猛き炎」が退けたなどいろいろあったが、私は特に関係なく過ごしていた。

 

 ここはカゲン村。大陸の辺境に位置する、山々に囲まれた農業が盛んな村だ。山向こうには湯治客や観光客で賑わう温泉で有名なユクモ村や、カムラの里というたたら製鉄が盛んな山紫水明の里があるらしく、特にカムラの里とはこの付近に生息している翔蟲やガルクなどの文化も共通している。山々に囲まれた地理で防衛に長けているためモンスターによる被害も少ないが、それでもハンターはいる。私もその一人だ。

 

 

「イチカさん、おはようございます」

 

「おはようございますナユタさん。今日も顔色悪いですね?」

 

「低血圧なもんで…」

 

 

 オトモを引き連れ村の中央にある集会所に顔を出すと、受付嬢のイチカさんが出迎えてくれた。赤みがかかった髪をサイドテールにした美少女だ。彼女を目当てにハンターになった男も多いらしいので羨ましい限りだ。そんなことを思いながら、右手に止まっている「相棒」をこづく。するとスッと楽になった。また勝手に吸ってたな?

 

 

「本日はボルボロスを狩猟すると報酬が二倍もらえますよ」

 

「私の得物を知ってて言ってる?」

 

「操虫棍でしょう?でも貴方この間ダイミョウザザミを無傷で狩猟していませんでした?」

 

「それ言われると言い返せないや。あはは……」

 

 

 いやまあ、硬さ関係ないからね。ボルボロスはどうだろ、泥がない所を狙えば行けるかな。「相棒」を撫でながら考える。まあいけるだろ。

 

 

「おっ、“血塗れ”のナユタじゃないか。今度は何の返り血を浴びるんだ?」

 

「うるさいアソーギ。それは見間違いだって言ってるじゃない!」

 

 

 あまりにも不服な異名で呼んできた外のハンターであるオールバックの男、アソーギを睨みつける。イケメンなのがムカつく。

 

 

「お前が通った後にはモンスターの亡骸しか残らないから信憑性しかないんだが?」

 

「ぐっ…」

 

 

 ぐうの音も出ねえ。一応返り血浴びてないんだけどなあ。いや、あの状態を血塗れ言われてるなら何も言えないけど……

 

 

「まあいいや。ボルボロスは俺がもらうぜ」

 

「あ、ちょまっ…」

 

 

 考えてる隙にアソーギにボルボロス狩猟の依頼書を持ってかれてしまった。…いやまあいいけどさ。食費多めに欲しかった…気を取り直して、壁に貼られた他の依頼書を見てみる。下位ハンターだとやっぱりろくなのがないな。

 

 

「イチカさん、なんか割に合う依頼、ある?」

 

「うーん、ならギルドマスターの依頼を受けます?推薦者に貴方の名前も入ってますけど」

 

「絶対厄介ごとじゃん……」

 

「いつもなんだかんだで引き受けている人の台詞とは思えませんね」

 

「ちなみに内容は?」

 

「カゲン村外れの田畑を荒らす泥翁竜オロミドロ討伐ですね。本来なら上級が相手するモンスターなので報酬額も12240z(ゼニー)です」

 

「やる!やります!」

 

 

 なんかオロミドロって上位でも結構上の人が相手するモンスターだった気がするけどギルドマスターに推薦されたならしょうがないね!ヌシ・アオアシラに比べたら怖くないでしょ!

 

 

「旦那さん、だらしない顔してますにゃ…」

 

「ワオン」

 

 

 はいそこのオトモたちうるさい。いくよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近場なのでネコタクなどはなしの徒歩で訪れる。村外れの田畑の主人によれば、オロミドロは荒すだけ荒した後、万年樹の森に逃げて行ったらしい。オトモガルクのイッセンの背にオトモアイルーのマンジュウと共に乗り、オロミドロが田畑を荒らす際に使った酸の匂いを辿って追跡する。そして森の中の泉に出ると、自身の周囲に溶解液をばら撒いて泥にして鎮座しているオロミドロがいた。

 

 

「いくよ、ヒャッくん!」

 

 

 マンジュウとイッセンが突撃してタゲを取ってくれている間に、ガシリと右腕に取りついている「相棒」ことヒャッくんを掴みとる。名称不明、生態不明。分かっているのは生物のエネルギーを奪い取り糧にするという事だけの、一年前であったあの蟲?だ。振り抜いた操虫棍、エアリアルグレイブの先端に取り付けてグルグルと回転させ、その勢いを乗せてヒャッくんを撃ち出すと同時に突撃。気付いて尻尾を振り下ろしてきた攻撃を受け止め、空中に跳ね上がって急降下回転斬りを叩き込む。

 

 

「グルオアァアアアアッ……!」

 

 

 するとオロミドロの顔面に直撃し、戻ってくるヒャッくんを受け止め、最初見たときより異様に弱っているものの回転して泥の防壁を作り上げるオロミドロを一撃斬り裂いて翔蟲を背後に飛ばし、伸ばした鉄蟲糸を掴んで泥のタワーを避けながら後退。ヒャッくんが止まっている右手を掲げる。

 

 

「それがお前の能力か。もらうよ……!」

 

 

 するとヒャッくんが紅い結晶となって翼を閉じる様に右手を包み込み結晶のグローブの様な姿に変化。地面に触れて大きく振り上げると、結晶から染みだした溶解液が地面を泥に変えて、泥の奔流がオロミドロに炸裂。固まってその巨体を拘束する。理解が追い付かないのか目を白黒させて暴れるオロミドロ。そんなオロミドロの頭部にイッセンが噛み付き、マンジュウが手にしたハンマーを叩きつけスタンさせる。

 

 

「ナイス、マンジュウ!イッセン!…ヒャッくん、次!オサイズチ!」

 

 

 そう指示するとヒャッくんは元の姿に戻って私の腕から飛び立つとエアリアルグレイブの刀身にくっつき結晶化して合体。鎌鼬竜オサイズチの尻尾の鎌の様な形状にすると私は鎌の反対側からガスを放出して跳躍。

 

 

「追加!ヌシ・アオアシラ!」

 

 

 キリモミ回転しながらそう叫ぶと、私の全身を紅いオーラが包み込んでオロミドロに急降下、その首を人間とは思えない剛力で掻っ切った。首を斬られたオロミドロは一声呻いて崩れ落ち、私は着地。“血塗れ”にも見える紅いオーラを消してもらい、元の姿に戻ったヒャッくんを右腕に戻すと、力を使った分私に噛み付いてちうちうと吸ってきた。本当に容赦がないな君は。

 

 

「まあいいや。私も利用するから、君も私を利用してよヒャッくん」

 

「旦那さん、いい加減誰かに相談した方がいいと思いますにゃあ。そのうちバケモノ呼ばわりされますにゃあ」

 

「いやヒャッくんに力貸してもらわないと私すぐ死ぬから!」

 

 

 素材を剥ぎ取りつつ、呆れ顔のマンジュウに物申す。私の強さをなめるなよ!死ぬぞ!割とガチで!カムラの里のやべーやつらと私は違うんだからな!そんなこんなで私とヒャッくんと奇妙な共生関係ハンター生活は続くのだ。




ハンターなのにモンスターの力を使い知らないとはいえキュリアと共存する、正道を外れてる故に外道ハンターナユタ、いざ参る。

キュリアは滅んだと言ったな?あれは嘘だ。正確にはあの場に集まったキュリアは滅びました。別の宿主見つけて気に行ったら呼ばれても来ないよねって。


ナユタ(那由多)
今作の主人公で操虫棍使いのハンター歴二年くらいの自称初心者ハンター。「血塗れ」の異名を持ち、共生しているキュリアこと「ヒャッくん()」の力を借りてモンスターの能力を行使しているが秘密にしている。ランクはHR3の下位。オトモはアイルーのマンジュウ(万十)とガルクのイッセン(一千)。ウイルスの影響で寝込んだが自己回復した頑丈な身体の持ち主。

・ヒャッくん
万年樹の森に待機していた個体がヌシ・アオアシラの攻撃の振動で目覚めた。手ごろな共生相手をナユタに選んだ結果共生生活を送ることになる。独自に進化しており、取り込んだエネルギーを宿主に移して能力を行使できるが失ったエネルギーは対価としていただくため燃費が悪い。ネーミングはヒャーと鳴くから。

・カゲン村
本作オリジナルの舞台。大陸の辺境に位置する、山々に囲まれた農業が盛んな村。山向こうにはユクモ村やカムラの里があり、特にカムラの里とは翔蟲やガルクなどの文化も共通している。山々に囲まれた地理で防衛に長けているためモンスターによる被害も少ない、比較的平和な村。

アソーギ(阿僧祇)
カゲン村の外から来たハンター。オールバックが特徴の大剣使い。

・マンジュウ
ナユタのオトモアイルー。ハンマーを使う。ナユタのお目付け役。

・イッセン
ナユタのオトモガルク。主に搖動役兼、フクズクがいないため追跡役。

イチカ()
カゲン村の集会所に努める受付嬢。ナユタの顔なじみ。ギルドマスターからの仕事も斡旋する。赤みがかかった髪をサイドテールにした美少女


次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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