外道女ハンターは噛生虫と共に   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。体調悪いけど毎日投稿やめられない困った習慣。キャラをどう出していくか考えるの難しい。オリキャラ結構考えたんですけどね、タイミングがね。

今回はギルドマスターによる現状分析。楽しんでいただけると幸いです。


私のお気に入りはよく食べる

 ギルドマスターとしての私室で、彼女についての資料を纏める。実力を確かめるために推薦してみたオロミドロ討伐を一時間で成し遂げたらしいのはやはり異常だ。確認しに行った回収班曰く首を獣の如き力で掻っ切った痕跡があったらしい。万年樹の森は観測班でも把握できないほど深い森だから次は見晴らしのいいエリアのクエストをピックアップして彼女の力の出どころを確認したいところだが……。

 

 

「プロフィールは特におかしいところはない下位ハンター、なのですけどねえ」

 

 

 むしろ狩猟の経歴以外は下位の中でも弱い方だ。体力も筋力も敏捷も耐久力も並以下。秀でていると言えば友人の為なら全力で突っ込める度胸と回復力ぐらいだろうか。よく食べて寝るだけで重傷でも治る理不尽に近い物だが、素の力が弱すぎて本人もモンスター狩猟は小型に留めていた。…ちょうど一年前、百竜夜行・ヌシ大乱から逸れたヌシ・アオアシラと遭遇し単独討伐するまでは。それからはオサイズチ、アオアシラ、ドスマッカォ、ウルクスス、ドスジャギィ、イャンクック(実力が気になった私からの特別依頼)、ドスフロギィ、テツカブラ、ダイミョウザザミ、リオレイア(私の特別依頼)、ヨツミワドウ、そしてオロミドロ(私からの特別依頼)など次々と大物を仕留めてきた。とんでもない変化だ、下位から出るのも時間の問題だろう。

 

 

「上位ハンターでも一歩間違えれば殺されてしまうヌシ・アオアシラやオロミドロを下位ハンターが単独討伐……才能が開花したとかじゃ説明つかない話だよねえ」

 

 

 資料を捲って行くと彼女の防具の詳細が目に入る。下位ではよく見るオサイズチ+ウルクススを組み合わせた防具に、典型的な操虫棍エアリアルグレイブ。そして……ヒャッくんと呼ばれている詳細不明の猟虫。手元には受付嬢が描いた精巧な絵がある。偶然出会ってそのまま相棒にしたとのことだが、これまで何人ものハンターを見てきましたがあの様な猟虫は見たことがない。ひとつ心当たりがあったので知ってそうな人を呼んだが、そろそろ来る頃だろうか。

 

 

「ギルドマスター。カムラの里から里長殿が参りました。お通ししますか?」

 

「ああ。通してくれ」

 

 

 受付嬢の声に応えると、扉を開けてその人物が顔を出す。私が促した客席の豪勢な椅子に座るのは豪快な笑顔が似合うご老輩。

 

 

「ゴーガシャ。久しくぶりだなあ!」

 

「息災の様で何よりです、フゲン殿」

 

 

 熱血、豪快にして大きな度量を持つ、カムラの里の長にして伝説のハンター、フゲン殿。里長の座はかの猛き炎の一人、マシロ殿に継ぐつもりらしいがまだ若いので成長するまでフゲン殿が続けているとのことだったか。

 

 

「挨拶はいい。至急聞きたいことがある、とのことだったが?」

 

「はい。あの淵虎竜や大地母蜘蛛の件に関わった貴方ならもしやと思いまして。この絵を見てもらってもよろしいか」

 

 

 そう言って机に置いたのは「ヒャッくん」の絵だ。それを見た途端顔色を真剣なものに変えるフゲン殿。

 

 

「これは……冥淵龍との戦いにて滅びたキュリアと酷似しているな。だが細部の形状が異なる、酷似しているが別物、もしくは亜種か…?ゴーガシャ、これはなんだ?」

 

 

 やはり、私も現物は見たことがないがキュリアだったか。だが酷似しているだけで別物なのだろうか?

 

 

「うちに所属しているハンターの猟虫なんですよそれ。どう思います?」

 

「なんだと?それは何時からだ」

 

「一年前からですね。少なくともこのカゲン村では、かの王国の様な流行病(はやりやまい)は発生していません。そのハンターが一週間ほど寝込んだぐらいで。風邪薬で治ったので風邪だとは思いますが」

 

「ふむ……」

 

 

 腕を組み考えるフゲン殿。問題が起きてない以上、取り上げる訳にも行かない。実際戦績を上げているのだから猶更だ。

 

 

「何か変化は?」

 

「下位のどん底だったそのハンターがオロミドロを一時間ほどで討伐するぐらい成長した、ぐらいです。私の知る限りでは」

 

「…あの戦いで冥淵龍に集結したキュリアは一匹残らず滅んだことを確認されている。これがキュリアだとして、あれに集結しなかったということは冥淵龍の(しもべ)ではないと言う事だろう。被害が出てないのならば何とも言えんな」

 

「ですよねえ」

 

 

 よかった。今すぐにでも処罰しないといけないとかじゃなくて。秘密はあっても私のお気に入りだ、処罰など与えたくない。フゲン殿を呼んでよかった、そう一息ついていると。フゲン殿は受付嬢が持って来たお茶を飲んで一息つくといいことを思いついたのか立ち上がった。

 

 

「よし、猛き炎を派遣しよう!彼等なら危険かどうか判断してくれるはずだ。それからギルド本部に通達しても遅くはあるまい」

 

「なるほど。では私から依頼を出しておきましょう」

 

「うむ、そうしてくれ!」

 

「あ、せっかくなので交易について話しても?」

 

「ハハハ!相変わらず豪胆なやつだ!」

 

 

 私の提案に豪胆に笑うフゲン殿。相変わらず気持ちのいいお方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふへえ、なんとかばれずにすんだ……」

 

 

 嫌な予感がして万年樹の森でのタケノコ狩りのクエストを受けて、オトモ達に集めてもらっている間に急行した私は、信号弾を受けた回収班に救出されたマゴクが帰還した後にカゲン村に戻ってきた。意識を取り戻したマゴクは何時の間にディノバルドを倒したのかと首を傾げていたけど、さすがマゴク!と手放しに称賛してきた。実際あそこまで追い詰めたのはマゴクだしね。

 

 

「ヒャッくん、気が済んだ?」

 

 

 腕に止まるヒャッくんを見ると、けぷっと息を吐くと満足げに「ヒャーッ」と鳴く。どんな感情なんだそれは。

 

 

「旦那さん、多分満足してますにゃ。マゴクさんにばれないように元気に振る舞ってたけど、そんなへろへろになるまで吸われてるんだから当然ですにゃ」

 

「ワンッ」

 

「あ、ばれてた?」

 

 

 マンジュウとイッセンのお小言に苦笑いを浮かべる。とりあえず失ったカロリーを取り戻さなくては、と食堂にふらりと立ち寄る。もう夜になるし、早めの夕食だ。まだ開いてないけど頼めばなんか作ってくれるだろう。

 

 

「おやこんばんは、ナユタさん。相変わらず仲がいいようですね」

 

 

 すると話しかけられたので首を向けると、カウンターの向こうでフライパンを手に料理しているサングラスとちょび髭が似合う長髪を結い上げている長身男性……ギルドマスターのゴーガシャさんがいた。こんな時間からなにしてるんだ。

 

 

「あ、ゴーガシャさんこんばんは。…なにしてるんです?」

 

「料理です。私、ギルドマスターであり村長でありここの料理長も務めているのですよ。お忘れですか?」

 

「いやそうじゃなくて……厨房開くのってもっと後じゃありませんでした?」

 

「ナユタさんがお腹を空かせていると思って用意していたのですよ」

 

「なんでわかったの!?」

 

 

 見た目もそうだけどニコニコ笑顔でちょっと胡散臭い。サングラスの下から観察されているような気さえする。するとゴーガシャさんはなんでもないことのように炒飯をさらに盛り付けて差し出してきた。

 

 

「ガッツチャーハンです。私の奢りでいいですよ」

 

「ありがたくいただきます!」

 

 

 奢りにゃ勝てん。ゴーガシャさん、料理長を務めているだけあって美味しいし。この人多忙で死ぬんじゃないかな。

 

 

「そう言えばいいグンカンガキを仕入れたのですがどうです?お安くしときますよ」

 

「ええい、商売上手め!それ一つください!」

 

 

 美味しい物くれるしなんでもいいや。あーもう、目の前で料理するの憎いなこのギルドマスター!好き!(反語)

 

 

「グンカンガキのステーキです。めしあがれ」

 

「いただきます!」

 

 

 がっつく私を楽しげに眺めるゴーガシャさん。なんか視線がヒャッくんに向いてる気がするけど大丈夫だよね…?




専門家(?)の出番。


ゴーガシャ(恒河沙)
カゲン村のギルドマスター。サングラスをかけていてちょび髭で長髪を結い上げているという胡散臭さの塊だが、ナユタの身を案じたりと普通にいい人。フゲンとは旧知の仲。ギルドマスターで村長で集会所の料理長をしている多芸なお人。

・ナユタ
餌付けされる主人公。エネルギー吸われるとか云々前に、単に食いしん坊でもある。前回のことはなんとか誤魔化せた模様。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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