外道女ハンターは噛生虫と共に   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。バレットたちに「気炎万丈!」言わせてたから「波乱万丈!」ってナユタに叫ばせるのもありかなと最近思い始めました。

今回は今作二体目の外天種登場。楽しんでいただけると幸いです。


私は多分悪くないから!

 それは、準備を終えてイッセンに荷物を担がせて待ち合わせ場所に急ごうとしていた時だった。裏門へ通じる裏路地に、アソーギが待ち構えていたのだ。

 

 

「よう血塗れ。どこにいくんだ?」

 

「あ、アソーギ。こんにちは。私は急いでるからじゃあね」

 

「まあ待てよ。顔見知りのよしみだ、命は助けてやるから相棒を置いていけ」

 

「ヒャー!?」

 

 

 にやにやとムカつく笑みを浮かべて、私の右腕にくっ付いているヒャッくんをむんずと鷲掴みにしながらそんなことを言ってくるアソーギ。そんなアソーギにカチンと来て、その笑みを浮かべてる顔に鉄拳を叩き込んでヒャッくんを取り返した。

 

 

「ぐあああああっ!?」

 

「「「アソーギさん!?」」」

 

「馬鹿なの?相棒を置いて行くわけないじゃん」

 

 

 吹っ飛んで転がるアソーギに駆け寄る見覚えのあるハンターたち。実力あるアソーギにくっ付いてる奴等だ。鼻血を流してるが自業自得だ、無視して踵を返してマゴク達に合流するべく裏門に向かおうとしたらアソーギが顔を押さえながら起き上がって大剣を構えてきた。

 

 

「この……穏便に済ませてやろうと思えばつけあがりやがって…!やるぞお前ら!キュリア・ベルゼを捕まえて報酬をたんまりもらって山分けだ!」

 

「あぶっ!?」

 

 

 大剣の腹部分で殴りつけてきたのを、咄嗟に操虫棍で受け止める。いきなり、なんで…そうか、ゴーガシャさんの言ってたのはこういうことか。横からハンマー使いが殴りかかってきたが、ヒャッくんが咄嗟にダイミョウザザミのヤドを形成して受け止めてくれた。衝撃が響く、やっぱり上級の一撃は重いな……。

 

 

「なんで、私がこの道を通るって……」

 

「帰還したのは見てたんだ、どっかに逃げるならこっそりが常套手段だろうがよ!お前が馬鹿だろうがな!」

 

「誰が馬鹿だあ!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 ランス使いの盾の一撃を蹴りで受け止めて押し返し、両手で握った操虫棍のガス噴出孔を蹴り上げてアソーギの顎に叩きつける。

 

 

「ヒャッくん、ブラキディオス!」

 

 

 そう指示を出すと右腕に止まったまま丸く結晶化、鉄球の手袋の様になり沁み出した粘菌を地面に叩きつけ、近寄っていた双剣使いをパンチで殴り飛ばすと同時に踵を返して走り出すと、爆発。粘菌の爆発に気を取られている間に全力で逃走を開始する。

 

 

「ヒャッくん!足、ウルクスス!」

 

 

 そう指示すると右腕から離れたヒャッくんが右足にくっ付き、ウルクススの太い脚を形成。横に跳躍して一気に駆け抜け、元に戻ったヒャッくんを右腕で受け止めながら裏門に突き進む。ヒャッくん行使しすぎてるのと、なんか悪目立ちしてる気がするけど気にしない、万年樹の森に入ればいくらでも撒ける!……はず!

 

 

「マゴク!イチカさん!走ってー!」

 

「逃がすか血塗れナユタ!」

 

 

 裏門で待ってるマゴクとイチカさんを見つけるなり呼びかける。後ろから大剣の腹で殴りかかってくるアソーギがうざい。

 

 

「アソーギ…!?」

 

「逃げましょう、マゴクさん!」

 

 

 こちらを見るなり走り出すマゴクとイチカさん。しかしすぐに逃げきれないと判断したのか立ち止まり、マゴクは弓と矢じりが無い棒だけの矢と、スラッシュアックスを構えた。イチカさん、凄く様になってるね!

 

 

「準備しててよかった。少し痛いけど我慢してよ…!跳矢角(はねやすみ)!」

 

「減気ビン装填、斧形態(アックスモード)減気満(げんきまん)タン!」

 

 

 すると矢を引き絞ったマゴクが射出、矢は家屋の壁や地面に跳ね返って次々と私を追っかけてくるハンターたちの利き腕やおでこに当てて跳弾を炸裂。イチカさんは斧型に変形し青いエネルギーを纏ったスラッシュアックスを振りかぶって地面に叩き付け、そのエネルギーの波が地面を伝ってハンマー使いに炸裂、元気を失って転倒させる。そんなことできるんだ!?

 

 

「さすがにアソーギはこの程度じゃ沈まないか……三連矢髪(さんれんやはつ)!」

 

「あぶなっ!?マゴクてめえ、そいつとキュリアに肩入れするってのか!」

 

 

 パパパン、と手にした三本の矢を全く同時に射出して、それを大剣で防いだアソーギが急停止して私はその間にマゴクに駆け寄る。助かった。

 

 

「僕はもともと、なゆたん以外の味方じゃないさ。それになゆたんを助けるのは僕一人じゃない」

 

剣形態(スラッシュモード)!勘弁してくださいね!」

 

 

 そのまま剣型に変形させたスラッシュアックスを握ったイチカさんが回転する刃で地面を滑走して来て、刃の無い部分を勢いよく叩きつける。アソーギは大剣を構えて受け止めるも吹き飛ばされ、私達はその間にマゴクを先導にカゲン村を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アソーギを殴った!?そりゃ怒る狂ってしつこく追ってくるわけだよ!?」

 

 

 万年樹の森の中を歩きながら、私はヒャッくんにちうちうとエネルギーを吸わせつつこんがり肉を食し回復、同時にマゴクに怒鳴られていた。

 

 

「だから、私は悪くないの!ヒャッくんをいきなり奪ったアソーギが悪いの!」

 

「いやまあ、それを想定していなかった僕も悪かったけども殴るのは違くない?目立っちゃ駄目なのに」

 

「多分殴っても殴らなくても結局は囲まれていたと思いますよ」

 

 

 イチカさんの言う通りだと思う。多分殴らなかったら不意打ちで囲まれて終わりだったんじゃないかな、知らんけど。しかし逃げるためとはいえ使いすぎたな、肉も確保しながら進まないとそのうちガス欠するや。

 

 

「しかし情報が速いですね、既に村のハンターにも通達されていたとは」

 

「ギルド本部も本気だってことだろうね。よほどヒャッくんとなゆたんを捕まえたいんだと見た」

 

「ねえ、その本部の偉い人を殴った方が早くない?」

 

「何でも殴って解決しないの。捕まって終わりだよ」

 

 

 そういうものか。じゃあゴーガシャさんの言う通り実績を作るしかないのかあ。

 

 

「それにしても、イチカさんがあんなに強かったなんて知らなかったなあ」

 

「いやあ、対人戦に心得があるだけですよ」

 

「対人戦に慣れてるってどんな過去なのさ……」

 

 

 マゴクががっくり肩を落としてる。マゴクも負けてなかったけどね、と褒めると分かりやすく照れた。可愛い。

 

 

「いやあ、それほどでも……っ静かに!」

 

 

 するとマゴクが何かに気付いたようで物陰から周囲を警戒するので私とイチカさん、オトモ達もそれに倣う。すると目の前を流れている小川を沿って現れたのは、予想だにしない存在だった。

 

 

「万年樹の外天種、泡芽踊(ほうがよう)タマミツネ……」

 

 

 一件巨大な草花にも見える翡翠と白銀のスレンダーで流麗な体躯で、ヒレが生えていて首や腿の鱗はその泡に濡れてなまめかしく煌き、腹部から尻尾にかけては長い体毛に覆われている、通常個体の倍近い巨体の泡狐竜タマミツネの外天種。溢れ出る泡が破裂した箇所の植物が芽吹いて急成長していく様は命を操るとまで言われている。万年樹が草木で生い茂っている原因らしい。

 

 

「え、なんでここに…?(ヒソヒソ)」

 

「多分、赫狼竜に好き勝手されていたので警戒しているのでは…?(ヒソヒソ)」

 

「追手がいる中で戦う相手じゃないね、迂回しよう(ヒソヒソ)」

 

 

 コソコソと草むらに隠れつつ迂回しようとすると、背後から足音。嫌な予感がして振り向くと、アソーギとその仲間のハンターたち総勢四人がそこにいた。大剣使いのアソーギ、ハンマー使い、ランス使い、双剣使い、全員上級だ。それぞれのオトモアイルーもいる。

 

 

「血塗れナユタ!どこにいきやがった!」

 

「アソーギさん!あ、あれ……」

 

「あれって外天種の…!?」

 

「まずい、G級チームでも勝てない様なモンスターだぞ…!?」

 

「キュアァアアアアアッ!」

 

 

 するとその声に反応した泡芽踊タマミツネが滑走してアソーギたちの退路を塞ぐように泡をばら撒いて草木を急成長させ、慌てふためくハンターやアイルーを尻尾のビンタと爪の一撃、体当たりで薙ぎ払う。あっという間にアソーギ1人まで追い込まれてしまった。

 

 

「くっ、くそっ……なんで、もっと奥にいるはずだろ…!?」

 

 

 大剣で爪の一撃を受け止めて斬りつけるアソーギだが、泡芽踊タマミツネは身を翻して回避。口から水流をレーザーの様に放ってアソーギの手から大剣を弾き飛ばし、巨体を持ち上げて睨み付ける。

 

 

「こんなところで終わるのかよ……!」

 

 

 そう嘆いて諦めるアソーギを、私は見捨てられなかった。

 

 

「あ、ちょっと待ってなゆたん……」

 

「ヒャッくん!赫狼竜ジンオウガ!」

 

 

 気付けば私は、紅い稲妻を纏ってアソーギと泡芽踊タマミツネの間に割り込んでいた。私の顔見知りを殺させはしない…!




弓矢で跳弾させるマゴクと減気ビンを自在に扱うイチカ、どちらもバケモノである。

万年樹の外天種、泡芽踊(ほうがよう)タマミツネ登場。泡に植物を急成長させる成分を持ち、植物を自在に操る翡翠色のタマミツネ。命を操るとまで言われている万年樹の森をそうたらしめている支配者です。

知り合いのためなら簡単に死地に飛び込めるナユタの悪い癖が発動。切り抜けられるのか。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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