活動報告の募集にコメントありがとうございます。今回はその中から一体採用させていただきました。VSザボアザギルです。楽しんでいただけると幸いです。
ブラキディオスを倒して上位になった私ことナユタ。同じ上位になったのでマゴクとチームを組んで狩猟をすることになったのだが、まあ問題は解決しないわけで。
「なゆたん」
「はい…」
「まず、僕の射線上に出るのやめようか」
「はい…」
「次に、攻撃を当てようか。力任せすぎ」
「はい……」
「次に、避けようか。なにまっすぐ突っ込んでるのかな?」
「はいぃ……」
「次に……」
「勘弁してえ!?」
そうなのだ。いくらヒャッくんの力を借りて誤魔化していたとはいえ私がポンコツ弱小ハンターなのは変わらないのだ。そりゃあもうマゴクに怒られた。自分から命の危機に突っ込むなとブチギレられた。
「だって……」
「だってじゃないよ。僕がいなかったら何度死んでたことか……ディノバルドは不意打ちとして、よくリオレイアとかに勝てたね?」
「無我夢中で?」
「何も考えない方が強いんじゃないかと思えてきた…」
「本当ですにゃ、なりふり構わず突撃した方が強いですにゃ旦那さんは」
「わふん」
頭を抱えるマゴクに同調するマンジュウとイッセン。ぐうの音も出ねえ。
「まあ戦い続けて少しずつ慣れて行くしかないか…なにかあったかな。あ、休んでていいよ。手ごろなクエスト探してくる」
「はーい」
私の家から出て行くマゴクを見送り、正座していた脚を崩す。すごく痺れた、痛い。でも私が悪いしなあ。
「…あの人との約束を守りたいのに、駄目だね私」
「ヒャー?」
「そんなことないですにゃ、旦那さんは頑張ってますにゃ」
「わうっ!」
「駄目じゃないとは言わないんだね……」
結構落ち込む。同期でも最底辺で、全然実戦許可が出なくて、なんとか下位になっても採集クエで稼ぐ日々だったもんなあ。ヒャッくんの力でごり押ししてきたけど上位でしかもチームプレイとなるとそれも通用しないかあ。
「とりあえずザボアザギルがガヒャクラ湖畔に出て暴れてるらしいから狩猟の依頼を受注してきたよ」
とりあえずストレッチしながら待ってると、一枚の紙を手にマゴクが戻ってきた。
「えっと、たしか化け鮫だっけ?」
「そうそう。本当は下位でも相手できるモンスターなんだけど通常よりいくらかでかいらしいね」
「ガヒャクラ湖畔って雪山の?」
「正確には雪山とその麓にある湖の狩場だね」
「……寒いのやだ」
「わがまま言うんじゃありません」
「あー」
ずるずると首根っこを掴まれて引き摺られ、私はガヒャクラ湖畔に行くことになった。ちょっと待って防寒装備はさせて!?
やってきたのはガヒャクラ湖畔。大きな凍てつく湖に雪原と雪山が三角形を描く様に広がる狩場だ。雪山の傍なので滅茶苦茶寒い。
「相変わらず寒いなあ。ウルクススやヨツミワドウの時以来だよ」
「ほら、ホットドリンク。次からは自分の分を持って来るんだよ」
「はーい。はー、あったまるー」
これ飲まないで寒冷群島とかで大暴れできるカムラの里の人間やっぱりやべーな、とか感想が出る。ゴーガシャさん曰く三日後にカムラの里からハンターが生態調査に来るらしいが…仲良くできる気がしないなあ。
「ザボアザギルはどこにいるかなー…」
「ポポとかを食い荒らしてるらしいから水脈が続いている雪原辺りかな?」
「じゃあ水脈を辿って行くか。よろしくイッセン」
「頼んだよバゲスト」
ガルクに乗って水脈を辿って北上していく。あ、食い荒らされたポポの死骸が散乱している。凍っているとはいえ血の匂いが残っている、最近のかな。……なんか、嫌だな。
「僕は高所を取る。前衛は任せたよ」
「え、あ、うん。任せてくれるの?」
「この惨状に怒ってるなら、なゆたんは多分大丈夫だ」
「? どういう意味?」
「君は多分、誰かのための方が戦える人種だってことさ」
そう言って崖をピョンピョンと飛び跳ねて登って行くマゴク。…まあいいや、任せてもらえたからには頑張ろう。
「あ、いた」
そのまま進んでいると、ポポの親子を襲っているザボアザギルの姿が見えた。その光景を見た瞬間、ぷつんと来てイッセンから飛び降り、操虫棍からガスを噴出して跳躍、斬りかかる。
「ぜりゃああ!」
いつもより素早く振るえて、ザボアザギルの顔に切り傷を作って吹き飛ばして着地。自主的に離れて私の周りを旋回するヒャッくんを操虫棍のガスを噴出する方にくっつけて、突進する。
「ヒャッくん、ドスフロギィ!」
中距離からガス噴出孔を突き付け、そこから毒の煙を噴出する。悶えるザボアザギルに、矢が次々と炸裂。マゴクの援護を感じながらも畳み掛け、刃で何度も斬りつける。すると体を急激に膨張させ、バウンドしながらボディプレスを仕掛けてきたので回避すると、ローリングで追撃して来て吹き飛ばされる。
「くっ、やったな…!」
そのままゴロゴロと転がってくるザボアザギルの後ろに矢が次々と刺さるが速すぎて当たらない。ならばとヒャッくんが離れたガスが出る方を持ってグルンと足払いする様に回転。バウンドしてきたところを弾き飛ばし、空中に投げ出されたところに矢が炸裂。水脈まで吹き飛ばされて水飛沫を上げるザボアザギル。
「ギギギアァアアッ!」
そして水脈から出てきたのは頭頂部に鋭い角を、背中から尾鰭にかけて棘を形成して氷の鎧を形作ったザボアザギル。飛んで来た矢が氷の鎧に弾かれる。凄い防御力だ。あれを砕くには……!?
「しまっ…」
口を開いたかと思えば体液を飛ばしてきて、咄嗟に防御するも両腕にかかると瞬時に凍り付いてしまい、それに気を取られたところに体当たりが炸裂。氷が砕け散って私はゴロゴロと無様に転がる。
「いっつ……そっちがその気ならこうだ!ヨツミワドウの腕!」
私の周りを旋回していたヒャッくんを掲げた右腕に止まらせて結晶化、ヨツミワドウの腕を形成して地面を殴りつけると振動が発生し動きを止めると突進してザボアザギルの足元に刃を突き刺して全力で引っくり返し、そこをヨツミワドウの腕で掴んで上空に投げつける。
「マゴクー!」
そう叫ぶと次々と矢が飛んできて、衝撃を地面に受け流せないからか氷の鎧を砕いて行き、落ちてきたところにヨツミワドウの腕で全力の突っ張りを叩き込み、地面に叩きつけると翔蟲を上空に飛ばして鉄蟲糸に掴まり上昇、操虫棍を構えて急降下する。
「私の得意技を喰らえ……降竜!」
「ギギシャアアッ!?」
そして脳天を貫かれたザボアザギルはじたばたと暴れ、力尽きたのだった。
「ふう、お疲れなゆたん」
「お疲れマゴク。さすがの援護だったよ」
マゴクと合流し、一緒に素材を剥ぎ取って一息つく。空中に打ち上げたザボアザギルに寸分たがわず当てるとか、私の親友すごすぎ。
「しかしザボアザギルがいきなり暴れ出したのは何でだろう?格上のモンスターを刺激するだけだってのにね」
「さあ、なんでだろね?…見た限り目についたものをひたすら襲ってたみたいだし、なにかから逃げててその邪魔だから殺戮してたとか?」
「なるほどね。……でもこの時期、このエリアにそこまで危険なモンスターはいなかったはずだけど」
「余所から来たとかかな?」
そう言いながら辺りを見渡す。静かだ。………静かすぎる?するとヒャッくんが羽をバサバサと羽ばたかせて興奮し始めた。え、何なに!?
「ヒャッくん、どうしたんだい?」
「わからない、こんなこと一度も……」
「っ、誰だ!?」
するといきなり弓を構えて矢を引き絞るマゴク。その先は雪山への道。そこに現れたのは、どちらもズタボロの二人組だった。
「ぐうっ……お願い、私達を助けて」
「姉の、言うとおりに……」
桃色のショートカットで赤を基調とした巫女みたいな装備の少女と、水色のサイドテールで青を基調とした同じ装備の色違いを身に着けた瓜二つの少女。双子…?青い方の傷は深い、慌てて大粉塵を取り出す。
「ハンターかい?一体何が……」
「奴が、来る…」
「逃げて……」
瞬間、紅い光が瞬いた。少女たちを踏みつけてその場に現れたのは、緋色の鬣を揺らした血の様に紅い体色で銀色の角を有した狼の様な牙竜種。…ジンオウガ、だけど違う…!?
「ウオォオオオオオン!」
「こいつは、赫狼竜…!?」
マゴクが構える中で私は見た。ジンオウガ(?)の背で羽ばたくヒャッくんとよく似た蟲たちを。
雷光蟲の代わりにキュリアと共生しているジンオウガ、赫狼竜とそれと戦っていたらしき双子ハンター登場。本筋が始まります。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。