今回はキュリアについてナユタが知ることに…?楽しんでいただけると幸いです。
赫狼竜ジンオウガが退却して、命からがら逃げ延びた私達。帰還するなりギルドマスターのゴーガシャさんの元まで双子のハンターを案内する。一度家に戻ってヒャッくんを置いてオトモ達に任せてきた。
「この村のギルドマスターですね?私達はギルド本部から赫狼竜討伐の依頼を受けたG級ハンターで、私はフーカと申しまーす、はい」
「ギルド本部所属G級ハンター、シギン。フーカに手を出したら殺す、うん」
「こらこら、シギン。無暗に喧嘩を売らないのー、はい」
ゴーガシャさんの胡散臭い風貌に睨み付けて威嚇するシギンさんを宥めるフーカさん。戦ってた時から思ってたけど不思議な喋り方だなあ。しかしG級だったんだ、あの赫狼竜ジンオウガを追い返したのも納得だ。するとショックを受けた様子のゴーガシャさんがこっちを見てきた。
「私、そんなに胡散臭いですかね…ナユタ、マゴク?」
「「うん、胡散臭い」」
「そ、そうですか……」
正直に答えると目に見えて落ち込むゴーガシャさん。しかしすぐ立ち直って、きりっとした顔で佇まいを直して二人を椅子に案内する。私達は出ようとしたがゴーガシャさんが話を聞きたいとばかりに視線を向けてきたので入り口の横でマゴクと共に待機することにした。
「それで、ギルドから要注意モンスターとして勧告されていた【
「うん。正確には山越えしていたのを私達が補足して追っていた」
「ガヒャクラ湖畔で追い詰めたはいいんですが見事にまあ返り討ちにされちゃったんですけどねー、はい」
「キュリアのエネルギーの爆発を受けて、命からがら逃げて助けられた。二人とも、礼を言うよ。うん」
「いやあ、それほどでも…結局負けちゃったし」
「気にしなくていいよ、僕はほとんど何もできなかったし……って、キュリアだって?」
「きゅりあ?」
出てきた名前が引っかかったらしいマゴクがシギンさんに尋ねると、睨み付けられた。え、なんで?
「うん。あの赫狼竜ジンオウガは雷光蟲の代わりにキュリアと共生している個体だ。
「名前と詳細だけは知ってますがどんな見た目かまでは生憎と……」
「同じですギルドマスター。まさかあれがキュリアだとは……まさか、あれも…?」
シギンさんの問いかけに面目なさそうに答えるゴーガシャさんとなにかに気付いたようなマゴク。しかし肝心の私はというと。
「えっと、すみません。キュリアってなんですか……?」
「…うん、呆れた。まさかキュリアを知らないハンターが未だにいるなんて……キュリアはあの冥淵龍ガイアデルムの配下として暗躍していた蟲の様な生物のこと。キュリアを使役する爵銀龍メル・ゼナや爵電龍メル・ゼクス、キュリアを餌にしていた大地母蜘蛛ヤツカダキといった強力なモンスターのエネルギー源で、モンスターからエネルギーを吸うと同時に体に異常きたして非常に獰猛になってしまう猛毒を与えることで王国領域の生態系を狂わせていた原因。この猛毒は人間に注入すると血液に溶け込むことなく人体に悪影響を及ぼし意識を失うことになるそう」
「モンスターのエネルギーを吸う、猛毒を与える……」
そのシギンさんの説明を受けて思い出したのは一時期体調を崩して風邪になったときのこと。あれは原因不明だったし一週間ほど寝込んだぐらいで。風邪薬で治ったので風邪だと片づけられたけど……あれはたしか、ヒャッくんがきてすぐのことだったような…。
「本当に何も知らないんだね、本当にハンターなの?」
「そう言わないの、シギン。でもおかしいですね、はい。ナユタさん、キュリアを連れていた様な…?」
「え?」
私がキュリアを連れていた…?え、まさかやっぱりヒャッくん……?でもそれ以外に知らない存在なんて……
「やはり、あのヒャッくんがキュリアだったのですか…」
「やっぱり、ヒャッくんはそうか。赫狼竜にエネルギーを奪われていたのもそのせい…」
「ま、待ってよ!」
納得したようなゴーガシャさんとマゴクに私は物申す。二人がキュリアを知ってたのかどうかはこの際どうでもいい。それよりも…!
「ヒャッくんは違うよ!?キュリア、じゃないよ?」
「なゆたん。君が一番わかってるだろう?問題はそのヒャッくんが赫狼竜ジンオウガにエネルギーを吸われて弱っているってことだ、そうだろう?」
「ぐっ……うん、そうだね……」
駄目だ、マゴクには敵わないや。ぐうの音も出ない。
「ギルドマスターゴーガシャ、もしやわかっていて放置していたのでー?はい」
「まさか。そうじゃないかと思ったのもつい最近で、確認のために手を尽くしていたところです。こんな形で確信に至るとは思いませんでしたが」
「私達はヤツカダキ掃討戦の際にキュリアを見ているからわかったけど、情報だけじゃわからないのも無理ないよ、うん」
「ナユタとヒャッくんなら大丈夫だと私は信じている」
「ゴーガシャさん…」
信じてもらえていてなんか嬉しい。キュリアかもしれないってのは教えて欲しかったけど。
「それよりも今は赫狼竜ジンオウガの件です。ジンオウガは本来、暖かな気候を好むはずだが雪山に出るとはね…」
そうなのか。ジンオウガって雪山には出ないのか、知らなかった。マゴクがジッと見つめてきたので目を逸らす。無知でごめんなさい。
「多分キュリアの影響で生態も変わっていると思われますねー。どの地域にも現れてはモンスターを襲ってエネルギーを奪い取ってるみたいなんです。その中には古龍クシャルダオラの姿も」
「私達以外のG級ハンターも動いているけど返り討ちにされて重傷を負わされるか最悪死に至らしめられている。
「げてんしゅ…?ちょーきゅーこりゅーきゅーせーぶつ?」
聞き慣れない単語に首を傾げる。漢字をたくさん使えばえらいってわけじゃないんだぞ!(涙目)
「外天種とは明らかに通常の範疇を外れた天に立つ個体のギルドが決めた総称のことだよ。いずれも古龍級かそれ以上に強力なモンスターだ」
「G級八人を蹴散らすような、とにかくヤバい奴と覚えて置けば問題ないよ、なゆたん」
「G級を八人…つまりチーム二つ分を蹴散らすようなやつと戦ってたの私達…?」
ゴーガシャさんとマゴクの説明に、はえーと感心することしかできない。よく生きてたね、本当に。
「その赫狼竜ジンオウガは今どこに?」
「逃げて行った方角的に恐らく万年樹の森かとー、はい」
「奴にとっての餌…大型モンスターが数多く棲息する場所だ、恐らく回復を図るつもりなんだろうね、うん」
「失礼します、ギルドマスター。赫狼竜ジンオウガの行方について観測班から報告が」
「ああ、入ってくれ」
するとノックする音が聞こえてイチカさんの声が聞こえ、ゴーガシャさんが許可すると紙の束を持ったイチカさんが入ってきた。私達を一瞥し、ゴーガシャさんが「関係者だ気にしないでくれ」と言うと安心したのか報告を始める。
「ガヒャクラ湖畔から逃亡後、万年樹の森の到達。キュリアらしき生物の群れを使役して大型モンスターのエネルギーを吸い尽くしながら移動、現在は万年樹の頂上に陣取りキュリアを各所に放っている様です」
「よりにもよって万年樹の頂上か…あそこは飛竜の巣にもなっている、餌も豊富なんだろう」
「ガイアデルムがいない今、キュリアを支配しているのは間違いないようですねー、はい」
「私達が行く。今度は不覚を取らないから、キュリアの存在も知らない貴方達はここにいて、うん」
「ああ、もう。うちのシギンがごめんなさいー」
そう言いながら出て行くフーカさんとシギンさん。…シギンさん、なんか苦手だけど言ってることは正論だ。私もマゴクも傷をゆっくり癒すとしようかな。そう思っているとマンジュウとイッセンが駆け込んできて、思わず目を丸くする。
「旦那さん!大変にゃ!」
「え、どうしたの?ヒャッくんの看病してたはずじゃ……」
「そのヒャッくんがどっか行っちゃいましたにゃ!」
「ええ!?」
え、なんで。……私を見限ったの、ヒャッくん…?
正体バレお直後いなくなるヒャッくん、どこに行ったんですかね。
フーカはおっとりお姉さん、シギンは憎まれ口を叩いてG級であることにプライドを持つ姉大好き妹となってます。シギンの方はだいぶひねくれ者である。
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