今回はタマミツネとの対決。第二章のキーとなる人物が登場。楽しんでいただけると幸いです。
村のハンター仲間、アソーギが今にも
「ヒャッくん!赫狼竜ジンオウガ!」
気付けば私は、紅い稲妻を纏ってアソーギと泡芽踊タマミツネの間に割り込んでいた。私の顔見知りを目の前で殺させはしない…!右腕に纏ったヒャッくんが変化した結晶が赫狼竜ジンオウガの右前足を形成。右手で握った操虫棍で渾身の突きを叩き込んで怯ませると同時にアソーギを左手で掴んで他のハンターが倒れている方にぶん投げた。大剣は諦めて!
「逃げてアソーギ!他の人も起こして!」
「え、あ、おう!」
アソーギが仲間を叩き起こしているのを横目に、右腕に紅い稲妻を纏って紅いエネルギーの雷を飛ばし、泡芽踊タマミツネにブチ当てて怯ませる。さすが赫狼竜の力だ。
「これ、使える…!」
「あーもう、なゆたんの援護!行くよ!」
すると怒った泡芽踊タマミツネが、体を捻り上げて振り下ろさんとした尻尾が、飛んできた矢の一撃を受けて軌道が逸れ、横に炸裂。紅いエネルギーを纏ったジンオウガの右前足の爪の斬撃を、泡芽踊タマミツネの顔面に叩き込む。
「外天種相手は初めてですが、了解です!」
ギャリギャリギャリッ!と音を立てながら、スラッシュモードのスラッシュアックスの回転する刃を車輪代わりに疾走してきた、イチカさんの突進が横から炸裂。空中に跳ね返ると、イチカさんは器用に体勢を変えて、アックスモードにしたスラッシュアックスの回転する刃を、泡芽踊タマミツネの頭部に叩き付け火花を散らす。よく見たら私の与えた傷もそんなに効いてない。花みたいな見た目なのに硬いのかあの頭部。
「
すると周囲の木々を跳ね返ってきた三本の矢が、三方向からタマミツネの両目とうなじを狙って飛来、マゴクだ。しかし、それを察知したのかタマミツネは、その場でとぐろを巻いて回転。泡をばら撒いて、私とイチカさんが避けたそこらかしこに炸裂、植物の壁が生え揃って矢を受け止めてしまう。
「キュアァアアアアッ!」
「ちっ、一筋縄じゃいかないか…!」
遠くの木の上にいる、マゴクを見つけたらしい泡芽踊タマミツネは、蛇の様に体をくねらせて木々の間を縫って滑走。通った後から植物が生い茂って、すぐ追いかけることができない。マゴクが……危ない。
「マゴクに……手を出すなあ!ヒャッくん、いくらでも対価は払うから……フルアーマー!」
「ヒャーッ」
前回と同じ姿なれど、右腕のヌシ・アオアシラの爪がジンオウガのものに代わってる。さらに豪華になったね!ガス噴出孔から毒ガスを噴出しながら宙を舞い、泡芽踊タマミツネの首筋に操虫棍のディノバルドの刃を叩き込まんとするが、鎧に受け止められたと思ったら、ぬるりと滑って防がれる。な、なに!?細かな泡が首筋に集中してる…!?
「こんのお!」
マゴクの援護射撃も弾かれ、ぬるんと滑った操虫棍が私の手から零れ落ちてしまったので、右腕のヨツミワドウの腕によるツッパリに、赫狼竜ジンオウガの紅いエネルギーを纏わせながら、繰り出す。しかし、胴体から湧き出してきた泡で防がれてしまい、しかも種子でも含まれているのか、泡が破裂したのと同時に植物が結晶から生え揃って私の右腕を拘束、肩口まで押さえられて動けなくされる。マゴクを狙ったのは囮で、最初から狙いは私か…!?
「こんなろ!」
ならばと、左腕のブラキディオスの左前足とヌシ・アオアシラの爪を圧倒的なパワーで繰り出すも、泡芽踊タマミツネは口から高速で泡を発射。私が繰り出した左腕の下に炸裂させ、植物を生い茂らせて拘束。地面と縫い付けられて、動けなくされる。
「しまっ……!?」
イャンクックとリオレイアの結晶翼を羽ばたかせて、抜け出そうと試みるが地面と結晶……の先の私の腕まで根付いているのか、ビクともしない。右脚のオサイズチの鎌を振るって、草花を切断しようと試みるも泡芽踊タマミツネの爪で弾かれ、続けざまに泡を纏った爪でひっかかられて、右脚も拘束される。もう自由なのは、顔と胴体と左足だけだ。
「なら地面ごと溶かして……!」
オロミドロの尻尾を模した形状の脚から、溶解液を流して地面を溶かして拘束を解こうとするも、水流で洗い流されてしまい、さらに水流にも種子と急成長させる成分があるのか、左足も植物で地面と縫い付けられてしまった。
「う、動けない…!?」
「やっと壊せた…!ナユタさん!?」
すると、分断していた草花の壁をアックスモードのスラッシュアックスで、斬り払ったらしいイチカさんが乱入。私の惨状を見て、草花を斬ろうと試みる。
「今助けます……があっ!?」
「キュアァアアアアン!!」
「イチカさん!?」
しかし、翡翠色の体で自然の風景に迷彩効果で溶け込んでいた泡芽踊タマミツネに、滑走からの突進を叩き込まれて吹き飛ばされ、泡の水流を吹きつけられてスラッシュアックスを取りこぼし、木に縫い付けられてしまうイチカさん。口元まで草花で覆われて、喋れそうにない。
「それ以上させるかあ!」
「くそっ、このおっ……」
マゴクが連続で跳弾矢を放って、泡芽踊タマミツネの気を引いてくれたので、ヌシ・アオアシラとブラキディオスの馬鹿力で拘束を剥がそうともがく私。すると、そんな私を目障りに思ったのか、タマミツネは赤青緑黄紫とグラデーション鮮やかな腹部を爪で擦り上げ、泡を纏った右前足を地面に突き刺した。
「がああああああっ!?」
すると草花ではなく巨大な横向きの樹木が生えて、私はダイミョウザザミのヤドの胴体で受け止めるも、凄まじい威力に拘束を引きちぎりながら吹き飛ばされ、無様に転がる。たまらず、私の身体から離れて行くキュリア達。フルアーマーも解けて、ヒャッくんが心配そうに私の顔に止まった。
「ヒャー、ヒャー」
「ぐっ、ごめん……ヒャッくん、全身痛くて動けないんだ……」
拘束を引きちぎった時の激痛も全身に広がり、腹部に受けた衝撃で内臓も傷つけたのか、血が口の端から溢れる。やばい、赫狼竜ジンオウガに勝てたから、慢心していた。あれって、赫狼竜を構成していたキュリア達を奪い取ったから、勝てたんだった。そもそも外天種って、手出しも厳禁な怪物だった………。なんとか顔を上げて見る、マゴクが必死に応戦して惹き付けているのを。マゴクには火力が無い。あのままじゃ、負ける。
「なにを諦めてるんだ私、死んでもマゴクとイチカさんは逃がせよ……!」
自身に発破をかけてなんとか立ち上がる。手足を見ると、ちぎれた草花が喰い込んで血を流していて、痛々しい。私が吹っ飛んだ先に落ちていた操虫棍を拾い上げて、なんとか両手で構える。
「おい!私はまだ生きているぞ!」
「キュアァアアッ!」
なんとか地面を突いて跳躍、飛びかかりながら叫ぶ。しかし、振り上げられた尻尾を、叩きつけられて一蹴。無様に根っこでデコボコな地面を転がる。ああ、アソーギを助けようだなんて考えなければ、マゴクもイチカさんも巻き込まずに済んだのに、私の馬鹿。本当に馬鹿。
「くそぉおおおおおおおっ!」
体が動かない、叫ぶしかない。そんな時だった。アソーギの逃げた方向から、凍りつく様な殺気と共に草木を踏みしめながら、その人物が現れたのは。
「人を雑草塗れにして……何が面白い?外天種のタマミツネ……そろそろ庭いじりはお終いにしようじゃないか……」
その人物……濃い蒼色で、氷結晶の様な装飾が目立つ改造軍服めいた露出の多い装備を身に着け、暴力的なまでにスタイルが良い褐色肌で高身長な、青色かかった銀髪に水色の鋭い瞳を持つ竜人族女性は、その手に握った棍棒の様な物を一閃。
「キュアァアアアッ!?」
泡芽踊タマミツネの顎をかち上げて、その棍棒の様な物を逆手に持ち替えながら先端を握ると、それは仕込み刀風の太刀だったのか引き抜いて刀身を顕にし、渦を描く様に振るえば刀身がワイヤーの様な物に繋がれた幾重もの刃の鞭となって、泡の膜を凍らせながら泡芽踊タマミツネの全身に巻き付いた。
「美しい薔薇には……棘がある物だ…」
「キュアァアアアンン!?」
そして勢い良く引くと、刃の鞭が巻き付いていた全身に、斬撃が一気に炸裂。泡芽踊タマミツネは悲鳴を上げる。
「躾けられた気分はどうだ?これでも足りないのなら……貴様に必要なのは、罰という事になるが……それをお望みかしらね?」
そう言う女性に、たまらず逃げるようにしてその場を去って行く、泡芽踊タマミツネ。その実力にもだけど、私に向けて微笑んでくる女性の凍てつく視線が、とてつもなく恐ろしく感じた。
泡芽踊タマミツネ。植物を急成長させるだけと侮るなかれ。イメージはワンピースフィルムZのモサモサの実、の強化版。フルアーマーナユタを完封するぐらい強いです。
そんなナユタのピンチを救った、逃げたアソーギから助けを求められて参戦した竜人族の褐色ハンター。仕込み杖型蛇腹剣の使い手、一体何者なのか?
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。